上記のような方のために、今回は仮想通貨の主な仕組みである『ブロックチェーン』について徹底解説していきます。
ブロックチェーンの知られざる仕組みに迫ります!
ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンは、時間が経つごとに改ざんが難しくなる記録技術と、P2Pで管理されたネットワーク方式のことです。
P2Pはネットワーク参加者全員が主体となり、データのやり取りや記録を行う通信方法のことです。
では実際にデータが、ブロックチェーンのネットワークに記録されるまでの流れを見てみましょう。
- ブロックチェーンのネットワーク上で、データがP2P方式で配信されます
- それらのデータは、ブロックと呼ばれるネットワークで共有されている記録データに、一定時間ごとに格納されます
- そのブロックにはブロックナンバーと呼ばれる、何番目のブロックかがわかる番号が記載されていて、ブロックはその順番に沿って連なる(チェーンの)ように記録されます
- ブロックナンバーが大きくなるにつれて、その前にあるブロックは改ざんが難しくなり、またP2Pで共通管理されることで、安全性の高い記録データであるブロックチェーンが出来上がります
ビットコインはこれらの技術を使用して、インターネット上でコピーされずまた履歴を変更できない記録を作り出すことで、お金としての価値を生み出しています。
ブロックチェーンは、取引の記録以外にも、メッセージやプログラムなどの記録もできるのだ!
ではブロックチェーンには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?
ブロックチェーンのメリット
ブロックチェーンのメリットを、通常のネットワークであるサーバークライアント方式と比較してみましょう。
サーバークライアント方式は、中央管理者がデータの記録や端末とのデータのやり取りを行う、一般的なネットワーク方式のことです。
ブロックチェーンは、主に以下の3つのメリットがあります。
- 記録の改ざんが困難
- ゼロダウンタイム
- 民主的(非中央集権)なネットワークを作れる
それぞれ解説します。
1)記録の改ざんが困難
上で述べた通りブロックチェーンは、時間が経つごとに改ざんが困難になるような記録方法です。
サーバークライアント方式はそのような方法でないため、サーバーがハッキングされた場合などに、改ざんされる可能性があります。
2)ゼロダウンタイム
ゼロダウンタイムは、そのネットワークの機能が停止している時間が無いことです。
ブロックチェーンはP2Pで管理されているため、1つの端末が機能停止となっても、その他の端末同士で機能を補えるため、ダウンタイム(機能停止)にはなりにくい仕組みです。
一方でサーバークライアント方式では、中央管理者者が機能停止してしまうと、同様に全てのネットワークが機能停止します。
3)民主的(非中央集権)なネットワークを作れる
非中央集権とは、ネットワークにおける権力が各端末に分散される管理モデルのことです。
ネットワークの意思決定は各端末の多数決などで行われるため、民主的とも言えます。
一方でサーバークライアント方式では、中央管理者が全ての権限を持つため独裁的とも言えます。
『ブロックチェーンはすごい!』と言われちだけど、一方でデータ処理速度が遅い、インセンティブ設計が難しい、意思決定スピードが遅いといったデメリットがあることも忘れてはいけない!
ここまでの説明で、ブロックチェーンのイメージが掴めてきたのではないでしょうか?
次にブロックチェーンの種類を見てみましょう。
ブロックチェーンの種類
ブロックチェーンには、4つの種類があります。
- パブリックブロックチェーン(非中央集権型):ビットコイン、イーサリアム
- プライベートブロックチェーン(中央集権型):mijin、miyabi
- パーミッションブロックチェーン(許可型)リップル
- コンソーシアムブロックチェーン(組合型)Libra、HyperLedger系列
これらの主な違いは、ブロックの承認方法です。
ブロックチェーンでは不正な取引を防ぐために、取引データが格納されたブロックが正しいことを確認する「承認者(バリデーター)」を設けています。
この承認方法の違いにより、ブロックチェーンが持つ3つの性質が異なります。
- 非中央集権性
- 安全性
- 拡張性
では、各ブロックチェーンの特長を見てみましょう。
1)パブリックブロックチェーン(非中央集権型)BTC,LTC
ブロックの承認に「コンセンサスアルゴリズム(合意形成方式)」と呼ばれる承認方法を用いているブロックチェーンを、パブリックブロックチェーンと呼びます。
ネットワーク参加者は、特定の基準をクリアすることでブロックを承認でき、その対価として報酬が与えられるようになっています。
ビットコインでは、作業量が基準となるPoW(プルーフオブワーク)が採用されています。
またイーサリアムもPoWですが、今後は通貨の保有量を基準とするPoS(プルーフオブステーク)に移行予定です。
2)プライベートブロックチェーン(中央集権型):mijin、miyabi
中央管理者がブロックを承認するブロックチェーンを、プライベートブロックチェーンと呼びます。
データの処理速度が比較的早く、また従来のクライアントサーバー方式よりもセキュリティが堅牢であるため、企業が導入するケースが多いです。
3)パーミッションブロックチェーン(許可型)Ripple(XRP)
許可された複数の承認者により、ブロックが承認されるブロックチェーンを、パーミッションブロックチェーンと呼びます。
プライベートブロックチェーンよりも非中央集権でありながら、早い処理速度を持ちます。リップルはこれに該当し、リップル社により許可された承認者の多数決によりブロックが承認され、XRPの高速送金を実現しています。こういったシステムは既存の企業に好まれるシステムであることが多いです。
4)コンソーシアムブロックチェーン(組合型)Libra、EOS、HyperLedger系列
組合員によりブロックが承認されるブロックチェーンが、コンソーシアムブロックチェーンです。
パーミッションブロックチェーンよりも非中央集権的になり、FacebookのLibraやIBMのHyperLedger系列がこれに分類されます。
人によって意見が分かれるのですが、これは半中央集権的な立ち位置になりますので、完全なパブリック型ブロックチェーンとは言い切れない側面を持っています。
非中央集権性、安全性、拡張性は、ブロックチェーンのトリレンマと言われていて、1つのブロックチェーンがその全てを満たすことは、できないと言われている!
ブロックチェーンのマイニング
上述の通りビットコインでは、ブロックの承認方法にPoWを採用しています。プルーフオブワークの「ワーク」は作業という意味で、この作業のことをマイニングと呼びます。
マイニングとは、マイナーと呼ばれるネットワーク参加者達が、ブロック作成後に正しさを証明するために計算競争をして、1位になったマイナーに報酬が付与されるサイクル的な作業のことです。
マイニングには3つの役割があります。
- 取引データの記録(ブロックの作成)
- ビットコインの新規発行
- 不正行為の排除
マイニングでは、1ブロックごとに12.5BTCがマイナーに付与されます。また計算競争は、ハッシュパワーと呼ばれる計算強度が高いほど競争で勝ちやすくなります。
マイナーはこの計算強度を高めるために、高性能なマイニングマシーンを購入し、その稼働に大量の電気代を支払っています。
そしてそれらの費用には、マイニング報酬が充てられています。
そのため不正をしてビットコインの価値が下がってしまうと、マイナーにとっても不利益となるため、正しくマイニングが行われています。
またビットコインには半減期があり、市場への供給量が緩やかに減速していく仕組みです。
経済理論的にはインフレーションを起こしやすいような仕組みを採用しており、市場への供給量を減速させることで、人気に伴う価値の向上を狙った仕組みを採用しております。
そのため、マイニング報酬は約4年ごとに半分になります。そして最大発行枚数の2,100BTCに到達するまで半減期は繰り返されます。
ブロックチェーンのハードフォーク
ブロックチェーンには、フォーク(分裂)と呼ばれる、ブロックチェーンの分裂現象があります。
またフォークには、通常のフォークとソフトフォーク、ハードフォークの3種類があります。その中でもニュースになることも多いハードフォークについて解説します。
ハードフォークは主に2つの原因により発生します。
- コミュニティの分裂
- 計画的なバージョンアップ
コミュニティの分裂によるハードフォークでは、仮想通貨が2つに分裂します。
代表例には、2016年のイーサリアムとイーサリアムクラシックのケースや、2017年のビットコインとビットコインキャッシュのケースがあります。
また計画的バージョンアップによるハードフォークは、ブロックチェーンの機能を拡張する際に起こります。
ただし分裂後に古いチェーンの使用は終了し、新たなチェーンがこれまでの仮想通貨として使用されるため、通貨の分裂は発生しません。
イーサリアムが、数ヶ月から数年ごとに実施しているハードフォークはこれに該当します。