現在、様々な業界・業種でM&Aが盛んに行われています。
売り手側からすれば、『後継者不足による事業承継問題を何とかしたい』・『厳しい競争にさらされ経営を安定させたい』という切実な目的があるはずです。
一方の買い手側は、『事業の充実』・『人材の確保』・『新規事業参入』などの思惑で、M&Aを行うケースが多いです。
しかし、M&Aに臨む当事者がM&A未経験なら、様々な想定外の事態やリスクが待ち受けているかもしれません。
そんな場合に頼もしい存在となるのが【M&Aアドバイザリー提供会社】です。
M&A交渉を専門に行う業者とは、まずアドバイザリー契約を結びますが、アドバイザリー契約の内容に関心がある方々も多いのではないでしょうか?
この記事では、アドバイザリー契約の概要から、アドバイザリー契約の内容と締結方法と流れ、メリット・デメリット等について解説します。
- アドバイザリー契約とはM&A交渉を円滑に進めるためにM&Aの専門家と結ぶ契約である。
- アドバイザリー契約には専任契約・非専任契約・仲介方式・アドバイザリー方式の4つがある。
- アドバイザリー契約の内容は多岐に亘るため内容を慎重に確認する必要がある。
- アドバイザリー契約の費用は業者によって大きく異なる。
- アドバイザリー契約のメリットは交渉事が円滑に進むだけではない!?
- アドバイザリー契約には注意することが意外と多い。
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目次
アドバイザリー契約とは?
こちらでは、M&Aをサポートするアドバイザリー契約について解説します。
アドバイザリー契約はM&Aの強い味方
売り手は、経営者不足の解消・経営の立て直し・事業資金の確保などのために、M&Aに臨むことでしょう。
買い手にとっては、事業の拡大や人材の確保などのため、M&Aを行う場合が多いはずです。
しかし、売り手・買い手の意見の溝が埋まらず、M&Aは不成立となることが多いです。
M&A成立を目指すなら、確実に成約を成し遂げたいものです。
そんな時に頼りとなるのは、「M&Aアドバイザリー提供会社」と言えます。
M&A専門業者に任せれば、大きくM&A成立が前進することでしょう。
M&Aアドバイザリー提供会社は、M&Aの交渉事を円滑に進めるために頼りになる存在である。
アドバイザリー契約
アドバイザリー契約は、社外の事業者からM&Aに関するアドバイスを得るために結ぶ業務委託契約の一種です。
売り手または買い手が、仲介会社・アドバイザリー会社からの助言・提案を受けるために契約を交わすことです。
M&Aが成立するまでのプロセスは、売り手の価値・リスクを適切に評価する「デュー・デリジェンス」や、買い手側の「マーケティング」など膨大な作業が必要となります。
「デューデリジェンス」や「マーケティング」は、財務はもちろん法務等の高い専門性を要する作業となることから、M&Aの当事者だけでは対応できないケースが多いことでしょう。
そのため、仲介会社・アドバイザリー会社といったM&Aビジネスが成立するのです。
M&Aにおける調査には専門性が高い部分も多くあることから、アドバイザリー契約などを駆使してM&Aの交渉事をすることが望ましくなる。
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アドバイザリー契約の形態
こちらでは、アドバイザリー契約の各タイプについて解説しましょう。
- 専任契約
- 非専任契約
- 仲介方式
- アドバイザリー方式
専任契約
専任契約は、M&A専門業者と独占的に契約を結ぶ契約方式です。
専任契約をした以上、他のM&A専門業者と契約することは禁じられます。
専任契約のメリットは、M&A成約に向けて全力でサポートしてもらえる点です。
やはり、専任契約を結んだ以上、M&A専門業者からみればライバル会社の邪魔はありません。
逆にそんな中で契約が不成立となれば、M&A専門業者の評判は悪くなるため、必死になって成約を目指します。
ただし、『契約した担当者との相性が悪い』・『交渉能力がない担当者に当たってしまった』等、期待通りの成果が得られないおそれもあります。
この場合は契約を解除して、他のM&A専門業者を探すことになり、その分費用負担が大きくなる点はデメリットと言えます。
専任契約をすることでM&A制約に向けて全力のサポートを受けられる。
ただし、担当者との相性や担当者の能力次第では、思った通りの成果が見込めない場合もある。
非専任契約
非専任契約とは、複数のM&A専門業者と同時に契約できる方式です。
もしも担当者の一人と相性が悪くても、すぐ他の担当者へに切り替えられるのがメリットです。
わざわざ契約を解除して、他のM&A専門業者を探す手間が省け、依頼した企業側が楽ではあります。
しかし、M&A専門業者からみれば独占的に交渉等が進められません。
よって、M&A専門業者のモチベーションは下がり、丁寧なサポートが受けられないリスクも出てきます。
複数のM&A専門業者と契約できることで、相性の悪い担当者に当たってもすぐに対処が出来る。
ただし、M&A専門業者のサポートは専任契約よりは劣る可能性が高い。
仲介方式
仲介方式とは、売り手・買い手両方とアドバイザリー契約を結び、中立的な立場を大事にして交渉支援する方式です。
この方式ならば、トップ同士の良好な関係が築きやすく、短期間で交渉のまとまりやすい点がメリットです。
いわゆる『ウィンウィンの関係』をめざすというスタイルです。
しかし、ケースによっては交渉条件で妥協が必要となることもあります。
なかなか妥協点が見つからず、時間だけが過ぎてしまう場合、結局契約不成立となるおそれもあります。
売り手・買い手の両者とアドバイザリー契約を結ぶことから、交渉のしやすさがメリットとなる。
しかし、交渉事に妥協が必要となる場合もあり、交渉が長引く可能性もある。
アドバイザリー方式
アドバイザリー方式は、売り手または買い手の片方とのみ契約を結び交渉をサポートする方式です。
依頼した企業側の利得を最優先に交渉してもらえます。
しかし、依頼した企業側の立場で代理交渉するため難航し長引きやすいという欠点もあります。
アドバイザリー方式を採用しているM&A専門業者を選ぶなら、交渉力に長けている担当者であることが求められます。
また、誠実にご自身の会社の利益を優先してくれるかどうか、しっかりと見極めなければなりません。
売り手・買い手のどちらかとのみ契約する方法のため、依頼企業の利得を最優先に考えてくれる。
しかし、交渉事が難航するケースが多くなるため、M&A専門業者・担当者の選別は慎重にするのが無難。
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アドバイザリー契約とその他の契約との違い
こちらでは、アドバイザリー契約と業務委託契約・顧問契約等との違いについて解説します。
- 業務委託契約との違い
- 顧問契約との違い
- M&Aコンサルティングとの違い
業務委託契約との違い
業務委託契約は、特定の業務を外部へ依頼する際に結ぶ契約のことです。
法律では請負契約、委任・準委任契約として規定されています。
請負契約の場合、委託した業務等が完成すれば対価を渡す契約スタイルとなります。
一方、委任・準委任契約ならば、契約期間の業務内容・結果で対価を渡す契約スタイルとなります。
請負契約では、契約書に印紙が必要となります。
アドバイザリー契約は、業務委託契約における契約形態の一つですが、委任・準委任契約に該当します。
委任・準委任契約の場合、請負契約のように契約書へ印紙が必要となりません。
アドバイザリー契約は、委任・準委任契約に該当する。
顧問契約との違い
顧問契約とは、特定の分野において専門的な知識・経験・能力を持った専門家のサポートを受ける際に締結する契約です。
アドバイザリー契約との違いは、契約期間の有無があげられます。
アドバイザリー契約はM&A成約まで等、ほとんどの場合は契約期間が定められています。
そのため、成約となり当事者の間で移動する金額が発生した時点で成功報酬を支払う等、一定の進み具合に応じて手数料を支払う形式が多いです。
一方、顧問契約ならば契約期間を定めないことがほとんどです。
よって、月額報酬を支払ったり、業務時間に応じて報酬を支払ったりするスタイルが多くみられます。
アドバイザリー契約は期間が定まっていることが多く、顧問契約は期間が定まっていないことが多い。
また、報酬形態も大きく異なる。
M&Aコンサルティングとの違い
M&Aコンサルタントは、M&Aに関する深い知識・経験で、買い手・売り手のM&A・事業承継をサポートする専門家です。
M&Aコンサルタントは、M&A戦略の構築、M&A相手の選定・交渉・契約など幅広い業務をカバーします。
M&Aコンサルタントからサポートしてもらう契約を結ぶのがアドバイザリー契約となります。
アドバイザリー契約の内容によっては、当該コンサルタントの担当する業務範囲が異なることもあります。
まずは契約書へ記載されたサポート内容について、良く確認する必要があります。
M&Aコンサルタントからサポートをしてもらう契約がアドバイザリー契約である。
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アドバイザリー契約の内容と相場
こちらでは、アドバイザリー契約を結んで提供されるサービスと費用相場について解説します。
アドバイザリー契約を締結し提供されるサービス
こちらでは、アドバイザリー契約すれば提供される主なサービスを解説します。
- M&A候補の探索
- M&A候補の情報収集
- 企業価値評価
- M&Aで提案する資料作成
- スケジュール調整
- 必要資料の作成
- М&A条件交渉
- M&Aに関するアドバイス
1.M&A候補の探索
M&Aアドバイザリー提供会社は、自社で希望する価格・業種・М&Aの目的から総合的に判断して買い手企業を選定してくれます。
もちろん、M&Aアドバイザリー提供会社では自社のホームページで「マッチング・サイト」を設定している場合が多いです。
売り手または買い手の方からアプローチできる仕組みが整っているので、気になる相手企業が見つかったら、担当者へ相談してみましょう。
2.M&A候補の情報収集
依頼した企業にとって、M&Aに適切な企業かどうかあらゆる情報を収集する作業が行われます。
3.企業価値評価
依頼した企業の評価を算定してくれます。
売り手・買い手の双方で価格の評価は可能ですが、算定方法は様々で、アドバイザリー提供会社の担当者へ計算を任せた方が無難です。
4.M&Aで提案する資料作成
アドバイザリー提供会社では、M&Aで選定企業の提案資料も作成してくれます。
M&Aにおいて、選定企業にもメリットがあり交渉の参考となる提案を盛り込んでくれます。
5.スケジュール調整
М&A成約までのスケジュールを調整します。
M&A当事者は各自の業務も行う必要があります。
М&Aにいつまでも関わっていることはできません。
アドバイザリー提供会社の担当者は、交渉の長期化を防ぐため大まかなスケジュールを決め、それに合わせ自社の業務・М&A交渉を進めていきます。
6.必要資料の作成
М&Aでは基本的な合意まで話が進めば「基本合意書」、最終合意に達すれば「最終契約書」を作成・締結します。
いずれの書類も、М&Aの方針を決めたり、М&Aの内容を確定したりする書類なので、慎重な内容の確認作業が必要です。
担当者は、このような必要資料を作成してくれるので安心です。
とはいえ、契約内容の丸投げは禁物です。
当事者がしっかり内容のチェックをおこなった後に契約締結を行いましょう。
7.М&A条件交渉
М&A交渉の相手方との条件交渉を行います。
担当者は業界知識・経験等から、希望価格に近づける交渉を行ってくれます。
もちろん、価格交渉だけではなく、経営者の待遇(М&A後も働き続ける場合)や、売り手の従業員の雇用等も交渉してくれます。
8.M&Aに関するアドバイス
М&Aに関する不明点・疑問点・悩みについてアドバイスを行ってくれます。
業界知識・経験を踏まえたアドバイスで、М&Aを有利に進めることができるはずです。
アドバイザリー契約の費用相場
費用相場は、例えば「〇〇億円のM&Aなら、M&Aアドバイザリー提供会社へ〇〇〇〇万円支払う必要がある」とは法定されていません。
あくまで、各M&Aアドバイザリー提供会社が自由に費用を設定できます。
その報酬体系もそれぞれ異なります。
- 着手金
- コンサルティング料
- 成果報酬制
1.着手金
着手金とは、アドバイザリー提供会社へM&Aの業務を依頼するために支払う手数料です。
着手金は、M&Aの成約に成功しようと失敗しようと支払う必要があります。
着手金の相場は50万円~200万円程度と言われています。
しかし、全てのアドバイザリー提供会社が着手金を設けているわけではありません。
最近では着手金をとらない業者が数多く登場しています。
各業者によって設定の有無はバラバラです。
まずはアドバイザリー提供会社のホームページや、事前相談の際に確認してみましょう。
アドバイザリー契約において、M&Aの業務を依頼したら支払う必要のあるお金であり、成功の有無に拘わらず支払う必要がある。
相場は50万円~200万円となっているが、近年では着手金が不要な業者も増えてきている。
2.コンサルティング料
コンサルティング料は、一定期間の継続的な業務に対し月額報酬で支払う顧問料と言えます。
一般的にコンサルティング料は、M&A交渉が終了するまで継続します。
アドバイザリー契約を締結し、代理交渉まで行うサービスを利用したなら、月額数十万円以上かかる可能性があります。
コンサルティング料をとる業者に頼むと、成約までの期間が長期化すれば、負担も大きくなっていきます。
コンサルティング料を請求しない業者も多いです。
ただし、コンサルティング料(月額報酬)をとる業者ならば、後述する成功報酬を受け取らない場合もあります。
M&Aの交渉が終了するまでの期間で支払う方法となり、交渉が長引けば費用も嵩むことになる。
また、コンサルティング料を不要とする業者も増えている。
3.成果報酬制
成果報酬制とは、M&A成約後に支払う手数料を指します。
つまり、M&Aに失敗した場合は、この手数料を支払う必要がありません。
成果報酬の金額については、取り立てて決まりは無いものの、「レーマン方式」という計算式で算定する業者が多いです。
レーマン方式では、移動する金額へ一定の料率を乗じることで成果報酬額が確定します。
レーマン方式とは下表の通りです。
移動する価格 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
レーマン方式による計算方法は次の通りです。
5億円×5%+(10億円-5億円)×4%+(19億円-10億円)×3%=7,200万円
成果報酬の金額は7,200万円となります。
ただし、消費税もかかることを念頭においておきましょう。
M&Aが成功して始めて支払う報酬体系であり、M&Aの金額によって報酬額が変わる。
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アドバイザリー契約の締結方法と手順
こちらでは、契約締結の方法と手順について解説します。
契約締結の方法
アドバイザリー契約の締結は、契約書をアドバイザリー提供会社と取り交わすことで成立します。
主に契約書は次の項目を明記することとなるでしょう。
- アドバイザリー契約の内容
- 報酬・費用体系
- 直接交渉の条件
- 途中解約条項
- 再委託の禁止
アドバイザリー契約の内容
M&Aを有利に進めるため、下記の様なアドバイザリー提供会社の担当者が手掛ける支援内容を明記します。
- 匿名資料(ノンネームシート)や企業概要書作成のサポート
- 課題・問題の抽出・調整
- 基本合意書や最終契約書の作成・締結の助言
- 買い手からデューデリジェンスへの対応のアドバイス
など
M&Aの契約成立・クロージングまでサポートを行う内容が一般的です。
なお、サポートの担当者はアドバイザリー提供会社によって1人が専任する場合もあれば、各専門家がチーム制で対応する場合もあります。
報酬・費用体系
前述したアドバイザリー契約の報酬について明記します。
主に下記の内容になります。
- 報酬・費用体系が成功報酬のみか
- 着手金はあるのか
- コンサルティング料の有無
など
なお、M&Aの成約に伴う諸経費は、報酬とまったく別の費用です。
例えば、企業価値の評価のため現場視察の出張費用、契約書作成に要する弁護士の相談費用等があげられます。
こちらが不明瞭だと想定外に高額な出費となり、後々トラブルに発展するかもしれません。
諸経費に関する規定も、具体的に定めておく必要があります。
直接交渉の条件
アドバイザリー・サービスは、M&A未経験の当事者にとって頼もしいサポートです。
ただし、基本的にアドバイザリー提供会社が、売り手側または買い手側の交渉を代理する形ですすめ、ご自身の会社が相手企業と直接交渉できないケースは多いです。
なお、アドバイザリー提供会社によって、条件付きで直接交渉ができる場合もあります。
M&A交渉を柔軟に進めていきたいならば、直接交渉の条件をアドバイザリー提供会社と話し合って事前に定めておく必要があります。
相手企業との直接交渉が可能かどうかを事前に決めておく。
途中解約条項
アドバイザリー契約を締結すれば、担当者に全てお任せというやり方も間違ってはいません。
しかし、アドバイザリー提供会社の担当者が依頼した企業の希望やリスクを考慮せず、強引な成約を行うケースもあり得ます。
このようなケースを想定し、契約者の中に契約を白紙にする手段も明記しておいた方が無難です。
途中解約の内容としては、妥当な期間を定め、事前に契約の解除を申し出るといった条項の記載が理想的です。
ただし、アドバイザリー提供会社にとって契約解除は儲けとならないので、途中解約の際は「違約金を支払う」という規定を盛り込みたいと強く要求される可能性もあります。
交渉事を任せっきりにすると、強引な成約を行うケースもあるので、契約解除の条件をしっかりと盛り込んでおく。
再委託の禁止
アドバイザリー提供会社の担当者に相手側の交渉を代理して便利ではありますが、依頼した自社の了承を得ないまま、別の会社・専門家(個人)に関連業務を委託する可能性があります。
だからといって、法外な報酬支払いを請求されるわけでは無く、直接的なトラブル・リスクを生じることはないかもしれません。
しかし、情報漏洩防止の観点から契約書に「再委託の禁止」を明記しておいた方が良いでしょう。
再委託が行われると、業務の全体像も見えにくくなり交渉が不利となる場合も考えられます。
再委託の禁止を契約書に盛り込むならば、例外的な事態が発生した場合に、事前通知・委託者(依頼者)の同意を得ることを義務づけた上で、再委託できる余地を明記して情報共有のルールを定めておきましょう。
情報漏洩防止の観点から「再委託の禁止」を明記するのが無難である。
しかし、例外的な再委託を可能とする条項も盛り込んでおくのも無難と言える。
アドバイザリー契約の流れ
こちらでは、アドバイザリー契約締結の手順について解説します。
手順は各アドバイザリー提供会社によって多少異なる部分があります。
一般的に売り手側の場合は次の流れで進みます。
- 初期相談
- アドバイザリー契約締結
- 企業価値評価
- 条件とスケジュールの策定
- 企業概要書等作成
- 交渉・契約の準備開始
- M&A成約のサポート
第1段階|初期相談
いきなりアドバイザリー契約を結ばないケースが多いです。
まずは、アドバイザリー提供会社の担当者が、経営課題・悩みをヒアリングします。
その上でM&Aの基礎知識の提供し、M&Aの必要性等を判断します。
第2段階|アドバイザリー契約締結
初期相談でアドバイザリー提供会社の担当者と話し合い、納得の上でアドバイザリー契約書を締結します。
もちろん、アドバイザリー提供会社側から提示された契約内容を鵜吞みにせず、依頼者が希望する条件を提示して記載してもらうよう調整することも大切です。
第3段階|企業価値評価
M&A交渉を行う前に、依頼した企業の希望売却価格を決めるため企業価値を算定します。
評価の計算方法は数種類あり、より依頼した企業にとって有利となる算定方法で評価を決めることでしょう。
その他「ギリギリ最低限、この価格で交渉したい」と決めていたなら、担当者と相談してみましょう。
第4段階|条件とスケジュールの策定
M&Aの相手方と顔を合わせる前に、M&Aの条件を整理、成約までのスケジュールをチェックします。
不明点があれば些細な事でも担当者へ確認してみましょう。
第5段階|企業概要書等作成
企業概要書とは、売り手側の説明書のようなものです。
売り手の社名・職種・住所・従業員数・自社ブランド等の詳細を明記します。
ただし、アドバイザリー提供会社のマッチング・サイトに、秘匿するべき情報まで掲載されるわけでは無く、概略化した匿名資料(ノンネームシート)がまず掲載されます。
この匿名資料(ノンネームシート)に興味を持った買い手が、アドバイザリー提供会社へ問い合わせ、企業概要書の取得そして売り手との交渉へと進んでいきます。
第6段階|交渉・契約の準備開始
アドバイザリー提供会社の担当者は、買い手とのM&A成約に向けた条件面での細かな調整、専門領域の実務をサポートします。
第7段階|M&A成約のサポート
アドバイザリー提供会社の担当者は、成約まで交渉当事者を手厚く支援します。
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アドバイザリー契約のメリット・デメリット
こちらでは、アドバイザリー契約のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
アドバイザリー契約のメリット
こちらでは、アドバイザリー契約のメリットを取り上げます。
理想のM&A相手をチョイス
そもそもM&Aを行う際は、もちろん交渉相手となる企業を探す必要があります。
しかし、売却したい企業は、事業の承継や財務基盤の強化等を実現するべく、適切な買い手に買ってもらう必要があります。
しかし、そう簡単に理想的な買い手など現れないのが現状です。
一方、買い手側からみれば、M&Aでシナジー効果が期待できる企業を、市場動向・評価等を踏まえて探す必要があります。
正直、多額の負債ばかりを抱える売り手など買っても、自社が損しては元も子もないのです。
互いにアドバイザリー提供会社を頼れば、それぞれのニーズに合った交渉相手を探してきてくれます。
それも、法務・財務・税務などの側面から問題点を検証した上での選定です。
このような作業は売り手にしても、買い手にしても、自社の事業を行いながら進めるのは困難です。
そのため、専門家のサポートがあれば安心して、選定された相手と交渉ができます。
売り手・買い手共に、理想の相手をマッチングしてくれる可能性が非常に高い事から、M&A相手を探す作業が省ける。
互いに専門家を立て確実な利益を
アドバイザリー契約は、売り手側と買い手側が、それぞれ別の専門家(業者)と契約を締結することが基本的です。
売却側と買収側では利害が対立するため、それぞれ別の会社に依頼するのです。
そのため、M&A仲介会社のように売り手側と買い手側の間にたち、双方の調整に当たるわけではありません。
それぞれのアドバイザリー契約を締結した専門業者は、最後まで自社の立場にたって交渉を行ってくれる安心感があります。
もちろん、交渉事である以上は、売り手も買い手も、ある程度受忍できる範囲で歩み寄らなければ、交渉は不成立となってしまいます。
最後まで、依頼者の立場に立って交渉を進めてくれるので、交渉事に関する安心感がある。
アドバイザリー契約のデメリット
こちらでは、アドバイザリー契約のデメリットを取り上げます。
M&A相手を紹介されたのは良いが理想とほど遠い
アドバイザリー提供会社の担当者が、いろいろリサーチして交渉相手を選定したとしても、自社のニーズやM&A条件とはほど遠い相手方であることが考えられます。
アドバイザリー契約を結んだ以上は、勝手に自社でM&A相手を見つけてアプローチするのは禁止されるケースがほとんどです。
担当者へなかなか希望が伝わっておらず、理想の交渉相手が見つからない場合、いったん解約して別の会社へ頼むか、他のM&Aマッチング方法を検討してみた方が良いでしょう。
アドバイザリー契約をすると、自身で交渉相手を探す事が出来ないケースが多いため、交渉相手がなかなか見つからない場合もある。
アドバイザリー契約には制約も多い
アドバイザリー契約を締結すれば、アドバイザリー提供会社の担当者が積極的に動いて必要な段取りを行ってくれます。
しかし、前述した通り直接交渉は制約される場合が多く、自社の知らぬ間に再委託されている等の懸念も考えられます。
アドバイザリー契約を結んだけれど、どうも思惑通りに進展しないと感じたら、当該契約を解約するのもやむをえません。
「直接これだ!」と思った相手方にアプローチする方針の転換も良いでしょう。
M&A仲介会社のマッチング・サイトでは、基本的に直接当事者で交渉するスタイルをとるところがあります。
マッチング・サイトを利用し、自主的に交渉相手を探し、直接交渉する方法も検討してみましょう。
アドバイザリー契約を結ぶことで、多くの制約が課されることでM&Aの交渉などが上手くいかない場合もある。
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アドバイザリー契約のポイントと注意点
こちらでは契約のポイントと注意点を解説します。
まさかの事態を必ず念頭に
契約のポイントとしては、万一トラブルが起きた場合や、契約違反があった場合、損害賠償責任について確認する必要があります。
また、【見えない財産】として見過ごすことができない「知的財産権」の扱いを明確にしておきましょう。
知的財産権は、権利関係が複雑に絡み合いやすい上、不動産資産・金融資産のように形が無いため、流用の起きやすいリスクがあります。
M&Aの際に提供した、提供を受けた特許情報・著作権情報はもちろん、人材・ノウハウ・顧客リスト案件情報等の取り扱いには、入念なチェックを行うのがポイントです。
知的財産権に関しては細心の注意を払うこと。
トラブルなどの際に損害賠償責任に関する条項は必ず設けること。
秘密保持契約の締結を!
前述した契約違反・損害賠償責任については、基本合意書や最終合意書に明記する必要があります。
とはいえ、特に秘匿しなければならない企業情報が漏れた場合、損害賠償だけでは済まない打撃をうけるリスクがあることに注意しましょう。
何より事前に情報漏洩を防ぎ、独自の技術を守っていきたいなら、M&A交渉前に必ず「秘密保持契約」を締結することが大切です。
秘密保持契約書という形で文書化しM&Aを行うプロセスまたは終了後も、漏洩してはならない旨を明記します。
もちろん、漏洩の事実が発覚した場合、当事者と契約解除はもちろん損害賠償請求も規定します。
交渉前にM&A当事者が契約書を作成・取り交わせば、情報漏洩のリスクを未然に回避することができます。
企業情報・企業秘密など、情報漏洩のリスクが高い情報を扱うことになるので、秘密保持契約をしっかりと締結しておく必要がある。
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アドバイザリー契約|まとめ
売り手・買い手ともにM&A交渉へ臨む場合、M&Aアドバイザリー提供会社と契約を結んで、必ず交渉を進めなければいけない訳ではありません。
M&Aの経験豊かな企業なら、自社だけで対応しても構いません。
また、地域密着にこだわる企業なら同じ地域の企業とM&Aをしたい場合、M&Aアドバイザリー提供会社よりも贔屓にしている地方銀行や商工会議所へ相談した方が、自社のニーズに合った交渉相手を紹介してくれる場合もあります。
ただし、全国規模でM&Aの交渉相手を探したいなら、やはりM&Aアドバイザリー提供会社に登録や相談をした方が、M&Aの成功率はあがるはずです。
おすすめのM&A仲介会社は、成約まで手数料0の成功報酬型を採用している「M&Aアドバイザー」です。
アドバイザリー契約の一長一短も把握しつつ、M&Aの準備を進めていきましょう。
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