みなし譲渡とは、不動産・株式などを他人に譲渡する場合に、時価額で譲渡金を受け取ったとして課税をする仕組みのことです。
どのような時に【みなし譲渡】とされるのか、心配な皆さんも多いのではないでしょうか。
この記事では、譲渡所得の基本やみなし譲渡の種類からみなし譲渡の課税方法などを細かく解説していきます。
- 譲渡所得は10種類もある!?
- 譲渡所得とは譲渡によって得られた利益のこと
- みなし譲渡には基準があり譲渡の条件も様々!?
- みなし譲渡には所得税以外にも消費税が掛かる!?
- みなし譲渡になるケースを紹介
- みなし譲渡を回避する方法とは?
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こちらでは、譲渡所得の基本と計算方法などを解説していきます。
譲渡所得とは
譲渡所得はたくさんある所得に関する分類の一つです。
10種類の所得
所得は、その性質で次のように分類されます。
- 利子所得:公社債や預貯金の利子等
- 配当所得:法人からの利益の配当、剰余金の分配、投資信託収益の分配等
- 不動産所得:土地・建物の不動産や、船舶または航空機の貸付け等
- 事業所得:農業、漁業、製造業、サービス業で得た所得
- 給与所得:俸給、給料、賃金、賞与等
- 退職所得:退職手当、一時恩給等
- 山林所得:山林の伐採または譲渡したことで得られた所得
- 譲渡所得:資産の譲渡で得た利益
- 一時所得:臨時的、偶発的な収入で対価性のない利益
- 雑所得:1~9のいずれにも該当しない所得
これらの所得があれば、基本的に所得税が課せられます。
譲渡所得
譲渡所得とは、一般的に土地や建物という不動産から、株式やゴルフ会員権・書画骨董品等の資産を譲渡することで生じる所得のことです。
課税方式は譲渡した資産の内容によって異なります。
ゴルフ会員権・書画骨董品等の資産は【総合課税】がとられます。
総合課税は、対象となる全ての所得を加算した合計金額に対し課税する方法です。
土地・建物という不動産や株式は【申告分離課税】がとられます。
申告分離課税は、確定申告の段階で他の所得と合算せずに分離して課税する方法です。
譲渡所得の計算方法
譲渡収入から資産取得・譲渡に当たって要した費用の差が譲渡所得となります。
式に直せば、
課税対象となる譲渡所得額=譲渡価額-(①取得費+②譲渡費用)-③特別控除
となります。
差し引かれる費用・控除については次の通りです。
取得費とは、遺産を取得した際に掛かった費用のことです。
例えば、不動産譲渡なら購入費用や仲介手数料など、株式譲渡なら会社を設立した際に出資した資本金などが該当します。
譲渡費用とは、資産を売却するために使用した費用のことです。
例えば、不動産譲渡ならこちらも仲介手数料や印紙税など、株式譲渡なら委託手数料(仲介手数料)などが該当します。
特別控除の特例で更に譲渡価額から差し引けます。
ただし、不動産を売却した場合、この特例を利用するには確定申告が必要です。
土地・建物等の資産の譲渡所得の特別控除は、その年の譲渡益の全体を通じ合計5,000万円が限度、土地・建物以外の資産では最高50万円まで認められます。
また、資産の内容・所有期間によって税率が変わってきます。
贈与・遺贈・相続によって得た財産を譲渡したときにも譲渡所得が生じる
贈与や相続や遺贈で財産を引き継いで、ずっと保有し続ける場合もあれば売却するケースも考えられます。
贈与や相続や遺贈で得た不動産や書画骨董品等を譲渡し、対価を得れば売却益が発生することになり、この売却益について税金が課されます。
『自分が購入したものではないから安心』と、売却後に放置すれば税務署に指摘される可能性もあるので、前述した計算式で譲渡所得額を算定して申告・納税の有無を確認しましょう。
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こちらでは、みなし譲渡の判断基準について解説します。
みなし譲渡の判断基準
みなし譲渡とされるかどうかは、次のようなケースに該当するかどうかで決まります。
- 個人→個人へ譲渡
- 個人→法人へ譲渡
- 時価の半額未満で資産を譲渡した
- 相続の際に限定承認をした
個人から個人へ譲渡の場合は、上記の様に、みなし譲渡とされるケースはやや限定されています。
個人から法人へ譲渡の場合は、個人から法人への譲渡と言うだけで、みなし譲渡とされてしまい適用される範囲は広くなっています。
個人間の贈与の場合
例えば、ご自身の親しい友人に資産を譲渡する場合、あまり高い価格で譲りたくないと考えて、時価の半額未満の金額で譲渡した場合がみなし譲渡にあてはまります。
当然、人間関係(友人か・親族か・赤の他人か)に拘わらず、時価の半額未満の金額で譲渡すればみなし譲渡となってしまいますので、譲渡した人の方に譲渡所得税が発生します。
また相続関係では、前述したように、相続などで財産を引き継ぎ、相続した資産を売却するケースでは譲渡所得が発生します。
しかし、相続で行われる限定承認をしてしまうと、相続開始時、その時の時価で被相続人→相続人へ相続財産の譲渡があったものとみなされます。
つまり、限定承認をすれば、被相続人が当該財産を取得した時より、その財産が値上がりしていると、相続人へ譲渡所得税が課されてしまうのです。
この様に個人→個人へ譲渡の場合、みなし譲渡として課税されるか否かは、譲渡とみなされた時点での時価がどうなっているのかが判断基準となります。
個人から法人への贈与
個人→法人へ譲渡は問答無用にみなし譲渡とされてしまいます。
まさしく、みなし譲渡とされる判断基準はこれだけです。
では何故、法人に無料で財産をあげただけで、その個人が課税対象となるのかには理由があります。
そもそも所得税は、基本的に個人へ課せられる税金です。
一方、法人の場合は、個人から受け取った財産を保有し続けても、他へ売却しても、所得税は課税されません。
ということは、個人A→個人B→個人C→個人Dと贈与を繰り返し、最後に個人D→法人に贈与すれば、譲渡所得に伴う課税は免れることが出来てしまう訳です。
これでは、『法の抜け穴』として多用されてしまい、「納税の義務」を揺るがす事態につながるため、個人→法人へ譲渡はみなし譲渡とされ課税されるのです。
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こちらでは、3つのケースでの所得税が課税される具体例について解説します。
個人から法人への贈与
個人に資産を贈与した場合には、贈与者に譲渡所得税はかかりませんが、法人へ贈与したならば贈与者に譲渡所得税がかかります。
具体例をあげて譲渡所得税をみていきましょう。
- 個人A:法人Bの社長
- 法人B:拠点となるビルを建てたいので土地が欲しい
- その他:特別控除なし
個人Aが法人Bへ土地を無償譲渡時、その時価が高くなっていた
個人Aの土地購入時の価額→1,800万円
法人Bへ無償譲渡時の価額→3,500万円
無償譲渡時の価額から土地購入時の価額を差し引く
3,500万円-1,800万円=1,700万円
1,700万円が値上がり益となり、課税譲渡所得の対象となるので、1,700万円に譲渡所得税が課されます。
法人税も多く払わなければいけない
譲渡を受けた法人は、全く課税され無いと言うわけではありません。
法人Bへ無償譲渡時の価額は3,500万円なので、3,500万円が受贈益となります。
この場合、受贈益は取得した事業年度の益金の額に算入する必要があります。
その分、法人B側も法人税がより多く課される可能性もありますが、節税対策を行えばその負担は軽減される可能性はあります。
時価の半額未満で譲渡した場合
個人→個人へ譲渡の場合は次のように贈与者に譲渡所得税がかかります。
具体例をあげて譲渡所得税をみていきましょう。
- 個人A:個人Bと親友
- 個人B:アパート経営をしたいので土地が欲しい
- その他:特別控除なし
個人Aが個人Bへ土地を譲渡時、その時価が高くなっていた
個人Aの土地購入時の価額→1,500万円
個人Bへ譲渡時の価額→4,500万円
譲渡資産の算定はあくまでも時価
この場合は、たとえ1,500万円という土地購入時と同額の価格で個人Bに譲渡しても、あくまで時価で資産を算定することになります。
そうすると
4,500万円-1,500万円=3,000万円
3,000万円が値上がり益となり課税譲渡所得の対象になりますので、この3,000万円に譲渡所得税が課されます。
このように、計算自体は譲渡の相手方が個人であっても法人であっても変わりありません。
限定承認をした場合
限定承認とは、相続時にプラスの財産からマイナスの財産・特定遺贈(対象財産を特定した遺贈)を差し引いた余りを相続するという制度です。
マイナスの財産等が上回る場合、相続人はマイナス分を負担しなくてよい仕組みとなっています。
具体例をあげて譲渡所得税をみていきましょう。
- 個人A:被相続人
- 個人B:Aの子・相続人
相続が発生し、個人Bが限定承認時、その土地の時価が高くなっていた
個人Aの土地購入時の価額→2,200万円
個人Bが限定承認時の価額→4,500万円
限定承認時の価額から地購入時の価額を差し引き
限定承認時の価額から地購入時の価額を差し引きすると
4,500万円-2,200万円=2,300万円
2,300万円が課税譲渡所得の対象となり、個人Bが所得税の支払債務を相続することになります。
しかし、ここで必ずしも譲渡所得税を支払う展開になるとは限りません。
この譲渡所得税を含めた相続債務の合計額が、相続資産の合計額よりも多いならば、限定承認をしているので所得税を納付する必要はなくなります。
仮に、プラスの財産が多く所得税の納付をしても、この所得税も債務に含め債務控除をした上で、今度は相続税を計算することになります。
合計の相続資産がマイナスの場合は、限定承認をしていれば所得税の納付は不要になる。
合計の相続資産がプラスになった場合は、所得税も債務に含めて控除をして相続税を支払う。
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株式譲渡益に掛かる税金とは?確定申告をしなくて済む場合や節税・計算方法まで徹底解説!
みなし譲渡として消費税が課税されるケース
こちらでは、消費税が課税される3つのケースについて解説していきます。
法人が購入した資産を役員に無償で譲渡(贈与)した場合
消費税は基本的に、実際の受領した課税資産の譲渡等の対価が課税標準です。
つまり、法人・個人に拘わらず、事業者が事業として資産の譲渡・貸し付け・サービスの提供をして、その対価を受けたときにはじめて消費税が課されます。
この場合、前述した特徴を貫徹しては、法人が購入した資産を役員に贈与すると、その役員は実質的に消費税を負担せずに資産を購入することができます。
もちろん、法人は資産購入時に消費税を負担するものの、役員への譲渡は不課税取引なので消費税が還付されます。
これでは、他の方々からみれば不公平となるため、対価を得ない取引でも対価を得て行う資産譲渡とみなして課税される場合があります。
法人の課税資産を役員へ贈与した時は、資産の価額(時価に相当する金額)を課税標準として消費税が課されます。
ただし、棚卸資産(販売目的で仕入れた商品・製品等を、販売しないまま社内に滞留している状態の資産)を贈与した場合は、下記の2点をもって課税売上高に計上することが認められています。
- その棚卸資産の仕入価額以上の金額
- 通常、他に販売する価額の概ね50%に相当する金額以上の金額を、対価として確定申告したとき
法人が購入した資産を役員に譲渡する場合は、消費税の課税から逃れられる恐れがあるために、資産の時価を課税標準として消費税が課税される。
法人が購入した資産を役員に著しく低額で譲渡した場合
法人の役員に対し、著しく低い価額で法人から課税資産の譲渡があった場合、役員から受け取ったお金ではなく、譲渡時の資産価額(いわゆる時価に相当する金額)を課税標準として消費税が課されます。
次のような場合に消費税が課されます。
- 棚卸資産以外の資産→譲渡時の時価の50%未満、
- 棚卸資産の場合→通常販売価額50%未満or仕入価額未満の価額
とはいえ、一律に上記の基準で消費税が課されるわけではありません。
もしも、法人が課税資産を役員に対し、著しく低い価額で譲渡した場合であっても、資産譲渡が役員・使用人の全部について、一律または勤続年数等に応じ、合理的に決められた値引率で行われた場合には、時価ではなく実際の対価の額へ課税されます。
つまり、時価へ課税するか実際の対価へ課税するかは、法人ごとの決まり事や現状に合わせて判断されることとなります。
個人事業主が事業のために購入した資産を家事使用した場合
法人ではなく、個人事業主が事業で使用していた物を家庭用に使用することとした場合も、みなし譲渡の対象となります。
例えば事業ために購入した車両を、ご自身がプライベートで使用するケースが該当します。
個人事業主が事業用の資産を家庭用で使用した場合も、不課税取引となり消費税が還付されるからです。
これでは、他の方々からみれば不公平となるため、取引の外観すら確認できないようなケースでも消費税が課されてしまうのです。
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売却額の無料見積もりはこちら!「みなし譲渡」になるケース9選
こちらでは、建物や土地・株式・生命保険の名義変更等の譲渡が、みなし譲渡(みなし贈与)となる場合について解説します。
建物や土地の譲渡
建物や土地のような不動産は、前述したケースに該当すれば、みなし譲渡の対象となります。
こちらでは、譲渡した資産のケースで計算式・税率がどう変わるのか、特別控除制度について解説します。
譲渡した土地・建物の計算式・税率
次のように計算式は同じですが、所有期間により所得税・住民税が大幅に変わってきます。(申告分離課税)
総収入金額 -(取得費+譲渡費用) -特別控除(ただし、条件に該当すれば)
①所有期間5年以内→分離短期譲渡所得
39.63%(所得税30.63%・住民税9%)
②所有期間5年超→分離長期譲渡所得
39.63%(所得税30.63%・住民税9%)
いろいろな特別控除
しかし、収入金額から購入代金・建築代金・購入手数料等を差し引くだけではなく、ある一定の条件に該当すれば次のような「特別控除額」も差し引くことができます。
次のような特別控除制度があります。
内容 | 控除額 |
---|---|
農地保有の合理化等のために農地等を譲渡 | 800万円 |
平成21年・平成22年に取得した土地等を譲渡
※長期譲渡所得 |
1,000万円 |
特定住宅地造成事業等のために土地を譲渡 | 1,500万円 |
特定土地区画整理事業等のために土地を譲渡 | 2,000万円 |
マイホームを譲渡 | 3,000万円 |
収用等により土地建物を譲渡 | 5,000万円 |
なお、これらの条件に該当すれば特別控除が必ず適用されるわけでは無く、年間の譲渡所得全体を通じて5,000万円が特別控除額の限度額となります。
株式の譲渡
株式の譲渡も、前述したケースに該当すればみなし譲渡の対象となります。
こちらでは、計算式・税率や取得費がわからない場合について解説します。
譲渡した株式の計算式・税率
一般株式等・上場株式等を譲渡した場合は、次の計算式・税率となります。(申告分離課税)
総収入金額 -(取得費+委託手数料等)
20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
取得費がわからない場合
取得費がわからないと、課税対象となる譲渡所得額が正確に算定できません。
しかし、『譲渡した株式等を被相続人から相続した』・『購入した時期が古い』などの理由で、取得費が分からないことも多いです。
その場合は、同一銘柄の株式等ごとに取得費の額を売却代金の5%相当額とすることが認められています。
仮に、実際の取得費が売却代金5%相当額を下回っても同様に5%でOKです。
例えば、ご自身の保有していた株式等を500万円で譲渡したが取得費がわからなかった場合は、
500万円×5%=25万円
25万円を取得費とすることができます。
低額譲渡
前述したように【個人→個人】・【個人→法人】の資産譲渡の場合、時価の半額未満で譲渡したら、みなし譲渡とされ「譲渡時の時価-実際の譲渡価格」で課税対象となる譲渡益を算定されます。
逆に、【法人→個人】の場合は、どんな価格で資産を売却したとしても、譲渡時の時価で譲渡したとみなされ法人税が課されます。
もちろん、それ以外の節税対策を講じれば、加算される法人税分は軽減されることでしょう。
預金の移動
預金の移動は、本人が贈与の意図はなかったものの、贈与を行なったとみなされる行為となり「みなし贈与」に該当するケースとなります。
みなし贈与とみなされると贈与税が発生します。
この場合、基本的に受贈者(贈与を受けた人)が税金を払わなければなりません。
例えば、何らかの理由で親族の方々へ、一時的にお金を預かってもらっているという場合も、みなし贈与と税務署から判断される場合があります。
本当に預けているだけの場合、その事実を証明するようにして、一定期間経過後、預けた人から返金してもらうようにしましょう。
預金の移動は、みなし贈与となる場合があるため注意が必要。
生命保険の名義変更
生命保険の名義を変更した場合、受取人を配偶者や子とすれば、みなし贈与と判断されることがあります。
生命保険の名義変更を行えば、利益が移転したと考えられるからです。
贈与税の可能性があるケース
贈与税の可能性があるのは次のケースです。
- 契約者(保険料負担者)A、被保険者B、受取人C
このように、契約者(保険料負担者)と被保険者と受取人が異なる場合は【贈与税】が適用されます。
保険契約中は贈与税を課されることは無いものの、受取人が満期金・個人年金を受け取ったとき課税される可能性もあります。
なお、特に子供のために加入する保険商品である学資保険でも、子供を受取人にした場合は、子供に満期金等を贈与したことになるので贈与税が発生します。
死亡保険金の場合はどうなる?
ご自身が死亡し、受取人(子供または配偶者)に死亡保険金が下りる場合は、さすがに贈与税は課されません。
このケースでは、ご自身が死亡している以上、死亡保険金は子供または配偶者が受け取るので【相続税】が課されます。
とはいえ、必ず相続税の課税が行われるわけでは無く、基礎控除以下であれば相続税はかかりません。
基礎控除の計算式は以下のようになります。
基礎控除=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
また、死亡保険金には法定相続人1人につき500万円の非課税枠が設けられており、遺族に配慮した税軽減措置がとられています。
借金(お金の貸し借り)
特に親族同士でのお金の貸し借りの場合、情も影響してか無利息、または利息の利率があまりにも低いケースが多いです。
この場合にはみなし贈与と判断されることもあります。
中には「わずかな金額の貸し借りで、税務署が課税するのか!」と、苛立ってしまう方々がいるかもしれません。
この場合は、あまりに高額な借金でない、また利息を取ってもかなり低額となる場合、非課税にするというのが実務上の判断と言われています。
債務免除
親や祖父母が子供(孫)に貸したお金の返済について免除する行為も、みなし贈与と判断されるケースがあります。
全額免除はもちろん、一部免除も該当します。
例えば「2,000万円貸したけれども、これからお前は大変なのだから20万円だけ返せばいい」という場合です。
この場合は、1,980万円を贈与したとみなされ贈与税が掛かる場合もあります。
離婚の財産分与
本来、財産分与で得た財産は非課税です。
しかし、離婚の際に財産分与の割合がとりわけ多額の場合は、みなし贈与と判断されてしまう場合もあります。
つまり、税務署では贈与税の支払いから逃れるため、離婚の財産分与の制度を悪用したと判断することがあります。
離婚の際の財産分与は、双方が誠意をもって決めたものであっても、課税されるリスクがあるのです。
財産分与の割合が多すぎる場合のみなし贈与
離婚した夫婦の一方に、分与された財産が多すぎると判断されると、多すぎる部分について贈与税が課されます。
この多すぎるかどうかの判断は、例えば「夫(妻)なら〇億円以上分与されたら贈与税を課する」という決まりが法定されているわけではありません。
このケースでは、婚姻関係のある間、夫婦が協力して得た財産の額・その他のいろいろな状況も考慮したうえで「多すぎる額」が算定されます。
離婚が課税回避のためだった場合のみなし贈与
離婚が夫婦の性格の不一致や、配偶者からの暴力・浮気・膨大な借金でとても婚姻が継続できないという理由ではなく、単に贈与税等を回避するためのものであると認められた場合、分与された全財産に贈与税が課税されます。
このケースでは、非常に多額の贈与税を課されることとなるでしょう。
課税回避のための離婚は、財産分与は「贈与税の課税対象外」という性質を悪用したもので、税金を免れながら財産を形成しようとする悪質な行為です。
これが、まかり通るならば、離婚・結婚を何度も繰り返し、課税を免れつつ莫大な財産を持つことができてしまいます。
離婚時の分与された財産は非課税な他、結婚時にそれぞれ保有していた財産は、そもそも財産分与の対象外です。
このように制度を悪用し、私腹を肥やすことはあってはいけません。
離婚時の財産分与が多すぎたり、贈与税逃れの離婚は認められず贈与税の対象とされる場合がある。
納税義務の肩代わり
ご自身以外の人の納税義務を代わって支払うと、肩代わりした金額分がみなし贈与と判断される可能性もあります。
例えば、我が子や兄弟が本来支払うべき税金を、ご自身が代わりに支払うといった場合です。
このケースでも、税金額の金銭を子供や兄弟に贈与した行為と税務署から判断されてしまうのです。
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こちらでは、みなし贈与を回避する2つの方法について取り上げます。
生活費の贈与はみなし贈与にならない
配偶者・子供・親兄弟であっても贈与税は残念ながら発生します。
しかし、家族の生活費や・教育費、介護が必要な親の面倒をみる費用等、社会通念上で妥当と認められるものなら贈与税はかかりません。
とはいえ、一括で多額の贈与を行うとやはり贈与税の対象となりますので、毎月、必要に応じて贈与を受ける必要がある点に注意しましょう。
例えば大学に合格し、親元を離れて一人暮らしをはじめた子供へ仕送りならば、下記のように仕送りの方法で贈与税の対象となる場合があります。
- 毎月12万円を生活費として4年間贈与し続ける(合計576万円)→非課税
- 大学入学時に576万円をまとめて渡す→贈与税を課税
毎年110万円までの非課税枠を活用する
贈与税は、ある個人から財産を贈与されたときに対象となる税金です。
贈与税は前述してきたように、一括でまとまったお金を受け取る場合は非常に不利な税金といえます。
1年間で110万円(基礎控除)を超えれば課税対象となってしまいます。
逆に、毎年110万円以内で贈与していれば、課税されることは無いということです。
しかし、その際にも毎年、同じ日時に同じ金額を渡してしまうと、税務署から「一つの贈与金額」とみなされる場合があります。
一つの贈与金額とみなされないためには、毎年異なる日時・金額で贈与する物を渡すことを心がけましょう。
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みなし譲渡となるケースにやや困惑した方々いるかもしれません。
しかし、いずれも税の公平性を確保するための措置と言えます。
そのため、納税者はしっかりと納税の義務を果たす必要があります。
税務署から申告漏れを指摘されないためにも、みなし譲渡の特徴をよく理解して対応するように心がけましょう。
また、みなし贈与の場合は前述したように、工夫次第で贈与税を免れたり、贈与税を軽減できたりすることもできます。
贈与税の非課税枠を上手く使い、ご家族が助け合っていくことも大切です。
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