どの業界でも、後継者不在や事業資金確保の課題は大きな悩みの一つと言えるでしょう。
後継者問題や事業資金確保などの課題に対する解決策の一つがM&Aなのです。
この記事では、業界別のM&Aの実情と動向、M&Aの件数が増加している背景、業界別のM&Aの実例など、業界別のM&Aについて詳しく解説をします。
- 業界によってM&Aの活用理由は異なる
- M&Aにおける注目されるのは専門職の業界!?
- M&Aの件数は年々増加している
- M&Aの背景には後継者不足と人材不足が
- 業界別のM&Aの成功事例を紹介!
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業界別のM&Aの実情と動向
こちらでは、各業界の実情とM&Aの動向について解説します。
- 調剤薬局
- 医療・介護業界
- 飲食業界
- Web・IT業界
- 製造業界
- 旅館・ホテル業界
- 運輸・物流業界
- 美容業界
- 不動産業界
- 士業業界
- 金融業界
調剤薬局
調剤薬局業界は、保険診療に関する処方薬を扱う店舗のため安定的な収益が見込める業種でした。
一見すれば、M&Aなど行われなくても経営に支障がないと思われる方々がほとんどでしょう。
しかし最近では、医療費削減政策等により調剤薬局全体の収益が減少しつつあり、加えて薬剤師の不足や個人経営薬局で経営者の高齢化・後継者不足の問題に直面しています。
こうした状況もあり、調剤薬局大手は地方への店舗拡大、スケールメリットによる収益を図り、薬剤師確保を目指して調剤薬局のM&Aが数多く行われています。
経営譲渡をする側は中小規模が非常に多く、調剤薬局大手の傘下に入るケースが多いです。
今後は、日本国内の高齢化に伴い調剤薬局の需要は一段と増すことが予想され、異業種からの参入企業がM&Aを行うケースも出てきています。
医療・介護業界
医療・介護業界でも人材不足によるM&Aが注目されています。
当然ながら医師という職業は、誰もがなれる職業ではありません。
とりわけ地方では、医師不足が深刻であり、自身が高齢になっても続けざるを得ないという医師は多いです。
地域の医療にも重大な影響を与えるため、簡単に廃業できない状況となっています。
また、介護の現場においても人材不足は深刻で、M&Aを選択するケースが増加しています。
今後は更に高齢化が進むと言われており、介護サービスの需要も増していくはずです。
しかし、厚生労働省の発表では、2016年の介護職の有効求人倍率が約3.02倍で、圧倒的に人材が足りていない現状があります。
その他、離職率が高い影響で人材確保に頭を悩ませる事業所や、設備・施設等の維持費に頭を悩ませる事業所もあります。
この人材面・資金面での問題を解決するため、M&Aに取り組むケースが目立ち始めています。
介護現場の人材不足は慢性化していることから、人材確保と資金面の両問題を解消するためにM&Aが行われている。
飲食業界
飲食業界は、もともと競争が激しい業界なので、大手チェーン店でも決して油断はできません。
これは老舗と言われている店舗も同じことで、経営再建のため大手チェーン店とM&Aを行うケースも多々あります。
更に、最近では「新型コロナウイルス感染症」の影響で、首都圏・関西圏で営業時間、新たな感染症対策、さらに客足の大幅な減少で、飲食業界全体が収益の低迷に頭を抱えています。
各店舗では「テイクアウト」の弁当などへ重点を移しているところも多いですが、根本的な経営改善に至らないのは事実です。
そのため、今後は飲食業界のM&Aによる再編が加速するものと考えられます。
Web・IT業界
IT業界は、そもそも多重下請けの構造になっています。
便利なシステムやアプリを作るため、非常に多くの企業・人材が関わっているのです。
さらに、新しい技術もどんどん開発されるため、それを上回るニーズが求められます。
急成長ぶりは良いのですが、人材の確保は依然として追いつかず、深刻な人手不足に陥っています。
経済産業省の報告書「IT人材需給に関する調査」(2019年)によると、IT需要が継続して高くなれば、2030年に78.7 万人の需給ギャップが生じると指摘しています。
こうした人材不足の解消のため、IT業界でもM&Aが急速に増えています。
今後はIT業界に詳しいM&Aの専門家の増加が期待されます。
製造業界
国内製造業は、全般的に海外メーカーとの競争が激化して、中小企業が影響を受けてきました。
更に、そこへ追い打ちをかけるような後継者不在、新型コロナウイルス感染症の影響による感染対策が急務となり、どこも経営が非常にひっ迫している状況です。
最近では、海外メーカーから日本の製造業者がM&Aで買収されるケースも目立ってきています。
製造業は過去に日本の主力産業でしたが、現在では勢いが失われつつあります。
しかし、その技術力は世界有数であることに変わりは無く、今後とも日本の製造業の技術を活用したい海外企業とのM&Aが活発化するものと考えられます。
旅館・ホテル業界
宿泊業界は日本政府の外国人観光客の積極的受入れ、そして2020年の東京オリンピック開催で活況を呈するはずでした。
しかし、この業界も、新型コロナウイルス感染症の影響を直接的に受け、コロナ禍以降、外国人観光客の激減で収益は大きく減退しています。
また、観光業を主力としていた有名な景勝地の宿泊業は危機に瀕しています。
海外企業のM&A買収も非常に顕著となっており、宿泊業界の生き残り策として今後とも数多くのM&Aが行われることでしょう。
運輸・物流業界
インターネットで気軽に商品が買える現在では、運輸・物流の重要性が増しています。
しかし、運送業も高齢化が目立ち始め、小規模の運送業者は大手に買収されるケースも目立ってきています。
経営者と創業時から事業を支えてきたベテラン従業員も多く、M&Aは買い手側の大手にとって経験豊かな人材を得られるメリットが大きく、売り手側は事業承継先が得られるのでウィンウィンの関係といえます。
ただし、昔から親しかった取引先や顧客はM&Aにより、運送担当者や料金設定、契約条件などが大きく変更されることに戸惑い、取引を打ち切られる可能性も出てきます。
そのため、M&Aの際は大幅な変更を行わないよう、売り手側は買い手に要望するべきです。
美容業界
美容室を売却する場合、もともとは居抜き(店舗造作の譲渡)というやり方が一般的でしたが、最近ではM&Aによる売買も増加しており、異業種からのM&Aが目立ち始めています。
また、美容室の運営チェーンである企業が、アイラッシュ(まつげのエクステンション)サロンを買収するというように、他の美容関連事業を取り込んで、グループの付加価値を向上・差別化を図るためM&Aが利用される例もあります。
また、同じ美容業界が関連事業の一つとして事業拡大を図るためにM&Aに乗り出すことも珍しくない。
不動産業界
耐震、耐火・環境に優しい省エネ等の機能を持つ「スマートハウス」が2010年代にニーズが高まりました。
また、以前はタワーマンションを所有・居住することがステータスとされる等、この業界も好調でした。
しかし、人口の高齢化・減少によって、新築を含め賃貸・不動産管理など不動産・建築業界は縮小することが予想されています。
更に、新型コロナウイルス感染症により郊外へ暮らすことを望む方々が増加、更に東京オリンピック・パラリンピック後の業界動向を不安視する声も多くなっています。
M&Aで業績の改善を図る企業や、大手企業の傘下に入り財務基盤・ブランドの強化を目指すM&Aが予想されます。
士業業界
専門資格を持つ「士業」と呼ばれる方々も、高齢化が進んでいる職業のひとつです。
例えば、2014年の時点で全国の半数の税理士が60代以上と言われています。
さらに士業の資格自体、資格試験等を受ける必要があるため、誰でも簡単に取得できるわけではありません。
士業の主な顧客である中小企業は減少傾向にあり、競争が激化しています。
その上、人材不足による後継者不在も大きな課題です。
そのため、大手グループの傘下に入り経営安定化を図るM&Aが活発に行われています。
金融業界
金融業界では、銀行の再編・生命保険の再編・損害保険の再編が急速に進んでいます。
海外の金融機関を買収するケースも目立っています。
また、インターネットを利用した証券会社等は、M&Aで大手通信事業者の傘下に入る事例も見受けられます。
金融業界と言えども、国内はもとより海外企業とのグローバルな競争が激化する中、生き残りをかけM&Aに臨む企業が今後も増加することでしょう。
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こちらでは、調剤薬局、IT業界、製造業、飲食業界、建築・建設業界について解説します。
- 調剤薬局
- IT業界
- 製造業
- 飲食業界
- 建築
- 建設業界
調剤薬局
調剤薬局の収益は「調剤報酬」がメインです。
調剤報酬とは、薬剤師が調剤~投薬を行うまでの一連の業務に対する報酬のことです。
調剤報酬は、内閣が予算編成の過程で決定します。
つまり、調剤報酬の改定率は内閣の決定で変更されます。
とりわけ、特定の処方箋を扱う門前薬局(病院の目の前・すぐ近くの調剤薬局)や、薬局グループの運営企業は低い調剤報酬が適用されます。
2020年4月より処方箋受付回数・集中率が次に該当する場合、これらの薬局グループで収益の落ち込みが予想されます。(調剤基本料2)
- 月4,000回超+集中率70%超
- 月2,000回超+集中率85%超
- 月1,800回超+集中率95%超
- 特定の保険医療機関に係る処方箋:月4,000回超
なお、受付回数が毎月の上限を超えても、集中率が上記の条件に達しなければ、低い調剤報酬は適用されません。(出典:日本薬剤師会「調剤報酬点数表 令和2年4月1日施行」)
ともあれ、この改定の影響を受ける調剤薬局は、生き残りのためM&Aを加速させることになるでしょう。
IT業界
EC・情報処理、通信等のIT業界は、急速にビジネス領域を拡大しています。
最近では、AIやビッグデータ、IoTなどの新領域が続々と登場、求められる分野の成長が見込まれ、幅広い人材が必要となっています。
しかし、2020年代になっても先端IT分野では約4万8,000人、情報セキュリティ分野では約19万3,000人もの人材不足となっていると言われ、各IT企業とも人材確保に躍起となっています。
こうした状況を受け、人材不足を解決するためのM&AがIT業界では活発化しています。
なお、IT企業の経営者は若い方々が多く、資金確保やブランド力UPに、進んでIT企業大手の傘下に入るためM&Aを行うケースも数多いです。
1980年代の敵対的M&Aを良く知る方々は、どうしても『企業乗っ取り』イメージの強いM&Aですが、若い方々にはそのような先入観が薄いものと考えられます。
製造業
製造業は、2000年代から総じてM&A件数が高く、M&A仲介会社ストライク(M&A Online編集部)の報告によれば、毎年150件~230件ものM&Aが実施されています。
今後も製造業のM&Aは盛んに行われていくこが予測されます。
これは、前述したように海外メーカーとの競争が激化している事と、後継者不在や新型コロナウイルス感染症の影響が少なからず影響しているからです。
日本の製造業の技術力は依然として世界有数と評され、この製造技術を活用したい外資系企業とのM&Aが増加する可能性も高いです。
飲食業界
飲食業界は、消費者の健康志向化・コンセプトカフェなどの台頭、宅配でのオーダー等のニーズの多様化、人口減少による需要減等の課題を抱えています。
こうした状況の中、新商品ブランドの開拓や海外に販路を見出すため、M&Aが盛んに実施されています。
飲食業界においても、人材不足が深刻化しています。
消費者のニーズに応えつつ、多様なサービス、人材確保やコストカット、効率化を目指したM&Aに注目が集まっています。
建築・建設業界
日本人の人口の高齢化や減少で、新築を含めた賃貸・不動産管理等の建築業は縮小することが予想されています。
一方、建設業では、橋やトンネル・道路などの工事が含まれます。
こちらも、大規模な工事はそう行われなくなり、主に維持・メンテナンスが重点となると指摘されています。
しかしながら、日本は有数の地震大国であり、どこの国よりも安全安心な建築・建設の技術・ノウハウを持っています。
建築・建設業者大手は、この技術・ノウハウを武器に海外へ販路を見出すM&Aが盛んになるものと考えられます。
一方、中小企業は後継者不足に悩まされ、自社で培った技術・ノウハウを継承してもらうべく、買収先を探しているケースも多いです。
建築・建設業界でも人材不足が目立ってきており、買い手はベテランの確保、独自技術の確保に期待を寄せています。
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こちらでは、経営難・後継者不足・グローバル化の3つの背景を解説していきます。
- 経営難
- 後継者不足
- グローバル化
経営難
中小企業庁では、中小企業の倒産状況を把握することを目的に、「倒産の状況」を調査したところ、2021年1月~5月だけで2,503件の中小企業が倒産しています。
中でも「販売不振」は1,878件と最多で、経営難による倒産がとても多い結果となっています。(出典:中小企業庁「倒産の状況」)
新型コロナウイルス感染症の影響もありますが、激しい企業間競争の中、事業経営の思わしくないケースで倒産を回避するべくM&Aが行われます。
一見、飲食業をはじめとしたサービス業で顕著なようにも思われます。
しかし、患者が安定して利用するような病院経営でも経営難に陥り、M&Aに踏み切るケースも見受けられます。
病院で利用する医療機器は高額な物が多く、建物のメンテナンス等はもちろん人件費もかかります。
これらの負担で経営が圧迫されて、M&Aを行い同業他社の傘下に入ることが多いです。
これは介護分野でもいえることで、介護施設の運営費や介護機器、介護用車両等の費用負担が大きく人件費もあるため、M&Aでこの問題を打開したい経営者が多いようです。
後継者不足
帝国データバンクの全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)によれば、約26万6000社(全国・全業種)を対象にした後継者不在調査の結果、全体の約65.1%に当たる約17万社で後継者不在という報告があります。
後継者不在は中小企業にとって深刻な問題であり、どんなに経営が安定しても、事業を引き継ぐ人がいなければ最悪廃業となります。
廃業を避けるため後継者育成は不可避ですが、ご自身の親族が後を必ず継ぐとは限りません。
また、経営センスの優れた従業員がいるとも限りません。
事業を今後も継続していくためには、M&Aの実行で同業他社に引き継いでもらうことが確実と言えます。
グローバル化
日本企業と海外企業のM&Aは、2018年度で日本企業が海外企業を買収したケースは777件、逆に買収されたケースは259件となっています。
このように日本企業が海外の市場開拓を目指して買収したり、海外企業が日本の技術・ブランドを得るため買収したりするケースが目立ち始めています。
このような海外との競争や協力をしつつ、活路を見出すためにM&Aが行われているのです。
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こちらでは、M&Aで頼りになるM&A仲介会社、事業コンサルティング会社、金融機関、法律事務所を取り上げます。
- M&A仲介会社
- 事業コンサルティング会社
- 金融機関
- 法律事務所
M&A仲介会社
M&A仲介会社には、M&Aを専業または兼業でサポートする業者があります。
こちらでは、専業でサポートする業者を解説します。
M&A仲介会社は、2000年以降に設立した企業が大変多いです。
数多くのM&A仲介を手掛けている企業がほとんどで、通常なら半年~1年程度かかる契約成立をわずか1週間で成立させた業者もあります。
M&A未経験の企業には心強い存在といえます。
交渉のスタイルとしては、売り手の利益を優先する仲介会社、売り手・買い手の利益を公正中立に調整する仲介会社など様々です。
また、相談~クロージングまでサポートに徹するM&A仲介会社もあれば、売り手・買い手のマッチングのみを行い交渉ごとに関与しないM&A仲介会社もあります。
報酬も各社異なっているので、M&Aの相談の際はどこまでサポートしてくれるのか、料金はどうなるのかをよく確認してから申し込みしましょう。
事業コンサルティング会社
事業コンサルティング会社は、会社経営の資金対策や会社再生、税金対策・経営者の相続対策など、トータル的にコンサルティングする企業です。
M&Aのサポートも経営者の事業対策として利用できる場合があります。
自社の後継者が居ない訳ではなく、まずは親族内承継(経営者の子を後継者とする等)または、親族外承継(従業員を後継者とする等)を検討してみたい人は、事業コンサルティング会社に相談した方がよいでしょう。
M&Aだけではない円満な承継方法をアドバイスしてくれるはずです。
こちらの報酬も各社異なっているので、窓口でよく確認してから申し込みしましょう。
M&Aだけではなく、様々な視点からのアドバイスを受けたい方向け。
金融機関
メガバンク・地方銀行でもM&Aをサポートしてくれる場合があります。
メガバンクは概ね大企業のM&Aを取り扱いしているので、中小企業がサポートを依頼しても断られるおそれがあります。
中小企業の経営者でかつ、同じ地域のM&Aの相手方を探したい場合は地方銀行に相談してみましょう。
地域密着型の銀行として最適な交渉相手を探してれるはずです。
ただし、中小企業の方々で全国規模で交渉相手を探すならば、前述したM&A仲介会社に依頼した方が効率的なマッチングを行なえます。
法律事務所
M&Aでは、秘密保持契約書・基本合意書・最終契約書など、様々な書類をM&Aの相手方と取り交わす必要があります。
自社と提携している法律事務所があるなら、契約書の内容を確認してもらっても構いませんが、法律事務所の弁護士または司法書士はM&Aに詳しくない場合もあります。
トータルでM&Aのサポートを希望するならば、やはりM&A仲介会社をたてた方が無難です。
法律事務所は、M&Aのプロセスの一部である契約書等のサポート、デューデリジェンス(買い手の調査)で行われる法律、労働条件等の順守に関する調査協力の際の利用が想定されます。
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こちらでは、調剤薬局・医療業界・IT業界・金融業界の4ケースを取り上げます。
- 調剤薬局のM&A実例
- 医療業界のM&A実例
- IT業界のM&A実例
- 金融業界のM&A実例
調剤薬局のM&A実例
後継者不在を解消するため、薬局グループへ店舗の譲渡を行った成功実例です。
- 売り手A(調剤薬局の個人経営)→後継者不在を解消したい
- 買い手B(調剤薬局グループ)→事業拡大を行いたい
M&A目的・背景
以前の創業者より店舗を譲り受けた売り手Aは、長年この調剤薬局を守り通してきました。
処方箋調剤が中心という事もあり、地域住民から信頼され経営は順調でした。
しかし、充実した薬剤師としての仕事ではありましたが、売り手Aの経営者も高齢となり、引き継いでくれる後継者の見当たらないことが気がかりとなり、調剤薬局の事業承継先を探していました。
一方、Bは、Aの薬局がある地域へ事業拡大を目論んでいました。
収益性が高い地域と判断し買収先を探していたのです。
スキーム・成果
お互いの利害が一致して交渉を開始しました。
交渉は、お互い同業者ということもあり、円滑にM&Aのプロセスを踏んで進行していきました。
売り手Aの経営者は、引退まで業務が認められ、安心して経営の継続が行えます。
買い手Bは、事業拡大したい地域でへの足掛かりができ、今後の更なる事業展開に期待しています。
医療業界のM&A実例
こちらでは、医療機関が同業他機関へ事業譲渡された成功実例を取り上げます。
- 売り手「JA埼玉厚生連」→経営を安定したい
- 買い手「社会医療法人北斗」→事業拡大を行いたい
M&A目的・背景
熊谷総合病院は、熊谷市内の消化器内科、整形外科を中心とした総合病院として運営されていました。
地域住民に長らく利用されてきた医療機関です、
しかし、医師の人材不足や設備投資の費用が重荷となり経営を圧迫したことで、事業譲渡先を探していました。
一方、社会医療法人北斗は、関東地域に進出・拡大するべく買収相手を探していました。
スキーム・成果
双方の利害の合致でM&Aが成立、熊谷総合病院は社会医療法人北斗へ事業譲渡されました。
社会医療法人北斗は念願の関東圏進出に成功しました。
熊谷総合病院は、病院の全面建て替えの他、高度先進医療の導入を行う等、積極的な設備投資に成功、患者への医療サービスの充実が図られました。
IT業界のM&A実例
IT業界の同業者が、売り手の発行している株式を全て取得して子会社化へ成功した実例を説明します。
- 売り手「株式会社Fablic」→資金を調達したい
- 買い手「株式会社楽天」→事業拡大を行いたい
M&A目的・背景
2017年に日本初のフリマアプリ「フリル」を提供していた株式会社Fablic、このフリルでは女性が好む商品を多く提供、特に若い女性層から大きな支持を集めてきました。
そして、更なる経営の安定・資金確保を目指し、M&Aを模索していました。
一方、楽天は、個人間取引の事業強化を図りたいため、フリルが抱える若い女性層の獲得へむけ買収を希望します。
スキーム・成果
双方の利害の合致でM&Aが成立、株式会社楽天は株式会社Fablicの全株式を買収して完全子会社化に成功しています。
売り手の株式会社Fablicは潤沢な資金を確保、買い手である楽天の2017年の流通総額は約1,400億円に達して、大きな利益をもたらしました。
金融業界のM&A実例
電気通信事業者が、インターネット証券大手を買収、新たな事業獲得へ成功した実例です。
- 売り手「カブドットコム証券」→資金を調達したい
- 買い手「KDDI株式会社」→新規事業を行いたい
M&A目的・背景
インターネット証券大手「カブドットコム証券(現:auカブコム証券)」は、インターネットを活用した証券会社の大手でした。
カブドットコム証券は、更なる顧客を取り込み成長の加速を望んでいました。
一方、KDDI株式会社は電気通信事業者の最大手です。
KDDIは、グループとして進めている金融サービス業の拡充のため、相応しい買収相手を探していました。
スキーム・成果
この両者の利害が一致しM&Aは成立、カブドットコム証券はKDDI株式会社から子会社化されました。
KDDIは、この買収でスマートフォンを通じた金融事業の拡大を図ることへ成功、事業の大きな柱となっています。
また、売り手のカブドットコム証券(現:auカブコム証券)からすれば、通信契約を通じて保有している、顧客の「ビッグデータ」を金融分野に活用でき、大きな効果を得ています。
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売却額の無料見積もりはこちら!業界別のM&Aでよくある質問
こちらでは、業界別のM&Aを考慮する際の、よくある質問を2つ取り上げます。
業界専門のM&A仲介会社はある?
特定の業界に特化したM&A仲介会社も存在します。
その一例が「医療・調剤薬局専門」のM&A仲介会社です。
特に調剤薬局専門のM&A仲介ならば、一概に同業他社の紹介だけではなく、調剤薬局の事業承継したい個人(薬剤師)を紹介してくれる業者もあります。
調剤薬局業界の特性に配慮して、何か月か承継候補者を働かせ、現経営者・承継候補者の合意の下で事業承継を行うという、珍しいマッチングサービスを提供しているケースもあります。
全業種を対象とするM&Aではなく、特殊な業界のM&Aならば、このような特定の業界に特化したM&A仲介会社を利用した方が良いでしょう。
特定の業種に特化したM&A仲介会社もあるため、特殊な業界は専門のM&A仲介会社を活用する方が良い場合もある。
M&A成立後も心配
交渉当事者とM&A契約を成立させたものの、実はここからが肝心です。
スムーズに経営統合が行われなければ、せっかくM&Aが無駄になってしまうおそれもあります。
企業文化の違う会社同士の統合は、そう簡単に進むとは限りません。
システム上の障害なら、専門家が調整すれば事なきを得ますが、売り手・買い手のそれぞれの従業員間のトラブルには神経を使うこととなるはずです。
この様なトラブルで対立が激化しては、M&Aでシナジー効果が得られるどころか、従業員の心は企業から離れてしまいます。
そのため、経営に関してのサポートをトータルで行う、事業コンサルティング会社の助力を検討してみましょう。
なお、M&A仲介会社の中にはM&A後の統合プロセスをサポートしてくれる業者もあります。
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売却額の無料見積もりはこちら!業界別M&A|まとめ
競争社会において、どの業界も常に経営が安泰という保証はありません。
経営再建や後継者問題から事業資金確保など、M&Aへ臨む理由は様々です。
業界別にM&Aのニーズや必要性も異なります。
そして、M&Aの手法は様々なので、自社のニーズに応じM&A専門家の助力も得つつ、慎重に交渉を進めていきましょう。
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