近年、M&Aという言葉をよく聞きますが、クロスボーダーM&Aってそもそも何?という方も多いのではないでしょうか。
クロスボーダーM&Aとは、簡潔にいうと国際間での企業の合併や買収取引のことを指します。
今回はそんなクロスボーダーM&Aのメリットや使われる手法に加えて、事例や成功されるポイントについて詳しく解説していきます。
本記事を読めば、クロスボーダーM&Aのメリットや成功させるポイントなどが初心者の方でもしっかりわかります。
ぜひ参考にしてみてください。
- クロスボーダーM&Aでは海外市場での売上増大が見込める、人件費や材料費や税金などのコストも削減できる
- クロスボーダーM&Aで用いられる手法は三角合併とLBO(レバレッジバイアウト)
- クロスボーダーM&Aを成功させるには、買収金額の算定、シナジー効果の最大化、PMIの事前計画が重要
- ブレークアップフィー条項を決めておくことも重要
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クロスボーダーM&Aの定義について、まずは解説していきます。
実際に一般的なM&Aとはどう違うのかも詳しく説明していきます。
みていきましょう。
そもそもクロスボーダーM&Aって?
クロスボーダーM&Aとは、簡潔にいうと国際間での企業の合併や買収取引のことを指します。
つまり、M&Aをするにあたって、譲渡企業(売り手)か譲受企業(買い手)のいずれか一方が外国企業であるということです。
M&Aの取引には以下の3つのパターンがあります。
- 「IN-IN」取引
- 「IN-OUT」取引
- 「OUT-IN」取引
「IN-IN」取引とは、国内企業が国内企業を買収する取引
「IN-OUT」取引とは、国内企業が外国企業を買収する取引
「OUT-IN」取引とは、外国企業が国内企業を買収する取引
このうちの「IN-OUT」取引と「OUT-IN」取引をクロスボーダーM&Aといいます。
近年「IN-OUT」取引が積極的に行われ、年間取引数も年々増加している傾向があります。
しかし、「OUT-IN」取引は日本市場の需要と供給が落ちたことが背景となり、年々減少傾向にあります。
クロスボーダーM&Aの特徴
それでは、クロスボーダーM&Aの特徴についてみていきましょう。
クロスボーダーM&Aの主な特徴は以下の2つです。
- 外国企業が対象となるので企業規模が大きい
- 国内企業が外国企業を買収する場合、PMIが難しい
まず、クロスボーダーM&Aの特徴として、外国企業が対象となるので企業規模が大きいことが挙げられます。
クロスボーダーM&Aを行う企業の多くは海外進出を見据えた上でのM&Aを考えているので、企業規模の大きい企業が行うのがほとんどです。
次に国内企業が外国企業を買収する場合、PMIが難しいということです。
これは、外国企業との取引になるため、その外国の文化や考え方の違いを考慮する必要があるということです。
実際に、文化の違いによるコミュニケーションの取りづらさを感じたことがあるのではないでしょうか。
それがビジネスとなるとより一層困難になることが予想されます。
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そもそもクロスボーダーM&Aにはどんなメリットがあるのでしょうか。
実際のクロスボーダーM&Aの成功率はさほど高くないですが、なぜどの企業もクロスボーダーM&Aを行うのか。
それにはクロスボーダーM&Aに非常に多くのメリットがあるからです。
クロスボーダーM&Aの主なメリットは以下の4つです。
- 海外市場規模でのビジネスで売上を増大できる
- 人件費や材料費などのコストを削減できる
- 税金対策として、税制コストを抑えられる
- 新市場での新製品の開発ができる
それでは4つのメリットについて、詳しくみていきましょう。
海外市場規模でのビジネスで売上を増大できる
日本では人口減少や少子高齢化のため、日本市場は縮小する傾向があります。
その一方で、中国や東南アジアの国は人口増加による市場規模の拡大が続いています。
特に発展途上国を中心に更なる経済成長が見込め、人口増加による事情規模の拡大まで想像できます。
つまり、市場が拡大することが予測される国を海外進出時のターゲットとすることで販路を拡大し、更なる売上増大を狙うことができます。
それに加えて、世界中で日本のブランドが大きく評価されており、外国人が訪れてくる旅行も多くなっています。
そんな日本が評価されている時代だからこそ、日本で競合の多いものも海外では戦っていけるのです。
その上で、海外の同業他社の特徴や強み、ノウハウを理解することが必要です。
それから日本で戦っている自社製品を強みに、国内市場から海外市場へとシフトし、現地のニーズに応えることで売上拡大を期待できます。
人件費や材料費などのコストを削減できる
日本に比べて、東南アジアのような発展途上国は人件費の水準が低いです。
そのため、発展途上国では日本と同じ作業をさせても、人件費を安く抑えることができ、大量生産が可能になります。
また、材料を日本で仕入れるよりも現地で仕入れたほうが材料費の値段が安く済むのがほとんどです。
実際に日本よりも資源が豊富な外国では、生産コストを大幅に削減できるのが非常にメリットです。
これらのように、人件費や材料費などのコストを削減できるというのもクロスボーダーM&Aのメリットといえるでしょう。
税金対策として、税制コストを抑えられる
外国でも税金は取られますが、その税率は日本とは異なります。
実際に日本での利益に対する税金よりも低いレートの外国も多くあるため、節税対策を理由とした海外進出は珍しくはありません。
国によっては外国企業に優遇措置を設けている国があったり、税金を緩和する制度があったりします。
日本での事業内容と同じことをして、税金を支払って残る金額が多いことに越したことはありませんよね。
そのため、海外進出をする場合にはその国の税制はどうなっているのかしっかりと確かめた上で行うことが大切です。
新市場での新製品の開発ができる
新市場での新製品開発が見込めるというのクロスボーダーM&Aのメリットといえるでしょう。
外国企業にある技術を用いた、日本にない新製品の開発を積極的に行えるということになります。
また、外国のニーズを捉えることができたら更なる売上向上が期待できます。
それに加えて、他に競合となる企業が存在しない可能性があるため、より売上が伸ばせることになるでしょう。
ここではM&Aのメリットを売却側・買収側の立場でお伝えしていきます。
売却側のメリット
まずは売却側がM&Aで得られるメリットについてお伝えします。
後継者問題の解消
中小企業の経営者の高齢化が進むなど、後継者問題の直面している企業は少なくありません。
経営者の子供がそもそも事業を引き継ぐ意思がなかったり、社内に適材がいなかったりという事例があります。
こういった場合M&Aで会社を売却することで、会社を存続させられるだけでなく資金を調達できます。
いくら経営者といっても老後の生活に不安を感じる人も少なくありません。
このような場合にM&Aを行うことで、後継者不足を解消できるだけでなく老後資金を調達できるのです。
従業員の雇用確保
会社を畳まずM&Aによって売却することで、会社で働いている従業員の雇用を確保することができます。
仮に会社を廃業した場合は、それまで会社の存続や売り上げに貢献してくれた従業員の働き口がなくなってしまうことになります…。
しかしM&Aで会社を売却すれば従業員についても承継の対象となるため、雇用を確保できるのです。
経営者の個人保証の解消
中小企業の経営者など、会社が負債を抱えた際の連帯責任社となっているケースが多くあります。
現役世代であれば問題ないかもしれませんが、老後は個人保証のことなど気にせずに、ゆったりと過ごしたいと考える方も少なくないでしょう。
きっと個人保証が解消されることで、金銭面はもちろん精神的にも解放されるでしょう。
資金調達の実現
先ほどM&Aで会社を売却することで、老後の資金を調達できるというメリットがあるとお伝えしました。
しかしM&Aにおける金銭的なメリットは何も上記だけの場合ではありません。
事業譲渡を行なった場合、事業を売却した利益で他の事業の資金に充てることができます。
買収側のメリット
続いて買収側のメリットについてもお伝えしていきます。
新規事業への参入
新規事業に参入しようとすると、計画段階を含めてかなりの時間や労力を要します。
またいくら労力をかけても失敗に終わるリスクも付きまといます…。
しかしM&Aで新規に参入したい事業や企業を買収すれば、新規事業への参入リスクを減少させることが可能なのです。
既存事業の強化
同業他社を買収することで、効率よく既存事業を強化できます。
例えば、違うエリアで営業している同業他社を買収すれば、既存事業のエリアをより拡大し強化していくことができるのです。
事業拡大に伴うコスト削減
一般的に事業を拡大する際は、時間や人材など大幅なコストを要します。
しかし既存の事業やノウハウを持つ企業を買収することで、事業拡大に伴うコストを大幅に削減することが可能になります。
人材やノウハウを獲得
M&Aで会社や事業を買収することで、人材やノウハウを効率的に獲得できます。
自社で人材やノウハウを育成するには、膨大な時間を費やします。
しかしM&Aで会社や事業を買収することで、スムーズに新規事業などを展開していけるのです。
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売却額の無料見積もりはこちら!クロスボーダーM&Aの2つの手法
一般的なM&Aでは株式譲渡や事業譲渡が用いられることが多いです。
株式譲渡とは、株式を売却することで経営権を渡す手法のことをいいます。
事業譲渡とは、会社の事業を売買して対価を得る手法のことをいいます。
そのような国内のM&Aで用いられる手法のほかに、クロスボーダーM&Aには以下の2つの手法があります。
- 三角合併
- LBO(レバレッジバイアウト)
それぞれの手法について、詳しくみていきましょう。
三角合併
三角合併とは、存続会社が合併によって消滅する会社に現金や自社の株式を渡す代わりに、その親会社の株式を交付する形で行う合併を指します。
存続会社が合併によって消滅する会社に交付できる対価に上限はありません。
日本企業が外国企業を株式対価で買収する際に用いられるケースが多い手法となっています。
日本企業が海外子会社を設立し、その海外子会社が買収対象の外国企業と合併する際に、親会社である日本企業の株式を対価として外国企業の株主に交付するのが大まかな流れです。
しかし、この三角合併はこれまでの事例を見ても極めて難しい手法のようです。
LBO(レバレッジバイアウト)
LBO(レバレッジバイアウト)とは、買収先の企業の資産を担保として、銀行などの金融機関から借入して買収する手法を指します。
このLBOの特徴は少ない自己資金で大きなM&Aを行えることにあります。
しかし、この反面、LBOをした後に業績が悪化してしまった場合には多額の借金をしてしますことになります。
このリスクを加味した上で、実行する価値があるのか十分検討してから行うほうがいい手法です。
ここではM&Aで用いられる主な手法を7つお伝えします。
なお上記の方法は手法という言葉の他に「スキーム」と呼ばれることもあります。
株式譲渡
株式譲渡とは、株式を売却することで経営権を渡す手法のことを言います。
M&Aの手法の中で一番メジャーな方法となっています。
そんな株式譲渡のメリットは、
- 直接金銭の対価を受け取れる
- 許認可をそのまま引き継げる
- 既存の契約もそのまま引き継げる
ということが言えます。
反対に株式譲渡のデメリットは簿外債務があった場合に、そのまま引き継がねばならない点があります。
株式譲渡について詳しく気になる方はこちら
株式譲渡とは?メリット・デメリットから会社売却との違い・見落としがちな注意点までわかりやすく解説!
事業譲渡
事業譲渡とは、会社の事業を売買して対価を得る手法のことを言います。
なお会社全体の譲渡ではなく、あくまでも一部の事業のみの譲渡となります。
M&Aの中では株式譲渡の次にメジャーな手法となっています。
そんな事業譲渡のメリットは、
- 直接金銭の対価を受け取れる
- 許認可をそのまま引き継げる
- 既存の契約もそのまま引き継げる
ということが言えます。
また事業譲渡のデメリットになり得る点は、手続きの煩雑さにあります。
事業譲渡について詳しく気になる方はこちら
事業譲渡とは?株式譲渡との違いやメリット、手続きや税金についてわかりやすく解説【図解あり】
会社分割
会社分割とは、一つの会社を複数の法人に分割する手法のことを言います。
また会社の一部を売買することを目的として、会社分割が行われる場合もあります。
なお会社分割は、
- 新設分割
- 吸収分割
の二つに分けることができます。
新設分割とは、新たに設立する会社に事業を移動することを意味しています。
それに対して吸収分割とは、既に設立されている会社に事業を移動することを意味しています。
会社分割のメリットは、
- 比較的時間がかからない
- 労働契約をそのまま移行できる
- 移籍してもらう従業員の了承を得なくて済む
- 事業譲渡と比較した時に、手続きなどが比較的簡単に済む
といったことが言えます。
反対に会社分割のデメリットは、
- 現場の混乱を招く恐れがある
- 買い手企業が上場している場合、株価が下落する恐れがある
などがあります。
会社分割について詳しく気になる方はこちら
会社分割とは?吸収分割や新設分割、事業譲渡との違いやメリットをわかりやすく解説
株式交換
株式交換とは、対象となる企業を子会社とすることを目的として行われる手法です。
100%子会社となる企業の株式を完全親会社となる企業の株式と交換します。
なお株式交換をするメリットは、
- M&Aが成立した後も売り手企業は別法人として扱われるため、急いで経営の統合を行う必要がない
- 売り手企業の株主が3分の2以上合意した場合、株を100%取得できる
と言えます。
また株式交換のデメリットは、
- 費用だけでなく時間も要する
- 買い手企業の株主構成に変化が生じる
- 手続きが複雑
- 場合によっては登記が必要になる
- 買い手企業が上場している場合、株価下落の恐れがある
ということが言えます。
株式交換について詳しく気になる方はこちら
株式交換とは? メリット・デメリット、株式移転との違いから手続き方法までわかりやすく解説
第三者割当増資
第三者割当増資 とは、第三者に株式を割り与え資金を調達することをいいます。
なお第三者割当増資が行われるケースには、業務提携先企業との関係を良好にしたい、経営状況が悪く増資が難しいなどの場合があります。
そんな第三者割当増資のメリットは、売買には該当せずあくまでも増資であるため課税されない点にあります。
資本業務提携
資本業務提携とは業務協力と資本移動を複数の企業が行う手法のことを言います。
なお資本業務提携は会社の経営権を掌握することを目的に行われるものではありません。
そのためシナジーと呼ばれる相乗効果を獲得しやすくなるでしょう。
またデメリットには、人材や技術の流出や提携の解消が難しいということが言えます。
合併
合併とは、複数の企業を一つにまとめる手法のことを言います。
なお合併には、
- 新設合併
- 吸収合併
の二種類が存在します。
新設合併とは、合併時に新設した会社に解散した会社の権利や資産などを承継することを意味しています。
また吸収合併とは、既にある会社が他会社の権利や資産などを承継することを意味しています。
合併について詳しく気になる方はこちら
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では次に過去にあった、クロスボーダーM&Aの事例について紹介していきます。
今回、事例としてあげるのは以下の3社のクロスボーダーM&Aについてです。
- セブン&アイホールディングス×スピードウェイ
- 日本たばこ産業(JT)×RJRI
- ソフトバンク×ARM
実際にクロスボーダーM&Aを行ってどんな効果があったのかどうかまで詳しく見ていきましょう。
セブン&アイホールディングス×スピードウェイ
セブン&アイ・ホールディングスは、日本でも有名なセブンイレブンを運営する会社です。
スピードウェイは、アメリカで3800店舗を展開する、コンビニを併設したガソリンスタンドを運営する会社です。
M&Aの目的
セブン&アイ・ホールディングスは人口減少による市場規模の縮小から日本国内の成長に期待ができないと考え、アメリカでのコンビニ事業の展開を進めていました。
スピードウェイはアメリカでコンビニを3800店舗を展開しており、アメリカのコンビニ業界では3位の店舗数です。
セブン&アイ・ホールディングスは当時アメリカに9000店舗以上を展開しており、アメリカでもコンビニ業界トップを獲得していました。
そんな中で業界の2位との差をさらにつけるために、今回のM&Aを実行しました。
用いられたM&Aの手法
セブン&アイ・ホールディングスは、米国法人の子会社を設立し、その子会社でスピードウェイの発行済み株式を取得しました。
買収額は210億ドルで、日本円にしておよそ2兆3000億円にのぼります。
日本たばこ産業(JT)×RJRI
日本たばこ産業(JT)は、タバコ事業で世界的シェアを誇り、それ以外にも加工食品事業や医療事業を展開している会社です。
RJRIは、アメリカに本社を置いていたタバコ事業で世界最大のシェア率を誇る会社です。
M&Aの目的
もともと日本たばこ産業は国が運営する企業で、基本的に国内シェアを見据えてタバコ事業を展開していました。
しかし日本の人口減少による市場規模の縮小から日本市場のみでは成長に限界があると判断し、海外進出を踏み切りました。
この考えのもと、国際的なシェア率を高めるために当時世界最大のタバコ事業を展開していたRJRIの買収に至りました。
用いられたM&Aの手法
日本たばこ産業はRJRIの発行済み株式を取得しました。
買収額は100億ドルで、日本円にしておよそ9,400億円にのぼります。
ソフトバンク×ARM
ソフトバンクは、スマートフォンや携帯電話をはじめ、インターネットなどライフスタイルを豊かにする各種サービスを提供する会社です。
ARMは、スマートフォンを中心に多くのデバイスに使われているチップの心臓に当たるCPUを手がける、イギリスの半導体設計会社です。
M&Aの目的
ARMはCPUについて、優れた知的所有権を持っていたため、新規もしくは既存の市場に対する意識づけを行おうとした背景があります。
実際にソフトバンクは深い業界の専門知識を持っており、そのネットワークも活用し、ARMの知的所有権を世界に示すことを目的としています。
用いられたM&Aの手法
ソフトバンクはARMの発行済み株式を取得しました。
日本円にしておよそ3兆3000億円にのぼります。
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最後にクロスボーダーM&Aを成功させるポイントを解説していきます。
クロスボーダーM&Aの成功率はさほど高くありません。
そんな中でも成功させている企業はたくさんあります。
それらの企業に共通している、成功させるポイントは以下の4つがあげられます。
- バリュエーションの算定をしっかりと行う
- シナジー効果を最大化する
- PMIの計画を立てておく
- ブレークアップフィー条項を事前に決めておく
それぞれの成功させるポイントについて、詳しく見ていきましょう。
バリュエーションの算定をしっかりと行う
日本市場で成功しているといって、その事業が外国で日本と同水準の利益をもたらすかどうかわかりません。
そのような不確定要素が多い中、しっかりとしたバリュエーション(買収金額)の算定をする必要があります。
特に東南アジアのような発展途上国の企業とのクロスボーダーM&Aの場合、困難を極めることがほとんどです。
それを現地の市場規模に合わせて、正しく企業価値を判断するには必要な判断要素が多くあります。
ただ相場だけでバリュエーションを算定するのではなく、しっかりを現地での価値ももたらすのか、どれほどの売上が期待できるのか加味する必要があります。
シナジー効果を最大化する
シナジー効果の最大化はクロスボーダーM&Aに限らず、一般的なM&Aでも重要視されています。
シナジー効果を最大化するためには以下の4つのことを考える必要があります。
- 持っている資産の相性
- M&Aのタイミング
- 相手企業の知名度
- 定義と計画、モニタリング
持っている資産の相性
M&Aが成約しても、資産の相性が悪ければ、シナジー効果が低下してしまう可能性があります。
たとえば、人的資産とも呼べる従業員の相性です。
企業風土や文化が極端に違うと、統合後に従業員間で摩擦が生じ、士気が下がってしまうリスクがあります。
また、M&Aでは財務リスクや法務リスクもあります。
たとえば、貸借対照表に計上されていない簿外債務や、債務者の不履行に対して責任を負う保証債務などです。
相手企業から積極的に提示されないことがあります。
そのほか、給与の未払いや有給休暇の未消化、コンプライアンス違反などにも気をつけなければなりません。
M&A後に余計なコストが発生することもあります。
シナジー効果を発揮するには、負の資産によるリスクを最小化するために、事前調査も不可欠です。
M&Aのタイミング
販売シナジーや投資シナジーは、M&Aを行ってからすぐに効果が現れるわけではありません。
また、商品やサービスの開発を進めても、時間の経過によって流行が変わってしまい、想定したシナジー効果が得られないケースもあります。
そのため、タイミングを間違えると、赤字が発生するリスクがあります。
したがって、M&Aにおけるシナジー効果を高めるには、M&Aを行うタイミングが重要です。
シナジー効果を適切に享受するためには、商品やサービスが売れるタイミングまで予想して、再スタートを切れるスケジューリングを行う必要があります。
相手企業の知名度
知名度の低い企業と合併したとしましょう。
いくらその企業が優れたノウハウを持っていたとしても、提供される商品やサービスが広まるまで、利用者から購入してもらいづらいでしょう。
その点、知名度の高いブランドをM&Aによって獲得できれば、流通や市場開拓にかかる時間やコストを減らせます。
販売シナジーを高めるためにも、相手企業の知名度を意識したM&Aが重要になるとわかるでしょう。
定義と計画、モニタリング
シナジー効果は買収すれば発生するわけではありません。
シナジー効果が得られない要因として、シナジー効果を明確に定義していないことが挙げられます。
したがって、投資シナジーや販売シナジーなど、M&Aでどの種類のシナジー効果を獲得したいのか、事前に明確にしておくことが重要です。
デューデリジェンスの段階で、求めるシナジー効果と自社の現状における乖離を把握し、ギャップを埋めるための計画が必要になります。
それにともない、投入すべきリソースも確保しなければなりません。
また、シナジー効果のモニタリングも必要です。
シナジー効果の発揮に向けて実行した施策の成果を定量化し、PDCAサイクルを回していきます。
PMIの計画を立てておく
なぜクロスボーダーM&Aを成功されるポイントにPMIの計画を立てるのがあるのか。
それは企業の買収に成功したとしても、その後の成長に繋がらなかったら意味がありません。
そのために入念にPMIの計画を立てることが重要です。
企業を買収した後、どんな企業にしたいのか、どんな事業を展開していきたいのかを考えながら、M&Aを進めましょう。
ブレークアップフィー条項を事前に決めておく
ブレークアップフィー条項とは、何らかの事情でM&Aが実行不可となった場合の違約金に関する決まりのことをいいます。
ブレークアップフィー条項をM&Aの開始前に決定しておくことで、企業買収の話が流れてしまった際に、事前に定めた額の違約金を受け取ることができます。
企業買収のM&Aの違約金の相場は買収金額の1〜5%以内に設定されることがほとんどです。
ただし、国によって法律で決められた割合になっているところもあるので、注意が必要です。
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いかがでしたでしょうか。
今回はクロスボーダーM&Aのメリットや使われる手法に加えて、事例や成功されるポイントについて詳しく解説してきました。
もう一度おさらいしておきましょう。
- クロスボーダーM&Aでは海外市場での売上増大が見込める、人件費や材料費や税金などのコストも削減できる
- クロスボーダーM&Aで用いられる手法は三角合併とLBO(レバレッジバイアウト)
- クロスボーダーM&Aを成功させるには、買収金額の算定、シナジー効果の最大化、PMIの事前計画が重要
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