M&Aには、【赤字運営を何とかするため】【後継者問題を解消するため】【更なる事業拡大を目指すため】など、様々な効果・目的があります。
【どんな企業が、どんな企業とM&A交渉を行い、どのような成果をあげたのか】と言う、成功事例に興味のある方も多いのではないでしょうか?
また、M&Aを成功させるには、失敗例をチェックするのも必要になります。
失敗例を見ることにより、M&Aを行う際に注視すべき事柄や、そのリスクが明確となるからです。
この記事では、M&Aの成功事例・失敗事例、M&Aの成功理由・失敗理由についてわかりやすく解説していきます。
- M&Aの成功率は3割程度
- M&Aの成功事例を大手企業・中小企業・海外企業ごとに紹介
- M&Aが成功する3つの理由
- M&Aの失敗事例と理由は!?
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日本国内M&Aの成功率とは?
こちらでは、最近のM&Aの件数および成功率を見てみましょう。
M&Aの件数
2018年~2020年までのM&A件数は次の通りです。
M&A | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
---|---|---|---|
国内企業同士 | 2,814件 | 3,000件 | 2,944件 |
国内企業・海外企業 | 777件 | 1,088件 | 786件 |
全体 | 3,591件 | 4,088件 | 3,730件 |
出典:2020年のM&A回顧(2020年1-12月の日本企業のM&A動向)
2019年にはM&Aの件数が4,000件を突破、大企業・中小企業を問わずM&Aが加速しました。
しかし、2020年には「新型コロナウイルス感染症」の世界的大流行で、経済市場が大パニックを起こします。
その影響からか、M&A件数が2020年は300件以上ダウンしています。
M&Aの成功率
M&Aが成約しただけでは、それだけで成功といえません。
- M&A成約時に想定されたシナジー効果の創出
- 計画通りに円滑な協業体制が行われたか
- 業績拡大・企業価値の向上が実現できたか
上記の様な成否によって「成功」と判断されます。
そのため、公的な機関・民間の期間が成功率を公表することは極めて難しく、正確な成功の割合は実際のところ、『よくわからない』というのが現状です。
ただし、過去のM&A企業のアンケート結果等で判断すれば、概ねM&A成功率は3割程度と言われています。
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売却額の無料見積もりはこちら!M&A成功事例集3選|日本国内の大企業
こちらでは、日本国内の大企業のM&A成功事例を3つ取り上げましょう。
- M&A成功事例|楽天
- M&A成功事例|JT
- M&A成功事例|味の素
M&A成功事例①楽天
出典:楽天
楽天は数多くのM&Aを成功させ、事業を次々と拡大していったIT企業です。
楽天の成功事例を見ていきましょう。
楽天のM&Aの経緯
楽天はM&Aで急速に事業拡大を成功させました。
(1)マイトリップ・ネットとのM&A(2003年)
- 目的:楽天トラベルの強化
- 買収価格:323億円
- M&A成果:国内旅行でJTBグループに次ぐ2位の取引高に成長
(2)DLJディレクトSFG証券とのM&A(2003年)
- 目的:証券業界に進出したい
- 買収価格:約300億円
- M&A成果:子会社化して「楽天証券」が誕生
(3)あおぞらカードとのM&A(2004年)
- 目的:カードローンのサービスをはじめたい
- 買収価格:74億円
- M&A成果:「楽天カード」が誕生
(4)イーバンク銀行とのM&A(2010年)
- 目的:ネット銀行を創設したい
- 買収価格:非公開
- M&A成果:連結子会社化し「楽天銀行」が誕生
なお、海外では2005年に米リンクシェアを4億2,500万ドルで買収、2013年にファッション通販サイト「Stylife」を運営するスタイライフはTOBで買収、2015年には電子図書館プラットフォーム世界最大手の米OverDrive等を買収しています。
楽天のM&Aの具体的事例
Fablicが発行している株式を全て取得、完全子会社化した事例を説明します。
- M&A相手方:株式会社Fablic
- 買収方法:株式全取得
株式会社Fablicは、2017年に日本初のフリマアプリ「フリル」の提供を開始、女性が好む商品を多く取り扱い、特に若い年齢層から大きな支持を集めていた企業です。
①楽天のM&A目的・背景
個人間取引の事業強化を目論む楽天は、フリルが抱える客層の獲得に目を付けます。
楽天は以前から様々なジャンルの商品を取り扱っていましたが、性別・ある年齢層に特化したジャンルを持っていた訳ではありません。
更なる事業拡大には、500万人を超えるユーザー、中でも女性の支持が必要と考えフリルを買収しました。
②スキーム・成果
楽天は自社のフリマサービス「ラクマ」、そして買収した「フリル」のユーザーが互いのサービスを利用すれば、大きなシナジー効果が得られると期待しました。
この楽天のM&Aは予測通りに成功、2017年の流通総額は約1,400億円に達しました。
M&A成功事例②JT
日本たばこ産業は海外のM&Aを成功させています。
積極的なブランディングや給与・賞与体系を統一し、買収された側の企業の従業員のモチベーション維持に配慮する姿勢が功を奏しています。
JTのM&Aの経緯
JTはM&Aの経緯は次の通りです。
(1)米RJRナビスコ(1999年)
- 目的:海外たばこ事業の買収
- 買収価格:非公開
- M&A成果:従来の約10倍となるたばこ販売本数
(2)ギャラハーとのM&A(2007年)
- 目的:海外たばこ事業の買収
- 買収価格:非公開
- M&A成果:更なる事業拡大に成功
JTのM&Aの具体的事例
こちらでは、前述した米RJRナビスコの事例を説明します。
- M&A相手方:米RJRナビスコ
- 買収方法:たばこ事業(RJRI)を買収
アメリカのRJRナビスコホールディングスは、たばこをはじめスナック・ビスケット等の食料品の製造・販売を行う会社です。
①JTのM&A目的・背景
アメリカ市場で買収を行った目的は、市場とシェアの拡大です。
アメリカの現地の既存企業を買収し、ブランド力・販売網・ノウハウ等の共有を目指しました。
②スキーム・成果
M&A成立で、JTではコスト削減や自社のブランド・技術との融合によるシナジー効果獲得を狙いました。
その狙いは当たり、従来の約10倍となるたばこ販売本数を記録することになります。
M&A成功事例③味の素
味の素は国内・海外問わず数多くのM&Aを成功させています。
M&Aに関する経験が豊富で、事業拡大・効率化に余念がありません。
味の素のM&Aの経緯
味の素のM&Aの経緯は次の通りです。
- 1987年:クノール食品を子会社化
- 1989年:オムニケム(ベルギー)の全株式取得
- 2000年:欧州甘味料合弁会社ニュートラスイート・ユーロ・アスパルテーム全株式取得
- 2002年:清水製薬全株式取得
- 2003年2月:フレック全株式取得
- 2003年7月:オルサン(フランス)全株式取得
- 2006年:ギャバン株式取得
- 2013年:アルテア・テクノロジーズ(アメリカ)全株式取得
- 2014年:ウインザー・クオリティ(アメリカ)を買収
味の素のM&Aの具体的事例
こちらでは、トルコにある2社の食品会社の買収・統合の事例を説明します。
- M&A相手方:キュクレ食品・オルゲン食品社
- 買収方法:企業買収、イスタンブール味の素食品販売・キュクレ食品・オルゲン食品統合
トルコで液体調味料やピクルス等の製造・販売を行う「キュクレ食品」、粉末調味料・粉末スープ・デザート等加工食品の製造・販売を手がける「オルゲン食品社」と、M&A交渉に成功しました。
①味の素のM&A目的・背景
味の素は積極的な海外展開を行い、東南アジアなどで存在感を示しています。
更なる海外事業展開のため、新日国家であり地理的に有利な面から、トルコ企業とのM&Aを意図しました。
②スキーム・成果
トルコはアジア・欧州の間に位置、中東とも隣接し、イスラム圏向けの商品開発、販路のシナジー効果獲得を狙いました。
その結果、円滑な商品開発・販路の拡大に成果をあげています。
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売却額の無料見積もりはこちら!M&A成功事例集4選|中小企業
こちらでは、日本国内の中小企業のM&A成功事例を4つ取り上げましょう。
- 後継者不在を解消
- 新事業の展開
- 垂直統合で発展
- M&Aで家庭の事情も解決?
中小企業のM&Aが気になる方はこちら!
中小企業のM&Aのメリット・注意点は?流れや成功するためのポイントまで徹底解説!
M&A成功事例①後継者不在を解消
現在、注目されている中小企業の後継者問題をM&Aで解消した事例です。
- 売り手:A(学習塾経営)
- 買い手:B(大手学習塾)
①M&A目的・背景
売り手Aは地域に4店舗の学習塾を展開していましたが、経営者が高齢し、かつ後継者もいない状況で、事業存続が難しくなっていました。
しかし、経営者の子供は別の職業に就いており、明確に事業の継承を拒否、他に適切な後継者も見つからない状態です。
Aは後継者問題の打開のため、M&Aを検討しました。
②スキーム・成果
売り手Aが学習塾を経営している地域内に進出したい学習塾は、買い手Bだったため、Bに買収してもらう交渉を行いました。
買い手Bは学習塾として長年地域に根付いたAを買収、その結果、事業を存続し、雇用(講師・事務員等)や生徒を守ることができました。
事業承継について気になる方は、こちら!
事業承継を成功させる秘訣とは?事業承継成功のポイントや課題についても徹底解説
M&A成功事例②新事業の展開
自社の新事業展開に伴う様々な問題をM&Aで解消した事例です。
- 買い手:A(IT企業)
- 売り手:B(通販会社)
①M&A目的・背景
買い手Aはソフトウェアの開発を行っており事業も好調、更なる新事業として通販事業を展開しようと考えました。
しかし、経費・必要な設備・人員の確保が困難で、通販会社を買収相手に選ぶことを検討します。
②スキーム・成果
資金・規模に限りのある中小企業は、初期投資を行い新規事業の展開することにリスクがあります。
Aは既存通販会社の買収で、そのリスクを回避しようと目論みます。
一方、Bは資金確保を目指し買収してもら企業を探していました。
双方の利害が一致し、M&Aは成立しまし、その結果、売り手Bのノウハウ、設備、人員を吸収、トラブルもなく無事に通販事業を展開させることができました。
M&A成功事例③垂直統合で発展
ソフトウエアの必要な工程すべてを自社で行い、競争力を高めようとするビジネスモデルに成功した事例です。
- 買い手:A(遊戯機器の製造業者)
- 売り手:B(ソフトウエア開発会社)
①M&A目的・背景
買い手Aは遊戯機器の製造・販売を行っており、更なる成長を図る目的で、システムの開発事業への参入を検討していました。
ソフトウエアの開発~製造までを一貫し、フレキシブルな対応ができると判断したため、M&Aの検討をはじめました。
②スキーム・成果
買い手Aは、ソフトウエア開発会社の買収を希望し、資金確保が目的で買収してもらいたいBとM&A交渉を行いました。
B買収後もBの経営者がまだ若いと言う事で、買収後もBに経営のかじ取りを任せる方針が決められました。
交渉・デューデリジェンスも滞りなく進み、スムーズな譲渡契約締結に成功しました。
M&A成功事例④M&Aで家庭の事情も解決?
経営者の家庭の事情でやむなく会社売却を決断し成功した事例です。
- 売り手:A(ネイルサロン運営会社)
- 買い手:B(健康食品販売会社)
①M&A目的・背景
売り手Aは小さなネイルサロン運営会社です。
経営は若い女性の常連に支えられ順調でしたが、Aの経営者は子持ちの主婦で家庭の事情が悩みとなります。
それは、会社員の夫の転勤と、第二子の出産等が重なり、家庭・事業の両立は難しいと判断しました。
そこでM&Aで会社売却をすることを決意したのです。
②スキーム・成果
その折、ネイルサロン業へ事業進出を狙う健康食品販売会社Bが、Aに買収を持ち掛けM&Aが成立、経営権譲渡・売却資金を獲得しました。
従業員の雇用も守られ、Aの元経営者は家庭・事業の両立の問題を解消しています。
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売却額の無料見積もりはこちら!M&A成功事例集3選|海外企業
こちらでは、海外企業が買い手となったM&A成功事例を3つ取り上げましょう。
- M&A成功事例|AT&T
- M&A成功事例|Dell
- M&A成功事例|クラフトフーズグループ
M&A成功事例①AT&T
出典:AT&T
アメリカ通信大手AT&Tが大型買収を繰り返し、事業規模を拡大している事例について説明します。
- M&A相手方:タイムワーナー
- 買収総額:約854億ドル(約8兆8600億円)
①M&A目的・背景
米通信大手のAT&Tは携帯電話事業が伸び悩み、映画・ニュースまで幅広いコンテンツを抱える企業を取り込んで、複合メディア企業への転換を目指していました。
インターネットの普及を背景として、通信・放送の垣根を越えた企業統合の本格化に対応するため、M&Aの検討を開始しました。
②スキーム・成果
AT&Tは幅広い映像コンテンツを抱えるタイムワーナーと、M&A交渉に乗り出しました。
タイムワーナー側も一緒になれば動画需要の増加へ対応できると賛同。
買収の際は半分を現金で、半分をAT&T株で支払うことに双方が合意、M&A成立となります。
このM&Aで、モバイル時代に見合ったビジネスづくりへ成功しています。
M&A成功事例②Dell
出典:DELL
米パソコンメーカーのDellが、ストレージ・プロバイダーのEMCを買収した事例について説明します。
- M&A相手方:EMC
- 買収総額:約670億ドル(約7兆円)
①M&A目的・背景
米通信大手のDellは急速に変化する技術産業へ追い付くため、PC・ストレージ等の多様なサービス強化の必要性を痛感、ストレージ・プロバイダー企業とのM&Aを目論みました。
一方、EMC側はスタートアップ企業という地味な開始から、グローバルで世界クラスの技術企業となったことを自負しながらも、業界の急激な変化の波に危機感を覚え始めていました。
②スキーム・成果
業界の急激な変化の波に対応するため、両社の利害は一致、M&Aで極めて大きなシナジー効果が期待されると判断、契約は成立となります。
その目論見は当たり、このM&Aで誕生した「Dell Technologies」は、勢いに乗って「Virtustream」「RSA」「Pivota」「SecureWorks」「VMware」を次々と傘下に収めていきます。
これにより、Dell TechnologiesはPCやサーバはもちろん、ストレージ・仮想化・セキュリティなどの多様なサービスを世界トップレベルで提供するまでに急成長しました。
M&A成功事例③クラフトフーズグループ
米食品大手のクラフトフーズグループと、ケチャップの販売で知られるHJハインツが合併した事例について説明します。
- M&A相手方:HJハインツ
- 買収方法:合併
①M&A目的・背景
北米事業が売上高のほとんどを占めるクラフトフーズグループは、事業拡大のため海外への販路を目論んでいました。
そのため、海外販売も視野に入れたM&Aを模索していました。
そんな中、海外への販路を構築していたHJハインツと、M&Aを望むようになります。
②スキーム・成果
クラフトフーズグループの合併の狙いはシナジー効果であり、合併により原材料の調達コスト削減が見込まれます。
また、北米市場が中心であったクラフト商品を、ハインツの販路を利用し海外へ販売することも可能となります。
この合併後の新会社は、食品・飲料業界で北米3位・世界5位の規模となり事業拡大が達成されました。
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売却額の無料見積もりはこちら!M&Aを成功に導くための3つのポイント
こちらでは、M&Aが成功をした理由を3つに分けて紹介します。
- 目的が明確
- 価値観の一致
- 売り手の社風・自律性を尊重する
M&Aが成功をした理由①目的が明確
M&Aには、売り手にも買い手にも明確な目的が必要です。
- 後継者問題を解消する事業承継
- 赤字経営を解消または事業拡大のための資金確保
売り手ならば、上記の様な目的が考えられます。
当然、資金確保のためM&Aをしたくても、どこに何の目的で資金を充当したいのか明確でなければ、売却価格も満足に決めることはできません。
一方、買い手ならば
- 自社の事業拡大
- 新規事業の開拓のため
上記の様な目的が考えられ、【どんな分野に強みがある売り手を買収すべきか】、自社のニーズをよく検討してから判断する必要があります。
慎重に考慮してから買収価格を算定しないと、買収後、自社の望むようなシナジー効果が得られないばかりか、支払った資金の回収すら危うい事態となるかもしれません。
M&Aが成功をした理由②価値観の一致
M&Aを成功させるためには、売り手・買い手双方の経営者の価値観が一致していることも必要です。
前述したDellのEMCのM&Aは、両社がどんなに経営が順調でも、業界の急激な変化の波に危機感を覚えていたことが決め手となりました。
この経営者の価値観が一致しないと、M&Aが成立しても、うまく融合できないといったトラブルが起きやすくなります。
そのため、買い手側の経営者自身が売り手の経営者の考え方・方針・取引先等の評判を見極めないと、シナジー効果が上手く発揮できない場合もあります。
M&Aが成功をした理由③売り手の社風・自律性を尊重する
M&A後は、買い手は売り手に干渉しすぎないことが重要です。
買い手も売り手も、創業・事業を行ってきたプロセスが同じではありません。
事業の展開してきた過程で培われた売り手の社風、慣習を重んじないと摩擦や反感も生じやすく、シナジー効果が薄れてしまうことは多いです。
売り手・買い手それぞれ、M&Aで「100%理想の相手」を見つけることは極めて難しいことでしょう。
デューデリジェンスはもちろん大切でが、調査過程で多少の気になる点があったとしても、重大な事実の隠蔽(例:巨額の債務が見つかった等)でない限り、売り手の方で対処して解決できるようなら、文句を言わないことが最善の方法と言えます。
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こちらでは、M&Aの失敗事例を3つ取り上げましょう。
- M&A失敗事例|三菱地所
- M&A失敗事例|パナソニック
- M&A失敗事例|古河電工
- M&A失敗事例|富士通
M&A失敗事例①三菱地所
出典:三菱地所
1980年代の日本がバブル期、三菱地所がロックフェラーセンターを買収したケースを見てみましょう。
- M&A相手方:RGI(ロックフェラーグループ)
- 買収総額:約8億4600万ドル(約1200億円)
①M&A目的・経緯
日本の異常な土地高騰で勢いを増した不動産会社・三菱地所は世界戦略の一環として、ニューヨークの象徴であるロックフェラーセンターを買収しました。
しかし、このM&Aはニューヨーク市民の大きな反感を買い、決して好ましい買収劇というわけではありませんでした。
②失敗理由
「バブル景気」という、かなり異常な状況下でのM&Aでしたが、グローバル戦略目的で他の買収候補との競り合った結果、買収価格の高騰が失敗理由といえます。
この多額のお金を支払っても、満足できるシナジー効果が得られるとは限りません。
その上、追い打ちをかけるようにバブルが崩壊し、結果として莫大な赤字を出してしまいました。
三菱地所は1,500億円の特別損失を計上、その後は物件のほとんどをアメリカに売り戻しています。
M&A失敗事例②パナソニック
出典:パナソニック
2009年にパナソニックが株式公開買付けで三洋電機を連結子会社化したケースです。
- M&A相手方:三洋電機
- 買収方法:株式公開買付け
①M&A目的・経緯
パナソニックは、電気・電子機器の製造と販売強化のため、三洋電機を株式公開買付けで連結子会社化しました。
M&A自体には、さほどトラブルとみられる事実は確認されていません。
②失敗理由
大きなシナジー効果は期待されていましたが、結果的にM&Aは失敗となってしまいました。
その理由は、リチウムイオン電池事業の価値が下がった点にあります。
円高・ウォン安でリチウムイオン電池の価値が3割ほど下落、赤字が続きました。
また、三洋電機との間で利用できる技術が少なかった点も失敗の理由にあげられています。
この失敗でパナソニックは7,721億円の赤字を計上(2012年3月期の連結決算)しています。
M&A失敗事例③古河電工
出典:古河電工
2001年に古河電工がルーセント・テクノロジーズを買収したケースです。
- M&A相手方:ルーセント・テクノロジーズ
- 買収方法:光ファイバー部門買収
①M&A目的・経緯
古河電工は海外事業強化のため、情報・通信業を展開していたアメリカのルーセント・テクノロジーズ社と交渉します。
光ファイバーによる通信が好調だったため、3年間で900億円もの設備資金を投じました。
この時点では両社ともウィンウィンの関係だったと言えます。
②失敗理由
古河電工が買収に失敗した要因は、北米エリアの不況でした。
獲得した光ファイバー事業は、買収後に4期続けて赤字を出すこととなります。
不況に陥ったことで、2002年に多額の赤字(1,000億円の評価損)を計上しました。
M&A失敗事例④富士通
出典:富士通
1990年に富士通がICLを完全子会社化したケースです。
- M&A相手方:ICL
- 買収総額:1,890億円
①M&A目的・経緯
富士通が海外事業強化のため、ITサービスを展開していたイギリスのICLと交渉します。
富士通はイギリスのみならず、ドイツ企業・北欧ビジネスの買収等を積極的に展開、ICLとM&A交渉もヨーロッパ市場獲得の一貫して行われました。
②失敗理由
富士通の買収が失敗した理由は、純資産の低下・子会社事業の上場中止が重なった点です。
ヨーロッパの企業を次々に買収した結果、富士通の純資産は大幅に低下しました。
その結果、富士通は約2,900億円の評価損(2007年3月単独決算)が出ました。
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こちらでは、M&A失敗の理由について4つ取り上げます。
- 期待した売上にならない
- リサーチ不足
- 粉飾決算や簿外負債
- 人材流出
M&A失敗の要因①期待した売上にならない
こちらは三菱地所がロックフェラーセンターを買収したケースが良く当てはまります。
世界戦略の象徴として、ロックフェラーセンター買収に約1200億円もの巨費を投じたものの、その買収価格を上回るシナジー効果は得られませんでした。
売り手の売り上げ見込みといった事業計画が、M&A当初見込んでいた予想を大きく下回ることはもちろん、競争環境の変化や市況悪化等のいわばやむを得ない事情によって、想定外となるケースがあげられます。
M&A失敗の要因②リサーチ不足
こちらの失敗要因は、パナソニックが株式公開買付けで三洋電機を連結子会社化したケースがあげられます。
大きなシナジー効果を期待していたリチウムイオン電池事業の価値が、円高・ウォン安で予想外に下がり、損失を出してしまいました。
- 本業以外の事業分野の売り手を買収する場合のリサーチ不足・収益の見込みの甘さ
- 経済の動向をもう少し入念にリサーチすべきだった
上記の様な要因があったと思われます。
経済の動向はもちろんですが、世界的な経営の潮流に乗り遅れた投資をすることもリスク要因となります。
景気の動向・世界的な経営の潮流の綿密な把握・分析が必要です。
M&A失敗の要因③粉飾決算や簿外負債
M&Aに失敗してしまう要因の3つ目は、粉飾決算や簿外負債です。
粉飾決算とは、実際は赤字だった決算を、つじつまが合うように調整してあたかも黒字決算のように見せかけることです。
また、簿外負債には未払いの給料や、残業代などが含まれており、気付かず引き継がれると後からトラブルに発展しやすくなります。
粉飾決算は当然ですが、簿外債務の見落としなどがないかは十分に注意する必要がありそうです。
M&A失敗の要因④人材流出
その他に気を付けなければいけないのは
- 売り手側の従業員が買収により無力感・モチベーションも低下しまともに働かなくなること
- 待遇の良いライバル企業の誘いに買い手を見限り引き抜かれること
このような人材の流出が発生しては、製品やサービスの質が保てなくなります。
当然収益が悪化することでしょう。
人的リスクも事前によく把握し、待遇の維持・改善を検討しなければいけません。
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M&Aで失敗しないための注意点15選!成功のための対策を買い手・売り手別で徹底解説
M&A成功のまとめ
M&Aは、たとえ買い手が誠意をもって売り手の職場環境の維持・改善に努めたとしても、市場や業界の急激な変化の波に対応できず失敗するケースもあります。
とりわけ買い手側はM&Aで、コストを上手く抑制して事業拡大・新規事業の開拓を目指すことができます。
しかし、買収価格の査定を誤ると、価格に見合った十分なシナジー効果が得られないばかりか、大損失を被るリスクも存在します。
M&Aを実行する前には、十分な市場経済の状況把握・国内や海外の経営の潮流を分析ることが大切です。
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