株式譲渡とは、株主である譲渡人と譲受人との間で自由に譲渡が可能な仕組みです。
しかし、株式のなかには「譲渡制限株式」といって、譲渡が制限されているものもあります。
譲渡制限株式の場合は、自由な譲渡する事は出来ず、株主総会または取締役会で承認してもらう必要があります。
このように、株式の性質によっては譲渡プロセスに違いがあり、困惑してしまう株主も少なからずおられることでしょう。
そこで、この記事では、株式譲渡とは何か、株式譲渡の手続きや譲渡制限株式の譲渡方法や手順、譲渡の際の注意点などについて解説していきます。
- 株式譲渡とは保有する株式を譲渡すること
- 株式譲渡によるM&Aも主流となっている。
- 譲渡制限株式の譲渡はには株主総会の承認が必要となる。
- 株式譲渡に必要な書類は意外に多い!?
- 譲渡制限株式の譲渡方法を解説
- 株式譲渡に関する注意点とは?
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こちらでは株式譲渡の内容と譲渡方法を解説します。
株式譲渡とは?
株式譲渡とは、会社経営権を譲渡する行為のことであり、会社買収(売却)の一つの手法です。
M&Aでは、他社に株式譲渡を行うことで、経営権を譲渡する報酬として、潤沢な譲渡益を得られることが期待できます。
株式は当事者で自由に譲渡できるのが建前ですが、実際はそう簡単にいかない事情があります。
株式を第三者に譲渡する場合は、適切な手続きを踏まないと譲渡が認められない場合もあるのです。
そのため、自由に譲渡できるといわれている株式でも、慎重な作業が求められます。
株式譲渡は、保有する株式を譲渡することであり、会社を売買するM&Aの手法の一つとも言える。
譲渡制限株式とは?
株式の譲渡制限は、ご自身が保有している株式であっても、本人の親族・他の投資家、企業に譲渡する行為を制限する取り決めです。
譲渡制限されている株式は「譲渡制限株式」と呼ばれ、設立間もない企業や中小企業など、規模があまり大きくない企業がこの株式を主に採用しています。
もしも譲渡制限株式を株主が譲渡したい場合には、株主総会または取締役会から承認されなければいけません。
譲渡制限株式は、中小企業などに多く見られる株式の一つであり、譲渡をする場合には株主総会などの承認が必要となる株式である。
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譲渡制限株式とは?メリット・注意点や売却時の手続き方法を事例をもとに徹底解説!
株式譲渡の手続きの手順
こちらでは、株式譲渡手続きの各プロセスについて解説していきます。
- 譲渡制限がない株式譲渡の流れ
- 株式譲渡契約の締結・譲渡実行
- 株主名簿の名義書換請求
- 株主名簿書換
譲渡制限がない株式譲渡の流れ
譲渡制限がない株式譲渡手続きは次の通りです。
- 株式の譲渡制限を確認
- 株式譲渡契約の締結・譲渡実行
- 株主名簿の名義書換請求
- 株主名簿書換
譲渡制限がないことを確認した後、上記の4つのプロセスを経て株式譲渡が行われます。
後述する譲渡制限よりは、クリアしなければならない請求手続き・決議はそう多くありません。
ただし、自由に譲渡できるからといっても譲渡人と譲受人の間では、株式譲渡契約書の取り交わしが大切です。
株式譲渡契約書には、記載しなければいけない事項をもれなく明記し、株式譲渡の際にトラブルとなった場合を想定した、慎重な対応が求められます。
また、譲渡の実行後は対象会社に対し、株主名簿の名義書換請求を行います。
株式譲渡契約の締結・譲渡実行
株式の譲渡制限の有無を確認後、譲渡制限が無い場合は譲渡人と譲受人の間で、株式譲渡契約書を取り交わします。
株式譲渡契約書の記載内容は次の通りです。
株式譲渡契約書 | 内容 |
---|---|
譲渡合意 | 株式取引の主な内容として、株式の種類・譲渡する株数を明記。 |
支払い方法 |
譲渡代金・支払期日・振込先口座を明記。 ※現金で支払いを行う場合、「現金で支払う」と明記 |
株主名簿の名義書換(※) | 譲渡人・譲受人が名義書換で協力することを明記。 |
表明保証 | 特定の事項が真実・正確なことを表明し、保証する。 |
契約解除 |
相手方の契約・表明保証違反が契約解除となることを明記 ※損害があれば、賠償義務の発生を記載するのが一般的 |
(※)株主名簿の名義書換は原則として、譲渡人・譲受人が共同して請求する必要があります。
土壇場で相手方に協力を拒否されては困るため、こちらも明記します。
株式譲渡契約書作成後は、譲渡人・譲受人のそれぞれが記名・押印します。
また、株券発行会社の場合、上記に加えて株券の交付も必要です。
株主名簿の名義書換請求
株式譲渡契約を締結しても、契約が有効なのは譲渡人・譲受人の間だけです。
また、株式会社・第三者に対抗するために、株主名簿の名義書換えが必要です。
もし、株主名簿の名義書換えをしなければ、会社は株式取得者(譲受人)のことを株主と認める必要もありません。
よって、株主総会で議決権を行使することもできず、配当を受け取ることもできないことになります。
原則、譲渡人と譲受人が共同して会社に対し、株主名簿書換請求をします。
ただし、株式取得者(譲受人)単独による株主名簿の名義書換え請求が認められるケースもあります。
それは、利害関係人の利益を害するおそれがないとして法務省令で定められている場合です。
具体的には次のケースが該当します。
- 譲受人が相続等の一般承継で当該株式会社の株式を取得した者である場合、一般承継を証する書面等を提出して請求した
- 譲受人が株券喪失登録者なら、当該譲受人が株券喪失登録日の翌日から起算して1年を経過した日以降、請求をした(株券喪失登録が当該日前に抹消された場合を除く)
- 譲受人が株券を提示して請求した
とはいえ、株式取得者(譲受人)単独による株主名簿書換請求は、上記のように限られており、譲渡人・譲受人と協力して請求しなければいけないケースがほとんどです。
前述した株式譲渡契約書をしっかり取り交わし、譲渡の際にトラブルが発生しないよう十分注意しましょう。
株主名簿書換
対象会社で株主名簿の名義書換を行います。
この手続きを踏めば、譲受人が新株主になり経営権が譲渡人から移行します。
なお、基本的に株式譲渡後、譲受人は対象会社の新株主として議決権を行使して株主総会等を開催します。
そこで、新役員等を選任、新経営体制を発足させます。
このプロセスを終え、株式の譲渡は名実ともに第三者へも効果を発揮します。
株式譲渡が完了したら、名義書換を行い株主総会を開催して経営陣の体制を変える事で、名実ともに株式譲渡が完了する。
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こちらでは、株式譲渡手続きに必要な書類をケース毎に取り上げます。
株式譲渡手続きに共通する必要書類
譲渡制限のない株式・譲渡制限株式いずれの場合も、次の書類が必要となります。
- 株式譲渡契約書
- 株式名義書換請求書
- 株式名簿
- 株主名簿記載事項証明書交付請求書
- 株主名簿記載事項証明書
- 取締役の決定書
株式譲渡契約書
前述した譲渡人と譲受人が交わす契約書です。
具体的な項目として、譲渡株式数・譲渡価額などの基本条件や代金の支払方法等を記載します。
株式名義書換請求書
譲渡人と譲受人は共同で作成します。
請求書には「上記の貴社株式につき会社法第133条第2項の規定に基づき、共同して名義書換を請求します」という文言を記載し、次の事項を明記します。
用紙は対象会社で準備していることがあります。
- 届出年月日
- 株式の種類
- 総株式数
- 株主(譲渡人)氏名・住所・電話番号・押印(実印)
- 株式取得者(譲受人)氏名・住所・電話番号・押印(実印)
法人の場合は商号、代表者役職名・代表者名を明記します。
実印で捺印し、発行後6ヶ月以内の印鑑証明書(原本)を添付して対象会社へ提出します。
株式名簿
株式譲渡を行われ、株主名簿を書き換える際に必要です。
記載が必要な事項は次の通りです。
- 株主の氏名・住所
- 株主の有する株式の種類・数
- 各株式の取得年月日
- 株券を発行している場合にはその番号
株主名簿記載事項証明書交付請求書
譲受人の譲渡株式が自分の名義に変更されたか否かを確認するため対象会社へ請求する書面です。
用紙は対象会社で準備していることがあります。
書面に「貴社株式について株主名簿記載事項証明書の交付を請求します」と明記し、次の事項を記載します。
- 請求者:新しく株主になった(譲受人)氏名・住所・電話番号
- 証明日
- 使用目的
法人の場合は、商号・代表者役職名・代表者名を明記します。
実印で捺印し、発行後6ヶ月以内の印鑑証明書(原本)を添付して対象会社へ提出します。
株主名簿記載事項証明書
株主名簿記載事項証明書交付請求書が提出された場合に請求者に渡す証明書です。
代表取締役(委員会設置会社は代表執行役)の、署名または記名押印がされた書面となります。
株式の譲渡は、株券を引き渡す必要があるものの、株券を発行しないことを定款で定めている会社は株券が存在しません。
そこで、株主記載事項証明書が株券に代わり、株式の所有者であるのか否かを確認するための書類となります。
次の事項を記載されています。
- 株主の氏名または法人名・住所
- 株式保有数
- 株式の種類
- 取得年月日
取締役の決定書
取締役会設置会社の場合のみ必要です。
取締役会で協議し、決議した内容を証明するための書類となります。
譲渡制限株式の株式譲渡手続きに必要な書類
譲渡制限株式の場合は次の書類が必要となります。
- 株式譲渡承認請求書
- 株主総会招集通知
- 株主総会議事録
- 株式譲渡承認(または不承認) 通知書
株式譲渡承認請求書
譲渡株式の譲渡人・譲受人が共同で会社に提出する書類です。
- 私は、私が保有する貴社の普通株式を下記のとおり譲渡するため、会社法第136条、同第138条1号に基づき、貴社に対して株式譲渡の承認を請求いたします
- 貴社が承認しない旨の決定を行う場合には、貴社又は会社法第140条第4項により貴社の指定する買取人が買い取ることを請求いたします
書面には上記の文言を忘れずに記載します。
その上で次の事項を明記します。
- 譲渡する株式の種類・数
- 譲渡の相手方氏名・住所
- 譲渡人の氏名・住所
株主総会招集通知
譲渡株式の承認する場合、株主総会による決議を必要とするなら、会社が臨時株主総会を開催しなければいけません。
その際に株主招集通知の書面を株主へ送ります。
株主総会議事録
株主総会を開き、決定した内容について議事録へ残す必要があります。
議事録には次の内容を明記します。
- 開催日時
- 参加者
- 議論の内容の要約
など
株式譲渡承認(または不承認)通知書
会社から株式譲渡を承認されたならば、譲渡人・譲受人へに株式譲渡承認通知書が送付されます。
一方、否認された場合は、買取人の指定を求められているならば、会社または会社が指定した買取人へ譲渡することになります。
否認された場合や株式の買取で協議がまとまらない場合は、最終的に裁判所の判断が必要となってきます。
ここまでくると面倒な事態になるので、会社と譲渡請求者の歩み寄りが大切です。
なお、必ず提出するべき書類では無いものの、裁判所による解決の必要性がある場合、「株式譲渡価格決定の申立書」の作成も行います。
譲渡制限株式の株式譲渡手続きに関しては次章で解説します。
株式譲渡が否認され、株式の買取り協議がまとまらない場合は、最終的に裁判所の判断になる。
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こちらでは、譲渡制限株式の譲渡の共通の流れ、譲渡制限株式の譲渡が承認された場合の流れ、不承認の場合の流れ、裁判所による株式譲渡価格決定の流れを解説します。
- 譲渡制限株式の譲渡の共通の流れ
- 譲渡制限株式の譲渡が承認された場合の流れ
- 不承認の場合の流れ
- 裁判所による株式譲渡価格決定の流れ
譲渡制限株式の譲渡の共通の流れ
非上場・非公開株式会社の株式は、そのほとんどが譲渡制限株式とみてよいでしょう。
こちらの株式を譲渡する場合は、文字通り「譲渡が制限」されているため、株主総会または取締役会で承認してもらうことが必要です。
- 株式の譲渡制限の有無をチェック
- 対象企業へ承認請求
- 株主総会または取締役会で承認するか決める
株式の譲渡制限の有無をチェック
まずは譲渡制限株式の有無を確認します。
対象企業へ承認請求
対象企業へ譲渡の承認請求手続きを行います。
譲渡人・譲受人が共同で株式譲渡承認請求書を提出します。
株主総会または取締役会で承認するか決める
株式譲渡承認請求書を提出後、その書類を受け取った対象企業は、原則として株主総会または取締役会を開催します。
この請求を認めるかどうか審議し、承認された場合、否決された場合でその後の流れが大きく変わります。
譲渡制限株式の譲渡が承認されたケース
承認された場合は譲渡人・譲受人に株式譲渡承認通知書が送付されます。
その後は、前述した譲渡に制限のない株式と同様の流れとなります。
- 株式譲渡契約の締結・譲渡実行
- 株主名簿の名義書換請求
- 株主名簿書換
- 株主名簿記載事項証明書の交付
株主名簿記載事項証明書の交付まで終われば安心です。
なお、株券発行会社の株式を譲り受けた場合、株券のある株式は譲受時、譲受人へ株券交付がなされているはずです。
それならば、手間のかかる手続きを行う必要はありません。
この場合、株券を有している者が株主であると推定されますので、株主名簿記載事項証明書の交付請求は不要です。
一方、不承認の場合には、いろいろと手間がかかる事態となります。
譲渡制限株式の譲渡が不承認とされたケース
残念ながら不承認とされた場合、会社は2週間(定款で2週間を下回る期間を定めたらその期間)以内に通知をします。
2週間を経過しても通知がこなければ、会社に不手際があったかどうかにかかわらず、譲渡を「承認した」ものとみなされます。
不承認通知後は、承認請求者としては会社との調整を行いつつ、満足できる価格で買取してもらえるかが争点となります。
ただし、必ずしも承認請求者本人の意見が通るわけでは無い点に注意しましょう。
不承認決定後は次の流れとなります。
- 買取先を決める
- 特別決議
- 供託
- 株券供託
- 協議開始
買取先を決める
会社側は買取先として、会社・指定する買取人・二者共同いずれかを決めます。
買取先が会社なら、供託証明書面(1株あたり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額)を請求した株主へ交付し、不承認通知日~40日以内に買い取る株式の種類・数が決定されます。
指定買取人が買い取る場合、不承認通知をした日から10日以内に通知します。
特別決議
不承認をしたのが株主総会なら買取決議も株主総会、不承認をしたのが取締役会なら買取決議も株主総会で決議します。
供託
会社または指定買受人が株主への買取通知前、会社の本店所在地で買取相当額(一株あたりの純資産額×買取株式数)を、法務局へ供託します。
株主に対し供託証明書面の交付等を通知します。
会社が買い取る場合なら不承認通知日~40日以内、指定買取人が買い取るなら不承認通知をした日から10日以内です。
ただし、定款で期限が短縮されていることもあります。
株券供託
株式の株券が発行されている場合は株券を供託します。
供託証明書面の受領日~1週間以内に行います。
供託後は遅滞なく供託した旨を会社へ通知します。
供託せず1週間経過すると、会社・指定買受人は譲渡契約解除が可能です。
協議開始
買取通知受領後、株主・会社または指定買取人の協議に移行して、譲渡価格に合意するか否かが決められます。
こちらで、協議が決別すると裁判所に価格を決めてもらう事になります。
そこまでするのに抵抗のある株主が妥協する場合、会社または指定買受人から協議が合意できなかった証明書を提出する必要があります。
この段階で話がまとまればようやく一連のプロセスが完了します。
しかし、納得いかなければ司法機関である裁判所から代わりに価格を決めてもらいます。
もちろん、裁判所への申し出を行う手続きは必要ですし、価格決定までにはそれなりの時間もかかります。
会社・指定買受人と話し合って、ある程度歩み寄れたなら、買取価格に合意した方が良い決断かもしれません。
協議が決別する場合や話がまとまらない場合は、裁判所の判断に委ねることになる。
裁判所による株式譲渡価格決定の流れ
残念ながら合意に至らなければ、最終的に裁判所に価格を決めてもらう事になります。
ここまでくると互いの信頼関係にひびが入っていることも考えられます。
裁判所から双方の意見が聴取されますので、感情的にならず対応することが大切です。
- 申し立て
- 聴取
- 抗告
申立
当事者のいずれかが、買取通知受領後20日以内に「株式譲渡価格決定の申立」を行います。
聴取
申立後、裁判所は審問で当事者の意見を聴取します。
更に、専門家の意見なども参考に適正価格が決まります。
なお、裁判所から和解を促されることもあり、この和解も不調に終われば、裁判所が最終的に価格を決めます。
抗告
どちらかが裁判所が決めた価格にも不服がある場合、裁判の告知を受けた日~2週間以内に抗告も可能です。
この2週間を経過後、裁判所の決定した譲渡価格が確定します。
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こちらでは、株式譲渡の3つの注意点を紹介します。
- 株式譲渡制限の確認
- 株式譲渡に掛かる税金
- 株券の発行は必要になる?
株式譲渡制限の確認
株式の譲渡制限の確認をします。
株式の譲渡制限とは、株式を売買するとき会社の承諾を得なければいけない決まりを指します。
会社が株式の譲渡制限を定めているかの確認は、「登記簿謄本」を調べれば確認できます。
また、会社の定款に株式譲渡制限がある場合は、会社の承諾なしに株式譲渡の手続きは行えません。
会社の登記簿謄本とは「履歴事項全部証明書」のことであり、こちらは所定の手数料を支払うことで誰でも取得が可能です。
手元に会社の登記簿謄本が無ければ、法務局の窓口で交付請求ができます。
また、郵送申請・オンライン申請も可能なので、登記簿謄本が必要なときはいずれかの方法で請求手続きを行います。
なお取得手数料は次の通りです。(1通)
- 窓口:600円
- 郵送:600円
- オンライン請求・郵送:500円
- オンライン請求・窓口:480円
譲渡する株式の種類を確認する必要がある。譲渡制限株式ならば承認が必要となるため、自由に譲渡できない。
株式譲渡に掛かる税金
株式譲渡で譲渡した側に譲渡益が発生したならば、もちろん税金が課されることになります。
- 譲渡した側:譲渡所得税
- 譲渡した側:分離課税
- 譲受けた側:時価で取得・無償等で取得
譲渡した側:譲渡所得税
個人が株式を譲渡したならば、譲渡益へ譲渡所得税が課されます。
譲渡益の計算は次の通りです。
総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)
譲渡所得税の内訳は次の通りです。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
→合計20.315%
なお、株式譲渡における譲渡所得税は、他の税金と通算しない分離課税の対象となります。
事例をあげて計算してみましょう。
- 譲渡価額:2,000万円
- 必要経費:600万
2,000万円-600万=1,400万円
1,400万円×0.20315=2,844,100円
2,844,100円分の税金を支払うことになります。
なお、非上場株式の場合は取得費用がわからないケースの場合は、譲渡価額の5%を取得費用にして計算します。
譲渡した側:分離課税
こちらは、対象となる所得に対し別々に税金をかける方法です。
譲渡所得は株式譲渡をはじめ山林所得・退職所得・土地建物などの譲渡が分離課税に該当します。
対象となる所得にまとめて税金をかける、総合課税とは仕組みが異なるので注意しましょう。
譲受けた側:時価で取得・無償等で取得
株式譲渡を時価で行なった場合は、譲受人(買い手)が個人や法人であっても、買い手には税金が課せられません。
ただし、中小企業の同族会社の場合、親族間で株式を時価より安くまたは無償で譲渡することがあります。
このようなケースでは譲り受けた親族に贈与税が課されること、譲渡所得ではなく給与所得や一時所得とみなされることもあります。
株券の発行は必要になる?
老舗と呼ばれる企業で株券発行会社のままなら、株式譲渡には株券の交付が必要です。
株券交付がなければ株式譲渡の効力は否定されます。
そのため、株券発行請求書を会社に提出し、速やかに株券発行してもらいましょう。
なお、株券発行会社か不発行会社か不明な場合、法人登記を確認します。
法人登記に「株券を発行する」と明記されているなら株券発行会社です。
ただし、現在は株券不発行会社が非常に増えてきています。
もちろん、株券不発行会社の場合、譲渡の手続きが終われば、前述したように株主名簿記載事項証明書の交付請求が必要です。
株券発行会社なら、株券発行請求書を提出して株券発行をして貰う。
株券不発行会社の場合は、株主名簿への記載をして貰う必要がある。
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こちらでは、株式譲渡のよくある3つの質問を紹介します。
- 株式譲渡に関するアドバイスが受けられるサービス
- 有限会社は株式譲渡は可能なのか
- 株式譲渡価格決定の申立書
「株式譲渡に関するアドバイスが受けられるサービス」・「株式譲渡価格決定の申立書」の2点を取り上げます。
株式譲渡に関するアドバイスが受けられるサービスはある?
株式譲渡に関しては、会社法に詳しい弁護士のアドバイスがまず考えられます。
顧問弁護士がいるなら、まずその方にいろいろなサポートを受けるべきでしょう。
一方、M&Aのために株式譲渡を行う場合は、M&A仲介会社のアドバイスを受けるのも良い方法です。
M&A仲介会社とは?
企業そのもの、または事業の売却(買収)の際、相手方をマッチングしてくれるM&A専門サービス会社です。
仲介会社では、M&Aのトータル的なサポートの他、長年培ってきたノウハウを活かし、株式譲渡のトラブルを回避する対策を提案してくれることもあります。
M&Aの交渉ばかりではなく、株式譲渡のアドバイスも無料で受け付けている業者もあるので、心配なことがあればアドバイザーへ相談してみましょう。
気になる報酬
M&A仲介会社に法定料金のようなきまりはなく、各社で自由に料金を設定しています。
前述したように、M&A交渉・株式譲渡の相談は無料で、基本的にM&Aが成約した場合にだけ成功報酬を受け取るところもあります。
また、着手金や月額報酬を支払い、その中に株式譲渡の相談等の料金も含まれているところもあります。
M&A仲介会社は、M&A交渉の際に頼りとなる業者ですが、将来のM&A交渉の成功を踏まえ、事前に株式譲渡の相談も行っていた方が無難です。
もちろん、M&A交渉が不成立で株式譲渡の行われない場合でも、次のM&A交渉の際に、アドバイザーから得た知識が活かされることでしょう。
有限会社は株式譲渡は可能なのか
結論から言うと、有限会社でも株式譲渡を行うことはできます。
ただ、有限会社が株式譲渡をする際には、気を付けなければならないポイントもいくつかあります。
まず、会社法の制定によって新しく「有限会社」を設立することはできなくなりました。
もともと「有限会社」として設立されていた会社は「特例有限会社」としてそのまま残しておくことが可能です。
「特例有限会社」の場合は、株式譲渡をする際に会社の承認を受ける必要があります。
また、譲渡制限株式の廃止はできませんので、そこは注意が必要です。
株式譲渡価格決定の申立書の記載例を知りたい
申立てする場合の書面の内容は次の通りですので、参考にしてください。
また、申立書には収入印紙も必要です。
申立書の内容
第1:申立ての趣旨
「別紙株式目録記載の株式について、その売買価格を1株当たり〇〇円とする。」との裁判を求める。
と記載します。
ご自分が希望する価格を明記します。
第2:申立ての理由
(1)株式会社〇〇(以下「本件会社」という。)は、定款第〇条において「当会社の株式を譲渡により取得する場合、当会社の承認を受けなければならない。」との規定を設けている株式会社である。
(2)相手方は、本件会社の株式を有する株主であるが、令和〇年〇月〇日付株式譲渡承認請求書をもって、別紙株式目録記載の株式(以下「本件株式」という。)を〇〇(氏名または法人名)に譲渡することの承認及び承認しない場合には他の譲渡の相手方を指定するよう本件会社に対し請求し、同通知書は〇月〇日に本件会社へ到達した。
(3)本件会社は、令和〇年〇月〇日の取締役会において、相手方の譲渡承認請求を承認しないこと及び申立人を指定買取人として指定する旨を決議し、相手方に対して,同月〇日付通知書をもって、相手方の株式譲渡を承認しない旨及び申立人を指定買取人に指定したことを通知し、同通知書は〇月〇日に相手方へ到達した。
(4)申立人は、本件会社の最終の決算期時点における純資産額を発行済株式総数で除した額に本件株式の数を乗じた金額として金〇〇円を令和〇年〇月〇日に〇〇法務局へ供託し、〇月〇日付通知書に上記供託にかかる供託収入印紙(1,000円)証明書を添付して、相手方に対し、申立人が本件株式を買い取る旨を通知し、同通知書は〇月〇日に相手方へ到達した。
(5)申立人及び相手方は、〇月〇日、本件株式の売買価格について協議を行ったが、合意を形成するには至らなかった。
(6)よって、申立人は、会社法144条7項が準用する同条2項に基づき本件株式の価格の裁判を求める。
内容について
非常に堅苦しい文章となっていますが、要は譲渡承認を得たかったのに不承認とされ、会社に株を買い取ってもらいたかったけど、協議がうまくいかず、裁判所に価格を決めてもらうことにしましたという内容です。
おそらく、ご自身がたてる弁護士も、似たような申込書を用意するはずです。
裁判所での審理の際は、ご自身の希望価格・その理由を率直に述べましょう。
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株式に譲渡制限があるか・ないかで譲渡のためのプロセスは異なってきます。
その過程で譲渡に支障がでることは十分想定されます。
場合によっては裁判所で価格の設定を決める必要も出てくるかもしれません。
株式譲渡のとき想定されるリスクに関して、事前に把握し対策も講じておきましょう。
譲渡手続きの段階でトラブルが起きた場合のことも考慮し、会社法に詳しい弁護士等の専門家の意見を十分参考とした方が無難です。
株式譲渡をお考えの経営者様で、費用もサポートもどちらも譲れない方には、完全成功報酬制の「M&Aアドバイザー」がおすすめです。
まずはご相談から無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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