子会社化とは、他社の経営権を獲得し自社の傘下に入れる経営手法です。
他社を買収することで、自社の更なる成長につながった事例も数多くある事から、企業買収・子会社化は身近な戦略の一つと言えるでしょう。
子会社化のための買収には、確かに大きなメリットはあるものの、無視できないデメリットも存在します。
この記事では、子会社化の特徴とメリット・デメリット、合併やグループ化との違い、M&Aで子会社化する方法とその成功例を解説します。
- 子会社化の基本を紹介!子会社化の流れは5STEPで難しくない
- 子会社化するメリット・デメリットをそれぞれ紹介
- 子会社化と合併・グループ会社の違いは「経営権」がカギ
- 子会社化する方法と成功例
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事業/会社売却の相手を探す!目次
子会社化とは?
子会社と親会社の大きな違いは、「経営権の有無」です。
子会社の経営権は親会社が握っているため、子会社は親会社のコントロール下には基本いることになります。
さらにこの下では、子会社化とはどんな手法、友好的買収と敵対的買収、子会社化の流れについて解説します。
子会社化とはどんな手法か
子会社化とは、他社に買収され成立する会社のことです。
子会社化は企業成長と再生の手法
「子会社」とは、財務・営業または事業の方針決定する機関(株主総会その他)を、他の会社(親会社)によって支配されている会社を指します。
そして「子会社化」とは、他社の経営権を獲得し自社の傘下に入れる経営手法です。
とはいえ、売り手としては子会社化されたとしても、親会社である「買い手」へ隷属したというわけではありません。
親会社から経営資金を獲得し、自社の独立性を維持できることは十分期待できます。
友好的買収・敵対的買収
子会社化を行う過程で「友好的買収」または「敵対的買収」と呼ばれる買収行為が行われ、2つの違いは、買収対象企業の同意の有無です。
友好的買収は売り手・買い手が協力し合い、円滑に買収を話し合いで進める手法です。
日本国内で実施されているほとんどのケースは友好的買収であり、子会社化される企業の意見(もちろん経営者のみならず従業員の意見)も汲みながら買収が行われます。
しかし、80年代・90年代には、敵対的買収のようなことも頻繁に行われました。
いかに資金力があるからと言って、資金力を武器に他社の株を買い占め有無も言わさず、強引な買収を実現させることは避けた方が無難です。
子会社化の流れ
買収し子会社化する基本的な流れは次の通りです。
- 手順1:買収先を選定する
- 手順2:専門業者と委託契約締結
- 手順3:売り手と交渉・買収の手続き開始
- 手順4:企業調査実施
- 手順5:最終契約書の締結
買収先を選定~最終契約書の締結
手順1:買収先を選定する |
自社の戦略・ニーズにあった売り手または買い手を探します。
その場合に、地元の金融機関等に相談してみると、良い売り手または買い手を紹介してくれるかもしれません。
しかし、新たな地域で買収を予定しているなら、M&Aの「マッチングサイト」へ登録するのも良い方法です。
サイト登録には、以下の情報を登録します。
- 自社情報の業態・規模
- 活動エリア
- 収益
- 買収の理由 等
なお、買い手が登録する場合は有料となるケースも多いです。
売り手なら大概は手数料等が無料です。
手順2:専門業者と委託契約締結 |
マッチングサイト等に登録後、M&A専門である業者と委託契約を締結します。
当然、買収は秘密保持が重要になります。
そのため、秘密保持契約の締結も同時に行われるはずです。
契約後は売り手・買い手とも専門業者アドバイス・サポートを受けつつ、交渉相手を見つけ交渉が開始されます。
なお、専門業者は口を出さず、交渉相手を見つけたら直接当事者が話し合って決めるマッチングサイトもあります。
手順3:売り手と交渉・買収の手続き開始 |
売り手・買い手の経営者同士が面談を開始します。
お互いの歩み寄れる条件交渉が求められます。
専門業者に依頼している場合、間に立って交渉を調整してくれることもあります。
手順4:企業調査実施 |
売り手・買い手の話し合いが上手くいけば、いきなり子会社化に踏み切るのではなく、後述する「デューデリジェンス」という作業を行い、売り手を子会社化しても大丈夫か判断します。
このデューデリジェンスは、専門業者が請け負ってくれる場合もあります。
その他、税理士・会計士等に依頼して行ってもらうことができます。
手順5:最終契約書の締結 |
デューデリジェンスを行っても、売り手が大きな負債を隠している等、特段の問題が見つからなければ、条件交渉によって取り決めた内容・買収金額を確認し最終契約書の締結を行います。
最終契約書は、買収交渉に詳しい弁護士・M&A専門業者からアドバイスを受けつつ作成しましょう。
子会社化してからが正念場か?
無事M&Aで契約が締結しても『子会社化成功』とは言えません。
契約締結後も慎重に子会社化を進める必要があります。
(1)違う企業文化であることは認め合う
もともと他社だった企業が子会社となった以上、企業文化に違いがあるのは当たり前です。
親会社が無理に自社の方針へ合わせるよう命令すれば反発も招きます。
親会社は子会社が、余程ひどい業務運営でも行っていない限り、出来るだけ子会社側の自主・自律性に任せた方が無難です。
(2)子会社化の成功例は段階を踏む?
子会社化に成功した企業のほとんどは、いきなり議決権の100%を取得して完全子会社化した訳ではありません。
やや段階を踏んで、じっくり売り手の事業状況をみながら完全子会社化に踏み切っています。
どのような方法で子会社化へ進んだかは後述します。
(3)M&A専門業者の助けを借りれるのか?
契約を締結した当事者同士、買収交渉が初めてだった場合、締結後の作業もアドバイスやサポートは受けたいものです。
全てではないですが、M&A専門業者の中には、締結後の作業・手続きの助力をしてくれるところもあります。
確実な成功のためには引き続いてサポートしてもらった方が良いでしょう。
ただし、別料金が発生するケースもあるので、依頼先によく確認しておきましょう。
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子会社化のメリット3選
こちらでは、子会社化のメリットである【事業拡大が容易】【新規事業もローコスト】【経営資源の獲得】の3つを取り上げましょう。
子会社化のメリット①:事業拡大が容易
子会社化のため同業の売り手を買い取る場合、市場のシェアを一気に拡大させる効果が期待できます。
例えば、特定の地域に密着した同業の売り手を買収すれば、信頼を向けている顧客も同時に買い手(親会社)がGETできます。
一般的に事業拡大や多角化を図る場合、買収無しで行うと中長期的な計画が必要になりますが、子会社化を行うと手っ取り早い成長が目指せます。
しかし、子会社化した売り手のこれまでのサービスを、全く無視した方針を行うと一気に顧客や、子会社化した従業員も離れてしまうので気を付けるべきでしょう。
子会社化のメリット②:新規事業もローコスト
同業以外の売り手を買収する場合、効率的に新領域へ参入できます。
新しい事業を一から始めれば、自社にノウハウが無いばかりか費用も時間もかかります。
しかし、新規事業開拓のために企業を買収をすれば、それらの手間を軽減しつつスムーズに新規事業が始められます。
当然ながら売り手の方が、買い手よりも当該事業に関するノウハウを持っていますので、余程の業績の低下でもない限り売り手の事業にあれこれ口出ししない方が無難です。
子会社化のメリット③:経営資源の獲得
子会社化を実施する際の交渉によって、売り手が所有する経営ノウハウ・技術力、何より優秀な人材等をまとめて獲得できる強みがあります。
また、以前のように取引先や顧客も引き継げれば、大きな利益UPが期待できます。
このように、子会社化は効率的に成長を目指すための戦略と言えます。
短期間で急激な成長を目指している企業には、子会社化は真っ先に検討したい選択肢の一つなのです。
事業/会社売却の相手を探す!子会社化のデメリット3選
こちらでは、子会社化のデメリット【売り手の負債】【買収に見合う成果があがらない】【従業員・顧客離れのリスク】の3つを取り上げましょう。
子会社化のデメリット①:売り手の負債
子会社化は前述したようにメリットの大きな手法ですが、売り手の負債をも引き継ぐ恐れがあることに注意しましょう。
後述する子会社化の方法の一つ「株式取得」では、売り手のプラスの資産だけでなく負債もまとめて引き継ぎます。
引き継いだ資産で「簿外債務」・「群発債務」等が隠れているリスクもあるのです。
この負債とは
- 簿外債務:貸借対照表に載っていない債務を指す。デリバティブ・保証に関わる偶発債務、会計操作による飛ばし行為があげられる。
- 群発債務:将来的に債務となることが予想される要素を指す。
これらの債務が買収後に発覚すると、事業拡大や新規事業開拓どころか、買い手は深刻な大損失となるおそれもあります。
子会社化のデメリット②:買収に見合う成果があがらない
自社の利益UPや経費削減を狙って子会社化を実施して、必ず期待通りの効果が得られるとは限りません。
多額の費用をかけた買収にもかかわらず、既にその分野が衰退に一途をたどる業種であったならば、思うような成果はあげられないはずです。
その後の経営存続に大きく影響することを認識し、自社のニーズを満足させる事業内容なのか、買収価格は過剰に大きく無いか等をよく検討した上で、売り手へ交渉を持ちかけることが大切です。
子会社化のデメリット③:従業員・顧客離れのリスク
子会社化して経営の主体が変わると、従業員や顧客が離れていくリスクも良く考慮しなければいけません。
従業員の場合は、経営方針・雇用条件に大幅な変更(以前より不利)となれば、他社からの引き抜きに応じたり、見限って退社したりする事態につながります。
たとえ雇用条件を維持または従業員へ有利にしても、親会社が上から目線で傲慢な対応をとれば、やはり人心は離れてしまいます。
また、顧客の場合は大幅なサービスの変更に困惑し、結果として他社に移ってしまうこともありますので、子会社化をしても、顧客に信頼されるサービス・システムづくりを模索する必要があるでしょう。
事業/会社売却の相手を探す!子会社化と合併との違いは?
こちらでは、子会社化と合併の内容を違いについて解説します。
子会社化すれば会社は存続
子会社化するための買収とは、売り手(買収される側)の株式の過半数以上を買い手(買収する側)が買取り、経営権を取得することです。
経営権とは、一般的に株式の過半数を有し、株主総会の「普通決議」を成立させることができる権利のことで、経営権を取得する事で売り手の会社・事業を取得することが可能となるのです。
企業買収の多くは株式譲渡という方法で行われ、オーナーである株主が、買い手に株式を売却し経営権も譲渡します。
つまり、株式を取得して「子会社」として支配するだけなので、子会社となった企業は消滅しません。
なお、子会社には次のような種類があります。
- 完全子会社:親会社(買い手)が議決権の100%を取得している会社。
- 連結子会社:親会社(買い手)が議決権の過半数を取得している会社。
- 非連結子会社:支配が一時的である子会社、親会社との利害関係が複雑な子会社、売上規模が小さい子会社が該当。
- 孫会社:子会社のさらに子会社のこと
- 兄弟会社:同じ親会社のある子会社
合併は売り手側がいずれにせよ消滅
合併とは、複数の会社を統合1つの会社にする手法です。
合併は包括的な承継であ、消滅する会社(売り手)の従業員・事業・設備・負債等の権利義務すべてが存続会社に移行します。
合併には次の2種類があります。
- 新設合併:2社以上が新たに会社を設立。[例]甲社(買い手)+乙社(売り手)→丙社誕生
- 吸収合併:2つの会社のうち片方の会社がもう片方の会社に吸収される。[例]甲社(買い手)←乙社(売り手消滅)
いずれにしても、売り手側は消滅することになります。
事業/会社売却の相手を探す!子会社化とグループ会社の違いは?
こちらでは、子会社化とグループ会社の内容の違いについて解説します。
実は子会社もグループ会社の一部
グループ会社とは、親会社・子会社・関連会社を含む会社のことです。
つまり、子会社はグループ会社の一部を構成している会社と言えます。
そして、子会社・関連会社は親会社の支配度に違いがあります。
関連会社は強く支配されていない会社?
関連会社とは、親会社から自社の財務・事業の決定に重要な影響を受けているが子会社といえない会社のことを指します。
①議決権保有比率20%以上
②議決権保有比率:5%~20%未満で次のいずれかに該当
- 役員等への就任
- 重要な融資を実施
- 重要な技術を提供
- 重要な販売・仕入れ等、事業上の取引あり
- その他、財務・事業の方針決定に際し重要な影響が推測される事実あり
③議決権保有比率15%未満・自己所有等議決権数20%以上で、かつ前述の「1」~「5」に該当
①、②、③のいずれかなら関連会社として規定されます。
関連会社の基準は、このように複雑な一面もあります。
そのため、子会社は「議決権の過半数以上が子会社」と単純に考えておいた方が良いでしょう。
事業/会社売却の相手を探す!M&Aで子会社化する方法
こちらでは、M&Aで子会社化する【株式取得】【事業譲渡】と言う2つの方法を紹介します。
子会社化が可能なM&A手法:株式取得
M&Aで子会社化できる方法には【株式取得】があげられます。
こちらは、買い手が、売り手の株式を取得して株主となる手法です。
取得する株式の割合によって経営権の取得はもちろん、売り手を100%子会社化することもできます。
株式の取得方法は下記の5つに分けられます。
こちらではそれぞれの特徴をみていきましょう。
株式譲渡
株式譲渡は、個人または法人が保有する株式を売買し、株主の地位を他者へ移転させる手続きのことであり、中小企業のM&Aでは最も一般的な方法です。
買い手が法人ならば、売り手は買い手の子会社になり、そこで事業を継続することになります。
株式譲渡の場合、決算書上では認識できない簿外債務も含め、すべての財産を承継することになります。
そのため、M&Aの際は、事前のデューデリジェンスは欠かすことができません。
このデューデリジェンスとは企業価値の査定、法律に関わる資産を調査する作業のことです。
第三者割当増資
売り手が新株を発行、買い手に引き受ける権利を割り当て、その対価として代金を受け取る手法です。
売り手は経営資金を手にすることができ、企業再生のためのM&Aとして選択するケースが多いです。
株式交換・株式移転
買い手が売り手の株主から保有株式を譲り受け、その対価として自社の株式を割り当てる手法です。
売り手は、買い手の100%子会社として存続、売り手の株主は買い手の株主となります。
その際、株式交換は既存企業が親会社となる場合を指します。
一方、株式移転は企業を新設、親会社とする場合を指します。
株式交換について詳しく知りたい方はこちら
株式交換とは? メリット・デメリット、手続き方法から見逃しがちな注意点まで!【事例あり】
TOB
株式公開買付と呼ばれ、相手企業を買収したい企業、または関連会社・子会社への支配権を高めたい企業が、相手企業の株式を市場外で買い集める手法です。
持ち株比率が50%を超えれば、相手企業は子会社となり、重要事項以外の決定権が得られます。
もちろん、持ち株比率が100%なら相手企業は完全子会社となります。
MBO
企業の経営陣・従業員が金融機関やファンドから、資金を調達して自社の株式を買い取って経営権を取得する手法です。
一般的には譲り受けようとする企業の受け皿として、特別目的会社(SPC)と呼ばれる会社を新規に設立、このSPCが株主から取得した株式を譲り受けて子会社化します。
ずっと子会社のままではない?
前述した手法で子会社化されても、ずっとそのまま存続するというわけではなく、対象企業を100%子会社とした上で、制度等を親会社とある程度統一した後に合併するというケースも多いです。
子会社化が可能なM&A手法:事業譲渡
事業譲渡とは、売り手の一部または全部の事業を買い手に売却するM&Aの手法を指します。
ここでの「事業」とは、対象の事業を行うため企業が組織化し、機能している財産(商品、工場等の設備、人材、ノウハウ等)すべてを指します。
前述した株式取得とは違って株主に変更がないので、単に事業のみを売買するイメージとなります。
買い手の目的は、株式取得と同じ(事業拡大など)ですが、売り手の方は不採算事業から撤退、事業の選択・集中のために実施するケースが多いです。
事業譲渡について詳しく知りたい方はこちら
事業譲渡とは?わかりやすく解説|メリットやデメリット、手続きや流れについてもご紹介
売り手:売却により現金が得られる、残したい資産・従業員の契約を選べる
買い手:必要とする資産・従業員はもちろん取引先との契約だけ承継、自社にとって取得したい財産だけ譲渡してもらうよう交渉可能
上記の様に、交渉次第ではありますが、売り手・買い手ともに大きなメリットが有るのが事業継承となります。
事業/会社売却の相手を探す!子会社化の成功事例と成功のコツ
ここからは、子会社化の成功事例を3つと成功したコツを紹介します。
子会社化成功事例①:キヤノン|アクシスコミュニケーションズ社の買収・子会社化
キャノンは「キャノン株式会社」のことで、もともとは1937年に精機光学工業株式会社として設立されました。
現在ではカメラ、ビデオ等の映像機器、プリンタ、複写機をはじめとする事務機器、デジタルマルチメディア機器、半導体・ディスプレイ製造装置(露光装置、蒸着装置)等を製造する大手精密機器メーカーとなっています。
2015年にキャノンは、バスウェーデンの監視カメラ企業「アクシスコミュニケーションズ社」を買収し2018年に完全子会社化しています。
アクシスコミュニケーションズ社は当時、監視カメラにて世界トップシェア(15%)を誇っていた企業です。
M&A目的・背景
キヤノンはデジタルカメラ市場が急速に縮小する事態を危惧、長いキヤノンの歴史の中で培われたレンズ技術を活かべく、2013年に監視カメラ事業に参入しました。
既にオランダのマイルストーン社を買収していたものの、厳しいデジタルカメラ市場の状況の中、さらなるシェア拡大を模索、上場会社のアクシスコミュニケーションズ社に「TOB(株式公開買付)」を行いました。
スキーム・成果
キャノンは一気に100%出資する方法を避けました。
2015年に買収価格を約3,300億円と発表後、【まず85%を買収し事業が成功すれば残りの15%を買収する】という方法を取っています。
2018年には残りの株式を約400億円で買収、段階的にアクシスコミュニケーションズ社を完全子会社化しました。
これは、売り手であるアクシスコミュニケーションズ社へのプレッシャーをかけつつ、監視カメラ事業の見極め、事業運営を成功させた事例ともいえます。
子会社化成功事例②:ビックカメラ|ソフマップの買収・子会社化
ビックカメラは「株式会社ビックカメラ」のことで、1980年に設立された家電量販店を経営する日本企業です。
ビックカメラは資本提携していた中古流通事業者ソフマップへ、次第に出資比率を上げ2006年に過半数を取得しM&Aを成功させました。
M&A目的・背景
家電量販店大手ビックカメラは、以前より小売業態の多様化に力を入れていました。
この多様化で、電化製品のネット販売業者の台頭へ対抗することを目論んでいました。
一方、売り手であるソフマップは当時、業績が低調で丸紅の出資を受けて再建に取り組んでいましたが、なかなか業績が改善せず危機感を募らせていました。
スキーム・成果
こうした家電業界の競争の激しさを背景に、ビックカメラが資本提携では取り組みに限界があると判断、提携を踏まえつつ買収後の戦略が描けたので、ソフマップへの買収に踏み切りました。(2006年の出資額約20億円)
その後、買収の効果が出始めたことを確認し、2010年株式交換でソフマップを完全子会社化しています。
ビックカメラもいきなりソフマップを完全子会社化せず、段階を踏み冷静な状況判断の上で対応しています。
子会社化成功事例③:楽天|イーバンク銀行の買収・子会社化
楽天は「楽天グループ株式会社」のことです。
そもそも株式会社エム・ディー・エムとして1997年に設立され、インターネット関連サービスを中心に展開する日本企業です。
楽天は、ネット銀行大手の「イーバンク銀行」を買収。
2009年に過半数を取得、出資額は約199億円と発表され、後にイーバンク銀行は完全子会社化されました。
M&A目的・背景
楽天は顧客の生活に関するサービスをすべて揃え、顧客の囲い込み戦略を目指しています。
既に買収していたクレジットカード事業の他、ネット銀行事業も獲得することで、EC・金融が軸となる「楽天経済圏」を目論んでいました。
一方イーバンク銀行は、当時ネット専業銀行としてトップの300万口座を持っていましたが、収益は赤字の状態で経営が苦戦を強いられていました。
スキーム・成果
楽天は以前より顧客へ商品・サービスを提供しつつ、それに加え金融も抑えることで、顧客を囲い込む戦略を描き、その一環としてネット銀行の買収を望んでいました。
とはいえ、イーバンク銀行は赤字の状況であり楽天側が損失を出すおそれもありました。
しかし、楽天の既存顧客・イーバンク銀行の既存顧客を相互に送客し、その効果で十分なリターンが見込めると判断したことで、買収に至っています。
2010年に99億円を追加で投入しイーバンク銀行(現:楽天銀行株式会社に商号変更)を完全子会社化しました。
子会社化(買収)を成功させるコツ
前述したいずれの成功例も、いきなりM&Aで子会社化を行ったわけではなく段階を踏んで対応しています。
成功のコツは主に2つあげられます。
売り手と信頼関係を築く
ビックカメラとソフマップのケースが好例と言えます。
まずは資本提携から入り、信頼関係を醸成した上で出資比率も上げ、買収後はその成果が見えたら完全子会社化するという手順です。
子会社化は売り手・買い手が協力し合い、計画を進めることが成功の秘訣であり、子会社化を急いでしまうと、売り手の取引先・顧客の反発や解約といったトラブルを招くリスクがあります。
そこで、経営者同士のトップの合意はもちろん、双方が友好的な関係を築けるよう、子会社化までの道のりを無理のないスパンで設定、上からの命令ではなく相談・アドバイスといった形を意識すれば、成功につながりやすくなります。
デューデリジェンスで見極める
デューデリジェンスとは前述したように企業価値の査定、法律に関わる資産を調査する作業のことです。
デューデリジェンス作業を慎重に進めることで、子会社化に伴うリスクの回避につながります。
売り手が負債・トラブルを抱えているなら、それが原因で買い手が大きな損害を被る恐れもありますが、「赤字だからもう交渉しない」と、売り手との交渉をやめるのは早計です。
楽天とイーバンク銀行のケースのように、工夫次第で十分なリターンが見込めると判断したら、M&Aを成立させるのも一つの方法です。
その後、買い手である楽天は事業の将来性を確信し、イーバンク銀行を完全子会社化しています。
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子会社化のメリットでよくある疑問
ここでは、子会社化についてや、子会社化のメリットについてよくある疑問について解決していきます。
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親会社はどうやって子会社を管理している?
親会社が子会社を管理する方法としてはたくさんありますが、その中でも一般的によく使われている方法をいくつか紹介していきます。
- 分権方式:子会社に経営の権限を大きく渡すこと。子会社の自主性が担保できる
- 集積方式:親会社に権限を大きく置いて、グループ全体の管理がやりやすい
- 総合ネットワーク型:基本的なオペレーションについては子会社、マネジメントについては親会社が責任を持つ方式
それぞれ、親会社と子会社の権限のバランスによって方式が異なっています。
業界や業種によって使い分けるのが良さそうですね。
中小企業が子会社を作る時に気を付けるべきことは?
中小企業が子会社を作る時に注意したいポイントは、税務署からの調査が入り、場合によっては否認されてしまう可能性があるということです。
子会社を作ることによって、不当に節税をしようとする例があとを絶たないことから厳しめの調査がなされています。
さらに、海外に子会社を設立する際には、親会社がどのくらい費用を出すのかということなども見られているため、注意する必要があります。
事業/会社売却の相手を探す!子会社化 メリット|まとめ
子会社化は厳しい経済市場の中で必要となる手法と言えます。
しかし、子会社化は前述したようにメリット・デメリットがあることも良く把握しておきましょう。
売り手も買い手も買収に関する交渉が未経験、またはどちらかが未経験ならば、無理に当事者だけで交渉せずM&A専門家に頼ることも大切です。
買収には財務・税務はもちろん法務等の専門的な知識が必要です。
また、双方の隔たりを埋める交渉能力も求められますので、当事者だけで全ステップを実行することは難しいです。
M&A専門の仲介業者に頼めば、公正中立な立場から交渉を進めてくれます。
着手金や成功報酬等はかかりますが、M&A専門家を立てた方が子会社化を成功させることのできる割合は、より高まることでしょう。
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