近年のインターネット通販市場の拡大、フリマアプリを利用した個人間取引の拡大で、運送・物流業界の需要の増加が期待できます。
しかしながら、運送・物流業界は人手不足・後継者不足に苦しみ、特に中小事業者は頭を抱えている状況です。
このような、運送・物流業界の苦境を解消するため手段としても、M&Aが活用されています。
M&Aは、人手不足や後継者問題等を解決する有効な手段でも有るのです。
そこで、この記事では、運送・物流業界M&Aの特徴、運送・物流業界M&Aのメリット・デメリット、M&Aの実例やおすすめの仲介会社等について解説をします。
- 運送・物流業界は人材不足と労働環境に悩まされている
- 運送・物流業界のM&Aは同業者同士で行われることが多い
- 運送・物流業界のM&Aはメリットが多くある
- 運送・物流業界は許認可制になっているためM&Aの際には注意が必要
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目次
運送・物流業界の現状
こちらでは、運送・物流業界の現状である【人材不足】・【労働環境】を解説します。
人材不足
「公益社団法人全日本トラック協会」が行った各事業所にアンケートでは、トラック運転手の「非常に不足している」「不足している」という回答が、合計で64%を占めています。
これは、大手は中小事業者も同様で、「やや不足している」という回答を含めれば85%となっています。
運送業界では人手不足が非常に深刻化、中小事業者は後継者不足にも悩まされています。
運送・物流業界では、ドライバー不足が深刻化している。
労働環境
深刻化する人材不足の原因の一つに、過酷な労働環境があげられます。
全日本トラック協会の報告によれば、トラック運転手の年間労働時間は、全産業の平均と比較すると月37〜38時間も長くなっています。(出典:全日本トラック協会「2020年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」について)
その他、年間所得額は全産業平均と比べて1〜2割程度低いというデータもあります。
労働時間が長いにもかかわらず、それに見合う収入の得られない点が、人手不足につながっていると指摘されています。
労働時間が長く・収入が低いと言う、労働環境や収入面が人材不足に拍車をかけている。
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運送・物流業界のM&Aのメリット
こちらでは、M&Aを行う売却側そして買収する側のメリットをそれぞれ解説します。
売却側のメリット
売り手側がM&Aを行えば、次のようなメリットが考えられます。
- 後継者不足の解消
- 会社・事業の売却で利益が得られる
- 経営基盤を強固に
後継者不足の解消
買い手に自社を買収してもらうことで、事業を継続することができます。
ご自身の後を継ぐ経営者がいなければ、従業員を残したまま廃業する事態になると言えます。
M&Aを行えば、買い手企業に従業員が移ることとなり、売り手経営者も安心して引退が可能です。
会社・事業の売却で利益が得られる
売り手側は、株式譲渡なら経営者個人(原則)が株式の売却利益、事業譲渡なら会社が事業の売却利益をそれぞれ得られます。
株式を譲渡して、経営者が引退する場合、多額の利益を得られ豊かな老後が約束されます。
経営基盤を強固に
中小事業者が大手グループに会社・事業を売却すれば、買い手グループの傘下に入ることになります。
大手の経営資源を活用でき、安心した環境で事業継続が可能です。
また、売り手経営者は株式譲渡によって、経営者が負っていた個人保証も高い確率で解除されます。
経営者個人の債務返済義務を負うリスクからも解放されます。
買収側のメリット
買い手側がM&Aを行えば次のようなメリットが考えられます。
- 事業を短時間で拡大
- 新事業へ容易に参入可能
事業を短時間で拡大
自社が運送事業の規模を拡大する場合、ドライバー・従業員の採用活動・新規顧客の開拓、トラックや機械設備の取得等を実施すれば、相当の費用・時間がかかります。
しかし、既に運送事業を営む売り手とのM&Aへ成功すれば、売り手のノウハウはもちろん、人員・トラック等の経営資源、顧客・取引先を一度にまとめて手に入れることが出来ます。
新事業へ容易に参入可能
運送事業を目指す場合、自社が運送業者でなくても運送業者を買収すれば、短期間にノウハウも経営資源や顧客・取引先も取得できます。
低コストで生産性や収益性の向上、自社への大きなシナジー効果が期待できます。
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運送・物流業界のM&Aのデメリット
こちらでは、M&Aを行う売却側そして買収する側のデメリットをそれぞれ解説します。
売却側のデメリット
売り手側としては、M&A未経験のためにうまく交渉ができず、買い手側のペースで話が進んでしまうおそれもあります。
買い手は大手運送・物流業が多く、M&Aに豊富な経験を持っている場合もあります。
そのため、売り手の希望価格で交渉が進められるとは限りません。
そこで、M&A交渉の際はM&A仲介会社に調整を頼むか、M&Aに詳しい弁護士等の助力を受けながら、慎重な相手方との話し合いが望まれます。
M&Aが未経験の場合には、交渉時に相手ペースで話が進む可能性がある。
M&A未経験の場合は、仲介会社や専門家の助けを借りるのが無難である。
買収側のデメリット
買い手としては買収できたものの、売り手側に多額の簿外債務があれば事業に大きな影響が出てきます。
売り手に許容できない多額の債務があっては、買い手が当初期待していたシナジー効果など、とても期待できる状況といえなくなります。
そのため、後述する「デューデリジェンス」を徹底して行う必要があります。
この調査には、自社で特別チームを編成しても構いませんが、M&A専門家に調査を依頼するのも良い方法です。
買収する企業の財務状況などをしっかりと確認しないと、買収後のシナジー効果が期待できないことにもなり得る。
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運送・物流業界のM&A事例
こちらでは、運送・物流業界のM&A事例を4つ紹介をします。
- 運送・物流業界の株式譲渡によるM&A
- 運送・物流業界の株式一部譲渡によるM&A
- 運送・物流業界の子会社株式譲渡によるM&A
- 運送・物流業界の事業譲渡によるM&A
運送・物流業界の株式譲渡によるM&A
売り手が安定的な財務基盤を得るため、物流サービス大手へ株式譲渡した事例です。
- 売り手:東洋運輸倉庫→目的:安定的な財務基盤
- 買い手:SBSホールディングス→目的:積極的投資
M&A目的・背景
売り手である東洋運輸倉庫は、通関業や東京臨海部の大型倉庫を利用した倉庫業、貨物運送取扱業等を行う会社です。
国内人口の一極集中や電子商取引の普及で、首都圏近郊の倉庫需要が拡大、これを機に有利なM&A交渉で安定的な財務基盤を得るため、相応しい売却先を探していました。
一方、買い手であるSBSホールディングスは、首都圏近郊の倉庫需要拡大を受け、東京臨海部の最先端倉庫への投資を積極的に進めていました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉成立で、売り手の東洋運輸倉庫はSBSホールディングスの傘下に入り安定的な財務基盤を確保、買い手のSBSホールディングスは東京臨海エリアの投資を加速させることができました。
運送・物流業界の株式一部譲渡によるM&A
売り手が運送・物流の競争力を高めるため、物流サービス大手へ株式一部譲渡した事例です。
- 売り手:パナソニックロジスティクス→目的:運送・物流の競争力を高める
- 買い手:日本通運→目的:事業拡大
M&A目的・背景
売り手であるパナソニックロジスティクスは、電機物流の業界で高い納入品質を実現していた会社です。
パナソニックグループにおける更なる運送・物流の競争力を高めるため、強化が期待できる売却先を探していました。
一方、買い手である日本通運は、運送・物流の事業拡大のため買収先を検討していました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉成立で、売り手のパナソニックロジスティクスは、日本通運の国際的なネットワーク・物流の最適化につながるさまざまなノウハウを取得できました。
一方、買い手の日本通運は、パナソニックロジスティクスの発行済株式66.6%を取得して影響力を高めることに成功しています。
運送・物流業界の子会社株式譲渡によるM&A
売り手がグループにおける貨物量減少の解消ため、総合物流会社へ子会社株式を譲渡した事例です。
- 売り手:東京特殊電線→目的:不採算部門の解消
- 買い手:司企業→目的:事業拡大
M&A目的・背景
売り手である東京特殊電線は、もともと電線・ケーブル加工品等の分野で製品開発を行う会社です。
東京特殊電線の運送・貨物保管等を目的として設立された子会社に「東特運輸」がありました。
しかし、同社グループにおける貨物量が減少、運送分野で利益を拡大することが困難なため、子会社の売却先を探していました。
一方、買い手である司企業は、一般貨物運送や自動車部品の運送等の大手総合物流会社です。
司企業は更なる事業拡大を狙っていました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉成立で、売り手の東京特殊電線は不採算部門の解消に成功し、司企業は更なる事業拡大を達成できました。
運送・物流業界の事業譲渡によるM&A
売り手が業績好調な物流に特化する目的で、多角的企業へ一部事業を事業譲渡した事例です。
- 売り手:タカラ物流システム→目的:事業スリム化
- 買い手:両備ホールディングス→目的:事業多角化
M&A目的・背景
売り手であるタカラ物流システムは、宝グループの酒類・食品中心に運送事業や通販等を行う会社です。
本業である宝酒造の物流に特化する目的で、水宅配事業の売却について考え相応しい売却先を探していました。
一方、買い手である両備ホールディングスは、物流や交通、観光、IT等の事業を展開する多角化企業で、宅配事業の強化を目指していました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉成立で、売り手のタカラ物流システムは、限りある人的資源を業績好調な本業に集中させることへ成功しました。
買い手の両備ホールディングスは、4億円の年間売上高を見込める事業の買収で、更なる事業拡大につながりました。
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運送・物流業界のM&Aの流れ
こちらでは、運送・物流業界のM&Aプロセスについて解説します。
- 交渉準備をはじめる
- 交渉開始
- 基本的な合意に達する
- デューデリジェンス
- 最終的な契約締結・クロージング
M&A手順1:交渉準備をはじめる
売りたい企業または買いたい企業はそれぞれ、M&A交渉を持ちかけたい相手方についてリサーチします。
その際は、ご自身の企業が懇意にしている地方銀行や、商工会議所へ相談しても構いません。
自社の地域内でM&Aを望むなら、同地域内の相手を紹介してくれることでしょう。
一方、全国規模でかつ手軽に交渉相手を探したいなら、M&A仲介会社のサービスである「マッチング・サイト」を活用した方が良いでしょう。
マッチング・サイトは登録料無料の場合が多いです。
マッチング・サイトに売り手・買い手が登録、お互いに理想的な相手を検索することとなります。
M&Aを仲介してくれる担当者等からも、交渉相手を紹介してもらうことができます。
M&Aを行う相手を探す方法として、地方銀行やM&Aマッチングサイトなどがある。
M&A手順2:交渉開始
理想の交渉相手が見つかったら早速アプローチしましょう。
その後、対面する日程を決めM&Aの交渉開始です。
基本的に企業経営者同士がM&Aの内容・価格・条件等を調整していきます。
専門の仲介業者等をアドバイザリー契約を結べば、双方の利害調整、代理交渉等も可能です。
交渉当初は買い手企業が「意向表明書」を売り手に提示します。
意向表明書は、基本的に企業経営者同士の面談後に提示されます。
内容は主に売り手への希望や買収の手法、買収価格、スケジュール等に関する希望が明記されています。
ただし、M&Aの交渉の過程で内容は調整・変更される場合が多いです。
あくまで意向表明なので法的拘束力はありません。
経営者同士でM&A条件の内容を調整して、意向確認書を作成する。
意向確認書には法的拘束力はない。
M&A手順3:基本的な合意に達する
M&A当事者同士で、基本的なM&A内容や価格・条件等に合意した場合に「基本合意書」を締結します。
M&Aは、基本合意書に従い、契約成立を行うまでの道筋がほぼ確定されます。
M&A当事者同士が合意の上で取り交わす基本合意書は、基本方針固めに必要ではあるものの、まだ法的拘束力のある書面といえません。
ケースによっては、基本合意書の内容に修正が加わることも十分考えられます。
基本合意書の内容は、M&A仲介会社のアドバイザーの協力を得て作成しても構いません。
M&Aの内容が決まれば基本合意書を作成する。
基本合意書も法的拘束力はない。
M&A手順4:デューデリジェンス
基本合意書を取り交わせば、いよいよM&Aも後半戦です。
基本合意書締結後、売り手の価値や買収の際のリスク等を買い手側がチェックをします。
このチェックのことを「デューデリジェンス」と言います。
デューデリジェンスでは、売り手の財務状況のチェック以外にも、法律を遵守しているかなどの多角的な調査を行います。
売り手側は、デューデリジェンスへの協力は誠実にしなければいけません。
この調査で売り手の隠していた都合の悪い事実が発覚すれば、買い手から契約解除はもちろん損害賠償請求が想定されます。
売り手は交渉当初に債務等があれば、素直に買い手へ報告しておいた方が無難です。
デューデリジェンスが問題なく終了した場合、買い手・売り手双方とも安心してクロージングへ進めます。
買い手側が売り手側の財務状況や法令違反がないかなどを調べる。
M&A手順5:最終的な契約締結・クロージング
デューデリジェンスで問題がなければ、当事者同士が「最終譲渡契約書」を取り交わすことになります。
最終譲渡契約書は、法的拘束力があり一度締結されれば、当事者はその契約内容に拘束されます。
そのため、内容はお互いが今一度慎重にチェックし、不備がないことを把握しましょう。
最終譲渡契約書の内容も、M&A専門家のアドバイスを受けつつ慎重に詰めていくべきです。
最終譲渡契約書を当事者が取り交わし、クロージングとなります。
デューデリジェンスが無事に終わり、当事者同士の合意が完了すれば「最終譲渡契約書」を交わしてM&A成立となる。
最終譲渡契約書には法的拘束力が発生する。
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運送・物流業界のM&Aの相場
こちらでは、運送・物流業界のM&A相場について解説します。
売却(買収)価格の算定に法的な決まりはない
運送・物流業界のM&Aで希望の価格を相手方に提示する際、「この事業規模なら、〇億円で設定しなければいけない」という決まりはありません。
自由に価格設定は可能です。
とはいえ、売り手が法外に高額な希望価格を提示すれば、買い手候補がどこも現れない事態となるでしょう。
一方、買い手も著しく低い買収価格を売り手へ提示したら、早々に買い手候補から外されるおそれもあります。
いずれの価格提示も、説得力のある評価・算定が求められます。
M&Aに関する売買価格の設定は自由に行えるため、売り手も買い手も企業価値をしっかり調べるのが重要となる。
相場の目安
基本的に中小事業者のM&Aでは「時価純資産+営業利益の2〜5年分」と言われています。
時価純資産には、売り手の人材・特許等の無形資産の価値、いやゆる「のれん代」が含まれます。
事例をあげて計算してみましょう。
- 時価純資産:2億円
- 営業利益(3年平均):7,000万円
2億円+(7,000万円×3年)=4億1,000万円
とはいえ、売り手をどのような視点から評価するかで計算方法はかなり異なります。
企業価値の計算方法には下記の様な方法があります。
コストアプローチ:貸借対照表に記載された純資産の金額をベースにする計算法
インカムアプローチ:評価対象企業の収益性を基準に評価する方法
マーケットアプローチ:株式市場・同業他社・類似のM&A事例等を基準に評価する方法
評価方法に悩んだら、M&A仲介会社のアドバイザーから計算してもらった方が無難です。
このような企業評価の相談は大概どのM&A仲介会社も無料です。
説得力のある評価・算定のため、一度M&A仲介会社に相談してみましょう。
企業価値の価格は、計算方法によっても大きく変わるため、どの計算方法を活用するのかも含めて、M&Aの専門家のアドバイスを受ける方が無難である。
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運送・物流業界におすすめのM&A仲介会社
こちらでは、M&Aにおすすめの仲介会社4社を紹介します。
- BATONZ(バトンズ)
- TRANBI(トランビ)
- 日本M&Aセンター
- 株式会社中小企業M&Aサポート
BATONZ(バトンズ)
出典:https://batonz.jp/
「株式会社バトンズ」が運営するM&A仲介会社です。
手厚い支援専門家のサポート・サービスが利用できます。
運送・物流関連案件数の公開案件数は64件となっています。
公開案件数
公開案件数は2021年7月時点で次の通りです。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:運送・物流関連案件数 | 64件 |
買い手:運送・物流関連候補一覧 | 2,877件 |
売却を希望する運送・物流関連案件数は64件、一方で運送・物流関連の買い手候補は2,877件もあります。
売り手にとってかなり有利な状況と言えるでしょう。
料金について
売り手側は基本的に無料、買い手側も登録料・マッチング料は無料です。
ただし、売り手側もM&A交渉を支援する専門家をたてると別途料金は掛かってしまいます。
項目 | 売り手 | 買い手 |
---|---|---|
登録料 | 無料 | 無料 |
マッチング料 | 無料 | 無料 |
成約 | 無料 | 成約価額の2%
※最低報酬25万円 |
TRANBI(トランビ)
出典:https://www.tranbi.com/
「株式会社トランビ」が運営するM&A仲介会社です。
M&A当事者同士で交渉を進めるプラン、または専門家が代理で交渉してくれるプランも設定されています。
運送・物流関連の案件数(限定公開含む)は15件となっています。
公開案件数
2021年7月時点の案件数を見てみましょう。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:運送・物流関連案件数(限定公開含む) | 15件 |
買い手:運送・物流関連候補一覧 | 129件 |
売却を希望する運送・物流関連案件数(限定公開含む)は15件ですが、運送・物流関連の買い手候補は129件もあります。
売り手はとても有利な状況と言えます。
料金プラン
2021年1⽉21⽇前後で適用される料金体系が異なります。
(1)以前の料金体系
こちらの料金体系は下記の条件の場合に適応されます。
- 2020年4月1日以降にM&A案件として公開された案件で2021年1月20日以前に開始された交渉
- キャンペーン等で成約手数料対象となる交渉
- 「しんきんトランビプラスユーザー」による交渉
成約報告手続きを完了後
- 成約手数料が成約価額に3%を乗じた額
- 30万円
のいずれかを支払うことになります。
(2)2021年1⽉21⽇以降の料金体系
現在は、基本的にこちらの無料プラン・プレミアムプラン(有料プラン:買い手のみ)が適用されます。
①無料プラン
当事者 | 無料内容 |
---|---|
売り手 | M&A案件の掲載、買い手との交渉、成約 |
買い手 | M&A案件の閲覧、売り手への交渉申込、ニーズ登録 |
②プレミアムプラン(有料プラン:買い手のみ)
いずれのプランも、買い手専用の契約期間6ヶ月の有料プランです。なお、
このプランが適用される場合は成約手数料0円です。
有料プラン | 月額税込 | サービス内容 |
---|---|---|
ベーシック(売却希望価格500万円以内) | 4,378円 | ・NDA情報漏洩保険 |
ビジネス(売却希望価格3,000万円以内) | 10,780円 | ・NDA情報漏洩保険
・コネクト人材採用可 |
エンタープライズ(無制限交渉可能) | 21,780円 |
・NDA情報漏洩保険 ・コネクト人材採用可 ・専門家等代理買交渉可 |
日本M&Aセンター
出典:https://www.nihon-ma.co.jp/
「株式会社日本M&Aセンター」が運営するM&A仲介会社です。
中堅・中小企業の友好的M&A支援で多くの実績を残す仲介会社です。
運送・物流関連案件数の公開案件数は3件となっています。
公開案件数
2021年7月時点の案件数を見てみましょう。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:運送・物流関連案件数 | 3件 |
買い手:運送・物流関連候補一覧 | 56件 |
売却を希望する運送・物流関連案件数は3件ですが、運送・物流関連の買い手候補は56件もあります。
売り手はとても有利な状況と言えます。
料金について
基本合意の際に中間報酬(成功報酬の1割)、契約成立時に成功報酬(残り9割)と分けて支払います。
なお、着手金・月額報酬無料です。
報酬料率は次の通りです。
株式価値 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
株式会社中小企業M&Aサポート
出典:https://www.chusho-ma-support.com/
国内の物流を支える事業者はほとんどが中小企業です。
中小企業M&Aサポートは中小企業のM&Aを最も得意とする仲介会社です。
売り手・買い手と直接仲介~成約までサポートします。
公開案件数
2021年7月時点の案件数を見てみましょう。
項目 | 成約実績 |
---|---|
売り手:運送・物流関連案件数 | 1件 |
買い手:運送・物流関連候補一覧 | 10件 |
料金について
こちらでは売り手・買い手の料金体系をみていきましょう。
(1)事前相談・着手金・中間金(基本合意時)
- 売り手:事前相談・着手金は無料、中間金(基本合意時)は100万円を支払います。
- 買い手:事前相談は無料、着手金・中間金(基本合意時)はそれぞれ50万円を支払います。
(2)成功報酬
金額 | 手数料(率) |
---|---|
1,000万円以下 | 150万円 |
3,000万円以下 | 250万円 |
6,000万円以下 | 350万円 |
1億円以下 | 500万円 |
1億円超~5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~の部分 | 2% |
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運送・物流業界のM&Aの注意点
こちらでは、運送・物流業界のM&Aの注意点を解説します。
事業譲渡は国土交通省から認可を受ける必要あり
運送事業の代表的な形態は「一般貨物自動車運送事業」です。
一般貨物自動車運送事業とは、トラックを使用して荷物の運送を行うビジネスです。
一般貨物自動車運送事業を行うには、国土交通大臣または地方運輸局長から許可を得なければいけません。(貨物自動車運送事業法第30条)
M&A当事者はこの申請が通らなければ、これまでの交渉は水の泡となります。
運送・物流業は、一般貨物自動車運送事業にあたり、国土交通省の許可が必要になる。
必要書類は多い
事業譲渡の認可を申請する際、次の書類が必要です。
- 事業の譲渡譲受認可申請書
- 事業譲渡契約書の写し
- 事業譲渡価格の明細書
- 定款や貸借対照表、資産目録などの資料(買い手が現時点で一般貨物自動車運送事業を経営していない場合)
上記の書類を提出して許可を得なければ、事業の引き継ぎはできない点に注意しましょう。
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運送・物流業界のM&Aでよくある質問
こちらでは、運送・物流業界のM&Aでよくある2つの質問を取り上げます。
自社に運送業許可を承継する資格があるか不安
前述したように運送事業の承継の際は、手続き申請が必要となりますが、提出書類を出せば100%通るとは限りません。
新規許可の条件をクリアする必要があります。
その条件は次の通りです。
(1)運送事業を運営する際必要な資源を確保
その資源とは
- 5台以上の車両
- 規模が適切な営業所
- 各種法律に抵触しない駐車場がある
(2)運行管理者や整備管理者、運転者を確保
(3)運送事業に必要な資金(例:6ヶ月分の運転資金等)を確保
詳細な条件は、関東運輸局の公表した「 一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」を確認してください。
M&Aが成立したら統合失敗する心配はない?
M&Aが無事成立し事業承継に関して、行政からOKが出れば後は安心、というわけではりません。
事業を統合する際の配慮も買い手には必要となります。
売り手企業への配慮を!
売り手を傘下に収めたとしても、買い手の好き勝手に給与や労働時間を変更することは避けるべきです。
もともと違う企業文化で事業を営んできたわけですから、売り手・買い手に違いがあって当然です。
買い手側には、売り手の事業スタイルを最大限尊重し、よほど運営に問題がない限りはこれまで通り売り手へ任せた方が無難です。
買い手側の過剰な押し付けでは、売り手側の従業員の心も、売り手と懇意にしていた取引先の信頼も失ってしまいます。
買収後の労働環境や給与体系などを、しっかりと考慮する必要がある。
統合に失敗しないため
売り手との事業統合に不安を感じたら、M&A仲介会社に助力を依頼するのが良い方法です。
全てのM&A仲介会社が行っているわけでは無いものの、M&Aクロージング後の調整もサポートするサービスを用意している場合があります。
M&A後の支援サービスはオプションとして追加契約することになるかもしれません。
その分、料金はかかりますが、確実な事業統合のため、利用するべきサービスと言えます。
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運送・物流業界 M&A|まとめ
運送・物流業界は、ネット販売事業の拡大や海外販路の拡大で、需要は更に増すことでしょう。
しかし、特に中小事業者は事業承継が大きな課題となり、大手は人材不足を何とかしようと必死です。
今後、より一層、運送・物流業界のM&Aは進むことでしょう。
確実なM&A成約のためには、M&A仲介会社の助力を得ることを検討するべきです。
M&A仲介会社などのサポートがあれば、頭を抱えている問題をM&Aで解決していけることでしょう。
M&Aを活用する事での、人材確保や事業承継を考えてみましょう。
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