カードローンの限度額は、年収、属性、与信など、さまざまな側面から総合的に審査したうえで決定されます。
必ずしも希望した金額で決まるわけではありません。
ただし、総量規制という法律上のルールを知っていると、カードローンで設定される最大の限度額がいくらになるのか見当をつけやすくなります。
また、現在カードローンを契約している方のなかには、もう少し大きな限度額が欲しいと思っている方もいるでしょう。
増額申請によって限度額の増額は可能ですが、安易に限度額を増やすと落とし穴にはまる可能性もあるため、限度額や増額についての知識をもつことが大切です。
本記事では、総量規制の内容を含めた限度の決め方や、限度額の引き上げ方、増額時の注意点を解説します。
目次
カードローンの限度額には2種類ある
カードローンの限度額は「商品自体の利用限度額」と「個人の借入限度額」の2種類があります。
「カードローンの限度額」とひとことでいっても「商品自体の利用限度額」と「個人の借入限度額」とでは意味が異なります。
カードローンの商品自体の利用限度額
商品自体の利用限度額は、カードローンを提供している会社が商品自体に設けている上限の利用金額を指します。
特定のカードローン商品の利用限度額が500万円だったとしましょう。
どんなに与信スコアが高く、仮に1,000万円を借り入れても問題ない人であっても、当該カードローンで借り入れできるのは500万円までです。
カードローンの利用者個人の借入限度額
利用者個人の借入限度額は、利用者ごとに設定される利用上限額です。
誰もが「カードローン商品自体の限度額」まで借りられるわけではありません。
カードローン商品自体の利用限度額が500万円だとすると、実際に設定される個人の借入限度額は、100万円や50万円になることもあります。
申込者ごとに個別で決定される上限額が「利用者個人の借入限度額」と解釈して差し支えありません。
カードローンの限度額の決め方
カードローンの限度額は、総量規制、他社からの借り入れ状況や返済状況といった信用情報、仕事による収入や勤続年数など、さまざまな要素を検討して決定されます。
同じくらいの年齢や年収の人であっても、限度額が大きく異なることも珍しくありません。
総量規制によって年収の3分の1以内まで
総量規制とは、貸金業者は申込者の年収の3分の1を超える金額を貸し付けてはいけないという決まりです。
複数の借り入れ先がある場合は、合算した借入額で計算します。
年収が300万円であれば、合わせて100万円を超える金額は借りられません。
銀行や信用金庫などは、貸金業者にはあたりません。
カードローン商品という括りは同じでも、消費者金融が扱うカードローンは総量規制の対象となりますが、銀行カードローンは総量規制の対象外です。
ただし、緊急で必要な医療費を支払うための貸付けや利用者側が一方的に有利になる貸付けなどは、貸し付ける側の業種に関係なく総量規制の例外となるものもあります。
仕事の年収や勤続年数
年収や勤続年数は、審査時において重視されるポイントです。
ただし、年収が高ければいいというわけではありません。
たとえ1,000万円の年収があったとしても翌年仕事を継続していなければ無収入になっている可能性もあります。
そこで重視されるのが勤続年数です。
長く勤めていることで、簡単に仕事を辞める人ではないことや、安定的かつ継続的な収入があることを証明でき、限度額決定にも有利にはたらきます。
他社機関の借入状況や信用情報
信用情報は限度額の決定に大きく影響します。
クレジットカード、ローン、割賦払いなどの利用履歴や返済状況は、個人信用情報機関に保管されています。
カードローンを提供する会社は、申込みがあるとCICやJICCといった個人信用情報機関へ照会して申込者の信用情報を確認します。
また、返済に遅れがあったり、長期延滞や債務整理などの金融事故歴があったりすると、審査に落ちる可能性も高まります。
カードローンの初回限度額は低めの金額が設定される
初めて借り入れをする際の限度額は、実際の返済能力に見合った金額よりも少なく設定されるのが一般的です。
仮に他社からの借り入れについて遅滞なく返済をしていても、当該カードローン会社からすると自社に対してもきちんと返済してくれるかどうかはわかりません。
必ず返してくれる人だという実績がない初回利用のカードローンでは、返済能力が十分にあって、信用情報にも問題がなく、総量規制に支障がない金額を希望していても、実際に借りられる金額は低くなるでしょう。
カードローンの限度額を引き上げるには増額申請しよう
借りられる金額を増やしたいときは、限度額を引き上げる「増額申請」が必要です。
増額申請することにより得られるメリットは、借りられる金額が増えるだけではありません。
利息制限法により、上限金利が低くなる可能性もあります。
例えば、元本の額が10万円未満では年20%が上限金利とされていますが、元本が10万円以上100万円未満では年18%、元本100万円以上では年15%%が上限金利です。
カードローン会社2社でそれぞれ50万円ずつ借りるよりも、1社で100万円を借りたほうが金利は低くすみます。
増額申請に通る条件
カードローンの増額審査は、申込時の審査と同一ではありません。
具体的にいえば、申し込み時点から現在までの借り入れ状況や返済状況、利用金額や頻度が利用実績として挙げられます。
利用開始から半年ほど経過しており、期日までに返済ができていればカードローン会社からの信用が得られ、増額審査に通る可能性が見込めるでしょう。
反対に、一度も利用していない状態では、カードローン会社からすると「返してくれるかどうかわからない人」ということになるため、増額審査を通過するのが困難です。
増額申請時には収入証明書類の提出が必要
増額申請時には、源泉徴収票や給与明細、確定申告書などの収入証明書類の提出が必要になることがあります。
次のいずれかの条件に該当する場合、収入証明書類の提示を求められるはずです。
- 既存の借入額も含め1社からのが50万円を超える場合
- 複数社からの借入額が100万円を超える場合
なお、カードローンのように限度額を決めて限度額の範囲内で貸し付けを行う「極度方式」においては、借入額=限度額で判定される点にも注意が必要です。
例えば、50万円の限度額のうち30万円しか借り入れていなくても、10万円の増額申請をすると限度額は50万円を超えるため収入証明書類が必要になります。
他のローンへ悪影響が出る可能性には考慮が必要
増額申請で限度額を引き上げることにより、借り入れ可能な金額が増えるメリットがある一方でデメリットも存在します。
住宅ローンやマイカーローン、教育ローンへ申し込む場合には、カードローンからの借入額も照会によって明らかになります。
年収に占める返済の割合(返済比率)が高いほど審査に通りづらくなるのが一般的です。
これから生活に必要なローンを組む予定がある場合、安易にカードローンからの借り入れを増やすと、審査に通過できず困る可能性があるため慎重に検討しましょう。
各年収のカードローンの限度額の目安は?
カードローンの限度額は、年収だけで決まるわけではありません。
しかし、総量規制があることから年収によって最大いくらまで借りられるのかは明確に決まってきます。
総量規制の対象になっているものについては、年収の3分の1が限度です。
年収200~250万のカードローンの限度額
年収200~250万円の方が、消費者金融など のカードローンを利用する場合、66万円~83万円が最大の限度額です。
年収の3分の1にあたる金額を計算すると、200万円の3分の1にあたる金額が約66万円、83万円の3分の1にあたる金額が約83万円になります。
ただし、最大の限度額に近い50万円を超える金額が、初回限度額として設定されることは稀でしょう。
他社からの借り入れ状況などにもよりますが、理論上はカードローン会社の信頼が得られたら50万円の限度額を設定してもらうのも可能な年収です。
年収300万円のカードローンの限度額
年収300万円の方が、消費者金融などの のカードローンから借りられる最大の限度額は100万円です。
年収300万円の3分の1にあたる金額が100万円だからです。
初回から50万円超~100万円の限度額が設定される可能性もゼロではありませんが、属性やカードローン会社の方針にもよるため大きく期待できるものではありません。
与信に問題がなく、利用と返済の実績があり、収入証明書類を提出できれば、50万円超~100万円以下の範囲で限度額を設定してもらえます。
年収500万円のカードローンの限度額
年収500万円の方が消費者金融などの のカードローンで借り入れる場合、年収の3分の1にあたる166万円が最大の限度額です。
カードローン会社が融資に積極的で、他社からの借り入れがないなど、有利な条件が重なったうえで収入証明書類が提出できれば、100万円を超える限度額が初回から設定される可能性もあります。
仮に初回限度額が低かったとしても、借り入れと返済の実績が積み上がれば、増額申請すれば比較的通りやすい年収といえるでしょう。
意外と知らないカードローンの限度額の注意点
「ATMで限度額まで引き出せない」「増額申請をしたら限度額を減額された」。
カードローンの限度額には意外と知られていない落とし穴があることをご存知でしょうか。
限度額にまつわる注意点を解説します。
ATMでは1日に引き出しできる金額が決められている
ATMからカードローンの限度額までお金を引き出そうとしても、できない可能性があります。
ATM利用限度額の初期設定は50万円になっていることが多く、それ以上の金額をATMから引き出したい場合はATM利用限度額の増額手続きを事前にしなくてはなりません。
また、増額手続きを行ったとしても、ATM利用限度額の上限が、カードローン利用限度額よりも少なくなる場合もあります。
ATM利用限度額よりも多くの融資を一度に受けたいときは、振り込み融資を利用してください。
増額申請を行うと限度額が逆に下がる可能性もある
増額申請を行ったにもかかわらず限度額が減る場合もあります。
年収が下がっている場合、総量規制により借りられる限度額も下がります。
年収が変わらない、あるいは上がっているにもかかわらず限度額が引き下げられたときには、与信が悪化していないか疑ってみましょう。
他社からの借入額が増えている、返済を滞納したなど思い当たることはありませんか?
返済能力に疑問を抱かせる点があれば、減額される可能性があります。
カードローンの審査に通れば希望額を借入できるわけではない
カードローンの審査に通ることと、希望額での限度額が設定されることは、イコールではありません。
希望する借入額が年収の3分の1よりも多いために総量規制によって制限を受けている可能性や、初回で利用実績がないために限度額が低めに設定されている可能性が考えられます。
限度額は申込者ごとに審査によって決定されるため、審査に通過したからといって希望金額が借りられるほどの限度額が設定されるとはかぎりません。
カードローン利用限度額が高いおすすめ3選
年収が高く、信用情報が良好であっても、カードローン商品自体の利用限度額自体が低ければ満足できる利用限度額を設定してもらうのは難しいでしょう。
カードローン利用限度額が高いおすすめの商品を3つ紹介します。
アイフル【WEB申込なら最短20分融資が可能】
アイフルの限度額は最大で800万円です。
貸付利率は3.0%~18.0%(実質年利)です。
最短20分で融資を受けられるため、急な入用ができてもスピーディーに現金を用意できるのも嬉しいポイントといえるでしょう。
提携している全国のATMによる借り入れだけでなく、振り込み融資にも対応しているため、ATM利用上限額が気になる方にもぴったりです。
既にアイフルと契約している方が限度額を増やしたい方は、アイフルの増額審査へ申し込む必要があります。
※申込状況によっては希望に添いかねます。
プロミス【初めてなら30日間無利息で利用可能】
プロミスのカードローンは、満18歳(高校生不可)から申し込めます。
実質年利は4.5%~17.8%と、貸付利率の上限がやや低めなのも特徴といえるでしょう。
はじめての申し込みで、一定の条件を満たすと、利用日の翌日から30日間無利息で借り入れが可能なのも嬉しいポイントです。
インターネット振り込みを利用すれば、ATM利用限度額を気にする必要もありません。さらに、振込手数料もかからず、土日祝日を問わず原則24時間365日、最短10秒で口座へ振り込んでもらえるのが魅力的です。
アコム【無担保で保証人は不要】
アコムのカードローンでは、最大800万円まで借りられます。
実質年利は3.0%~18.0%です。
担保や保証人を用意する必要がなく、思い立ったときに申し込みできます。
返済日は「35日ごと」または「毎月指定日」を選べるため、給料日などの都合に合わせて返済計画を立てられる点も便利でしょう。
インターネットバンキング、ATM、口座振替など、返済方法を自由に選べるのも魅力のひとつです。
・フリーコール:0120-07-1000
・アコム総合カードローンデスク:0120-629-215(平日9:00~18:00)
・アコムプッシュホンサービス24:0120-134-567
・ショッピングデスク:03-3537-2366
・お客さま相談センター:0120-036-390
カードローンの限度額についてよくある質問
といったカードローンの限度額に関連する、よくある質問と答えをまとめました。
銀行や信用金庫などの金融機関が提供するフリーローンは、担保を提供するものとしないもので限度額が大きく異なります。
無担保フリーローンの場合、銀行カードローン商品の限度額と同程度またはやや低い金額が商品の限度額となっていることが少なくありません。
銀行はフリーローン・カードローンともに提供している場合が少なくありませんが、大手消費者金融などの貸金業者はそもそもカードローンしか扱っておらずフリーローンを扱っている事業者はそう多くありません。
中小規模の消費者金融がフリーローンを提供していることもありますが、商品自体の限度額は200万円前後が目安です。
銀行のフリーローンでは、保証人なし・無担保で300万円~500万円程度、有担保型フリーローンでは1億~3億円まで借りられる商品もあります。
カードローンの限度額は年収によって決まる
- カードローンには商品自体の限度額と個人ごとに設定される限度額がある
- 利用限度額は審査によって決定される
- 限度額決定の要素の一つに総量規制がある
- 総量規制が適用されると限度額は年収の3分の1を超えない金額になる
カードローンの限度額は、商品自体の限度額の範囲内で、利用限度額が個人ごとに決まります。
利用限度額は審査によって決定されるため、借入希望額が限度額になるとはかぎりません。
限度額を決める要素としては、年収、職業、勤続年数、他社からの借り入れ状況や返済状況などが挙げられます。
ただし、貸金業者のカードローンを利用する場合は、総量規制が適用されて年収の3分の1までしか借りられません。
そのため、最大の限度額は、カードローン商品自体の限度額の範囲内かつ自身の年収の3分の1であるとわかります。

宮野茉莉子
1984年生まれ。東京女子大学卒業後、野村證券に入社。ファイナンシャルプランナーとして活躍。2011年よりフリーランスでライターとして活動し、マネー分野の記事を執筆している。
得意分野:金融商品、投資
資格:2級FP技能士、証券外務員一種、中学高校社会科教員免許