- 固定資産税とはどのような税金なのか
- 支払いを滞納してしまった場合はどうなるのか
- 行政にはどのようなことを相談できるのか
- 老後はどのようにすればよいのか
- カードローンなどでお金を借りるという対策は有効なのか
目次
固定資産税とは
まずは固定資産税についての基礎知識を身につけるところから始めましょう。 不動産を持っている人ならば、固定資産税という言葉を知らない人はいないはずです。 定期的に必ず徴収される税金ですから、イメージは良くないかもしれませんね。 しかし具体的にどのような税金で、どのように金額が決まるのか、あるいは相続が発生した場合にどうなるのかといったことについては、知る機会のない人も多いことと思います。 この項目では、そういった情報について一通り解説していきます。
固定資産税の内容と支払い方法
固定資産税とは、不動産に対して課せられる地方税です。 ここで言う不動産には、土地と建物の2種類があります。 自分の土地の上に自分の建物を建てている人は、その両方について固定資産税がかかることになります。 固定資産税は、毎年1月1日時点で、対象となる不動産について固定資産税台帳に登録されている人が納める決まりになっています。 4月~6月の間に支払通知書が郵送で届くので、そこに記載されている金額を収めることになります。 支払通知書が具体的にいつ届くのか、そして固定資産税をいつまでに納めなければならないのかは自治体によって異なります。 一般的には、4期に分けて納めるようになっていますが、4期分をまとめて納めることも可能となっています。
固定資産税額の決定方法
固定資産税の金額は、「固定資産税評価額」というものを基準にして算出されます。 固定資産税評価額とは、土地や建物の評価を決める基準である「固定資産評価基準」に基づいて決定される額のこと。 固定資産評価額は、固定資産課税台帳に登録され、固定資産税の他にも登録免許税の計算をするときなどに用いられます。 固定資産税額は、固定資産税評価額の1.4%となっています。 固定資産税評価額は、3年ごとに見直しが行われます。 景気の変化や社会状況に合わせて、固定資産の評価も変わってくるのが当たり前だからです。 これを「評価替え」と言います。 評価替えによって、評価額が上がることもあれば下がることもありますが、それ以外の年は据え置きになると決まっています。
相続が発生した場合はどうなるか
親などから不動産を相続した場合、固定資産税を払うのは当然、相続人となります。 これは言うまでもないことなので、誰でも分かりますね。 問題は、亡くなった被相続人に未払いの固定資産税があった場合、それを誰が支払うのかということです。 いわゆる宙ぶらりんの状態なわけですが、税金は誰かが払わなければならないもの。 この場合もやはり、相続人が支払わなければならないというルールになっています。 また、一つの不動産を複数の人間で相続した場合、基本的には持分に応じた割合を払うことになっています。
固定資産税が払えない!滞納するとどうなる?
固定資産税の支払いは馬鹿にならない額になります。 持っている不動産の固定資産税評価額が2,000万円だとしたら、その1.4%の28万円を払わなければいけません。 4期に分けたとしても、7万円ずつの支払いを余儀なくされます。 この固定資産税を滞納してしまった場合はどうなるのでしょうか。 ここではその流れを具体的に解説していきます。
- 市町村から催促される
- 固定資産税の納期後から延滞金がかかる
- 差し押さえされることもある
市町村から催促される
固定資産税納付通知書が届いているにもかかわらず、決められた期間に固定資産税を払うことができないと、市町村から催促をされることになります。 具体的には、納付催告書や督促状が送られてきます。 単なる催促だと軽く見ている人もいるかもしれませんが、実際にはこの時点でかなり不動産所有者の立場は悪くなっています。 支払い期間を過ぎている以上、すでにルール違反をしてしまっている状態だからです。 したがって、納付催告書や督促状が届いた後は、ただ決められた固定資産税を支払えば良いということにはなりません。 残念ながらペナルティが発生してしまいます。 それが次の項目で解説する延滞金です。
固定資産税の納期後から延滞金がかかる
決められた期間内に固定資産税を納めることができなかった場合には、規定の固定資産税の他に延滞金も支払わなければなりません。 具体的に延滞金がどれくらいになるかは、遅れた期間によって決まります。 納付期限の翌日から1ヶ月が経過するまでの間は、原則として年7.3%の延滞金が適用されます。 1か月を経過した日以降については、原則として年14.6%の延滞金が適用されます。
差し押さえされることもある
納付催告書や督促状が届いてもなお支払いをしない場合には、身辺調査や財産調査が入り、最後の手段として、強制的に財産の差押えが行われることになります。 不動産所有者のもとには、いつどのようなものが差し押さえられるかを記載した「差押調書」が届きます。 その調書に記された日までに固定資産税を納めれば、差し押さえを回避することができますが、そこに「即時」と記載されていた場合には猶予は認められません。 差し押さえの対象にも順序がありますので、一つ一つ見ていきましょう。
給与の差し押さえ
一般的に、いきなり不動産そのものが差し押さえられることはありません。 まず差し押さえの対象となるのは、不動産所有者の給与や、銀行の預貯金となります。 給与の差し押さえが実行された場合には、勤務先に「債権差押通知書」が送られます。 この時点で、固定資産税を滞納していることが勤務先にバレてしまうわけですから、社会的な信用はある程度失われることになってしまいます。
家の差し押さえ
給与や銀行の預貯金を差し押さえても、滞納額を全て賄えるとは限りません。 まだ足りない場合には、車や家財などが差し押さえられ、それでもなお足りなければ不動産そのものが差し押さえられることになります。 差し押さえられた不動産は競売にかけられ、所有者が移転した時点で強制的に退去させられることになります。 これは最悪の事態ですので、何としても避けなければならないものでしょう。 「避けなければならないと言っても、実際に支払えない時はどうしようもないのではないか?」 そう思う人もいるかと思います。 しかし、お金がないからといって全く何もできないわけではありません。 いくつかできることも残されているということを、次項から具体的に解説していきます。
固定資産税が払えない時にできる3つのこと
固定資産税を払うことができないとどのようなことになるかについて、前項までで具体的に解説してきました。 ここでは、そう言われても実際に固定資産税を払うことができないという場合に、どのようなことができるのかについて解説していきます。
自治体の窓口に連絡をする
まず行うべきなのは、自治体の窓口に連絡をすることです。 自分の現状を説明し、相談に乗ってもらうのです。 もちろん、窮状を訴えたからといって、固定資産税がまるまる免除になるということはさすがにありません。 しかし、何らかの形で救済措置が採られることは十分あり得るのです。 これは固定資産税に限った話ではありませんが、行政というものは、血の通っていない頭でっかちな存在というわけではありません。 市民一人ひとりの状況に応じて、ある程度柔軟な対応をしてくれることはいくらでもあるということを覚えておきましょう。
分納や徴収猶予の相談をする
上記の自治体への相談と重なる部分もありますが、固定資産税の分納や、徴収の猶予などをしてもらえるよう相談することはとても有効です。 自治体の立場で考えてみてください。 自治体は市民に対して嫌がらせをしたいわけではありません。 結果的に税金を徴収することができることが最重要事項であり、その目的を達成するための妥協であれば、積極的に考慮してくれるのです。 したがって、一定の要件を満たせば、本来よりも細かい支払い方法で収めることを許可してもらえたり、1年間の徴収猶予を受けたりすることも出来るのです。
不動産の売却をする
固定資産税は、毎年必ず納めなければならないものです。 一時的に猶予をもらったり、分納の形式を許してもらったとしても、来年以降また同じことが起きるのであれば、根本的な解決にはなりません。 その場合には、思い切ってその不動産の売却をすることも検討する必要があります。 特に住宅ローンの支払いも厳しい場合には、滞納してしまうより前に売却するのは有効な選択肢の一つとなるでしょう。 不動産の売却代金で固定資産税の滞納分などを支払いきれない場合には「任意売却」という方法もあります。 ただし任意売却をするためには住宅ローンを借りている金融機関の承諾が必要なので、固定資産税や住宅ローンの支払いが苦しいことに関して相談をしてみましょう。 任意売却の場合には、売却した後もその家に賃貸の形で住み続けることができます。 この仕組みを「リースバック」と言います。 リースバックができれば、生活環境を変えることや引っ越し費用を捻出することなどの心配をする必要はなくなります。
固定資産税を滞納して差し押さえられた時の対処法
固定資産税額の延滞料金を通しても支払うことができず、不動産を差し押さえられてしまった場合には、どうすれば良いのでしょうか。 差し押さえは行政にとっての最終手段であり、この段階まで進んでしまったということは、かなり状況は悪いと言えます。 住んでいる家がいつ競売にかけられるかわからないというのは、不安で仕方ありませんよね。 しかし、そんな中でもできることが全くないわけではありません。 ここでは、不動産を差し押さえられてしまった後にどのようなことができるかについて、具体的に解説していきます。
差し押さえにメリットがないことを説明する
差し押さえというのは、徴収し損なった固定資産税の分を不動産の売却によって得ようという行政の行為です。 不動産所有者へのペナルティというより、確実に税収を獲得するための手段の一つなのです。 つまり、不動産を差し押さえて競売にかけても自治体の目的が達成できないということ、あるいは差し押さえるよりも確実に税収を得られる手段があることを伝えれば、差し押さえが解除される可能性もあるのです。 具体的には、気が変わって任意売却をすることを決断した、といったような内容ですね。 この辺りはマニュアルが存在するわけではなく、自治体の担当者との綿密な話し合いとなります。 誠実にしっかりと向き合い、対話を進めていきましょう。
返済計画について相談をする
いったん差し押さえがされてしまったら全てが変更不可能、というわけではありません。 自治体や税務署に相談をすることで、決定が覆る可能性も残されています。 例えば、現在の生活の状況などを正直に伝えた上で、納税を待ってもらえるよう相談してみるといったことです。 この時にはもちろん、誠意を持って正直に相談をすることが大切です。 自治体としても、何らかの形で税収を得ることができればそれでOKなので、必要以上に市民をいじめるようなことはしません。 相談をすれば、多くの場合において、相談者ができる範囲の支払い分割案に応じてくれるでしょう。 もちろん、持ちかける返済計画は現実的である必要があります。 時間はかかるかもしれないが、確実に返済してみせる、という意思を、計画内容の確かさをもって示すことが大切です。
一時的に何とかしてお金を工面する
どうしても固定資産税及びその延滞分を支払うお金がない場合には、どこかから何とかして工面するしかありません。 親族に頭を下げてお金を借りて回るとか、あるいは消費者金融を利用するといった手段が考えられます。 実際に差し押さえられる前にそれをしなかったということは、出来ればやりたくない強い理由があったのでしょう。 しかし不動産を差し押さえられてしまうというのは、想像以上に深刻な問題。 差し押さえられてからそのことに気づき、考えが変わるということはあり得る話です。 お金を工面して、固定資産税及びその延滞分を全て支払うことができれば、差し押さえは解除してもらえることでしょう。 本来ならば差し押さえられる前にすべきことですが、何もせずに不動産を競売にかけられてしまうよりはずっとましです。
固定資産税が払えないことに関するよくある疑問
固定資産税は、支払うこと自体においては身近な税金ですが、その性質をしっかり理解している人はあまり多くありません。 そのため、もし支払えなくなったらどうなるのかということについては、深く考えたことがなかったという人がかなり多いのが実態です。 ここでは、固定資産税の性質や、それを支払えなかった時にどうなのかといったことに関するよくある疑問に回答していきます。
空き家でも固定資産税はかかる?
空き家に対しても固定資産税の法律は適用されます。 それだけではなく、場合によっては人が住んでいる場合よりも多くの固定資産税を払わなければならない可能性もあります。 具体的に解説しましょう。 日本には「空家等対策特別措置法」という法律があり、人の住んでいない家は「特定空家」に指定されることがあります。 特定空家とは、以下の規定に該当する空き家のことです。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
固定資産税を滞納してしまった時の利息はどのくらい?
固定資産税を滞納してしまった場合には、延滞金が発生します。 この延滞金は、支払わなければならない固定資産税額に対するパーセンテージで算出されます。 原則としては以下のような利息が設定されています。
- 納付期限の翌日から1ヶ月が経過するまでの間:年7.3%
- 期限の翌日から1か月を経過した日以降:年14.6%
相続した資産の固定資産税は誰が払うべき?
相続した資産の固定資産税は、相続人が払うことになります。 所有権が移転するわけですから、この点について異論のある人は少ないのではないでしょうか。 少しわかりにくいのは、前の所有者、つまり被相続人が生前に滞納していた固定資産税を誰が払うのかということです。 これについても、相続人が支払う決まりになっています。 税金というものは、ひとたび支払義務が発生したら誰かが支払わなければならず、相続が行われる場合には相続人の他に払うべき候補者はいないからです。 また、不動産の相続においては、複数の人間で持分を決めて相続するということがありますよね。 この場合には、その持分に応じて固定資産税を払うのが原則となります。 しかし相続人のうちの誰かが代表して払ったとしても、それは法律に違反しているわけではありません。 さらに言えば、相続人以外の人、すなわち登記名義人ではない人が固定資産税を支払うことも許されています。 しかしもちろん、固定資産税を払ったからといってその不動産を所有できるようになるわけではありません。 この辺りを誤解してトラブルが発生することもありますので、注意する必要があります。
老後の固定資産税はどうなる?
年齢を重ねて現役を引退したからといって、固定資産税を払わなくてよいということにはなりません。 何歳であろうが固定資産税の算出方法には変わりはなく、不動産を所有し続けている限りは払っていかなければならないのです。 高齢者の場合は年金を切り崩して固定資産税を払っていくことになりますが、それではやっていけないという人もいることでしょう。 対策の一つとして、リースバックを利用するということが挙げられます。 リースバックとは、自宅を売却して現金化し、売却後も同じ家に賃貸の形で住み続けることができるサービスのこと。 これにより、まとまった老後資金を作ることができ、しばらくの間をしのぐことができるようになります。 リースバックを請け負ってくれる業者はたくさんあるので、このやり方に魅力を感じた人は相談してみると良いでしょう。
固定資産税が払えない時におすすめのカードローン会社5選
ここでは、固定資産税が払えない時にどのカードローンを利用するのが良いのか、そのおすすめを紹介していきます。 その前にまず、注意すべき点があります。 それは、納税をするために借り入れをするのは、必ずしも良い解決方法ではないということです。 理由は2つ。 借り入れをする以上は金利がかかってしまい、本来払うべき金額以上のお金が結果的に出ていってしまうことになるから。 そして、税金を延滞してしまうよりも借り入れの返済を延滞してしまう方が、信用情報に傷がつくという意味でダメージが大きいからです。 固定資産税を払うためにカードローンを利用するのは、上記のような理由が大きくのしかからない場合に限定したほうが賢明です。 以上のことを踏まえた上で、おすすめのカードローン会社を5つ紹介していきます。
アコム
アコムも有名なカードローン会社ですね。 最大手の一角を担っているだけあって、融資までのスピードや初回のみ無利息期間のサービスなども充実しています。 アルバイトやパートの人でも利用することができるので、そのような立場でありながら固定資産税を払わなければならない状況になった時に助かります。
アイフル

アイフルはWebから申し込めば最短20分で融資が可能という、非常に使いやすいカードローン会社です。 大手のカードローン会社の中でも特徴的なのは、電話による在籍確認を行わないこと。 これにより、職場の同僚にカードローンを利用したことを知られる可能性がほぼなくなります。 また女性専用窓口も用意されており、それを利用すれば女性の担当者が対応してくれるため、男性相手がお金の相談をする事に抵抗のある女性でも、気軽に利用することができます。
※申込状況によっては希望に添いかねます



プロミス
SMBCモビット
レイク
レイクの特徴は、初回利用時の無利息期間が長いことです。 他の大手カードローン会社は大体30日間と設定しているのに対し、レイクは標準で60日間。 さらに借り入れの額が5万円以内の場合には、180日間も無利息期間が続きます。 そのため、ほんの少しだけでも家のお金が足りないという場合には、レイクを利用することで、余計なお金を一切払うことなく資金を増やすことができることになります。
固定資産税が払えないときには、早めの対応がカギ
- 固定資産税は不動産の評価額に基づいて計算される
- 払わない場合は督促状が届き、延滞金の支払い義務が発生、それでも払わない場合は差し押さえられる
- 払えない時には行政に相談をし、分納やリースバックなどの手段を検討しよう
- 固定資産税を全く払わずに済ませる方法はない
- カードローンは適切に利用しよう


宮野茉莉子 1984年生まれ。東京女子大学卒業後、野村證券に入社。ファイナンシャルプランナーとして活躍。2011年よりフリーランスでライターとして活動し、マネー分野の記事を執筆している。 得意分野:金融商品、投資 資格:2級FP技能士、証券外務員一種、中学高校社会科教員免許