再チャレンジはできるのだろうか……?
このように事前準備を頑張って融資に申し込んだものの、断られたという経験をしたことがある方もいるでしょう。
この記事では、融資を断られる理由や、何がいけなかったのか理由を聞く方法、再チャレンジできる場合などについて解説します。
一度融資を断られている方や、これから申し込みを考えている方は必見です。
きっと、融資を断られてしまう理由などについてお分かりいただけるでしょう。
- 自己資金が足りていない場合は融資を断られる可能性が高い
- 過去に融資を受けた際に条件違反があった場合も融資を断られる
- 面談で事業計画をきちんと説明できない場合も融資を断られる可能性が高い
- 融資を断られたら必ずその理由を聞いて、原因を取り除くべき
- 資金計画に説得力がないなどの理由で融資を断られた場合は、再チャレンジできる
もくじ
日本政策金融公庫や銀行で融資を断られた場合の理由とは?
一般的に、融資を断られる原因とは何でしょうか…?
さらに事業を拡大したいときや、新しく事業を始めたいときに必要となる融資。
しかし事業者によっては、融資を断られてしまうこともあります。
どの事業者も融資を受けられる前提で、事業計画を立てているため、融資に通らない限り身動きが取れない状態となってしまうこともあるでしょう……。
そこでここでは、日本政策金融公庫や銀行に融資を断られた場合に、考えられる理由を8つ紹介します。
既に融資に落ちてしまった方や、これから融資を受けたい方は大事なポイントなので、ぜひ参考にしてください。
- 滞納などで信用情報に傷がついている
- 本来支払うべき税金をきちんと払っていない
- そもそも自己資金が足りていない
- 既に融資を受けている
- 過去に融資を受けた際に条件違反があった
- 返済をリスケした過去があったり、現在リスケ中だったりする
- 創業計画書の内容が雑できちんと説明できていない
- 面談で熱意や動機などを十分にアピールできない
①信用情報に傷がついている
一つ目の理由として考えられるのは、信用情報に傷がついているということです。
返済能力がないと判断されてしまうため、融資を断られてしまうのです。
- 過去2年以内に滞納をしていたことがある
- クレジットカードローン残高がある
- 債務整理をしたことがある
- クレジットカードの強制解約があった
過去5年から10年以内に債務整理をしている場合は、信用情報に傷がついていることが予測されます。
なお、クレジットカードの強制解約が過去5年以内にあった場合も同様です。
とはいえこれらの情報は永久的に残るわけではありません。
だいたい5年から10年ほど経てば、信用情報に傷がついていない状態になるといわれています。
それまで滞納などを繰り返さないようにしながら、信用情報から名前が消されるまで待ちましょう。
②税金を滞納している
本来収めるべきの税金を滞納している場合も、融資を断られる原因となります。
特に融資を申し込んだ先が日本政策金融公庫であった場合、税金の滞納や未納があっては審査に通過できないでしょう。
政府が出資している公的機関であるため、税金を滞納している人に融資を受けさせるわけにはいかないのです。
なお税金の他に、家賃や公共料金などの支払いが遅れている場合も、信用を失ってしまいます。
支払うべきお金をきちんと支払うことで、信用力を上げていきましょう。
③自己資金が少ない
創業融資の場合、自己資金が少ないと融資を断られることがあります。
というのも実際に借りられる創業融資の金額は、自己資金の約2倍から3倍程度だといわれています。
自己資金をいくら貯めているのかということで、資金管理能力があるということをみられているのです。
約6ヶ月分の通帳を調べられるため、すぐに実際に自分で貯めたお金でないことがわかってしまうでしょう。
どうしても自己資金が少なくてなかなか貯まらない場合は、出資により資本を増やすようにしましょう。
なおこの際は、見せかけのお金だと判断されないように、計画に共同事業だということを記載してください。
それでもまだまだ資金が足りていない場合は、見込み客がいることや、優れた営業能力があることをアピールするなど、会社の安定性を売り込む必要があります。
その際、見込み客や営業能力が十分にあることを示せるだけの資料を作らなくてはなりません。
自己資金が足りていないながら、融資を受けたい場合はどんな戦略を取るべきか専門家に相談しましょう。
④融資枠がピークに達している
1社が受けられる融資枠というものがあります。
つまり半永久的に、借りたいと思ったときに融資を受けられるわけではありません。
融資を断られた方の中には、既に融資を受けている、大きな金額の融資を受けているという方もいるのではないでしょうか。
その場合、融資枠がピークに達している可能性があります。
⑤過去に条件違反があった
融資を受けるときに、必ず借入申込書に使用用途を記入します。
実際に融資を受けた後、申込書に記載していた使用用途とは違う目的で使用した場合、条件違反に該当します。
借入申込書の使用用途に設備資金のためと記入。
ところが、そのお金を運転資金に使ってしまった。
融資の審査は信用がないとまず通ることがありません。
条件違反をするということは、自分から信用を裏切る行為をしているということです。
なお銀行などにその事実が知れ渡ってしまった場合、残金は全額返済することになるでしょう。
融資さえ受けられればこっちのもの、といった安易な考え方をせずに、申込書に記載した通りに資金を使用しましょう。
⑥過去に返済をリスケしていた
借入を申し込んだ先で過去に返済をリスケしていた場合も、融資を断られることがあります。
融資の返済条件を変更したり緩和したりすることをいいます。
なお、リスケとはリスケジュールの略です。
返済をリスケするということは、それだけ財務状況が悪化しているということ……。
つまり信用が下がった状態となっているため、融資を渋られる可能性が高いのです。
なお過去にリスケしていた場合だけでなく、現在リスケ中の方も追加融資を断られてしまうでしょう。
どうしても借入したい場合は、現在リスケ中の借入を完済する必要があります。
⑦創業計画書に信憑性がない
創業融資の場合、創業計画書に信憑性がないと判断されると融資を受けられません。
この場合、審査で重要視されることは自己資金が足りているのかということと、創業計画書の出来栄えです。
そのため自己資金が足りていたとしても、創業計画書が雑だったり、信憑性がなかったりすると、融資を断られてしまうのです。
- 売上の根拠があいまいで適当
- 創業計画書に記載している事業と、今までのキャリアが結びついていない
- 事業の内容がはっきりしていなく、具体的なイメージができない
- 資金繰り計画が雑だったり、うまく説明できなかったりしている
- 商品の原価や売上、土地代、人件費などのバランスが悪い
このような特徴に当てはまると、融資を受けられない可能性が高まります。
一度断られてもまたチャレンジすればいい、と捉えずに、しっかり準備しておきましょう。
⑧面談で信用できないと判断された
面談で熱意を伝えられなかったり、うまく説明できなかったりした場合も、融資を断られてしまいます。
創業計画書の内容を担当者に説明する場が、面談です。
言い換えれば、事業へのやる気を存分にアピールできる場でもあります。
そのようなチャンスを自分で壊さないためにも、聞かれるであろう質問に答えられるよう練習しておくなど、事前準備が必要です。
- 聞かれた質問から外れた回答をしている
- 事業へのやる気を感じられない回答
- 創業計画書について自分の言葉で説明できない
- その事業をしたいという動機付けができていない
銀行で融資を断られたときに理由を聞く方法
銀行で融資を断られたら、その理由を明らかにすることが重要です。
融資を断られた理由が明らかにならないままだと、再チャレンジに向けて準備することができません。
なぜだめだったのか理由がわかれば、その原因を取り除くなどの対策ができます。
銀行が融資を断った理由を教えてくれないこともある!?
銀行の担当者に、融資に通らなかった理由を教えて欲しいと頼んでも、回答を渋られることがあります。
というのも闇雲に審査に通らなかった理由を伝えてしまうと、銀行の審査基準が世の中に出回ってしまうからです。
審査基準というのは銀行の極秘情報でもあるため、全てを説明するわけにはいかないという事情があるのです。
銀行が融資を断った理由を教えてくれないときの秘訣
このような場合は、中小・地域銀行向けの総合的な監督指針には、融資を断る理由を説明すべきだと記載されていると伝えてみましょう。
そのため、上記の監督指針を知っているということを伝えれば、銀行としても説明しないわけにはいかなくなるのです。
とはいえ、それでも説明を渋られることもあるでしょう。
その場合は金融庁に問い合わせてみると伝えることで、担当者もさすがに説明しないわけにはいかなくなります。
このようなことを伝えることに抵抗を感じる方もいるでしょう。
しかし、事業に必要な資金を集めるためにも必要なことです。
融資を受けて事業を成功させるためにも、融資を断られた理由を明確にしましょう。
融資を断られても再チャレンジできる?
ということは、一度断られていても再チャレンジできるのでしょうか……?
実は断られた理由によっては、再チャレンジが可能なケースがあります。
ここでは再チャレンジ可能な場合と、不可能な場合の例を挙げていくので、参考にしてください。
自社が再チャレンジ可能だということが分かったら、審査に受かるためにも断られた理由を取り除くよう努めましょう。
融資を断られても再チャレンジできる場合とは?
まずは融資を断られても、再チャレンジできる場合について紹介します。
- 自己資金が少ない
- 売上の根拠に説得力がない
- 資金計画に説得力がない
- 面接でうまく事業計画を説明できなかった
- 事業計画書が大雑把
- 資金使途が同業者と比較してあまりにも多い
- 経費の見積もりに根拠がない
このような場合は、融資を断られた原因を取り除くことができれば、審査に通過できる可能性が残されています。
指摘されたことを100%改善して、次こそは融資を受けられるように前々から準備を進めていきましょう。
融資を断られたら再チャレンジが難しい場合とは?
続いて、下記のケースに当てはまる場合、再チャレンジしても融資を受けられる可能性は限りなく低いでしょう。
- そもそも確定申告をしていない
- 過去に金融事故を起こしている
- 自己資金が少ない
- 消費者金融から多額の借入がある
- 虚偽報告や嘘の書類を提出していた
- 税金を滞納していて、支払いの目処も立っていない
- 自己資金があっても見せ金の疑いがある
- 債務超過している
- 融資の返済が3分の1以上滞っている
- 家賃や公共料金の支払いが遅れていたり未納だったりする
一般的に上記の事柄に当てはまる場合、再チャレンジしても、審査を通過することはないでしょう。
そのため上記に当てはまる場合は、融資を受けようとするのではなく、自己資金を頑張って貯める必要があります。
融資を断られたときによくある質問に回答
最後によくある質問にまとめて回答していきます。
- 取引先の銀行から融資を断られたら他の金融機関に相談する
- 一度融資を断られたら、再チャレンジまで6ヶ月待つ必要がある
- 融資を断られた場合は、地方自治体の融資制度を検討する
- 日本政策金融公庫は利益を追求していなくて、銀行は利益を追求しているため審査が厳しい
- ベンチャー企業や中小企業は地元の信用金庫や地方銀行を選ぶ
①取引のある銀行から融資を断られた場合、どうするべき?
普段から取引のある銀行から融資を断られてしまったのであれば、別の銀行に相談することをおすすめします。
その際にまた融資を断られないためにも、具体的な資金計画書を提出するなど、熱意をアピールすることがポイントになります。
普段取引のない銀行であればなおのこと、熱心な気持ちが伝わるように情報開示するなど、前回よりもパワーアップした資料を作成しましょう。
②一度融資を断られた場合、どのくらい待つべき?
日本政策金融公庫で融資を断られた場合、その後6ヶ月を過ぎていなければ再チャレンジできません。
つまり、一度審査に落ちたら、6ヶ月間も待つ必要があります。
しかし、担当者にピンポイントで修正箇所や直すべきことを伝えられている場合、6ヶ間も待たずに再申請することも可能です。
担当者にピンポイントで、融資を断った理由を説明されたのか否かで判断しましょう。
③どう頑張っても融資を断られた場合の対象法とは?
説明された融資を断った理由を改善するなどの努力を重ねたものの、また融資を断られてしまった場合、地方自治体が行なっている融資制度を利用しましょう。
地方自治体が行う融資制度とは、お住まいもしくは事業を展開している都道府県や市町村が独自に行なっている融資です。
なお地方自治体によっても融資制度の内容や条件などは異なります。
気になる場合は、該当する地方自治体に直接訪ねてみましょう。
④そもそも日本政策金融公庫と銀行の違いとは?
日本政策金融公庫と、銀行の違いについて解説していきます。
まず日本政策金融公庫とは、政府系の銀行であるため、利益を追求する必要はそこまでありません。
そのため経営計画に多少難があっても、地域を活性化したり、中小企業を応援したりするといった観点から融資の認可率は高いといわれています。
なお保証協会なしでも融資を受けられるため、高い費用が返済額に上乗せされることはありません。
このように、公平性が高く誰でも利用しやすいのが日本政策金融公庫の特徴だといえるでしょう。
反対に銀行の場合、民間企業であるため利益を追求する必要があります。
きちんと融資先を選ばなくては事業存続の危機に陥ってしまうため、厳しい審査を通過しなくてはなりません。
審査が厳しい銀行の融資を受けるために必要なのが、保証協会です。
とはいえ、保証協会の利用にはお金がかかります。
返済額に保証協会の料金が上乗せされることになるでしょう。
日本政策金融公庫と比較すると、銀行の難易度はとにかく高めです……。
なお料金も高くつくため、資金の余裕のない事業者には厳しい選択だといえるでしょう。
そのため、融資を受けたいのであれば、まず日本政策金融公庫に相談してみましょう。
日本政策金融公庫で審査に断られてしまったら、金融機関に申し込みましょう。
ただし、審査の難易度は高くなるということを前提に、資料の作成などにより一層真剣に取り組む必要があります。
⑤融資を受ける金融機関の選び方とは?
全国にある金融機関の中でも審査が厳しいと有名なのは、全国的に有名なメガバンクです。
特にまだまだ事業実績の少ないベンチャー企業や中小企業に、融資を認めることは限りなく珍しいでしょう。
しかし、信用金庫や地方都市などの銀行であれば、メガバンクよりも審査に通りやすいといわれています。
とはいえ、甘くみずにきちんとした事業計画書を提出するなど、しっかりと準備を進める必要があります。
- 大企業→全国的に有名なメガバンク
- ベンチャー企業や中小企業→地元の信用金庫や地方銀行
融資以外の資金調達法とは?
そんな場合は、事業を諦める他ないのでしょうか……?
そのような場合にもまだ手立てはあります。
ここでは、3つの資金調達法を解説していきます。
それぞれ向き不向きもあるため、自社にとって一番良い方法とはなんだろうかという視点で比較してみてください。
- 家族などに頼んで借入させてもらう
- 消費者金融のビジネスローンを利用する
- 売掛金がある場合はファクタリングを利用する
①家族などから借り入れる
どうしても融資を受けられない場合は、家族などから借り入れるという手段もあります。
家族であればと協力してもらえるかもしれませんが、安易に考えないようにしましょう。
事業が計画通り進まなかった場合、返済が遅れたり滞ったりして家族に迷惑をかけてしまう恐れがあります……。
自分たちの生活で精一杯な中、お金を貸してもらった場合、返済が理由で家族関係が壊れてしまうこともあるでしょう。
なお既に借入があって返済が難しい場合、債務整理することで借金をゼロにするという方法もあります。
とはいえ、債務整理を行うとブラックリストに載った状態になりため、その後5年から10年ほどは借入できなくなります。
どんな方法を選択してもメリットとデメリットがあります。
どちらも比較と健闘を重ねた上で、慎重に選択しましょう。
②ビジネスローンを利用する
消費者金融などが展開するビジネスローンを利用するという方法もあります。
申込者の状態が債務超過だったり、赤字だったりした場合でも対応してもらえます。
なお契約は無担保かつ、無保証が原則です。
つまり、融資を断られた場合でもビジネスローンであれば借入可能なことが多いのです。
融資と比較しても審査結果が最短即日でわかるなど、急いでいる場合にとって便利な資金調達法だといえるでしょう。
このようにメリットの多いビジネスローンにも、デメリットがあります。
利便性に優れている分、かなり高金利であるため長期的な利用をした場合、経営状況が余計に苦しくなってしまうでしょう。
このようなデメリットを知らないで契約してしまうと、自らの首を絞めることになりかねません。
どんな資金調達法を利用するときでも、必ずデメリットについても踏まえた上で申し込みましょう。
③ファクタリングを利用する
続いて、売掛金がある場合はファクタリングを利用するという方法もあります。
この方法のメリットは、たとえ自社が赤字だったり税金を滞納したりしていても、審査にそれほどの影響を与えない点にあります。
あくまでも審査対象となるのは売掛先企業なので、申し込んだ企業の状態はそこまで関係ないのです。
売掛先が法人であれば、どなたでも申し込みできます。
なお売掛先が法人の場合、個人事業主が利用できるファクタリング会社も多数あります。
なお売掛先にファクタリングの利用を知られたくない場合は、2社間取引を利用しましょう。
そうすれば、基本的に売掛先にファクタリングの利用が通知されることはありません。
- すぐにでも現金が必要
- 請求書が現金化されるまで数ヶ月かかり、そのせいで資金不足に陥っている
- 融資以外の方法で資金を調達したい
- 借入にならない方法で資金を調達したい
- 自社の経営状態が良くない
上記に当てはまる場合は、ぜひファクタリングによる資金調達も検討してみましょう。
まとめ
この記事では、融資を断られた場合に考えられる理由や、断られたときに理由を聞き出す方法などを紹介してきました。
自己資金が少なかったり、信用情報に傷がついていたりすると、なかなか融資を受けることができません。
再チャレンジした際に、審査に通過するためにも、なぜ断られたのかという理由を明確にする必要があります。
どうしても銀行が理由を教えてくれないのであれば、金融庁に相談してみると伝えることで、融資を断られた理由を聞き出すことができるでしょう。
なお、何度も融資を断られてしまう場合は、家族からの借入や、ビジネスローン、ファクタリングで資金を調達できることもあります。
その中でもファクタリングであれば、売掛債権を売却するだけなので、借入になりません。
もちろん信用情報に傷がつくこともないので、売掛金がある企業や個人事業主は利用を検討してみましょう。
この記事が、融資を断られてしまったみなさんの参考になれば幸いです。