こんな風に、会社の経営がうまくいっていないことに頭を抱える経営者も多いのではないでしょうか?
会社の経営が行き詰まる要因は業種などによってもさまざまです。
資金ショートを起こす前に経営改善に取り組むべきですが、何から始めたらいいのかわからない経営者も多いはず。
そこでこの記事では、根本的な経営改善の考え方から、失敗しないためのポイント、よくある失敗事例とその原因などを解説していきます。
専門家に頼るメリットもお伝えするので、これから経営改善したい経営者は必見です。
- 経営改善とは、会社を存続させるために経営を改善すること
- 経営改善したい経営者は多いが、失敗事例も多い
- 経営改善したい経営者自身が、会社を改革すると強く決意することが大切
- 経営改善したい経営者は、具体的な数値を出した目標を設定する
- 経営改善したいなら、最初から経営コンサルタントなど専門家の支持を仰ぐべき
もくじ
そもそも経営改善とは何?
こんな風に、経営の仕方など会社を存続させていく方法に悩みを抱えている経営者も多いでしょう。
何かしら改善の余地があることだけはわかっていても、具体的に何を改善したらいいのかわからない経営者も多いはずです。
経営改善とは、その名の通り経営を改善することを意味します。
会社を存続させるためには、悪化している経営状況を改善しなければなりません。
上記の売り上げ向上や利益を出すことだけでなく、商品を開発したり、営業体制の見直しを図ったり、会社の価値を高める活動は全て経営改善につながります。
つまり、売り上げを上げることだけでなく、ビジネス戦略そのものを見直すことが経営改善だといえるでしょう。
- 会社の資金繰りが苦しくなっているとき
- 赤字が2年以上続いたとき
- M&Aしたいとき
会社の資金繰りが苦しくなっているときは、すぐに経営改善に取り組まなければなりません。
なお赤字や資金繰り悪化の影響でリスケしなければならないときも、改善が必要でしょう。
また、上記のような経営が苦しいタイミングだけでなく、M&Aなど事業譲渡したいときも経営改善に取り組むべきです。
M&Aに関しては、会社や事業の価値を高めることでより良い条件で取引できるようになるでしょう。
経営改善の始め方とは?
経営改善を始める上で一番重要なことは、経営者自身が会社の経営を改善すると強く決意することです。
いくら優秀な従業員がいたとしても、経営者自身が本気で会社を改善しようとしなければ、改革が始まりません。
その上で、将来的に会社をどうしていきたいのか具体的な目標を設定しましょう。
- どのくらい売り上げや利益を伸ばしたいのか
- 経営者としてどのような会社を目指しているのか
- 5年後、10年後など区切りの良い期間で実現したいことは何か
- 社員に対する待遇(給料や福利厚生など)はどうしたいのか
これらの目標を定めましょう。
ここでのポイントは、利益を生み出すことを中心とした目標を設定することです。
どんなに素晴らしい目標を掲げても、会社として利益を出さないことには存続が厳しくなってしまうでしょう。
具体的な数値を検討した上で目標を定めたら、実現するために改善しなければならない点を挙げていきます。
改善点が明らかになったところで、実行に移し努力することが大切です。
経営改善したいなら専門家に依頼すべき
正しく経営改善するためには、高度な経営ノウハウが必要になります。
具体的には、下記でお伝えする項目で当てはまるものが多い場合、正しく経営改善できない恐れがあります。
会社を存続させるために何かしら改善しなければならないと悩む経営者は、下記の項目に当てはまらないか確認してみましょう。
- 何かしら改善しなければならないことはわかっているが、具体的に何から始めるべきかわからない
- そもそも何を改善しなければならないのかよくわからない
- 会社の問題点がどこにあるのかわからない
- 会社の存続に不安を感じている
- 決算書に関する知識がなく、読めなければ理解もできない
- なかなか利益が出ない
- 利益が出るように頑張っているが、成果につながらない
- 経営に関する本を読んだりセミナーに参加したりしているが、参考にならない
- 従業員のモチベーションが下がっている
- 退職者が増えている
上記でお伝えした項目に多く当てはまるのであれば、現時点で正しく経営改善するだけの知識が不足しているといえるでしょう。
経営者に正しく経営改善するための知識がなければ、会社の存続がさらに危うくなったり、従業員のモチベーションが低下したりと、状況が悪化する恐れがあります。
実際、経営改善に取り組む経営者は多いものの、成功率がそう高くないといわれています。
少しでも不安を感じたら、最初から経営コンサルタントなど専門家と一緒に進めるべきでしょう。
- 経営に必要な能力全般
- 会社を客観的に判断するスキル
- 世の中の流れを予測するスキル
上記のようなスキルは必須です。
経営に必要な能力全般には、問題や現状の分析能力、検証力、正しい目標設定スキル、実行力、実践力など、さまざまなスキルが含まれます。
これまで会社を経営してきたとしても、全ての能力に優れているとは限りません。
その点、経営コンサルタントと一緒に経営改善に取り組めば、客観的に会社を判断した上で、正しい方向に導いてくれるでしょう。
間違ったアプローチ方法で経営改善し、失敗しないためにも経営コンサルタントなど専門家の力が必要なのです。
経営改善したい事業者必見!失敗しないためのポイント
先ほど、経営改善に取り組む会社は多いものの、成功率が高くないという事実をお伝えしました。
そこでここからは、これから課題に取り組む事業者向けに失敗しないためのポイントを3つお伝えします。
経営改善を成功に導くために一番重要なのは、目標設定です。
ここでは失敗しないために知っておくべき目標設定のポイントについて解説するので、参考にしてください。
1.目標設定が明確になっている
一つ目のポイントは、目標設定が明確になっていることです。
いくら経営改善に対するモチベーションがあっても、明確な目標設定がなければ、どんどん行動がぶれてしまうでしょう。
なお明確な目標設定がない場合、本当に改善できているのか否か、見当がつかなくなってしまいます。
- 売り上げを上げたい
- 利益を上げたい
上記のような目標では、具体的にどのくらい売り上げや利益を上げたいのか見当もつきません。
このような目標を設定したところで、現場の負担が増えるだけです。
- 売り上げを上げたい→〇〇までに営業利益を4%上げたい
- 利益を上げたい→〇〇までに粗利率を5%上げたい
上記のように、期間を定めた上で数値を出し、具体的な目標を設定するべきです。
具体的な数値を入れた目標を設定することで、粗利率を5%上げるためには仕入れなどの見直しだけでなく、価格設定など、具体的にやらなくてはならないことがみえてきます。
2.達成できる範囲の目標を設定する
二つ目のポイントは、達成できる範囲の目標を設定するということです。
噛み砕いて解説すると、目標設定の難易度が低すぎても高すぎても良くありません。
特に良くないのは、現場の従業員が根性論でどうにか達成しようとするような目標です。
従業員がどのように感じるのか検討した上で、目標設定することが大切です。
経営コンサルタントに依頼する場合、目標設定に関してもアドバイスをもらうことをおすすめします。
経営者よりコンサルタントの方が、客観的に会社や現場を判断できるケースは少なくありません。
経験値の高いコンサルタントであれば、他社の成功事例なども踏まえた上で適切な目標を提案してくれるでしょう。
3.従業員のモチベーション向上につながる目標を設定する
三つ目のポイントは、従業員のモチベーション向上につながる目標を設定するということです。
というのも、最初から従業員に無理だと思わせるような目標では、現場の協力が得られないでしょう。
なお何度も目標設定しては、実行できずに終了するというケースだけは避けなくてはなりません。
そのようなことが続くと、目標を達成できなくても問題ないという雰囲気が流れ、従業員のモチベーションがどんどん下がってしまうのです。
場合によっては、従業員の退職が続くなど人材の流出につながる可能性もあります。
経営改善するために高い目標を掲げるのであれば、経営者陣がフォローするなど一緒に頑張っていきたいという姿勢を示すこともポイントとなるでしょう。
経営改善のよくある失敗事例と原因を解説
どんな経営者も改善しようと決断したタイミングでは、熱意に溢れているはずです。
しかし、何度かお伝えしたように経営改善に失敗する会社が多いのもまた事実……。
そこでここからは、よくある失敗事例とその原因について解説していきます。
これから経営改善に取り組む事業者は、失敗例を参考に同じミスを起こさないよう気をつけましょう!
1.目標設定が曖昧で根拠がない
一つ目の失敗事例は、目標が曖昧で根拠のない数値を設定しているということです。
先ほどお伝えしたように、正しい目標設定することが、経営改善に成功するための近道です。
目標が曖昧だったり、根拠のない数値を設定されたりすると、現場の従業員が疲労してしまいます。
従業員が納得できるような目標を共有することが重要なのです。
例えば5%売り上げを上げたいのか、それとも売り上げを5倍にしたいのか、同じ数値でも目標設定の仕方が変われば、取り組み方も異なります。
安易に「%」なのか、それとも「倍」なのかなど基準を定めてはいけません。
目標設定に迷ったら経営コンサルタントに相談しながら、その目標を共有したときに従業員がどう感じるのかということを検討しましょう。
2.経営者の認識が甘い
二つ目の失敗事例は、経営者の認識が甘いということです。
記事の冒頭でもお伝えしたように、経営者自身が絶対に経営改善するという強い心意気を示すこともポイントになります。
失敗事例でよくあるのが、改善がうまくいかなかったときに経営者自身が外的要因が原因で失敗したと認識しているケースです。
- 運がなかったと言い訳をする
- 業界としての景気が悪いため失敗したなど、外的要因のせいにする
- タイミングが良くなかったなど、外的要因のせいにする
- 地方なので失敗したと土地のせいにする
- 従業員が積極的に行動しなかったからと、従業員のせいにする
このように言い訳をする経営者は、残念ながら認識が甘いといえるでしょう。
景気が悪い、タイミングが悪いなどと言い訳することは、将来的に起こり得ることを十分予測できなかったために起きたことです。
またどんな会社でも経営していれば、想定外のことが起きる可能性はあります。
失敗の要因を従業員になすりつけるのも良くないでしょう。
そういった意味でも、従業員が取り組みたいと思える目標を設定することが重要なのです。
3.経費の削減方法が間違っている
三つ目の失敗事例は、経費の削減方法が間違っているということです。
資金繰りが苦しい時点で、削減できる経費がないか検討するのは正当な判断だといえます。
しかし、削ってはいけない経費まで削減しないように気をつける必要があります。
経費削減ばかりに注力した経営改善にならないよう、注意しましょう。
その際、現時点でかかっている経費を全て見直してください。
その中から削減してもいい経費と、削減してはいけない経費に分けていきます。
電気料金に関しても契約先を変更することで、経費削減につながることがあるでしょう。
一番気をつけなければいけないのは、従業員への給料や福利厚生などです。
同業他社などと比較したときに同じくらいの待遇なのであれば、給料を削減することは得策とはいえません。
給料やボーナスを削減しすぎた結果、人材の流出につながらないよう気を配る必要があります。
4.経営改善計画書通りに行動しない
四つ目のポイントは、経営改善計画書通りに行動しないということです。
経営コンサルタントなどに依頼し、一緒に計画書を作成したとしても行動に移さなければ何も意味がありません
中には計画書自体が分厚く、読んだり分析したりするのが面倒になってしまうこともあるでしょう。
しかし計画書通りに行動しないことには、いつまでたっても改善されません。
本気で経営改善しようと思ったら、すぐに行動しましょう。
5.コンサルタントなど専門家任せにしている
五つ目の失敗事例は、コンサルタントなど専門家任せにしているということです。
最初からコンサルタントに全て任せていては、従業員にも改善したいという熱意が伝わりません。
何より、コンサルタント任せにすることで経営者の認識が甘くなってしまうという懸念点があります。
コンサルタントも人です。
経営者のやる気を感じられなければ、本気で協力したいという気持ちにはならないでしょう。
なおコンサルタントに依頼したとしても、彼らが四六時中会社に駐在するわけではありません。
定期的に会社に訪問しつつ、メールや電話などで対応するのが一般的です。
つまり、経営者がコンサルタント任せの姿勢だと、改善が進みません。
このような姿勢で、改善に向けて取り組みましょう。
経営改善に重要な役割を果たす3つの観点とは?
先ほど正しく経営改善するためには、分析能力や検証力などが必要だとお伝えしました。
そこで具体的に、どのようなことを改善すべきなのか、下記でお伝えする3つの観点に絞って解説していきます。
- 経営戦略
- 財務諸表上での問題
- 経営資源の管理
1.経営戦略の改善
一つ目の観点は、経営戦略の改善です。
ここでいう経営戦略とは、全面的に経営戦略を見直すことを指し、経営者自身の意識を改革することも含まれます。
そんな経営戦略には主に3つの手法があります。
- VRIO分析
- SWOT分析
- PPM
それぞれの手法について詳しく解説していきます。
VRIO分析とは?
VRIO分析とは、V「Value・価値」、R「Rarity・希少性」、I「Imitability・模倣可能性」、O「Organization・組織」という言葉の頭文字をとった言葉です。
簡単にいうと、企業の弱みや強みを分析するための手法だといえます。
SWOT分析とは?
SWOT分析とは、S「Strength・強み」、W「weakness・弱み」、O「Opportunity・機会」、T「Threat・驚異」という言葉の頭文字をとった言葉です。
簡単にいうと、市場や競合などの外部環境と自社の強みや弱みや品質、価格などの内部環境を良い面と悪い面に分けて検討する手法のことをいいます。
PPMとは?
PPMとはプロダクトポートフォリオマネジメントを意味する言葉で、経営資源の配分をする際に利用される手法です。
この手法を利用することで、事業別に最適な資金分配を検討したり、事業の将来性について検討したりできます。
2.財務諸表上での問題に関する改善
二つ目の観点は、財務諸表上での問題に関する改善です。
つまり収益や利益など財務諸表に関連する項目について改善することを指します。
一年間の財政状況や経営成績がまとめられているため、決算書とも呼ばれることがあります。
この財務書表上での問題がなおざりになると、返済の負担が大きいといった問題に目を向けないまま経営改善を進めることになってしまうのです。
たとえ経営戦略に問題がなかったとしても、財務省表上で問題を抱えていては、経営改善は失敗に終わってしまうでしょう。
そのようなことがないよう、財務諸表上での問題にも気を配るべきなのです。
3.経営資源の管理に関する改善
三つ目の観点は、経営資源の管理に関する改善です。
ここでいう管理に含まれる項目は、人・物・金の3つとなります。
上記二つの経営戦略や財務書表などに問題がなくても、経営資源の管理に問題があれば経営改善計画を実行できないまま終わってしまうでしょう。
さまざまな管理方法がありますが、最も有名なのはKPIという指標です。
この考え方を用いることで設定した目標を達成するため動向を把握できるようになります。
そんなKPIを設定する際は、上述の経営戦略や財務計画などと連動しているか確認しましょう。
なおKPIに関しても高すぎる目標を設定すると、従業員のモチベーションが低下してしまいます。
最適な数値を設定できるよう、経営コンサルタントなどに相談しましょう。
まとめ
この記事では経営改善したい経営者向けに、考え方や目標設定の方法、失敗しないためのポイントなどを解説してきました。
2期以上連続で赤字を出しているなど資金繰りが苦しいのであれば、すぐに経営改善に取り掛かるべきです。
他には、M&Aを検討中の事業者も経営改善に取り組まれることをおすすめします。
経営改善を始めるにあたって、経営者自身が会社を改革すると決心することが重要です。
それから具体的に何を改善すべきなのか、目標を設定しましょう。
会社の資金繰りが悪化していること自体はわかっていても、具体的に何をしたらいいのかわからない経営者も多いでしょう。
そんなときは、経営コンサルタントなど専門家に相談しながら改善に取り組んでください。
正しい知識を持った専門家のもとで取り組むことで、最短かつ最適な方法で経営改善できるはずです。
この記事が経営者の参考になれば幸いです。