買掛金とは?売掛金や未払金との違いや仕分け方法までわかりやすく解説!

事業を営んでいる方や、経理担当者の方の中には買掛金という言葉を耳にしたことがある方も多いでしょう。

飲食店や工場など、何かを仕入れる必要がある業種ではよく買掛金という勘定科目が発生します。

この記事では、買掛金についてわかりやすく解説するとともに、発生するタイミングや仕分け方法、メリット・デメリットなどをお伝えしていきます。

最後までお読みいただければ、

買掛金の仕組みがよくわからない……。

売掛金と買掛金の違いは一体どんなところにあるのか……?

分け方法や取引の事例を知りたい……。

といった疑問や不明点が解決するでしょう。

買掛金とは…
  • 仕入れに関して、今後支払わなくてはならない代金のことを買掛金という
  • 買掛金とはわかりやすくいうと、ツケ払いのようなものと言える
  • 買掛金の発生する掛取引のメリットは、その場で現金を用意できなくても取引できること
  • 買掛金の発生する掛取引は、信頼関係がないと成り立たない
  • 買掛金残高を定期的に確認して資金繰りを見直すことが大切

買掛金とは何? わかりやすく解説

「複式簿記を記入する中で、買掛金という単語が出てきました……。」

「一体、この買掛金とは何でしょうか?」

「どういったときに使う言葉なのか教えてください……。」

企業の経理担当者や個人事業主の方など、複式簿記を記入する際に買掛金という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

買掛金とは掛取引が発生した際に使われる勘定科目で、読み方は「かけとりひき」といいます。

掛取引とは?
掛取引とは、サービスや商品に対する代金を後から支払う取引のことを意味します。

日本では一般的に、信用取引ともいわれる掛取引が行われているため、ほとんどの取引が掛取引に該当するはずです。

なお買掛金が発生するのは仕入れがあった際に限られます。

買掛金が発生する例
  • 商品の製造に必要な材料を仕入れた場合
  • 販売したい商品を仕入れた場合

買掛金とは、掛取引で仕入れした場合に使われる勘定科目だということを覚えておきましょう。

買掛金と未払金の違いをわかりやすく解説

「掛取引で仕入れした場合に使う勘定科目が買掛金なのですね……。」

「それでは、未払金との違いは何でしょうか……?」

「どちらも後日支払いが発生するという意味では、違いがないように思えます……。」

確かにどちらも後日支払いが発生するという観点では、同じです。

しかし未払金とは、消耗品や固定資産などに関する未払の代金のことをいいます。

つまり買掛金と未払金の違いとは、仕入れに関連するか否かということです。

仕入れに関して後日支払う必要のある代金が買掛金、仕入れに関係ない後日支払う必要のある代金が未払金と覚えましょう。

買掛金と未払費用の違いをわかりやすく解説

「未払費用という勘定科目もありますよね……。」

「一体どんなタイミングで使用するのでしょうか……?」

保険料やリース料、賃貸料など継続的な契約があり、後日支払う必要のある代金のことを未払費用といいます。

買掛金と未払金との違いは、継続的な契約があるか否かということです。

継続的な契約がある場合は、未払費用と覚えるようにしましょう。

なお未払金との違いをもっと詳しく解説すると、未払費用は決算期をまたぐ項目です。

貸借対照表に、決算期をまたいで代金を記入する必要があります。

買掛金と売掛金の違いをわかりやすく解説

「それでは買掛金と売掛金の違いは何でしょうか……?」

「売掛金という言葉をよく耳にしますが、両者の違いがいまいちわかりません……。」

掛取引でサービスや商品の取引をした際に使用されるのが、売掛金です。

買掛金が商品などの仕入れ時に使用される勘定科目で、売掛金はサービスや商品を販売した際に使用される勘定科目となります。

つまり、サービスや商品を掛取引で販売したら、売掛金が発生したと記入します。

買掛金が発生するタイミングとは?

「似たような勘定科目がたくさんありますが、それぞれの違いについてわかるようになりました……。」

「そこで、買掛金が発生するタイミングや仕組みについてもっと詳しく知りたいです……。」

「どのように発生するのか詳しく教えてください……。」

ここでは、どのような取引で買掛金が発生するのか解説していきます。

また、どのタイミングで会計処理が発生するのかもお伝えするので参考にしてください。

STEP.1
商品の注文が発生
材料や商品の仕入れ先に商品を発注します。

掛取引となるため、このタイミングで会計処理をする必要はありません。

STEP.2
注文した商品を仕入れる
STEP1で注文した商品を仕入れたら仕入れ、掛取引に関する会計処理が発生します。
STEP.3
請求書の受取り
仕入れ先から請求書を受け取ったら、書類に記載されている期日までに代金を支払います。

なおこのタイミングでの会計処理は発生しません。

STEP.4
仕入れた商品の代金を支払う
仕入れた商品の代金を支払います。

このタイミングで買掛金がなくなるため、会計処理が必要です。

STEP.5
買掛金の残高を確認する

買掛金残高を確認して仕分けや支払った代金に間違いがないか確認しましょう。

買掛金が発生するメリットとデメリット

「どのようなタイミングで買掛金が発生するのか理解できました……。」

「会計処理が発生するタイミングについても理解できました……![」

「取引するたびに代金を支払った方がシンプルで楽ではないでしょうか……?」

こんな風に、取引が発生する度にその都度代金を支払ったら良いのでは?と感じる方もいるでしょう。

しかし、買掛金や売掛金が発生する掛取引が一般的になったことには、きちんとした理由があります。

そこでここからは、買掛金が発生するメリットとデメリットについて解説していきます。

買掛金が発生するメリット

まずは、買掛金が発生するメリットについてお伝えします。

買掛金が発生するメリット
  1. 注文時に現金を用意できなくても取引できる
  2. まとめて振り込めるため、事務作業の軽減になる

1.すぐに現金を用意できなくても取引できる

まとめて仕入れたい場合や、仕入れに関する費用が高額になる場合など、すぐに代金を支払えないこともあるでしょう。

しかし買掛金が発生するということは、仕入れの注文時に代金を用意できなくても取引できるということです。

商品を仕入れて請求書を受け取るまでに代金を用意できれば、取引可能です。

2.まとめて請求されるため事務作業の負担を軽減できる

1ヶ月などまとまった期間での請求となるため、まとめて振込できます。

そのため振込に関する事務作業の負担を軽減できるのも、買掛金が発生する取引のメリットです。

なお、まとまって振り込めるということは、振込手数料の節約にもなります。

買掛金が発生するデメリット

続いては、買掛金が発生するデメリットについて解説していきます。

買掛金が発生するデメリット
  1. 資金繰りを把握していないと、支払いが遅れることがある
  2. 信頼関係がないと、取引してもらえない可能性がある

1.資金繰りをきちんと把握する必要がある

資金繰りをきちんと把握していないと、買掛金の支払いができなくなる可能性があります。

一度でも支払い遅延などを起こしてしまうと、次回から取引してもらえなくなるかもしれません。

そのような事態を起こさないためにも、買掛金を使用した取引をする際は資金繰りをきちんと把握しておくようにしましょう。

2.信頼関係がないと成り立たない

買掛金を使用した取引が一般的に行われていますが、全ての場合に当てはまるわけではありません。

特に海外との取引時など、掛取引ができない可能性があります。

買掛金を使用した取引は、信頼関係がないと応じてもらえないのです。

取引先の状況によっては、買掛金の回収ができなくなるリスクもあるため、信頼関係がないと成り立ちません。

買掛金の仕分け方法や勘定科目とは?

ここからは、買掛金が発生した取引の仕訳け方法や勘定科目について解説していきます。

事例別に解説していくので、参考にしてください。

掛けで商品を仕入れた場合

一般的な、掛取引の仕訳方法をお伝えします。

10万円の商品を仕入れた場合
借方 貸方
仕入 100,000円 買掛金 100,000円

上記は、10万円の商品を全額掛取引で仕入れた場合の仕分け方法です。

なお仕入れ先から請求書を受け取って代金を支払うまでの仕分け方法となります。

掛けで仕入れた商品の代金を支払った場合

掛取引で仕入れた商品の代金を支払った場合の仕分け方法をお伝えします。

10万円で仕入れた商品の代金を普通預金から振り込んだ場合
借方 貸方
買掛金 100,000円 普通預金 100,000円

売掛金と買掛金を相殺する場合

売掛金と買掛金を相殺する場合の仕分け方法をお伝えします。

買掛金10万円の支払いを、売掛金5万円と相殺する場合
借方 貸方
買掛金 100,000円 売掛金 50,000円
普通預金 50,000円

この仕分けは仕入先と売上先が同一の場合のみ、発生します。

なお、この取引には取引先の同意が必要となります。

仕入れた商品の一部を返品した場合

仕入れた商品の一部を返品した場合の仕分け方法をお伝えします。

10万円で仕入れた商品の一部に欠陥があったため、1万円分を返金した場合

仕入れ時の仕分け方法については下記の通りです。

借方 貸方
仕入 100,000円 買掛金 100,000円

返品時の仕分け方法は、下記の通りです。

借方 貸方
買掛金 10,000円 仕入値引き・戻し高 10,000円

2段階に分けて仕分けることを忘れないようにしましょう。

掛取引の際に約束手形を振り出す場合

掛取引の際に、約束手形を振り出すことがあります。

約束手形を振り出す場合の仕分け方法は、下記の通りです。

10万円の掛取引で同額の約束手形を振り出す場合
借方 貸方
買掛金 100,000円 支払手形 100,000円

買掛金が発生する際の注意点

掛取引の際に、どのように仕分けるのか理解できました……。
最後に、掛取引で買掛金が発生する際の注意点があれば知っておきたいです……。

先ほど買掛金が発生するデメリットをお伝えしましたが、買掛金がどのくらい発生しているのか把握しておかないとトラブルが発生する可能性があります。

そこでここからは、買掛金が発生する取引の注意点について解説していきます。

買掛金が発生する際の注意点
  1.  買掛金残高を定期的に確認して、資金繰りを把握する
  2. 回転期間や回転率に気をつける

1.買掛金の残高を定期的に確認する

買掛金が発生する取引では、残高がどのくらいあるのか定期的に確認することが大切です。

先ほどもお伝えした通り、残高がいくらあるのか把握しておかないと、支払い期日ぎりぎりに焦って資金調達しなければならなくなるかもしれません。

その反対に、あらかじめ買掛金の残高を確認しておけばいつまでにいくら必要なのかということが明確になります。

2.回転期間と回転率に気をつける

買掛金は回転期間や回転率という指標を用いて現すこともあります。

回転期間とは、買掛金を支払うまでの期間のことを意味しています。

この指標を用いることで、前期と支払いに要する期間を比較することが可能です。

回転期間の求め方
回転期間=買掛金残高÷(売上原価÷365日)

なお回転期間と資金繰りは深く関係しています。

回転期間が短ければ短いほど、売掛金を回収する間に買掛金の支払いが発生している可能性があるのです。

つまりそのような場合、資金繰りを悪化する可能性が無きにしも非ずでしょう。

売掛金を回収してから買掛金の支払い期日がくるよう、調整するなど何らかの対策が必要となるかもしれません。

続いて、買掛金の回転率は下記の計算で求めることができます。

買掛金の回転率の求め方
回転率=(売上原価÷買掛金残高)×100

回転率は回転期間を%で現した指標です。

どちらを使用しても構いませんが、前期などと比較して異常な数値でないか確認してください。

買掛金 まとめ

この記事では買掛金とはどういった勘定科目なのかお伝えしてきました。

わかりやすくいうと、掛取引で仕入れした際に使用されるのが買掛金です。

混同されがちな未払金との違いは、仕入れに関係あるか否かという点になります。

仕入れに関係があり、今後支払うべき代金が買掛金に当たります。

買掛金を使用して取引することで、すぐに現金を用意できなくても取引できたり、事務作業が軽減されたりといったメリットがあります。

しかし取引先との信頼関係がないと成り立たない取引です。

支払い遅延などを起こさないよう、買掛金残高に気をつけながら取引してください。

この記事が事業者の方の参考になれば幸いです。