「債権譲渡って何?」
このように考えていませんか?
債権譲渡はビジネスではよく出てくる言葉ですが、その詳細まで詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで、この記事では債権譲渡の詳細について詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
- 債権譲渡とは第三者に債権を譲り渡すこと
- 債権譲渡のメリットは第三者の債権者へ直接取り立てができることなど
- 債権譲渡の注意点は保証人への対抗要件も取得する必要があることなど
- 債権譲渡のスムーズに進めるコツは内容証明郵便で債権譲渡を通知することなど
- 債権譲渡以外で債権を回収する方法は支払催促など
債権譲渡を検討している方に朗報です!
ファクタリングという方法を使えば債権譲渡もスムーズに行えます。
ファクタリングは、会社のキャッシュフローを大幅に改善し、貸し倒れリスクを回避することができるため、近年利用されることの増えてきた資金調達方法です。
ファクタリングで調達できる金額を複数のファクタリング業者に連絡や訪問をしたり、調達額を試算する手間がハードルとなり、諦めてしまうケースも見られます。
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目次
債権譲渡とは?
債権譲渡とは、契約を結んで、債権を第三者に譲り渡すことです。
たとえば、AさんがBさんからお金を借りているとします。
この時、BさんはAさんにお金を返してもらう権利がありますが、このような権利のことを債権と呼びます。
さて、Bさんはある事情から、Aさんに貸したお金を返してもらう権利をCさんに譲り渡しました。
このように、債権が他の人に移ることを債権譲渡と呼びます。
現実には、債権譲渡はファクタリングなどを利用する時に出てくる言葉です。
ファクタリングでは売掛金を早期に現金化できます。
ファクタリングを行う際、ファクタリングを利用した会社はファクタリング会社に売掛金を回収する権利を譲り渡しますが、これも債権譲渡の一種と言えます。
債権譲渡の3つのメリット
債権譲渡のメリットは主に以下の3つです。
メリット①:第三者の債務者へ直接取り立てができる
債権譲渡のメリットとしてまず挙げられるのは、第三者の債務者へ直接取り立てができることです。
たとえば、A社がB社に対して100万円の債権を持っているとします。
そして、B社の経営状態が悪くなり、A社へお金を返せなくなってしまいました。
A社はこのような状況で債権を回収する能力がなかったため、C社に代わりに債権を回収してもらうことにしました。
この時に、債権譲渡が行われていないと、C社はA社を通してしか、B社に対して債権回収行動を起こせません。
C社はA社からお金を返してもらう権利を持っていないからです。
一方、債権譲渡が行われれば、C社にはA社から100万円を返してもらう権利が発生するため、直接の取り立てが可能になるのです。
メリット②:債権を担保にできる
債権譲渡のメリットとしては、債権を担保にできることも挙げられます。
債権は時に、担保にすることができます。
たとえば、A社がB社から100万円を借りるとします。
この時に、A社がC社に対して持っている100万円の債権を担保にすれば、B社はA社が借り入れを返済できなくなった時に、100万円の債権を回収することで資金を回収できます。
メリット③:未回収の債権を売却できる
債権譲渡のメリットとしては、未回収の債権を売却できることも挙げられます。
これは、第三者に債権譲渡をする側のメリットです。
上でも軽く説明しましたが、多くの会社は未回収になった債権を回収するノウハウを持っていません。
この時に、債権回収を専門にしている会社に債権譲渡を行うことで、代わりに金銭を得られるのです。
債権譲渡の7つの注意点
債権譲渡の注意点は主に以下の7つです。
注意点①:保証人への対抗要件も取得する必要がある
債権譲渡の注意点としてまず挙げられるのは、保証人への対抗要件も取得する必要があることです。
お金を借りる時などには、保証人を付けることも多いでしょう。
債権譲渡を行う時に、保証人に何も知らせないままでいては、保証人に返済を請求することはできません。
保証人に返済を請求するためには、契約に効力を持たせるのに必要な、対抗要件を取得しておく必要があります。
具体的には、下で詳しく解説するように、内容証明郵便を使って、保証人に債権譲渡が行われたことを通知することで対抗要件を取得できます。
注意点②:二重譲渡にならないようにする
債権譲渡の注意点としては、二重譲渡にならないようにすることも挙げられます。
二重譲渡とは、債権者が同じ債権を複数の相手に対して譲渡してしまうことです。
たとえば、Bさんに100万円を貸したAさんが、CさんにもDさんにも、100万円の返済を受ける権利を譲渡したら、これは二重譲渡になります。
二重譲渡が行われると、CさんとDさんの間でトラブルが発生するリスクがあるので、二重譲渡はできるだけ避けたいところです。
二重譲渡を避けるためにも、内容証明郵便で債権譲渡を通知するなどして、対抗要件を取得する必要があります。
注意点③:譲渡人が債務者への通知を怠ることがある
債権譲渡の注意点としては、譲渡人が債務者への通知を怠ることがあることも挙げられます。
債権譲渡において、債務者への通知は原則として譲渡人が行います。
たとえば、AさんがBさんに100万円を借りていて、BさんがCさんに100万円の返済を受ける権利を譲渡した場合、Aさんに「100万円はCさんに返してね」と告げるのはBさんの役割です。
しかし、Bさんが通知を怠った場合、Cさんは対抗要件を取得できず、うまく債権回収を進められません。
この場合の対処法は下で解説しています。
注意点④:債権の相殺が行われるケースもある
債権譲渡の注意点としては、債権の相殺が行われるケースもあることも挙げられます。
相殺とは、たとえばAさんがBさんに100万円を貸している一方で、BさんがAさんに100万円を貸していた場合、双方の債権と債務が消滅することを指します。
相殺は片方が一方的に主張するだけで成立するため、意図せず債権が消滅してしまう可能性があるのです。
注意点⑤:債権譲渡禁止特約が交わされている場合もある
債権譲渡の注意点としては、債権譲渡禁止特約が交わされている場合もあることも挙げられます。
債権譲渡禁止特約とは、文字通り、債権を誰かに譲渡するのを禁止する約束のことです。
実際には債権譲渡禁止特約がついていても債権譲渡が可能な場合もありますが、不可能な場合もあるので確認が必要でしょう。
注意点⑥:債権の時効が来てしまうケースもある
債権譲渡の注意点としては、債権の時効が来てしまうケースもあることも挙げられます。
実は債権には時効があり、民法では以下のように定められています。
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 権利者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。引用:民法166条1項
一度時効になった債権は行使できなくなるので注意しましょう。
なお、債権の時効が近づいている場合の対処法は以下を参照してください。
注意点⑦:譲渡人は法人のみ
債権譲渡の注意点としては、譲渡人は法人のみであることも挙げられます。
これは文字通りですが、個人は債権を第三者に譲渡することはできません。
債権譲渡をスムーズに進めるための7つのコツ
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツは主に以下の7つです。
コツ①:内容証明郵便で債権譲渡を通知する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしてまず挙げられるのは、内容証明郵便で債権譲渡を通知することです。
債権譲渡を行う時には、対抗要件を取得する必要がありますが、対抗要件を取得するために一番便利なのは内容証明郵便でしょう。
内容証明郵便を使えば、債務者への対抗要件と第三者への対抗要件を同時に満たせるからです。
内容証明郵便が第三者への対抗要件を満たせるのは、内容証明郵便の局印が確定日付の代わりになるからです。
確定日付とは、債権譲渡が行われた日付を公的に示すものです。
実際に内容証明郵便を利用する時には、内容証明郵便を扱える郵便局に限りが合ったり、1行あたりの文字数に制限があったりするので、事前に郵便局に確認すると良いでしょう。
コツ②:譲渡人の代理人として債権譲渡を通知する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしては、譲渡人の代理人として債権譲渡を通知することも挙げられます。
上で述べたように、債権譲渡において、債務者への通知は譲渡人が行いますが、譲渡人がこれを怠るケースはあります。
これでは困ってしまいますが、実はこれを回避する方法もあります。
債権譲渡の契約書に、債務者へ代理人として通知できるという項目を定めておきましょう。
こうすることで、譲渡人が債務者への通知を怠ってもスムーズに債権譲渡を進めることが可能になります。
コツ③:債権譲渡登記制度を活用する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしては、債権譲渡登記制度を活用することも挙げられます。
債権譲渡登記制度とは、債務者が多い時に使える対抗要件の取得方法です。
債務者が多い場合、内容証明郵便を使った方法では料金も高くなってしまいますし、何しろ数が多いですから通知すること自体大変ですよね。
債権譲渡登記制度では、債権譲渡が行われた事実を登記することで、第三者への対抗要件を取得可能です。
また、債権譲渡登記制度を利用すれば、債務者への通知も一般郵便で行えば十分になります。
実際に債権譲渡登記制度を利用する時には、譲渡人と譲受人の双方で東京法務局に申請しに行きます。
債権の数が5000個以下の場合には1件あたり7500円、これより多い場合には1件あたり15000円の登録免許税が必要になります。
内容証明郵便を用いた場合のコストと比較して、どちらを選ぶか決定すると良いでしょう。
ちなみに、債権譲渡登記の効力が発生する期間は、債務者がすべて特定されている場合には50年以内、特定されていない場合には10年以内までになっています。
コツ④:管轄の法務局で登記事項概要証明書・概要記録事項証明書を取得する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしては、管轄の法務局で登記事項概要証明書・概要記録事項証明書を取得することも挙げられます。
これは、二重譲渡を防ぐために必要な措置です。
上でも述べたように、二重譲渡は譲渡された者同士の間でトラブルの種になりがちです。
これを防ぐために法務局に600円の手数料を納めて、登記事項概要証明書・概要記録事項証明書を所得しましょう。
登記事項概要証明書・概要記録事項証明書は譲渡人の管轄をしちえる法務局で取得する必要があります。
コツ⑤:弁済済みの債権でないか確認する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしては、弁済済みの債権でないか確認することも挙げられます。
当然ながら、すでに弁済済みの債権であれば、債務者は債権者に支払う義務がないため、債権の意味がありません。
事前に債務者と債権者との取引内容を確認することで、弁済済み債権でないか確認が可能です。
コツ⑥:債務者の弁済状況を確認する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしては、債務者の弁済状況を確認することも挙げられます。
これは、債務者にどの程度返済能力があるのか見極めるために必要です。
債務者の返済能力が低いのであれば、債権譲渡を考え直さなければならない可能性があるからです。
弁済状況は、債権譲渡が行われる前の債務者と債権者の取引情報を確認することで見極められるでしょう。
コツ⑦:場合によっては債権の時効を中断する
債権譲渡をスムーズに進めるためのコツとしては、場合によっては債権の時効を中断することも挙げられます。
上でも説明したとおり、債権譲渡には時効があり、何もしないと債権を回収しようとした時には時効を過ぎている可能性もあります。
時効を中断する時に使うのは内容証明郵便です。
内容証明郵便を使って催促の書類を郵送することで、債権の時効を中断できます。
また、裁判所への申立を行うことでも時効は中断可能です。
債権譲渡を行うために必要な3つの手順
債権譲渡を行うために必要な手順は主に以下の3つです。
手順①:債権譲渡契約締結
債権譲渡を行う時には、まずは債権譲渡契約の締結を行います。
契約を締結する時には、契約書を作成することになります。
契約書は手書きでも手書きでなくても問題ありませんが、住所や署名は自筆、押印は実印にするのが基本です。
また、債務者から十分に弁済を受けられなかった場合に備えて、弁済総額の過不足が生じた時の項目を設けると良いでしょう。
契約書の作成にはさまざまな知識が必要になりますので、場合によっては専門家に相談するのがおすすめです。
手順②:債務者から承諾を得る
次に、債務者からの承諾を得ます。
上でも軽く説明しましたが、債務者からの承諾を得ることは、対抗要件を所得するために必要です。
ちなみに、債務者からの承諾を得る必要があるのは、債務者から見ると、債権譲渡の事実を知らないまま別の債権者から取り立てが来ると混乱してしまうからです。
債務者への対抗要件を取得する方法としてまず挙げられるのは、債務者と譲渡人の双方が公証役場に行き、公正証書を作成するという方法です。
ただ、債務者の数が多い場合には、ひとりひとり債権譲渡の承諾を得ていてはかなりの手間がかかってしまいます。
そのため、債務者の数が多い場合には、債務者へ債権譲渡したことを伝える通知を行うのが一般的です。
ちなみに、債務者に保証人がついている場合には、保証人にも同様に承諾を得たり、通知を行ったりしましょう。
手順➂:確定日付を取得する
最後に、確定日付を取得しましょう。
確定日付については上でも解説しましたが、譲渡人と譲受人との間で債権譲渡が行われたことと、その日付を公的に示すためのものです。
確定日付を取得することで第三者に対する対抗要件を取得できます。
ちなみに、確定日付を取得するのは、上でも述べたとおり、二重譲渡を防ぐためです。
なお、二重譲渡が行われていた場合には、確定日付が先だったほうが優先権を持ちます。
債権譲渡以外の方法で債権を回収する7つの方法
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法は主に以下の7つです。
方法①:支払催促
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としてまず挙げられるのは、支払催促です。
支払催促とは、裁判所を通して、債務者に支払を促してもらう手続きのことです。
手続きにかかる手間が少なく、費用も少なくて済むのがメリットと言えます。
ただ、債務者から異議申し立てをされた場合には、訴訟を行わなければならず、これには大きく手間や費用がかかってしまいます。
ちなみに、支払催促に成功すると、仮執行宣言付支払督促ができるようになります。
方法②:民事調停
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては、民事調停も挙げられます。
民事調停とは、調停員に立ち会ってもらった上で、債務者と話し合いをして債務の弁済内容を決めていく手続きです。
裁判所を使った方法の中では時間や費用が低く抑えられることがメリットですが、裁判所からの強制力はありません。
そのため、債務者との和解を成立させなければ、支払催促をする意味は薄いと言えるでしょう。
ちなみに、和解が成立すると調停調書が作成され、債権回収手続きを進められます。
方法③:民事訴訟
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては、民事訴訟も挙げられます。
民事訴訟では判決が出るため、債務者との間で白黒つけることができ、強制力が強いというメリットがあります。
ただ、民事訴訟は裁判所を使った方法の中でも特に大きな手間と費用がかかるものです。
少額の債権の場合、民事訴訟になると割りに合わない場合も出てきます。
方法④:強制執行
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては、強制執行も挙げられます。
強制執行とは、債務者の資産を差し押さえて、返済にあてることを指します。
ただ、強制執行は債務名義なしで行うことができません。
債務名義は上で説明したような民事訴訟などの手段を使うことで取得できます。
方法⑤:代物返済
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては、代物返済も挙げられます。
代物返済とは、文字通りお金ではなくモノで返済してもらうことを指します。
代物返済では、債務者が持つ不動産などの資産を譲渡してもらうことで返済を行います。
ちなみに、契約内容に特約を設ければ、資産の価格が債権額に満たなかった場合には残高を請求することも可能になっています。
方法⑥:債権者代位権の行使
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては、債権者代位権の行使も挙げられます。
債権者代位権とは、債権を保全するため、債務者の代わりに債務者の債権を行使することを指します。
たとえば、A社がB社に対して100万円の債権を持っていて、B社は100万円分の商品を売却することでA社に債務を支払えるのに、それを行っていないとします。
この時に、A社がB社にある商品を差し押さえて弁済にあてることを債権者代位権の行使と呼びます。
方法⑦:相殺
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては、相殺も挙げられます。
上でも軽く説明しましたが、相殺とは、お互いに債務と債権を持っている場合、これを打ち消し合えるというものです。
相殺は片方の一方的な意思表示で行えるため、必要になった時には積極的に活用すると良いでしょう。

債権譲渡についてよくある質問
債権譲渡についてよくある質問としては、以下のようなものが挙げられます。
債権譲渡登記の期限はどのくらいですか?
債権譲渡登記の期限は場合によって異なります。
債権の債務者が全て特定されている場合には50年以内、特定されていない場合には10年以内になっています。
ちなみに、これを超える期間を設定したい場合には、超える事由を証明するための書類が必要になります。
将来債権も譲渡できる?
将来債権の譲渡は認められています。
将来債権とは、今は発生していないものの、将来発生すると見込まれている債権のことです。
たとえば、A社とB社の間で毎月100万円分の売掛金が発生している場合、まだ発生していない2ヶ月後の売掛金などのことを将来債権と呼びます。
債権譲渡 まとめ
債権譲渡のメリットは以下のとおりです。
債権譲渡以外の方法で債権を回収する方法としては以下のようなものが挙げられます。
