「掛取引で支払いサイトという言葉を聞きました……。」
「事業を始めたばかりで、支払いサイトとは何なのかよくわかりません。」
「支払いサイトについて詳しく教えてください……!」
このように、疑問を感じている事業者も多いでしょう。
この記事では掛取引で必ず発生する支払いサイトとは何かということから、考え方や決め方、短縮する方法などを解説します。
先に商品やサービスを提供して後から代金を回収する掛取引をしている事業者は必見です。
- 支払いサイトとは、掛取引で代金が支払われるまでの期間のことを言う
- 支払いサイトの英語表記は、Usanceもしくはterms of paymentとなる
- 発注者にとっては支払いサイトが長い方が良い
- 受注者にとっては支払いサイトが短い方が良い
- 一般的な支払いサイトは30日間の月末締め翌月末払い
目次
支払いサイトとは?
「一体、支払いサイトとは何でしょうか……?」
「どんな取引で使われるのか知りたいです……。」
「ぜひ語源や詳しい意味を教えてください。」
支払いサイトとは、掛取引において代金が支払われるまでの期間のことを言います。
日本では、商品やサービスを先に提供して後から代金が支払われる掛取引が一般的に行われているため、支払いサイトという言葉を覚えておきましょう。
支払いサイトの英語表記
支払いサイトの語源は英語のSight やsiteからきています。
sightには視力や視界、siteには場所や地点という意味がありますが、掛取引において代金が支払われるまでの期間という意味はありません。
つまり、支払いサイトという言い方は日本国内での言い回しのようなものだと言えるでしょう。
なお英語で支払いサイトと言いたい場合は、Usanceもしくはterms of paymentとなります。
支払いサイトの考え方や決め方
「払いサイトとは何かよくわかりました……!」
「そこで、支払いサイトがどのように決まるのか詳しく知りたいです。」
ここからは、支払いサイトの決め方と考え方について詳しくお伝えします。
仕事を発注する側と受注する側に分けて解説するので、参考にしてください。
それぞれの立場で支払いサイトについて考えることで、最適な支払いサイトがわかるようになるでしょう。
支払いサイトの考え方
まずは、発注者と受注者の立場ごとに支払いサイトの基本的な考え方を解説します。
それぞれ長い方が有利なのか、それとも短い方が有利なのかわかるようになるはずです。
発注側の支払いサイトの場合
発注側(買い手側)は、支払いサイトが長い方が資金繰りが安定します。
仕事を発注してから入金するまでの期間が長い方が、代金を工面する時間が長期に渡るため有利なのです。
しかし、発注側が伸ばせる支払いサイトの上限は60日までと法律で決まっています。
そのため、発注側の都合で好きなだけ支払いサイトを伸ばせるわけではないということを理解しておきましょう。
詳しくは後述しますが、一般的には支払いまで30日から45日という期間を要する企業が多くなっています。
受注側の支払いサイトの場合
受注側(売り手側)は、支払いサイトが短い方が資金繰りが安定します。
支払いサイトが長いということは、商品やサービスを提供してから実際に入金されるまでの期間が長期に渡るということです。
代金を回収できなければ仕入れ費や人件費、外注費など諸々の経費を支払えなくなってしまうでしょう。
受注側は、支払いサイトが短いほど資金繰りが安定するということを覚えておきましょう。
支払いサイトの決め方
上述した通り、支払いサイトは発注者側にとっては長い方がよく、受注者側にとっては短い方が良いものです。
掛取引が当たり前に行われている日本では、発注者が指定した支払いサイトに従うことがほとんどで、入金日をいつにするのか契約前に交渉することは少ないでしょう。
受注者側が商品やサービスの価格を交渉することはありますが、支払いサイトについて交渉するということはあまりないはずです。
しかし、支払いサイトがあまりにも遅い場合、自社の資金繰りに悪い影響を与える可能性があります。
支払いサイトは一度契約が始まってしまうと、修正しにくく、交渉もしにくいでしょう。
そのため取引が始まる前に、きちんと確認しておくことが重要です。
売掛金を回収できる日にちをあやふやにしたまま取引を開始すると、入金遅れが発生するなど資金ショートしそうな状況に陥ってしまうこともあるでしょう。
リスクを取り除くためにも、契約書に支払いサイトに関する記載を入れてもらうなど、書面で約束を取り交わしたことがわかるようにすることが重要です。
掛取引に使われる支払いサイトの日数
ここからは、掛取引に使われる支払いサイトの一般的な日数について解説します。
合わせて注意点もお伝えするので、ぜひ目を通してください。
支払いサイトの日数①30日|月末締め翌月末払い
一番よく使われていて一般的なのは、月末締め翌月末払いの30日サイトです。
月末に該当する月の売り上げをまとめて請求し、翌月末までに請求した金額が支払われること意味しています。
例:3月の売り上げが4月末日までに入金される
多くの企業では30日サイトの支払いサイトのため、馴染みのある方も多いでしょう。
30日サイトのメリットは、発注側、受注側それぞれに十分な余裕があることです。
支払いサイトの日数②60日|月末締め翌々月払い
中には、月末締め翌翌々月払いと言われる60日サイトを導入している企業もあります。
この場合、発注側が支払いするまでに十分な期間を得られるため、発注側のメリットが多くなります。
しかし、受注側にとっては、最大3ヶ月分の売り上げが入金されていない状態となる月があるため、注意が必要です。
普段から会社の資金繰りをきちんと把握していないと、資金ショートに陥るリスクがあるでしょう。
特に仕入れ費や人件費、外注費などが莫大になる業種では注意が必要です。
下請け代金の支払い期日は60日以内
「支払いサイトが60日にもなると、売掛金の管理が大変そうですね……。」
「中には、支払いサイトが60日以上の長期に及ぶこともあるのでしょうか……?」
受注者側にあたる事業者は、このように不安に思われているでしょう。
しかし、下請代金支払遅延等防止法という通称「下請法」により、下請け代金の支払い期日は60日以内でなくてはならないと定められています。
- 発注側:法人で資本金が3億円を超える場合
- 受注側:法人で資本金が3億円以下もしくは個人の場合
かいつまんで言うと、受注側の規模が発注側よりも小さい場合に下請法が適用されることになります。
この法律に従わなかった場合、行政処分が下ったり50万円以下の罰金が課されたりする恐れがあります。
発注側は、下請法に違反しないよう気をつけましょう。
なおこの場合の支払いサイトの上限が60日以下というのは、商品やサービスを受けてから60日以内という意味になります。
非常にややこしいポイントなので、注意が必要でしょう。
支払いサイトを短縮する方法
「弊社の支払いサイトは60日で、資金繰りが苦しくなっています……。」
「資金ショート寸前なのですが、60日から30日に短縮する方法はないのでしょうか……?」
「何か手立てがあれば知りたいです。」
ここからは、支払いサイトに悩む事業者向けに短縮する方法を解説していきます。
資金繰りが悪化していたり、資金ショートするリスクを抱えていたりする事業者は必見です。
1.発注者に支払いサイトの短縮を交渉する
一つ目の方法は、発注者に支払いサイトの短縮を交渉することです。
その際、交渉をかけたのと同時に値引きなど何らかの条件変更を求められる可能性があります。
自社にとって値引きに応じてでも支払いサイトを短縮した方が良い場合は、検討してみましょう。
また、売掛金の一部を前払いにしてもらうという方向で交渉することもできるはずです。
自社にとって何が一番良いのか社内で確認した上で、交渉を持ちかけましょう。
2.ファクタリングを利用する
場合によっては発注者に交渉を持ちかけにくいこともあるでしょう。
そのような場合は、ファクタリングの利用がおすすめです。
法人との取引で売掛け債権が発生していれば申し込みでき、審査通過率は銀行融資よりも格段に高くなっています。
売掛け債権を売却するだけなので、借入とは異なります。
そのため信用情報に傷がつく恐れもありません。
利用には手数料がかかりますが、最短だと即日で売掛金を回収できる非常に利便性の高い資金調達方法です。
- 2社間取引:ファクタリング会社と申し込む事業者の2社間で契約
- 3社間取引:上記の2社に加え発注者の3社で契約
支払いサイトの長期化に悩んでいる場合はファクタリングの利用が最適
ここからは、ファクタリングという資金調達方法を利用するメリットとデメリットを解説します。
支払いサイトに悩んでいる事業者には最適な方法なので、どのような側面がある取引なのか確認してみてください。
支払いサイトの長期化に悩む事業者がファクタリングを利用するメリット
まずはファクタリングを利用して売掛金を早期回収するメリットについて解説します。
- ずっと先の入金日を待たずに売掛金を回収できる
- 2社間取引なら発注者に知られることなく取引できる
- 銀行融資は難易度が高くてもファクタリングなら審査に通る可能性がある
- 他の資金調達方法と比較しても手軽に利用できる
1.入金日を待たずに売掛金を回収できる
ずっと先の入金日を待たずに売掛金を回収できるのは、ファクタリングを利用する最大のメリットです。
業種によっては支払いが多く、売掛金の回収を待っていては支払いに遅れてしまうこともあるでしょう。
また会社を経営していると、予測しない急な支払いが発生することもあります。
そのような場合に、売掛け債権を売却するだけで資金調達できるファクタリングは非常に利便性の高い資金調達方法だと言えるでしょう。
2.発注者に知られずに売掛金を回収できる
先ほど、受注者に支払いサイトの短縮を交渉することで、状況が改善される場合があるとお伝えしました。
しかし相手方との関係性によっては、交渉できるほど信頼関係を築けていなかったり、付き合いが浅かったりすることもあるでしょう。
そのような場合にファクタリングを利用すれば、受注者に知られずに売掛金を早期回収できます。
内密に取引したい場合は、必ず2社間取引を指定してください。
その反対に3社間取引を利用すると、発注者を交えた3社間で契約を締結することになります。
つまり、発注者にファクタリングを利用することを知られてしまいます。
3.融資に通らない事業者も審査に通る可能性がある
支払いサイトの長さに悩む事業者の中には、銀行融資に申し込もうとしている方もいるでしょう。
しかし銀行で融資を受ける場合、審査だけで数週間の時間がかかります。
そこからさらに融資が実行されるまでに数週間かかることも少なくないため、入金を確認できるのは申し込んでから1ヶ月以上先になります。
つまりただでさえ資金繰りが苦しい中、銀行の融資を待っていては支払いに間に合わなくなってしまうでしょう。
その点ファクタリングであれば、申し込んだその日中に入金してくれる会社も少なくありません。
銀行で融資を受けるよりも審査難易度が下がるため、融資に通るか不安な事業者にもファクタリングの利用がおすすめです。
特に下記に当てはまる場合は、銀行の融資に通る確率が低いためファクタリングを検討してみましょう。
- 赤字決算の事業者
- 債務超過している事業者
- 税金滞納している事業者
- 公共料金などに支払い遅延がある事業者
4.資金調達方法の中でも手軽な手段
ファクタリングはビジネスローンやカードローン、融資など数多くある資金調達方法の中でも手軽な手段です。
法人との取引で売掛け債権が発生していれば、自社の状況に関係なく申し込みできます。
他の資金調達方法よりも申し込みや審査に時間がかかりません。
資金調達に時間をかけたくない事業者には、ファクタリングが最適でしょう。
支払いサイトの長期化に悩む事業者がファクタリングを利用するデメリット
たくさんメリットのあるファクタリングにも、当然デメリットがあります。
2つのデメリットをお伝えするので、確認しておきましょう。
- ファクタリング会社に手数料を支払う必要がある
- 3社間取引は発注者に通知しなければならない
1.売掛金の回収に手数料がかかる
ファクタリングの利用時に、契約するファクタリング会社に手数料を支払わなくてはなりません。
資金繰りが悪化している事業者が、長期間に渡ってファクタリングを利用した場合、余計に財務状況が悪化する恐れがあります。
短期的な資金調達には最適ですが、長期的な資金調達には不向きなのです。
なお利用時の手数料を少しでも低くするために、下記を参考にしてください。
- 取引の種別
- 発注者の信用
- 入金サイト
- 売掛金の額
取引種別に関しては3社間取引の方が手数料が低くなります。
また信用の高い発注先の売掛け債権を売却すれば、手数料が低くなる可能性があります。
ファクタリング会社のリスクが減少する契約を締結することで、手数料を減少させられるでしょう。
2.3社間取引は受注側に通知される
手数料が低くなるという理由だけで、3社間取引を利用するのは危険です。
先ほどもお伝えしたように、発注者を交えた契約となるため、ファクタリングを利用することを知られてしまいます。
発注者によっては、財務状況を心配するなど、今後の取引に影響が出る可能性もあるでしょう。
日頃からコミュニケーションがあり信頼関係の築けている取引先であれば問題ないでしょうが、関係性を築けていない段階で3社間取引を利用するのは少々危険かもしれません。
支払いサイトを理解して掛け取引を実行しよう
この記事では、支払いサイトについて詳しく解説してきました。
いくら売り上げが発生していても、売掛金を回収できなければ資金ショートし会社は黒字倒産してしまいます。
そのため新規の契約時に価格や納期だけでなく、支払いサイトも必ず確認するようにしましょう。
既に取引が開始されていて支払いサイトが長い場合は、発注者に交渉するのも一つの手です。
交渉しづらい場合は、ファクタリングを利用して売掛金の早期回収に努めましょう。
慢性的に資金繰りの悪化に頭を抱えている事業者は、ファクタリングを利用して資金繰りの改善に努めるべきです。
この記事が、事業者の皆さんの参考になれば幸いです。