「大学の学費が払えなくなってしまった…」とお悩みではありませんか?
指定された期日までに学費を支払えないと、焦りと不安でいっぱいになってしまいますよね。
- 退学しなければいけないのか?
- 除籍されてしまうのか?
上記のような悩みを抱える人も少なくはありません。
この記事では、大学の学費が払えなくなってしまった時の対処法についてお伝えします。
まずはどういった対処法があるのかを知り、自分が今できることを実践しましょう。
目次
学費を払わない・払えないままだとどうなる
そもそも、もし学費を払えないままの状態が続くとどうなるのでしょう?
ここでは、
- 大学から学生に対して出される「除籍処分」
- 学生自らが大学に対して申請を行う「自主退学」
の2点について説明します。
除籍処分を受ける
学費を払えない状態が続けば、大学から除籍処分を受けることがあります。
「ことがあります」と曖昧にしかお伝えできないのは、各大学で基準が異なるためです。
大抵の場合、除籍されるまでの期間は、納期限が過ぎてから2~3ヶ月後であること多いですが、こちらも各大学によって異なります。
しっかりと公式HPなどで確認しておくようにしてください。
処分や退学については、各大学の学則に記載されています。
例:早稲田大学の場合
「学費の納付を怠った者は、抹籍することがある。」
※引用元:早稲田大学(学則)
例:上智大学の場合
第22条次の各号の一に該当する者は、学長が除籍する。
(1)第5条に定める在学年限を超えた者
(2)許可された休学の期間を超えて、なお修学できない者
(3)授業料等の納付を怠り、督促しても、なお納付しない者
(4)長期間にわたり行方不明の者
※引用元:上智大学短期大学部(学則)
このように、除籍や退学の詳細については、各大学で異なります。
本記事を読む際は、その点をご留意いただいた上で、参考にしていただきたいと思います。
話を戻しまして、「除籍」とは、文字通り「大学から籍を除かれること」を指します。
処分を受けた時から籍が除かれるのではなく、入学時点からの籍が除かれます。
自主退学せざるを得なくなる
学費を払えない状態が続けば、大学を自主退学せざるを得なくなることも考えられます。
「自主退学」は、大学が学生に対して行う処分ではなく、学生またはその保護者が、大学に申請または届け出ることによるものです。
例:東京大学の場合
退学しようとする者は、その理由を記載した書面を提出して、学部長に願い出なければならない。
※引用元:東京大学学部通則
例:慶應義塾大学の場合
所定用紙をダウンロードの上、必要事項を記入し、所属キャンパスの学生部所属学部・研究科担当まで提出してください。
さらに、
申請書類を受理後、所属学部・研究科の会議にて申請が承認された場合、承認通知をお送りします。
と案内されています。
このように、自主退学では以下のような流れが一般的です。
(学生側)申請 →(大学側)受理 →(大学から学生へ対し)承認
除籍と退学の違い
除籍と退学では、主に3つの違いがあります。
- 「退学」と比較して「除籍」はどうしても面接官に悪印象を与えやすい
- 除籍された場合、履歴書に「◯◯大学中退」と記載できない
- 除籍された場合、再入学できないことが多い
インターネット上では、
大学の除籍は会社をクビになったようなもの。
恥ずかしいし、就職時にも悪影響を及ぼす
など、さまざまな声を見かけます。
除籍も退学もどちらも大学に通えなくなるという点では同じなのですが、「除籍のほうが不利だ」という意見には一理あります。
次では、その理由を2つほど紹介しておきます。
面接官に与える心象の問題
著名な起業家、若くして成功を収めている実業家の中にも、大学を中退して自分のやりたいことや研究に着手したという人は数多くいます。
Apple創業者のスティーブ・ジョブスはリード大学を中退していますし、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグは、ハーバード大学を中退しています。
大学を中退して目標に邁進したというケースであれば、「大学中退」という響きには、どこか前向きなイメージさえ感じられます。
一方「除籍」は、どうしてもマイナスイメージがつきまとってしまいます。
というイメージが先行してしまうためです。
履歴書を書く際の問題
履歴書を書く際「◯◯大学中退」は記載できますが、除籍処分に関わらず「◯◯大学中退」と記載すると、経歴詐称になります。
ですので、一つ前の学歴を記載(例:〇〇高校卒業)、あるいは「◯◯大学除籍」と事実を書くことになります。
第三に、同大学への再入学の可否にも関わります。こちらも詳細は大学ごとに異なるのですが、自主退学であれば再入学可能であるのに対し、除籍処分を受けた場合の再入学は認められないという大学が多いです。
まずはとにかく大学へ相談しよう!
学費が払えなくなったら、あるいは、払えなくなりそうなことが分かっている時は、何はともあれまずは大学に相談しましょう。
「◯月◯日までに払ってください」と期日を規定された場合でも、事情次第で延期してもらえたり、支払い方法を変更してもらえたりといったことがあります。
「とにかくお金を用意しなければ!」と焦ってしまい、バイト日数を増やして体を壊したり、怪しげな儲け話に乗って借金を背負ってしまったりしては、元も子もありません。
学費が払えない時の5つの対処法
学費を払えないままだと、除籍処分を受けるか、退学せざるを得なくなるということを伝えしました。
そうなってしまう前に、事前に対処する方法が5つほどあります。
具体的な対処法については、以下の通りです。
- 大学に申請し「延納」「分納」「免除」してもらう
- 奨学金を借りる
- 国の教育ローンを借りる
- 金融機関の教育ローンを借りる
- 休学してお金を貯める
次からは、この5つの対処法について、詳しく紹介していきます。順にみていきましょう。
学費が払えない時の対処法1.大学に申請できる支払い方法
大学では、申請によって支払い方法の変更を受け付けてくれる制度があります。
こういった制度を活用することで、学費の負担が軽くすることができます。
どういった制度が自身に合っているのかは、大学の学生課の方に相談してみるのも手でしょう。
ここでは、各制度について掘り下げて紹介していきます。
延納
延納とは、経済事情などやむを得ない状況で学費を支払えない学生を支援してくれる大学の制度です。
延納受付期間内に、申請書を提出することで、納入期日を先送りしてもらえます。
例:法政大学の場合
延納受付期間内に「学費延納申請書」を提出することで、学費納入を2ヶ月間延期してもらえます。
ただし、延納期限までに学費が納入されなかった場合は除籍通知が発送されます。
分納
分納とは、学資を分割して納める支払い方法です。分割後の期日はそれぞれ別に設けられます。
例:日本女子大学の場合
年額を一括納入する場合の期日は「4月20日」です。分納の場合、分割納入の前期分は「4月20日」まで、後期分は「10月31日」までに支払います。
免除
「延納」も「分納」も学費の支払期日を先延ばしにしてもらう制度でしたが、「免除」では学費の全部または一部の支払いがありません。
申請をしたら誰でも受けられるというものではなく、大学による複数回の審査を経て、免除の対象になるかどうかが決定されます。
免除の選考基準は文部科学省が定めており、「家計」と「生徒」の学業の2点から判定されます。
例:京都大学の場合
学費の納入が困難な生徒に対し、全額または半額を免除する制度があります。
申請手続きについては、公式ホームページに次の記載があります。
(1)一次申請(エントリー)
(2)二次申請(家族、家計状況等入力)
をしてください。
その後、所属の教務窓口か学生課奨学掛窓口へ
(3)三次申請(出願・書類提出)
することにより手続が完了となります。
※引用元:京都大学(授業料免除)
免許申請をする際は、保護者の収入証明は源泉徴収票など、選考に必要な書類を用意する必要があります。
申請を行ってから選考結果が出るまで、数ヶ月以上かかることがほとんどですので、「現に今学費の期日が迫っている!」という学生にとっては、実用的ではありません。
【参考】各大学で申請可能な支払い方法
参考に、以下の大学で申請が可能な支払い方法の有無について調べてみました。
延納 | 分納 | 免除 | |
東京大学 | ◯ | ◯ | ◯ |
一橋大学 | ◯ | ◯ | ◯ |
お茶の水女子大学 | ◯ | ◯ | ◯ |
東京芸術大学 | ◯ | ◯ | ◯ |
慶應義塾大学 | ◯ | ◯ | △
(大学独自の奨学金を用意) |
早稲田大学 | ◯ | ◯ | △
(100%が給付の奨学金を用意) |
免除制度は、国公立大学を対象として設けられたものですが、私立大学では免除制度に代わる大学独自の奨学金制度を用意しているところが多いです。
この奨学金制度は、申請をしなくては利用ができません。
こちらについても、免除同様に審査がありますので、必要書類などは事前に用意しておく必要があるでしょう。
学費が払えない時の対処法2.日本学生支援機構の奨学金を借りる
奨学金を借り、大学卒業後に働きながら毎月返還していくという方法もあります。
「分納や延納にしてもらっても、在学中は学費が払えない」という人にはオススメです。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金には、返還義務のない「給付型」と、返還が必要となる「貸与型」があります。
といった疑問があれば、日本学生支援機構の公式サイト(下記)でシュミレーションできます。
ぜひご利用ください。
参考 奨学金シミュレーション日本学生支援機構学費が払えない時の対処法3.国の教育ローンを借りる
国(日本政策金融公庫)からお金を借りるという方法もあります。
最高350万円まで借り入れ可能で、申し込みから20日程度で振り込まれます。
また、通常のローンと比較しても金利が1%程度と低いので、ローンを検討するのなら第一候補となるでしょう。
借入期間については15年以内となり、条件によっては18年以内とすることも可能です。
こちらについても返済シミュレーションが公式ページであるので、一度確認してみることをおすすめします。
参考 教育ローンの返済シミュレーション日本政策金融公庫日本学生支援機構の奨学金と併用して借りることも可能です。
この2つは上手く活用していくようにしましょう。
学費が払えない時の対処法4.金融機関の教育ローンを借りる
国からではなく金融機関が提供している教育ローンを利用するという方法もあります。
「教育ローン」でインターネット検索すると、楽天銀行やJAバンクなど、多くの金融機関がサービスを提供していることが分かります。
申し込み手続きはインターネットで完結するものも多く、提携している大学に優遇金利を設定しているところもあります。
楽天銀行のように最短で翌営業日に融資してくれるというところもあるので、奨学金や国のローンを借りるよりも、さらにスピーディーお金を用意することができます。
学費支払いの期日まで時間が無い方、特に、延納期日が迫っている人にはオススメです。
学費が払えない時の対処法5.休学してお金を貯める
という人もいるでしょう。
その場合は、大学を休学中し、その間にお金を貯めてから復学する、という方法もあります。
ただ、この方法には注意点があります。
それは、休学していても学費を納入しなければいけない大学もあるという点です。
■ 東京大学
休学する生徒は原則として休学期間の授業料を免除されます。
■ 早稲田大学
休学中であっても学費を期限内に納入しなければいけません。
学費が払えないという理由で休学を検討する場合は、休学中の学費の扱いについて、必ず大学へ確認しましょう。
学費が払えない時にも学生が手を出してはいけない対処法とは?
学費が払えないけれども、「自分で何とかしたい」と考えている人もいると思いますが、大学に通いながらお金を稼ぐとなると、どうしても時間や体力が足りなくなってきます。
やがて「できるだけ手軽に」かつ「一気に」稼ぎたいと考えるようになっても仕方ありません。
たとえ学費が払えなくても、学生が手を出してはいけない対処方法には、次の3つがあります。
- 怪しいバイトを始める
- 夜の仕事を始める
- 消費者金融からお金を借りる
詳しく見ていきましょう。
1.怪しいバイトを始める
など、やたらと割が良いバイトには手を出さないようにしましょう。
バイトを始めるために高額なマニュアルや備品を購入させられたり、怪しげなビジネスセミナーに参加させるためのセールストークであったりすることもあるからです。
学費を稼ぐどころか、最悪、生活に必要なお金まで搾取されてしまいます。
求人誌ではなく友人・知人経由で
などと声をかけられても、耳を貸さないようにしましょう。
2.夜の仕事を始める
大学の授業はだいたい午前から午後までに終わるので、お金を稼ぐとなると夕方以降になります。
時給の高さから夜の仕事を始める学生も多いかと思いますが、明け方近くまで働くような日が続けば、睡眠不足に陥り授業中の眠気も増します。
やがて生活リズムが崩れ体調を崩してしまいます。
こうなると、大学の学費を稼ぐために夜の仕事をしているのか、夜の仕事をするために大学に通っているのかわかりません。
日々の生活リズムを破壊してしまうような夜の仕事は避けましょう。

3.消費者金融からお金を借りる
学生であっても20歳以上で毎月一定の収入があれば、消費者金融からお金を借りることはできます。
ただし、この方法は他の方法と比較してもリスクが高いです。1つ目は借りすぎのリスク、2つ目は金利が高いというリスクです。
なかなか返済が終わらず、泥沼化してしまうことはじゅうぶんありえます。
申し込み自体はインターネットや無人契約機で1時間もあれば余裕で終わりますし、審査が通れば即日にお金を振り込んでもらうこともできます。
しかしこの便利さが癖になってしまい、学費以外の費用のためにも照射型を使うようになってしまうこともあります。
万が一期限まで返済できなければ、高い利息もついていきます。
ですので、学費が払えない時であっても消費者金融を利用することは避け、奨学金制度や金融機関の提供する教育ローンを検討しましょう。
学費が払えないために除籍になっている場合
もし学費が払えずに除籍になってしまった場合は、もうその大学には通えないのでしょうか。
実際はそんなことはなく、ある条件を満たせば大抵の場合は復籍することができます。
ここでは、その方法について紹介していきます。
まずは滞納した学費を納入
学費を滞納したままでは、まず復籍することはできません。
コツコツとでも学費は納入していきましょう。
ただし復籍可能な納入期限については、除籍から3年以内など大学ごとに異なります。
まだ除籍してからの期間がそう経っていないのであれば、期間は十分にありますので、バイトなどをして、滞納した金額分を貯めていきましょう。
期限がギリギリの場合では、ここで紹介した対処法をもとに、学費に充てるのも手となります。
どちらにしても、復籍可能な納期限を過ぎてしまえば、その大学に復籍することも叶わなくなりますので早めの対策が重要です。
まずは、復籍に関する情報を大学のHPを確認するか、直接問い合わせるなどして集めていきましょう。
復籍すれば大学に戻れる
滞納した学費を納入し、所定の手続きをすれば復籍することができます。
ただ除籍となった学期の単位については、すべて消滅してしまうので注意しておきましょう。
たとえば、大学2年生で除籍となってしまった場合では、大学1年生までしか在籍していなかったこととなります。
また復籍するには、その時期も決まっているため、こちらについても各大学に確認を取るようにしましょう。
2度の除籍をされた場合では、再入学が厳しくなる可能性があります。
まとめ:一人で悩まないで!まずは大学に相談を
いかがでしたか?大学の学費が払えない場合の対処方法についてお伝えしました。
本記事でご紹介した対処法は、なるべく早い段階で取り組むようにしましょう。
対処法はいくつかあります。大学に通い続けたいのであれば、ひとつずつ対処法を試していきましょう。
また大学の学生課の方は、そういった事情を親身に聞いてくれるものです。
今まさに学費が払えない状態で不安を抱えているという学生の方は、まずはご自分の通っている大学の学生課へ行きましょう。
きっと現状を抜け出すための糸口が見つかるはずです。

宮野茉莉子
1984年生まれ。東京女子大学卒業後、野村證券に入社。ファイナンシャルプランナーとして活躍。2011年よりフリーランスでライターとして活動し、マネー分野の記事を執筆している。
得意分野:金融商品、投資
資格:2級FP技能士、証券外務員一種、中学高校社会科教員免許