会社にお勤めのサラリーマンの方にとって「有給休暇」はすでにお馴染みですよね。
しかし『傷病休暇』はご存じでしょうか?
そんなときのために『傷病休暇』という制度があります。
ちょっと聞きなれない『傷病休暇』ですが、知っていて損はない絶対お得な制度なんです。
この際、すこし詳しく見ていきましょう!
- 傷病休暇とは、休暇制度の一つ。
- 傷病休暇を使えるかは、企業によって異なる。
- 傷病休暇には、公傷病休暇と私傷病休暇がある。
- 傷病手当金が支給されるが、収入が減るため注意が必要。
- お金にまつわる相談は、保険見直しラボの利用がおすすめ。
目次
傷病休暇の詳細
皆さんは、長期的に仕事を休まなければいけない、というような状態に陥ってしまったことはありませんか?
- 仕事が休みの日にレジャーに行って、入院が必要なほどのケガをしてしまった
- 体調不良で病院に行き医師の診察を受けたところ、重篤な病気がみつかり、手術入院が必要になった
- 会社に出勤できなくなり、医師の診断を受けたところ、うつ病だと言われた
通常の風邪や体調不良であれば2,3日仕事をお休みして、ゆっくり静養すれば職場に復帰できるというような場合とは違います。
長期的な入院や治療が必要になった場合、会社にお勤めの方であれば「傷病休暇」を利用できるかもしれません。
利用できる特別な休暇制度として『傷病休暇』があります。
お勤め先の会社によっては病気休暇と言われていたり、休職制度と言われていたり呼び方はさまざまです。
現在は、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の見直しや、働く人のライフスタイルが重視されるようになってきています。
松葉 直隆
傷病休暇は休暇制度のひとつ!
一般的に私たち勤労者は、会社と雇用契約を結んで労働力を提供し会社からは労働の報酬として、賃金の支払いを受けています。
また「働くこと」という義務を負うのと同時に、勤労者には労働者の権利として、さまざまな権利が国によって保障されています。
また労働者は、法律によっても守られています。
この場合の労働者とは?
正社員や契約社員、アルバイト、パートタイマーなどの雇用形態に拠らず、会社などの事業所や事務所に雇用されていて、賃金の支払いを受けていればすべて労働者ということになります。
- 労働基準法
- 労働組合法
- 労働関係調整法
とくに私たち勤労者と関係が深いものは「労働基準法」。
安心して働ける社会をつくるため「労働基準法」では、労働時間や賃金の支払い、休日など労働条件の最低基準が定められています。
法定休暇と法定外休暇って?
この「労働基準法」で定められた休暇のことを、法定休暇と言います。
法定休暇として代表的なものには、有給休暇(年次有給休暇)があげられます。
その他、法定休暇としては、生理休暇、育児休業、介護休業などがあります。
使用者側(会社)は被使用者(従業員)から、これらの休暇の申し出があった場合、拒否することは原則禁止されています。
男女の性別や、雇用形態(派遣社員、パートタイマーやアルバイトなど)にかかわらず、所定の要件を満たしていれば、特別な手続きをとる必要がなく自然発生するものとされています。
法定外休暇は個々の会社による任意の休暇制度であるため、「労働基準法」でとくに規定されているものではありません。
伝統的な法定外休暇には、以下のようなものがあります。
- 夏季休暇
- 年末年始の休暇
- 結婚休暇
- 慶弔休暇
この他にも健康経営の観点から、労働者ひとりひとりの健康や、プライベートな生活に関するさまざまな事情を踏まえて、個々に柔軟な対応できるような休暇制度が準備されている場合があります。
いってみれば、個別に配慮する必要がある従業員のための特別な休暇制度であるともいえるでしょう。
傷病休暇は、この特別な休暇制度のうちのひとつとなっています。
法定休暇 | 法定外休暇 |
---|---|
法律で定められた休暇 | 会社が任意で定めた休暇 |
すべての労働者 | 就業規則により適用 |
・年次有給休暇
・産前産後の休業 ・生理休暇 ・育児休業 ・介護休業 ・子の看護休暇 |
・病気休暇
・慶弔休暇 ・リフレッシュ休暇 ・ボランティア休暇 ・裁判員休暇 ・犯罪被害者の被害回復のための休暇 ・夏季休暇 ・年末年始休暇 |
傷病休暇のタイプ、2つ
傷病休暇は、次の2つに分けて考えられています。
公傷病休暇
公傷病休暇とは?
業務中に負ったケガや、業務が原因での疾病で加療が必要となり仕事を続けることが難しくなった場合、まとまったお休みをとることができる休暇制度のことを言います。
例えばオフィスで仕事中なにかにつまずいて転倒し、運悪く脚や腕を骨折してしまった場合。
あるいは外回りの営業中に、交通事故に巻き込まれて負傷、入院しなくてはならなくなったなど、業務遂行中の負傷や疾病。
つまり公傷病休暇とは、業務災害(業務中の負傷や疾病)で、まとまった期間仕事をお休みすることを言います。
業務中のケガや病気による休業(休暇)ですから、労働基準法により休業中の補償が規定されています。
私傷病休暇
私傷病休暇とは?
公傷病休暇に対して労働者のプライベートな時間でのケガや病気で仕事をお休みする場合は、私傷病休暇と言われています。
ざっくり言ってしまうと業務中や、業務命令での出張や同僚や部下への家庭訪問、通勤時以外でのケガや病気は、すべて『私傷病』ということになります。
厚労省から2013年に公表された「平成25年度就労条件総合調査」によれば、4211社(本社の常勤労働者数が30人以上)のうち22.4%の会社が、私傷病による「病気休暇制度」があると回答しています。
傷病休暇と有給休暇との違いって?
一般的に有給休暇の使い方として一番多いものは、体調不良で急に仕事を休んだ後、出勤できるようになってから「有給休暇」として申請する―といったような使い方でなはいでしょうか?
実はこういった使い方は、有給休暇本来の使い方ではありません。
有給休暇とは?
『お給料をもらいながら』『労働者が好きな時に自由に使える』休暇ですが厳密いうと『事前に』会社に申請する必要があります。
有給休暇に取得時にルールあり!?
会社には時季変更権という権利が、労働基準法(第39条第5項)で認められています。
会社が業務に支障が出ると判断した場合、申請者と相談のうえ他の日に変更してもらうことができるためです。
ただし会社には、有給休暇の申請を拒否することはできません。
あくまでも「繁忙期なので、仕事が一段落着いてからにして欲しい」や「他の部署と調整して、仕事が滞ることのないようにしてからに」などお願いできる権利があります。
しかし『事前』に休暇をとりたい旨を会社側に伝えていない急なお休みの場合であれば、会社としては欠勤扱いや無給休暇の取扱いとしても、法律上はなんら差支えありません。
また傷病休暇のない会社では有給休暇が代替されていることもあり、急な病欠の場合に、有給休暇として申請してもらい、受け付けることが社会的通念上、定着しているむきも。
有給休暇を使う時のルールとして、前もって休暇をとること(有給休暇の申請)を会社側に伝える必要がある休暇となっています。
傷病休暇のルールって?
傷病休暇の場合会社ごとに決めている任意の休暇ですから、取得時のルールはその会社ごとの就業規則に則したものとなります。
また有給休暇は、全労働日の80%以上の勤務を続けていれば、最大で40日まで発生します。
有給休暇を使い果たし休職期間が終了すれば、たとえ療養中であったとしても現行の雇用制度では、従業員は退職(解雇)することになります。
これに対し、職場復帰を目指して治療する従業員や、治療を受けながら就労する社員を支援するため、有給休暇や休職制度とは別に「傷病休暇」として制度を設けることによって、会社として従業員をフォローアップしていることがあります。
傷病休暇を使えるのはどんな人?
傷病休暇とは会社ごとに任意で決められている休暇制度。
また、傷病休暇のある会社であっても、アルバイトやパートタイマー、派遣社員といった場合であれば利用できない取り決めがあることもあります。
傷病休暇での注意すべきポイント
個別の労働契約や就業規則、労働協約で傷病休暇の制度が設けられており、利用できる場合であれば、就業規則などの規定の限りで労働者の権利として認められています。
また会社側は傷病休暇中も、引き続き従業員の雇用を守らなければなりません。
つまり休職中であっても以下の社会保険料の支払い義務が発生するということです。
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 雇用保険
同様に傷病休暇中の従業員にも、社会保険の支払い義務は発生します。
ケガや病気のために休んでいるあいだであっても、社会保険料が減免されることはありません。
傷病休暇の期間はどれくらい?
独立行政法人労働政策研究・研修機構(厚生労働省所管)が、平成25年に常用労働者50人以上の全国の企業2万社の企業を対象に実施したアンケート(有効回答率29.5%)によると、以下のような結果となっています。
- 「6カ月超から1年まで」が22.3%
- 「1年超から1年6カ月まで」が17.2%、
- 「1年6カ月超」の計(「1年6カ月超から2年まで」「1年超から2年6カ月まで」「2年6カ月超から3年まで」「3年超」の合計)は26.1%、
- 「上限なし」は4.5%
また正社員の規模別では「6カ月以下計」(「3カ月超」「3カ月超から6カ月」までの合計)の割合は、規模が小さくなるほど高くなり、「上限なし」もわずかですが、規模が小さくなるほどおおむね高くなっています。
- 「6カ月以下計」の割合は、「病気休暇制度の規定あり」が29.1%、「病気休暇制度の規定なし」の割合は、34.8%で、「病気休暇制度の規定なし」のほうが高く、
- 一方、「1年6カ月超計」は「病気休暇制度の規定あり」が31.7%、「病気休暇制度の規定なし」が7.0%であり、「病気休暇制度の規定あり」が、高くなっています。
「上限なし」の割合は、「病気休暇制度の規定あり」で2.7%、「病気休暇制度の規定なし」が13.1%となっており、「病気休暇制度の規定なし」のほうが、高くなっています。
このように私傷病(プライベートな時間でのケガや病気)では、例え会社の就業規則に傷病休暇として設けられていなくても、復職の意志を示す従業員には、なんらかの対策をこうじている企業は多いことがうかがえます。
労災認定休業とは?
もし仮に仕事をお休みする理由が、仕事中でのケガや病気であった場合、業務上災害として労災認定休業として認定を受けられる場合があります。
労災認定休業とは?
業務中のケガや業務起因性の高い疾病(いわゆる職業病)のため、医師から仕事をすることが不可能との診断が下された後の休暇のことをいいます。
業務起因性の高い疾病の中には、「過労」も含まれています。
過労とは?
「過労」とは、過度な労働負担のことをいい、長時間労働や非常にストレスの大きい仕事など、明らかに労働負担が大きいと、判断されるような場合のことを言います。
たとえば「気管支喘息」「胃潰瘍」「うつ病」など、現在の認定基準では、少なくとも発病する1ヶ月間の業務内容で、過度な労働負担があった場合には業務上災害(労働災害)として認められる場合が多いようです。
業務上災害と認定を受けた場合、治療費は全額、労災保険から支払われることになり医療費の自己負担は発生しません。
また療養のために休業が必要な場合には、休業補償などが支払われます。
業務上災害 | 私 傷 病 | |
(1) 疾病に対する補償 | 使用者には労働基準法の定める災害補償責任あり
・療養補償(労基法第75条) など |
特に定め無し |
(2) 公的保険 | 労災保険制度から給付
(1)の災害補償責任を果たすために、使用者が義務として労災保険に加入、業務災害に対しては原則として、(1)の災害補償は、労災保険から給付が行われる例えば、休業補償給付は、傷病補償年金に切り換わらなければ、要件を満たしている限り、支給される(支給期間の上限なし) |
会社が加入している健康保険、健保組合等から給付
例えば、私傷病で休職した場合、健康保険においては、労務不能と判断されれば、傷病手当金(上限:1年6ヶ月)が支給される |
(3) 解 雇 | 制限あり
業務上負傷・疾病により、療養のため休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。但し、打切補償を支払った場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能(所轄労基署の認定が必要)となった場合は、解雇制限が解除される(労基法第19条)但し、この場合も客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない解雇は無効(労働契約法第16条) |
特に制限なし
但し、客観的に合理的な理由を欠き、 社会通念上相当でない解雇は、無効(労働契約法第16条) |
傷病休暇中、生活はどうなる?!
ひとくちに傷病休暇といっても、ケガや病気にかかったタイミングが業務中であるか、プライベートな時間であるか否かで、法律上の取り扱いは大きく異なっています。
公傷病休暇中の生活は?
仕事をお休みしている理由が業務中のケガや病気による場合、労働労災として、労働基準監督署あてに申請をし、認定を受ければ、会社が加入している労災保険から、療養補償給付や休業補償給付などの労災保険給付を受けることができます。
休業補償給付は業務上災害により休業した場合、第4日目から支給が開始されます※。
休業補償給付の金額は、原則として直近の3ヶ月の給与の平均額(休日出勤や残業代も含めた給与の平均額)をとって、1日あたりの日額を計算し、その日数の60%※が支給されます。
私傷病休暇中の生活は?
厚労省から2013年に公表された「平成25年度就労条件総合調査」によれば、傷病休暇制度のある会社で、休暇中の給与の支払が「全額」支払われていると回答した会社は、37.6%、一部支払が、17.1%と、ほぼ半数の割合で、なんらかの形で休暇中の補償が行われている結果となっています。
これに対して、「無給」と回答した会社は、45.3%となっています。
また傷病休暇が就業規則に定められていない場合、有給休暇を使い果たした後は、復職が可能となるまで無給で療養生活を送ることになります。
こういった事態に備えるため、社会保険では、傷病手当金の制度を利用できる仕組みがあります。
傷病休暇と社会保険
現在、日本に住む20歳以上の方や、一定の条件を満たす労働条件で働いている方であれば、国民年金か厚生年金保険(公的年金制度)や、医療保険制度(健康保険など)への加入が義務づけられています。
会社などに雇用されている方の場合、ほとんどの方は、厚生年金保険や健康保険や健康組合に必ず加入しているはずです。
さらに社会保険の適用範囲は、平成28年から拡大されています。
また平成29年4月からは、従業員が500人以下の会社で働く方であっても、労使で合意すれば会社単位で社会保険に加入できるようになっています※。
この社会保険に加入されている方であれば申請を行うことによって傷病休暇中に、傷病手当金の給付を受けることができます。
傷病手当金の受給手続きイメージ
傷病手当金って?
傷病手当金とは?
ケガや病気での入院時や自宅療養のため仕事ができない期間の所得補償をしてくれるものです。
お勤め先の会社が加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合から、被保険者がケガや病気のために会社をお休みしていて、十分な報酬が受けられていない場合に支給されます。
たとえば、標準報酬月額が30万円の人であれば、30万円÷30日、日額換算は1万円なので、2/3(約60%)の6千円ほどが、欠勤1日につき、傷病手当金として給付されるといったイメージになります。
こんな場合に支給あり!
業務外の事由による病気やケガの療養のための休業
ケガや病気によって、仕事に就くことができない証明があるときに支給の対象となります。
また、自宅療養の期間にも支給の対象となります。
仕事に就くことができないこと
つまり、ケガや病気の程度によって一律に「就労不能」と判断されるのではなく、どのような職業に就いているかなど個別に判断されることがあります。
連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
待期には有給休暇や土日、祝日も含まれるため、給与の支払いがあったかどうかは関係しません。
休業した期間について給与の支払いがないこと
傷病手当金は自宅療養期間中や入院中の所得補償として給付されるものです。
または、傷病手当金が支払を受けた給与の額がより多い場合に、その差額が支給されることになります。
支給されなくなることがある?
資格喪失の日の前日(退職日)まで、被保険者期間が、継続して1年以上あり、
被保険者資格喪失日の前日(退職日)に、傷病手当金の支給を受けているか、受けられる状態であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。
ただしケガや病気から回復し、いったん仕事に就くことが可能になった場合、その後、傷病手当金の支給対象となっていたケガや病気の悪化や再発などで、仕事に就くことができない状態になっても、支給が再開されることはありません。
資格喪失後に老齢(退職)年金が受けられるとき
ただし老齢年金の額の360分の1が、傷病手当金の日額より少ない場合、差額が支給されます。
障害厚生年金または障害手当金が受けられるとき
傷病手当金を受ける期間が残っていても、同じ病気やケガで障害厚生年金を受けることになった場合には傷病手当金はの支給はされません。
また、厚生年金保険法による障害手当金が受けられる場合、傷病手当金の額の合計額が障害手当金の額に達する日までは傷病手当金の支給はなされません。
労災保険の休業補償給付が受けられるとき
労災保険から休業補償給付を受けている期間中にも、私傷病での傷病手当金は支給されません。
よくある疑問を解説!診断書は必要?精神疾患は?
①診断書は提出する?
傷病休暇制度を利用した療養期間を相談するにあたって、診断書に書かれる休養期間は重要な基準となります。
また傷病手当金を申請する際に提出する「健康保険 傷病手当金支給申請書」では、被保険者・事業主・療養担当者(医師)が記入する4枚の書類への記入が求められます。
②妊婦・公務員の場合の休暇は?
妊婦の場合
全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)の被保険者が出産のため会社を休んだ際に企業から報酬が支払われない場合、所定の計算式で算出される出産手当金を受け取ることができます。
なお平成28年度4月以降、傷病手当金額が出産手当金額よりも多いときは、その差額分が支給されます。
そのほか、協会けんぽでは被保険者かその被扶養者が出産した場合、申請手続きを行うことで出産育児一時金・家族出産育児一時金を支払う制度があります。
公務員の場合(平成26年5月29日最終改正 病気休暇の取扱い)
国家公務員の労働基本権制約の代償を担う人事院規則15-14、第21条第1項に定められている「特定病気休暇」(有給)は、原則として連続90日を超えることができません。
国家公務員が90日間を超えて休む場合は、「特定病気休暇」から「休職」へ切り替えることが多いとされます。
地方公務員の健康保険事業を担う地方職員共済組合では、勤務ができなくなった日から4日目以降、報酬が受けられない・傷病手当金額が報酬を上回る場合に最長で1年6か月間傷病給付金が支払われます。
更に、地方職員共済組合では傷病手当金受給終了後、同一の原因のために勤務ができない場合に傷病手当金附加金が最長で6か月間支給されます。
③うつ病などの精神疾患は対象?
仕事が原因でうつ病やパニック障害などの精神疾患を発症してしまった場合、公傷病休暇(業務上災害・労働災害)の扱いになりやすいです。
傷病休暇で慌てない生活プラン!
もし仮にケガや病気で仕事をお休みする場合、お勤め先の会社で傷病休暇があり、給与の支払が全額補償されている場合でしたら、傷病休暇を利用することが妥当です。
しかし、一部しか給与の支払いがなかったり、無給であったりする場合には、まずは、有給休暇を使うことを念頭にしておくといいかもしれません。
通常、生活するうえで必要なコストはめいめい、置かれている立場で、おのずと変わってきます。
たとえば独身であっても実家暮らしの方と、1人暮らしの方の場合では生活コストは違ってきます。
お子さんの教育費や住宅ローンを抱えている方の場合であればなおのこと、生活コストはかさみます。
またひとくちにケガや病気といっても、単純骨折などのケガの場合とそうでない場合には、治療にかかる費用も違います。
ケガや病気によっては、リハビリのために通院する必要がある場合なども考えられます。
まずは就業規則を確認!
お勤め先の会社の就業規則に休業や休職制度の記載がある場合、傷病休暇についての項目を確認しておくとよいでしょう。
- 休職制度について、事業所の労働協約や就業規則に根拠規定があるかどうか
- 病気休職(私傷病休暇)の場合、事業所から賃金が支給される規定があるかどうか
- 休職期間の限度はどのくらいか
- 休職期間が満了すると、自動退職、または解雇となる規定があるかどうか
- 復職する場合の手続きについて定められているかどうか
- 就業規則に、復職訓練(リワークプログラム)が定められているかどうか
- 復職に際して希望した場合、配置転換や異動等は可能かどうか
医療保険を検討してみよう!
医療保険とは?
ケガや病気で入院したときに、入院給付金、手術を受けた場合に手術給付金が支払われるタイプの民間の保険です。
公的な医療保険でも手術費用が高額になった場合、高額療養制度を利用すれば、負担を軽減することができますが、差額ベッド代や、入院時にかかる諸々の費用は、家計から負担することになります。
つまり家計から負担することなく、治療に取り組むことができよりいっそう安心です。
ただし医療保険の入院給付金は、一般的に、病院や診療所に入院していることが条件となっています。
所得補償保険を検討してみよう!
ケガや病気で仕事をお休みしているあいだの「生活費」をサポートする方法としては、所得補償保険や就業不能保険へ加入しておく方法もあります。
おもに生命保険会社が販売しているものが、就業不能保険、損害保険会社が販売しているものが、所得補償保険となっています。
また通常、所得補償保険は、就業不能保険よりも補償期間が短くなっていることが特徴ですが、長期補償を行っている商品も取り扱われています。
どちらの保険も働けなくなること(就労不能状態であること)が、保険金の支払事由となっています。
公的な傷病手当金の支払いが終了となる1年6カ月経過した後も、復職の目途が立たたず、収入が途絶えてしまう、といった場合など、その後の生活の支えとなる保険ととらえておくとよいでしょう。
傷病休暇のメリットとデメリット
通常、ケガをしたり病気になった場合、有給休暇を取得するか、病気欠勤の形で休むことになりますが、お休みする期間が長期に及ぶ場合には、会社から医師の診断書の提出を求められる場合があります。
傷病休暇のメリット
仕事から離れて、療養に専念できる
ケガや病気で体調不良のまま、病欠を繰り返すよりは、いったんしっかり治療に専念したほうが、結果的に治癒が早くなり、会社にもメリットをもたらすことができます。
傷病手当金が支給される
会社の規定により傷病休暇が無給の場合であっても、健康保険に加入している場合は傷病手当として、おおむね手取りの6割の金額が最長1年6カ月支給されます。
労働契約は継続されるため、期間内に回復すれば仕事に復帰できる
通常、傷病休暇の雇用は守られますから、次の仕事をどうするのかという心配することなく治療に専念できます。
傷病休暇のデメリット
収入が減る
お勤め先の会社によっては、お給料が全額支払われる場合もありますが多くの場合、傷病休暇中は、傷病手当のみが支給されることになり、おおむね手取りの6割くらいとなります。
元の職種にもどれない場合もある
傷病休暇を取得した後、無事に職場復帰を果たせた場合であっても、ケガや病気によっては元の職種より負担の軽い仕事や、お勤め先によっては、リバビリ出社や時短勤務のような形がとられる場合があります。
デメリットといっても、あくまでも一時的なものと割り切って考えておくとよいでしょう。
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多くのサービスは保険の相談に特化していますが、保険見直しラボはお金にまつわる相談ができることで人気を集めています。
また、自宅や、オフィスの近くカフェなど好きな場所にファイナンシャルプランナー来てくれるのも魅力です。
まとめ
傷病休暇について見ていきましたが、いかがでしたか?
思いがけずケガしたり、病気になってしまうは誰にでも起こりうることですよね。
そんなときは、療養することが一番肝心なことです。