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経済アナリスト 森永卓郎さんとは?
日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))を経て、
現在では経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。
マクロ経済・計量経済・労働経済・教育計画、オタク文化論などを専門としている。
テレビ番組などのコメンテーターなども務め、現在も多数のメディアに出演中。
今後の仮想通貨・ビットコインの価格はどのように推移するのか
バブルなどを通し、直近数年間で仮想通貨の価格は大きく値上がりしています。
今後、仮想通貨やビットコインの価格はどのように推移していくとお考えでしょうか?
マネーグロース編集部
森永さん
株などとは異なり、仮想通貨は「1つのトレンド」を持つことはなく、上がったり下がったりなどの不安定な価格推移を永久的に繰り返していくと思います。
価値が「ゼロ」になる可能性も、否定できません。
導入当初、ビットコインは「決済通貨として使用されるのではないか」という期待もありました。
ただ値動きの幅がとても激しく、決済通貨として普及する可能性はかなり低いでしょう。
森永さん
例えば「デジタル人民元」のような形で、中央銀行が発行していてかつ、価格が法定通貨と連動しているものあれば、通貨として使用される可能性もあるでしょう。
仮想通貨の場合は、資産の裏付けがありません。そのため、需給関係が悪化すれば、価値が大きく下がる可能性が高くなります。
資産としての裏続けが、とっても重要なのですね!
マネーグロース編集部
森永さん
仮想通貨は「ビックリマンシール」とよく似ています。
欲しい人がいれば、ビックリマンシールの値段はどんどんと上がっていきますよね。ポケモンカードだど何百万円、下手すると何千万円の値段がつくこともあります。
ただし、そのカード自体には資産の裏付けがありません。買い手がいなくなったら、その価値がゼロになってしまいます。
仮想通貨の中には、発行母体を持つ「リップル(XRP)」や、アメリカのドルと価格がある程度連動する「テザー(USDT)」という通貨も存在しています。
そういった「ある程度資産の裏付けのある仮想通貨」の場合は、今後のどのように価値が推移していくとお考えでしょうか。
マネーグロース編集部
森永さん
そういった通貨であれば、資産としての裏付けがある、一定の部分までしか下がらないでしょう。
株やFXと比較した場合の、仮想通貨に投資するメリット・デメリット
株式投資やFXなどと比較した場合、仮想通貨投資の「メリット」や「デメリット」はどういった点になりますでしょうか。
マネーグロース編集部
森永さん
税制の面が挙げられます。
株式投資による所得は「分離課税」に分類され、税率がかなり優遇されています。損益の繰越や、損益通算も行うことができます。
森永さん
一方で、FXや仮想通貨は両方とも「雑所得」に分類されますが、FXの場合は「分離課税」で、仮想通貨の場合は「総合課税」に分類されます。
FXの場合は、どんなに大儲けしたとしても税率は20%。しかし仮想通貨の場合は「累進課税」となるので、利益が大きければ大きいほど、税率も高くなってしまいます。
森永さん
ただ、仮想通貨を「ギャンブル」として捉えた場合、ギャンブルとしての税率はかなり優遇されています。
例えば、競馬で得た利益の場合は「一時所得」に分類され、経費計上を行うことができません。仮に100万円の馬券を買って、200万円になったとしても、購入した馬券分の100万円は経費として計上することはできず、払い戻しされた200万円に対して課税されてしまいます。
利益分だけでなく、経費を含めた部分まで課税対象になってしまうのですね。
マネーグロース編集部
森永さん
競輪や競馬などの「公営ギャンブル」と比較すると、仮想通貨は「税制の面でかなり優遇されたギャンブル」ということになります。
仮想通貨は「短期保有」と「長期保有」のどちらが良いか
もし森永さんが仮想通貨を保有されるとしたら、「短期保有」と「長期保有」のどちらのトレードスタイルを選択されますでしょうか。
マネーグロース編集部
森永さん
100%短期保有をします。
「仮想通貨取引所」を選ぶ基準
現在、日本国内ではたくさんの「仮想通貨取引所」がサービスを開始しています。
「取り扱い銘柄の多さ」「手数料の安さ・スプレッドの狭さ」など、取引所によって特徴が大きく異なります。
森永さんが仮想通貨取引所を開設されるとしたら、どういった基準で資産を預ける取引所を選びますでしょうか。
マネーグロース編集部
森永さん
「手数料の安さ」と「危なくないかどうか」です。
預けた資産に危険が及ばぬよう、システムの安全性などが高い取引所を選びますね。