IPO株は投資初心者でも儲けやすい方法として人気があります。
しかしIPO株を購入したことがないと、
「IPO株の買い方や購入できる証券会社がわからない」
「IPO株を購入することによるリスクは?」
など気になる点も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、IPO株の買い方からおすすめの証券会社、IPO株のメリットまでわかりやすく解説していきます。
デメリットや注意点、抑えておくべきポイントまで網羅しているので、IPO株の買い方がわからず困っていた方はぜひ最後までご覧ください。
- IPO株は取り扱いがある証券会社から抽選に申し込む
- IPO株に当選し上場後すぐ売却すると9割以上儲かる
- IPO株の抽選参加時には購入代金が拘束される
- 取り扱い数・主幹事数や抽選方法は証券会社によって異なる
- できるだけ多く証券口座がある方が抽選で有利になる
もくじ
IPO株の買い方
それでは早速IPO株の買い方について、流れを確認していきましょう。
全体的な流れとしては以下の5つのステップになります。
- 証券会社で口座開設する
- IPO株に関する情報を集める
- IPO株の抽選に応募する
- 当選したIPO株を購入する
- IPO株が上場されたら売買を行う
先に知っておきたいこととして、IPO株は抽選制なので必ず購入できるとは限りません。
そのため、3~4のステップで当選するかどうかには運が絡むことを理解しておきましょう。
証券口座を開設する
IPO株の買い方1つ目のステップは、証券会社で口座開設を行うことです。
といっても、どの証券会社でも良いわけではありません。
国内株式などの取引を行う場合と違い、IPO株は証券会社ごとに配分が決まっています。
つまり、IPO株の割り当てがある証券会社で口座開設をしないと、IPOの抽選に参加することができないのです。
IPO株が購入できる証券会社は、「IPO株におすすめなネット証券」で解説しています。
IPO株の情報を集める
IPO株の買い方2つ目のステップは、IPO株の情報を集めることです。
IPO株の情報を集める際にポイントとなるのは、
- IPO企業情報
- IPOスケジュール
この2つです。
IPO企業情報は、上場企業のIPO株を購入して儲かるかどうかの判断材料になります。
例えば「IPO株の銘柄の選び方にポイントはありますか?」で説明しているように、高い成長性が見込める企業ほど上場後の初値も高くなる傾向にあります。
また、競合他社が少ない企業や、当選株数が少ない企業なども初値の上昇が期待できるでしょう。
こうした情報を踏まえて、下記に挙げるIPOスケジュールを把握しておくことも大切です。
- 申込期間
- 抽選日
- 購入期間
- 上場日
もし当選しても、購入期間以内に購入しなければキャンセル扱いになってしまうため注意してください。
IPO株に応募する
IPO株の買い方3つ目のステップは、IPO株の抽選に応募することです。
国内株式や外国株式、FXなどと違って、IPO株は常に購入できるわけではありません。
年間で株式市場に上場するのは50~100社程度であり、IPO株の抽選が実施されるかどうかは企業の上場タイミングに左右されます。
ブックビルディングに申し込む
まずは応募受付が開始されるIPO株のブックビルディングに申し込みを行いましょう。
ブックビルディングとは、新規上場株式の価格を投資家から募集する制度のことです。
企業の目論見書を確認して事業内容や調達資金の使い道などをチェックし、株の購入希望枚数と購入希望価格を入力します。
なお、購入希望価格は仮条件という参考価格の上限に設定されていることが多くなっています。
そのため、上限価格か価格を問わず購入するストライクプライスでの申し込みがおすすめです。
購入価格代金を入金する
続いて行うのは、購入価格代金の入金です。
IPO株を購入するには、抽選前に株を買えるだけの金額を証券口座に入金しておかなければいけません。
例えばブックビルディングで申し込みを行った際、発行価格1,000円100株のIPO株だったなら購入価格代金は100,000万円です。
購入価格代金が証券口座に入金されていないと抽選が受けられないことも多いため、口座残高には注意しておきましょう。
当選したらIPO株を購入する
IPO株の買い方4つ目のステップは、当選していたらIPO株の購入を行うことです。
IPO株の抽選結果は、
- 当選
- 落選
- 補欠当選
のいずれかになります。
補欠当選だった場合は当選者に購入辞退が出た場合、繰り上げ当選となればIPO株の購入権利が得られます。
当選していた時は「購入」を選択して意思表明を行いましょう。
購入意思の表明をしていない、あるいは「辞退」を選んだ場合は当選が無効となってしまうため注意してください。
IPO株の上場後、売買開始
IPO株の買い方5つ目のステップは、IPO株が上場された後の売買です。
購入したIPO株は上場後も保有し続けることが可能なので、期待できる銘柄であれば価格の上昇を待って売るのも手です。
しかし、IPO株は上場後の初値が発行価格よりも高くなりやすいという大きなメリットがあります。
そのため、投資初心者であっても上場日の朝に売り注文を出すことで利益が出る可能性が高いです。
IPO株に当選するためのコツ
それでは、どうしたらIPO株の抽選で当選する確率を上げられるのでしょうか。
当選確率を上げるコツは以下の3つのポイントです。
- 複数の証券会社で口座開設をして応募する
- 主幹事を務めている証券会社から応募する
- 完全平等抽選方式の証券会社で応募する
ひとつずつ詳しく解説していきます。
複数の証券会社から応募する
IPO株の当選確率を上げるコツの1つ目は、複数の証券会社から応募することです。
すでに説明したように、IPO株は証券会社ごとに割り当てが決められています。
そしてIPO株の特徴として、抽選への参加は各証券会社ごとに行えるというルールになっています。
仮に下のような配分だったとしたら、
- A社:6,000株
- B社:3,000株
- C社:1,000株
- D社:0株
- E社:0株
A社・B社・C社からIPO株に応募することで当選確率を上げることが可能です。
そのため、IPO株に応募するなら「IPO株におすすめなネット証券」で紹介している証券会社全てで口座開設することをおすすめします。
主幹事を務めている証券会社で応募する
IPO株の当選確率を上げるコツの2つ目は、主幹事を務めている証券会社で応募を行うことです。
主幹事とはIPO株の配分が最も多い証券会社を指します。
先ほど挙げた例でいえば、10,000株のうち6,000株を割り当てられているA社が主幹事です。
- A社:6,000株
- B社:3,000株
- C社:1,000株
- D社:0株
- E社:0株
A社・B社・C社全てから応募することはもちろん大切ですが、確率的にはA社が最も高いことになります。
少なくとも応募の際には主幹事の証券会社を必ず含めるようにしましょう。
完全平等抽選の証券会社で応募する
IPO株の当選確率を上げるコツの3つ目は、完全平等抽選方式で応募することです。
IPO株の抽選には、
- 優遇抽選
- 完全平等抽選
という2つの方式があり、証券会社ごとに異なります。
優遇抽選は過去の取引実績や預かり資産額が豊富なほど優先度が高くなる、という特徴があります。
一方、完全平等抽選は1口座につき1単位のコンピュータによるランダム抽選です。
すでに証券口座を所有していて取引実績が豊富なら、優遇抽選の方が抽選確率は上がるでしょう。
しかし、投資が初めての方や資金が少ない方にとっては完全平等抽選の方が有利です。
IPO株におすすめなネット証券
それでは、IPO株の購入におすすめのネット証券を5社紹介していきます。
比較の際にはIPO株の取り扱い数だけでなく、主幹事数や抽選方法にも注目しましょう。
また、口座開設者数もライバルの多さを測る上で参考になる要素です。
総合的にはSBI証券が最もおすすめですが、「複数の証券会社から応募する」で解説したように全ての証券会社で口座開設しておくとより当選確率を上げることができるでしょう。
SBI証券
IPO株取り扱い数 | 112社(全体の97%) |
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主幹事数 | 18社(全体の14%) |
IPO申込手数料 | 無料 |
抽選方法 | 完全平等抽選(60%) 優遇抽選(40%) |
口座開設者数 | 600万口座以上 |
*表内のデータは2021/12/23調査時点、IPO取り扱い数は2021年1月~12月現在のものです。
SBI証券はIPO株取り扱い数トップのネット証券で、その数は実に全体の97.6%を誇ります。
しかも主幹事を務めるIPO株も16.8%を占めており、IPO株を買うならまずはSBI証券から始めれば間違いありません。
主幹事になるIPO株に関しても人気の高いIT系が多く、AIやIoT、ロボットなど今後の発展が期待できるジャンルとなっています。
完全平等抽選は60%になっているため資金力がある方が有利ですが、抽選参加の機会が最も多いため、投資初心者でも当選チャンスは十分にあるでしょう。
松井証券
IPO株取り扱い数 | 56社(全体の44.8%) |
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主幹事数 | 0社(全体の0%) |
IPO申込手数料 | 無料 |
抽選方法 | 完全平等抽選(70%以上) |
口座開設者数 | 120万口座以上 |
*表内のデータは2021/12/23調査時点、IPO取り扱い数は2021年1月~12月現在のものです。
松井証券の特徴として、購入価格代金の事前準備が必要ない点が挙げられます。
「購入価格代金を入金する」で説明したように、通常IPO株でブックビルディングに申し込むには購入価格代金の事前入金が必要です。
しかし松井証券なら資金なしでも抽選に参加できるため、運試しのつもりで申し込んでみることができます。
ただしIPO株の取り扱い数56社で完全平等抽選は70%と、ほかのネット証券に比べて特別優れているとはいえません。
本格的にIPO株の抽選に参加するなら、ほかのネット証券もあわせて利用することで当選確率を高められるでしょう。
楽天証券
IPO株取り扱い数 | 74社(全体の65%) |
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主幹事数 | 0社(全体の0%) |
IPO申込手数料 | 無料 |
抽選方法 | 完全平等抽選 |
口座開設者数 | 700万口座以上 |
*表内のデータは2021/12/23調査時点、IPO取り扱い数は2021年1月~12月現在のものです。
100%完全平等抽選のIPO株取り扱いネット証券なら、楽天証券がおすすめです。
SBI証券よりもIPO株取り扱い数では劣りますが、抽選確率が資金力に左右されないため投資初心者でも当選する可能性が高くなっています。
抽選後に抽選倍率が公開されていることも特徴で、透明性があることも安心感につながるでしょう。
また、 2021年は10年ぶりにIPO株の引き受けを復活した影響もあり、2020年の38社から2倍近くまでIPO株取り扱い数が増加しました。
今後もIPO株取り扱い数は増加の期待が持てるため、必ず口座開設しておきたいネット証券といえます。
LINE証券
IPO株取り扱い数 | 11社(全体の10%) |
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主幹事数 | 0社(全体の0%) |
IPO申込手数料 | 無料 |
抽選方法 | 完全平等抽選 |
口座開設者数 | 100万口座以上 |
*表内のデータは2021/12/23調査時点、IPO取り扱い数は2021年1月~12月現在のものです。
LINE証券は2021年にIPO株の取り扱いを始めたばかりであり、ほかのネット証券に比べてライバルが少ないことが魅力です。
IPO株は抽選制になる関係上、口座開設数やIPO株の取り扱いが豊富な証券会社ほどライバルも多くなります。
そのため、SBI証券や楽天証券のような大手ネット証券だとIPO株でなかなか当選できない、ということが起こりがちです。
反面、LINE証券なら口座開設者の母数そのものが大手ネット証券よりも少ないので、倍率も低くなります。
2021年12月23日現在で取り扱っているIPO銘柄は0であり、IPO株取り扱い数は11社と全体の10%程度ですが穴場のネット証券といえるでしょう。
マネックス証券
IPO株取り扱い数 | 65社(全体の52%) |
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主幹事数 | 1社(全体の0.8%) |
IPO申込手数料 | 無料 |
抽選方法 | 完全平等抽選 |
口座開設者数 | 190万口座以上 |
*表内のデータは2021/12/23調査時点、IPO取り扱い数は2021年1月~12月現在のものです。
マネックス証券は完全平等抽選でIPO株取り扱い数は65社と、スペック的には楽天証券に似ています。
ただしマネックス証券ではIPO株の割当のほぼ100%がネット抽選に回されるという特徴があります。
IPO株は各証券会社に割当が行われた後、さらに部門ごとに分配が行われることが一般的です。
そのため、営業の裁量割当に90%を割きネット抽選には10%しか回ってこない、というケースも有り得ます。
しかしマネックス証券は割当のほぼ100%がネット抽選に回されるため、実際に抽選参加した際の当選の期待値が高くおすすめのネット証券です。
IPO株を買うメリット
IPO株を購入するメリットはなんといっても、高確率で儲けやすいということです。
IPOは日本語だと「新規公開株」や「新規上場株式」といい、価格がついていない上場前に株式が売り出されます。
そして最も注目すべきポイントは、発行価格が上場後の初値に比べて割安に設定されることが多い点です。
そのため、IPO株を発行価格で購入し上場後すぐに売却することで差益を得ることができます。
IPO株の勝率は実に90%以上ともいわれ、株価変動前に売却すればリスクを最小限に抑えることができ、ローリスク・ハイリターンが見込める投資方法といえます。
IPO株に申し込む際の注意点
ただし、メリットが大きいIPO株にも注意点は存在します。
- 購入に必要な資金が拘束される
- 参加申し込みを抽選のたび行わなければいけない
まず「購入価格代金を入金する」で解説しているように、多くの証券会社ではIPO株の抽選申し込み時に必要な資金を口座に入金しておく必要があります。
そのまま購入価格代金は拘束された状態になるため、複数の証券会社から申し込みを行う場合は相応の資金が求められます。
また、IPO株の抽選に参加するためのブックビルディング申し込みも抽選のたび行わなければいけません。
応募したからといって必ず当選するわけではないので、場合によっては当選までに何十回も申し込みを行うこともあるでしょう。
IPO株の当選を勝ち取るためには、最低限の資金と根気強さが必要になることを知っておくことが大切です。
IPO株に関するQ&A
最後に、IPO株の買い方に関してよくある質問をまとめておきます。
- IPO株の銘柄選びのポイントは?
- IPO株をNISA枠(非課税枠)で購入できる?
- IPO株を当選後にキャンセルすることは可能?
これらの回答をわかりやすくまとめているので、疑問に感じていた方は目を通してみてください。
IPO株の銘柄の選び方にポイントはありますか?
IPO株の銘柄選びのポイントは、企業の成長性を確認しておくことです。
特に注目すべきはあらかじめ公開されている情報である、業種と事業内容です。
新たに上場する企業が同業他社の行っていないサービスを掲げていたようなケースでは、株価が上昇することも考えられます。
このように将来性が感じられる銘柄であれば、上場後も価格が上がっていく可能性が高いといえるでしょう。
しかし、成長が見込めない企業だとIPO株を購入しても価格が下落するリスクが伴います。
株式市場で人気を集めている銘柄やニュースなどもチェックしつつ、成長性が高い銘柄を絞っていくことをおすすめします。
IPO株はNISA枠で購入できますか?
IPO株をNISA枠で購入することは可能です。
ただし証券会社によって対応しているかどうかが異なるため、NISA枠でIPO株を購入したい場合は対応が確認できる証券会社を選びましょう。
今回「IPO株におすすめなネット証券」で紹介した中では、楽天証券とLINE証券以外はIPO株でもNISA枠を使うことが可能です。
スマホ専業の証券会社の場合、そもそもNISA口座開設に非対応なので注意してください。
また対応している証券会社であっても、NISA枠を使うためには申し込み時の口座区分で「NISA」を選んでおかなければいけません。
購入申し込みを行った時点での投資可能額が不足している場合も、余力エラーとなってしまうことがあります。
NISA枠を利用する際は事前によく確認しておきましょう。
IPO株は当選後にキャンセルできますか?
IPO株に当選してからのキャンセルは可能です。
ただし、いくつかの証券会社にはIPO株当選後のキャンセルにペナルティが設けられています。
ペナルティ内容としてはブックビルディングの停止であり、抽選への参加ができなくなります。
SMBC日興証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券はキャンセルから1ヶ月間ですが、岡三証券は永続停止となるため注意しましょう。
とはいえ、「IPO株におすすめなネット証券」で紹介した証券会社であれば当選後のキャンセルにはペナルティがありません。
基本的にIPO株のキャンセル時に気をつけるべきことはペナルティの有無なので、証券口座を開設する際に確認しておくことが大切です。
まとめ
IPO株は投資初心者でも勝率90%以上が期待できる、夢のような投資方法です。
しかし稀ではあるものの購入したIPO株の価格が初値で下がってしまうケースもあるため、事前に企業情報をチェックしておくことが欠かせません。
抽選参加のためのブックビルディングへの申し込みの手間などもかかるため、地道な労力の積み重ねで高勝率が得られる投資方法だと理解しておくことが大切です。
当選確率を上げてチャレンジを繰り返せばローリスク・ハイリターンの利益を得られる可能性が高いため、興味があれば積極的に取り組んでみましょう。
- IPO株を購入するには対応証券会社で抽選に参加する必要がある
- IPO株は発行価格が割安なので初値で売ると高確率で利益が出る
- 抽選に参加するためには購入代金を用意しなければいけない
- 証券会社によってIPO株の数・主幹事数や抽選方法が違う
- 当選確率を上げるにはできるだけ多くの証券口座開設がおすすめ