「老後は2,000万円が不足する」
上記は金融庁の金融審議会による市場ワーキング・グループ報告書で公表された内容であり、この公表に動揺した皆さんも多いのではないでしょうか?
しかし皆さんが高齢者になるまで2,000万円を確保していれば、絶対に安心というわけではありません。
各世帯の事情によって、2,000万円を大幅に超える資金が必要な場合もあれば、2,000万円を確保しなくても悠々と生活できる場合もあります。
そのため、老後を気にする方々のそれぞれが老後資金のシミュレーションを行い、必要な資金額の目安を認識しておくことが大切です。
そこでこの記事では、老後資金のシミュレーションの必要性、老後資金のシミュレーションツール、老後資金を準備する方法、シミュレーションをする際の注意点等について解説します。
老後の生活を困らないようにするためにも、老後資金について理解を深めましょう。
- 老後資金のシミュレーションは、老後資金の準備をする上で重要となる。
- 老後資金のシミュレーションをする事で、老後に必要な資金の目安を知ることが出来る。
- 老後資金の準備をする方法には、定期預金・NISA・iDeCoなど様々な方法がある。
- 老後資金のシミュレーションや相談は、ファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめ!
- 各金融機関などでは、老後資金のシミュレーションツールを用意している場合が多い。
記事監修者紹介
松葉 直隆 / 保険のプロ
大学卒業後、損保ジャパン日本興亜代理店の保険会社にて5年以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。 その後、2016年6月より保険のドリルをはじめとする保険媒体を経て、現在はマネーグロースにて記事監修を務める。
目次
老後資金のシミュレーションの必要性
こちらでは、老後資金をシミュレーションする必要性について解説します。
老後は2,000万円が絶対必要!?
金融庁の金融審議会の報告書には「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円~2,000万円になる」と明記されています。(出典:金融庁金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」参照)
とはいえ、老後の資金がどれくらい必要かは、各世帯によってかなり異なってきます。
どの世帯でも2,000万円あるから安心と言う訳ではありません。
その一方で、老後の資金が2,000万円に満たなくても、充実したセカンドライフが行える世帯も存在します。
つまり、高齢者の世帯構成・生活する場所・パート労働の継続の有無など、各世帯の現状に沿った資金額の確保が必要となります。
老後資金のシミュレーションはどこでできる?
老後の資金がどれくらい必要なのか、ご自身の世帯構成・収入・支出等の様々な視点を加味してシミュレーション、最適なライフプランを作成してくれる専門資格者に「ファイナンシャルプランナー(FP)」がいます。
こちらは保険・金融・税金等に深い知識を有する方々で、老後の資金に関するアドバイスも行ってくれます。
この方々が在籍する場所は、ファイナンシャルプランナー(FP)が自ら開設している事務所・法人(独立系FP)や、金融機関や最近では無料保険相談窓口(サービス)でも対応してくれます。
無料の場合もあれば独立系FPのように有料で相談にのってくれるところもあります。
現在は、インターネットで気軽に無料で何回でも利用可能な「老後資金のシミュレーションツール」も提供されています。
老後資金2000万円不足問題は、あくまでも金融庁で調べた数値であり、家族構成や生活状況などによって大きく異なるため、人それぞれが老後資金のシミュレーションを行う事で、自身に必要な老後資金を確認する必要がある。
また、老後資金のシミュレーションは、ファイナンシャルプランナーに相談するか各金融機関のホームページなどでも可能となっている。
おすすめの老後資金のシミュレーションツール3選
こちらでは、インターネットで気軽に老後資金のシミュレーションが可能なツールを3点取り上げます。
- JAバンク「老後資金シミュレーション」
- 西武信用金庫「SEIBUのシミュレーション・ツール」
- リクルート「iction!みらい家計シミュレーション」
JAバンク「老後資金シミュレーション」
JAバンクが無料提供するツールで、老後資金の他に住宅ローン・独立計画・運用計画・ライフプランのシミュレーションも可能です。
老後資金シミュレーションの特徴
夫婦2人の老後に貯蓄が一体いくら必要なのか試算する事が出来て、入力した項目に基づき算出した概算値が自動で表示されます。
老後資金の目安として利用できます。
入力方法
収入の金額の入力からはじめます。
- 公的年金(日本年金機構のホームページで、公的年金の年金額簡易試算ができる)
- 再就職などによる収入(65歳までを考慮)
- 配偶者の収入(65歳までを考慮)
- 退職金など(ハローワーク・インターネットサービスの雇用保険制度の説明を参照)
- その他の収入
その後、支出の金額を入力します。
- 必要な生活費
- ライフイベント資金(結婚祝い、リフォーム、旅行等)
- ローン残高や返済額
最後に、ご自身の現在の年齢を入力し算定します。
非常にシンプルな入力内容で大まかな老後資金シミュレーションが可能です。
西武信用金庫「SEIBUのシミュレーション・ツール」
出典:https://www.shinkin.co.jp/seibu/
西武信用金庫が無料提供するツールで、老後資金の計画(2nd Stage CF-Robo)の他に、ライフプランプログラム・住宅ローン(新規・借換)シミュレーター・保有資産のシミュレーションも可能です。
2nd Stage CF-Roboの特徴
世帯主が50歳を超え、子供が全員独立した家計の現在から生涯年齢までの金融資産残高のシミュレーションを行う仕組みとなっています。
また、世帯主が退職時に確保するべき金融資産額を計算するプログラムの「退職時必要金融資産額計算」、必要な年間貯蓄額を計算するプログラムの「必要年間貯蓄額計算」も用意されています。
入力方法
次の手順で入力を行います。
- 金融資産(預貯金)積立額を入力:現在~退職時まで、年代別に月間の金融資産(預貯金)積立額を年代別に入力します。
- 2ndステージの収入項目・支出項目を入力:老後(2ndステージ)は退職金や年金等を収入項目として、支出項目には退職時のローン返済・退職後の生活費・イベント費用を入力します。
このツールでは、生涯を通しての金融資産残高のシミュレーションを行い、ご家庭のお金の出入り・生活の仕方を工夫する必要性、勤労期間中からの金融資産の積立・運用の重要性を認識することができます。
リクルート「iction!みらい家計シミュレーション」
リクルートが無料提供するツールで、将来必要になるお金をイメージできる家計診断サービスです。
診断結果として65歳時点の貯金額が算出されます。
ご自身や家庭で、いつ・どれくらいお金がかかるのか、一目でわかる収支・貯蓄の推移グラフもあわせて確認できます。
iction!みらい家計シミュレーションの特徴
ご自身のライフプラン等に合わせて、いろいろな条件を加えて何回でも使用可能です。
ご自身・家族の未来を見通し、ローン等の返済や毎月の貯金目標や介護資金などの参考となります。
入力方法
次の手順で入力を行います。
- 現在の状況:配偶者や子供の有無、既婚または結婚の予定等、現在のご自身や家族の状況、年収や貯金、生活費の支出を入力します。
- 子供の教育:子供の保育園・幼稚園~大学の教育費は、5段階から選択できます。学校教育費のみならず、習い事や塾代、仕送り等の詳細な情報を入力することができます。具体的な金額がわからなければ省略して構いません。
- 大型支出:住宅・車の購入予定の有無、介護の予定等、今後のライフプランを元に入力します。
これらを入力すれば診断結果が表示されます。
ファイナンシャルプランナーのアドバイスがチェックできるので、老後の資金や将来のお金に関する参考となります。
老後資金のシミュレーションに必要な項目
こちらでは、老後資金のシミュレーションに必要な項目を取り上げましょう。
世帯の収入額
主に次のような収入が、シミュレーションに必要な項目となります。
- 退職金
- 再就職等の収入
- 公的年金収入
- 配偶者の収入
- その他の収入
退職金
既にリタイアしている人は受け取った退職金額を確認、現役の方々は退職金規程等で確認(就業規則の賃金規程に明記している場合が多い)しましょう。
ただし、退職金は長期間働いたことによる功労金として勤務先から受けれるお金なので、企業にとって退職金制度の設定が義務ではないため制度自体がない企業もあります。
もちろん、自営業者をずっと継続してきた人に退職金はありません。
退職金を一度も受け取らなかった人(受け取ることが予定されていない人)の場合、こちらは反映されません。
再就職等の収入
リタイア後に再就職して仕事をしていたり、パート等で働いたりしている場合には、その収入も必要項目です。
これらの勤務先の就業規程等で勤務可能な年齢の上限等が明記され、あと何年勤務できるかわかるなら、その収入をかなり明確に反映しやすいでしょう。
もちろん、高齢になればずっと健康で継続して働いていけるとは限りません。
ご自身が病気やケガをして働けなくなるリスクもあることを認識しておきましょう。
公的年金収入
ご自身の積み立ててきた公的年金の金額も必要項目です。
リタイアした方々は現在の年金収入を確認しましょう。
現役世代の方々は給与所得者なら会社の加入する健康組合等の規程を確認します。
一方、自営業者等は日本年金機構のホームページにて、受け取れる年金試算が可能です。
ご自身がどれだけの保険料を支払えば、どの位の年金額が受け取れるのか気軽にシミュレーションできます。
配偶者の収入
配偶者の給与や退職金等も必要な項目です。
ご自身と同様に、仕事をリタイアした場合は退職金や年金収入を、現役でも再就職者でもその収入を反映させます。
もちろん、単身世帯の人ならば配偶者の収入はカウントしません。
その他の収入
ご自身または配偶者が資産運用を行い、私的年金や一時金等を受け取った、または現在受け取っている収益も反映させます。
その他の収入はいろいろと存在しますが、主に以下の様な収入になります。
- 投資信託等の金融商品
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 個人年金保険
- 終身保険(死亡保険)
- 養老保険
こちらについては後述で詳しく解説します。
主に、ご自身と配偶者の収入面を入力していきます。
退職金・年金・パート収入などだけではなく、資産運用による益金なども加えることでより詳細なシミュレーション結果が出ると言えるでしょう。
世帯の支出額
主に次のような支出が、シミュレーションに必要な項目となります。
- 必要な生活費
- ローン返済額
- ライフイベント資金
必要な生活費
高齢世帯であるなら主に次のような支出が必要項目です。
生活を維持していく上で必要な費用となります。
- 食料費
- 住居費
- 水道光熱費
- 家具・家事用品費用
- 被服・履物費用
- 保健医療費
- 交通・通信費
- 教養・娯楽
- 直接税
- 社会保険料
- その他
ただし、現役世代ならば子供の必要費等が含まれることになるでしょう。
ローン返済額
住宅ローンやカーローン等が該当します。
もちろん、完済しているならば不要な項目となります。
ただし、ローン返済中ならば何歳までに完済できるのか慎重にチェックする必要があります。
ケースによってはローン残高・返済額が、生活費以上に家計を圧迫する可能性もあります。
リタイア後もローン返済が継続すると、老後の資金が十分用意できない事態になることも想定されます。
なるべく現役世代での完済が望まれます。
ライフイベント資金
自宅のリフォームや結婚記念日の旅行等が該当します。
既にライフイベントの計画が実行段階となっているなら、詳細な支出を反映させましょう。
ただし、ライフイベントはご家庭で必ず行うようなものと一概に言えません。
何となく「具体的な調整はしていないが、夫婦で半年に1回旅行に行きたいものだ」というような段階なら、掛かるであろうおおよその費用を反映させても構いません。
なお、子供が独立しておらず未成年の場合は、進学費用や学習費等も文部科学省の公表している「子供の学習費調査」等を参考に確認しておきましょう。
老後の生活に必要な費用や、ライフプランに応じた支出を大まかでも良いので入力することで、大体の必要額が見えてくる。
また、住宅や自動車などの、ローンの完済時期をしっかりと確認しておくことで、老後資金のシミュレーションもしやすくなる。
老後資金はいくら必要?
こちらでは、老後資金の必要額の目安について、高齢夫婦世帯・単身世帯のケースをとりあげ解説します。
高齢夫婦世帯の場合
総務省が発表する最近の夫婦高齢者無職世帯の家計収支において、次のような結果となっています。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、公的年金等の社会保障給付は219,976円、食費や水道光熱費、保健医療費等の消費支出や直接税等の非消費支出は合計255,550円です。
主に公的年金収入だけでは生活費が35,574円不足してしまいます。
夫婦のみの無職世帯では、この不足をパートや私的年金等のその他の収入で賄い、今回の発表では実収入が1,111円の黒字となっています。
ご自身・配偶者が65歳でリタイアし、双方80歳まで生きる場合、今回の発表のように公的年金収入の不足分35,574円を補っていく必要があります。
とすると
(35,574円×12月)×15年=6,403,320円
最低でも640万円は必要になると予想されます。
[出典:総務省家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)「Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支」をもとに算出]高齢単身世帯の場合
総務省が発表する最近の高齢単身無職世帯の家計収支において、次のような結果となっています。
65歳以上の単身者のみの無職世帯の場合、公的年金等の社会保障給付は121,942円、食費や水道光熱費、保健医療費等の消費支出や直接税等の非消費支出は合計144,687円です。
主に公的年金収入だけでは生活費が22,745円不足してしまいます。
単身無職世帯では、この不足をパートや私的年金等のその他の収入で不足分の15,022円は賄われています。
しかし、今回の発表では更に7,723円の赤字となっています。
ご自身が65歳でリタイアし、80歳まで生きる場合、今回の発表のように公的年金収入の不足分22,745円を補っていく必要があります。
とすると
(22,745円×12月)×15年=4,094,100円
最低でも400万円は必要になると予想されます。
[出典:総務省家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)「Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支」をもとに算出]好例夫婦世帯・単身世帯共に、公的年金の収入と生活費の支出バランスを考えると、支出の方が多くなる傾向になるため、夫婦世帯で言うと65歳でリタイア後の15年で640万円、単身世帯では400万円を公的年金以外で準備する必要がある。
ただし、これは80歳までの金額となるので、人生百年時代と考え100歳までとすれば、夫婦世帯では約1500万円・単身世帯では約955万円を公的年金以外で準備する必要がある。。
老後資金を準備する方法
こちらでは、老後の資金を準備する6つの方法を紹介します。
- 定期預金等で貯蓄
- NISAで運用
- iDeCoで運用
- 個人年金保険で運用
- 終身保険
- 養老保険
定期預金等で貯蓄
定期預金は、最も安全な貯蓄方法と言え、はじめに預け入れ期間を決めて利用する預金です。
預け入れ期間を1年、2年、3年後と決めた場合、満期日まで基本的に引出しができません。
しかし、普通預金と比較すると金利が高く収益性の高い預金といわれています。
バブル時代は確かに高金利
1980年には利率が過去最高となる「8%」を記録しました。
この利率なら、郵貯の定額貯金(半年複利10年満期)に預けていた場合、10年で2倍になります。
つまり、安全に預金しているだけでこのくらいの大きな利益が確保できました。
しかし、現在では0.002%~0.170%程度です。
前述した8%になど遠く及ばず、預けていても大きな利益は期待できません。
積極的に増やす方法としてはあまりおすすめできません。
無駄遣いせず貯蓄するには良い方法
老後のためにコツコツ貯蓄したい場合なら、普通預金ほど容易には引き出せないので、無駄な消費に利用しないため預けるという意味では役立つ貯蓄方法です。
現在では1円~100円単位で設定し、年数回まで希望月に増額できる仕組みで、無理なく確実に貯蓄できる「積立式定期預金」も販売されています。
柔軟な積立を行いたいならおすすめの金融商品です。
元本を減らさないという点では非常に安全な方法となりますが、金利が低いことからいくら長期で預けても大きく資金が増えると言う事は無い。
大きく資産を増やすには不向きだが、無駄遣いをしたくなく簡単に引き出せない預金をしたいならおすすめの方法となる。
NISAで運用
投資信託を利用して、ご自身のお金を株や債券にかえて投資して大きな利益を得る方法もあります。
しかし、ご自身の老後資金確保を目的としている以上、ハイリスクを伴う方法は避けた方が無難です。
その場合に注目されるのがこちらの「NISA」です。
NISAとは?
NISAとは「少額投資非課税制度」です。
株式投資信託・上場株式等の配当・譲渡益等が非課税対象となる仕組みとなっています。
厳選された投資信託商品が対象なので、運用は比較的リスクが低いと言われています。
なお、2024年~は新たなNISAが登場します。
NISAの種類
NISAは次の3種類が利用できます。
(1)一般NISA
通常のNISAです。
日本居住し満20歳以上の個人なら誰でも運用でき、年間の投資上限額は120万円、非課税期間は最長5年、一括投資またはつみたて投資で運用していきます。
なお、2024年~新しいNISAとなり、積み立て部分年20万円・一般の株式や投資信託分年102万円の2階建て制度に変更されます。
これからNISAの運用を考えたい人は、制度の変更点もよく確認して証券会社・銀行で申込を行いましょう。
(2)つみたてNISA
こちらも日本居住し満20歳以上の個人なら誰でも運用できます。
ただし、年間の投資上限額は40万円、非課税期間は最長20年、つみたて投資で運用することになります。
(3)ジュニアNISA
未成年者の方が対象です。
新規投資額で毎年80万円が上限、非課税期間は最長5年です。
ただし、運用管理者は未成年者本人ではなく両親や祖父母等です。
少額投資の非課税制度であるNISAを利用する事で、通常の投資運用よりも有利に老後資金を準備することが出来る。
iDeCoで運用
正式には「個人型確定拠出年金」と呼ばれ、「iDeCo」とは金融商品の愛称です。
投資信託・定期預金・保険で運用する私的年金です。
iDeCoの実施機関は国民年金基金連合会です。
国民年金基金連合会と口座振替契約を締結した後、銀行・信託銀行等から掛金を引き落すことになります。
充実した税制上の優遇措置
iDeCoの掛金全額が所得控除になります。
ご自身の年収から掛金全額を差し引けるので、結果として所得が下がることになり、所得税・住民税が軽減されます。
また、投資信託で運用すれば、運用成績が良いと大きな利益を年金額に反映でき、老後の資金確保方法として高い効果が期待できます。
しかし、注意点もある
投資信託で運用する場合、やはり運用成績が悪ければ期待したリターンを得られないこともあります。
またiDeCoは、加入者が60歳となった時から、原則として積立てたお金を受け取ることになります。
つまり、受取年齢が自由に設定できるわけではななく柔軟性に欠けます。
また、毎月の掛金が重い負担になってしまったら、いったん掛金拠出を休止できるので、ご自身の収入・支出をチェックしてみましょう。
個人型の確定拠出年金となり、私的年金の代表格とも言える。
60歳まで引き出しが出来ないため、コツコツと節税をしながら積み立てる事が出来るが、柔軟性に欠ける点は注意が必要となる。
個人年金保険で運用
生命保険会社が販売する私的年金です。
円建て・定額タイプで堅実に運用できる商品から、外国通貨で運用する外貨建てタイプ、積極的な投資でハイリターンを目指す変額タイプ等が用意されています。
有期年金・終身年金の2種類
個人年金保険は一定期間にわたり年金が受け取れる有期年金・確定年金と、一生涯にわたり年金の受け取れる終身年金があります。
しかし、柔軟な保険商品が多く、たとえ有期年金・確定年金で当初の契約をしていても、年金受取時に終身年金に変更できるものもあります。
いずれの種類も積立期間・受取年齢も自由に設定でき、iDeCoよりも柔軟な運用ができます。
ただし、掛金全額は控除所得にならず最高で年間4万円が控除できるにとどまります。(2012年1月1日以後の保険契約の場合)
生活保障重視型年金も登場!
外貨建てタイプや変額タイプはリターンが高い分、経済市場の変動や為替リスクに大きく損益が影響されます。
しかし、円建て・定額タイプでも受取率(返戻率)140%~160%の商品が販売されるようになりました。
それが「生活保障重視型年金(トンチン年金)」です。
こちらは被保険者が死亡した場合の返還金を抑えた分、受け取る年金額を充実させた商品で、長生きするほど得をする仕組みとなっています。
長寿社会のニーズに合った年金保険と言えます。
円建て・外貨建て・変額などのタイプがあり、受け取りも有期と終身など、保険種類も受け取り方も豊富にある事から、柔軟に老後資金の準備が出来ると言える。
ただし、節税効果はiDeCoには及ばない。
終身保険
被保険者の死亡または高度障害状態への保障が一生涯継続する死亡保険です。
一見、受取人である遺族へ保険金の下りるだけの商品のように思えますが、しっかりと貯蓄が出来る商品でもあります。
外貨や変額で運用するタイプも販売されています。
解約目的加入してもOK
終身保険は中途解約したら「解約返戻金」が受け取れます。
ずっと死亡・高度障害状態へ備えるだけではなく途中で解約しても、まとまったお金の戻ってくる場合があるのです。
保険料払込期間を終えれば、急激に解約返戻率のUPする「低解約返戻金型終身保険」が各生命保険会社から販売され人気となっています。
保険料払込期間終了後に積み立てたお金をしばらく据置、タイミングを見計らって解約すれば返戻率120%以上の解約返戻金が一気に受け取れる場合もあります。
このように、ご自身の老後の資金確保手段としても利用する事が出来るのです。
全部解約すれば死亡保障は無しに
まとまった解約返戻金を受け取れるのが終身保険の魅力です。
しかし、中途解約してしまうと死亡・高度障害状態の保障が無くなります。
残された家族のために保障を残すか、ご自身の老後の資金とするかよく検討したうえで解約するかどうか決めましょう。
なお、解約することを生命保険会社側に告げても、担当者から解約を思いとどまるよう執拗に説得されることは、まずあり得ません。
特に低解約返戻金型終身保険の加入が、解約返戻金目的であることは保険会社側も解っているので安心してください。
比較的貯蓄性の高い低解約返戻金型終身保険を活用することで、老後資金を準備することも可能と言える。
しかし、解約返戻金を目的とする場合には、解約をしてしまうと死亡保障はもちろん無くなってしまう。
養老保険
養老保険は保険満期となると満期保険金が受け取れる保険商品です。
受け取れる満期保険金は被保険者が保険満期に生存していることを条件として受け取れます。
ただし、満期前に死亡しても死亡保険金が受取人(遺族)へ下ります。
リタイアのタイミングに合わせ満期保険金が受け取れる
こちらも保険満期の選べる商品が多く、リタイアと同時にまとまった満期保険金が受け取れるよう設定できます。
こちらも外貨や変額で運用するタイプが販売されています。
満期保険金は死亡保険金と同額が受け取れるので、老後の大きな資金確保が期待できます。
なお、一時金ではなく年金受取に変更できる商品もあります。
新たに死亡保険へ入りにくい
ただし、受取年齢時に満期保険金を受け取ったのは良いものの、受取年齢以後に加入できる死亡保険はかなり制約されているはずです。
高齢になると加入できる保険商品は死亡保険であっても、その他の保険でも例外なく減少します。
死亡保障にも備えたい場合は、養老保険の他に死亡保険へも加入しておいた方が無難です。
退職時期に満期を合せることで、退職後のまとまった資金確保が可能となる。
ただし、満期後は死亡保障も無くなるため、死亡保障としては別の保険に加入しておくのが良いと言える。
また、保険料は非常に高くなる。
老後資金のシミュレーションをする際の注意点
こちらでは、老後資金のシミュレーションを行う際の注意点について解説します。
老後資金のシミュレーションは1回だけ?
老後資金のシミュレーションは1回行っただけで、過剰に不安視してはいけませんし安心も出来ません。
資金が足りないと嘆いていても、前述した運用方法で大きなリターンが得られるかもしれません。
逆に想定外の支出がご家庭で発生し、将来の老後資金が枯渇する事態も考えられます。
このように、老後資金のシミュレーションした予測が的中しないケースも数多く考えられます。
老後資金のシミュレーションは定期的にするべき!?
そのため、老後資金のシミュレーションは定期的に何回か行ってみることが大切です。
その際に、いろいろなパターンを考慮しつつ、最善のケース・最悪のケースに分ける等して、必要な資金の目安を確認しましょう。
今後、より明らかになる収入・支出もあるので、特に現役世代の方々は継続的にシミュレーションを行っていくことが望まれます。
老後資金のシミュレーションは、1回だけで安心するのではなく、若い間はライフステージの変化や予期せぬ出費も多いため、ライフステージの変化などがあった際など、定期的に老後資金のシミュレーションを行うのが良いと言える。
老後資金のシミュレーションに関するよくある質問
こちらでは、老後資金のシミュレーションに関するよくある質問に関して解説をします。
より正確な老後資金のシミュレーションをしたい
このような場合、ご自身でツールを利用してシミュレーションするより、専門家に相談した方が無難です。
前述した通り、「ファイナンシャルプランナー(FP)」なら、ご家庭の事情に応じたライフプランをシミュレーションしてくれます。
専門家であるため、相談者が想定していなかった収入・支出も加味した、より精密なシミュレーションが期待できます。
老後資金のシミュレーションは無料保険相談サービス等を扱う業者で、無料にて対応するところもあります。
もちろん、事務所を開設している独立系のファイナンシャルプランナーも対応してくれますが、有料サービスとなる場合が多いです。
より正確に老後資金のシミュレーションを行いたい場合は、お金の専門家と言われるファイナンシャルプランナーに相談するのが良いと言える。
その際に、費用は掛かるが独立系のファイナンシャルプランナーにお願いすると、より中立的なアドバイスが期待できるので、おすすめと言える。
老後資金の不足分は投資で何とかした方が良い?
老後資金のシミュレーションで資金不足が判明したら、色々な運用手段で資金を確保することは良い方法です。
しかし、株取引や投資信託のように、ケースによっては大きな損失を被るおそれのある方法もあります。
日頃からこれらの方法を活用している方々ならともかく、初心者の皆さんは大きなリスクも納得した上で運用を開始するべきでしょう。
これまで説明してきたように、投資信託等に関連しリスクを抑えた(ただし、絶対に安全とは言い切れません)NISAやiDeCoも提供されています。
なるべく安全策をとりつつ、利益の上げられる方法を選んで対応した方が無難です。
老後資金の準備として、投資信託や株式投資を選ぶのも良いですが、資産を大きく減少させてしまうリスクもあると言うことをしっかりと理解して投資をするようにしましょう。
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保険見直しラボ 利用者の口コミ
以前、保険ショップで相談しましたが、提案内容に納得がいかず、ネットで他の保険相談ができるサービスを探しました。
色々な比較サイトを見てみましたが、業界歴の平均がここまで長いところはなく、ベテランに相談したいと思い、申込みすることに決めました。
結果は保障もしっかりしている上に保険料も安く大満足でした。
ご紹介された方は、以前外資系金融機関出身で、保険の知識はもちろんですが、保険以外の知識も豊富な方で今回の保険見直しだけではなく、今後ともお付き合いしたいと思っております。
出典:保険見直しラボ
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保険ライフは、お客様満足度95%・相談件数10万件以上と非常に人気で実績のある無料保険相談です。
保険ライフの最大の特徴としては、最大50社の保険会社から比較検討出来る事です。
またマネーセミナーの講師陣も全国に多く在籍しており、保険以外の資産運用(老後資金・教育資金)の相談も 無料で対応してくれます。
- お客様満足度95%・相談件数10万件以上
- 取扱会社数が業界最大級の50社以上
- 保険の知識が豊富なFP数2,000人以上
保険ライフでは不満があれば、担当者を変更できる「ストップコール制度」もありますのでぜひ活用しましょう。
保険ライフのキャンペーンで、保険相談すると全員に1,000円分の電子ギフト(スターバックス・ドトール・ミスタードーナッツ・大手コンビニ・ウーバーイーツ等で使用可能)がもらえます。
無料で利用でき、今ならプレゼントも貰えるので、ぜひ保険ライフで保険相談してみましょう。
保険ライフの無料相談は、以下の通りで約1分ほどで完了します。
保険ライフのスタッフが、WEBフォーム上での記入していた内容から最適なFPをマッチングしてくれます。
保険ライフのFPは、2,000名以上在籍しており、相談満足度も95%と非常に高評価です。
金融知識が豊富で保険選びで実績のあるFPがあなたの悩みを解決してくれます。
自宅やカフェ、オンラインと好きな場所で保険相談することが可能です。
保険だけでなく、お金に関する将来の不安なども相談できるので積極的に相談しましょう。
料金 | 無料 |
---|---|
店舗数 | 20店舗 |
取り扱う保険の種類 | 生命保険、医療保険、がん保険、学資保険 個人年金保険、自動車保険、火災保険、地震保険など |
取り扱い保険会社数 | 50社以上 |
受付時間 | 24時間・365日 |
オンライン相談 | 可能 |
保険は難しいので、オンライン相談だと理解できるか不安でした。
しかし、担当の方は保険の仕組みからわかりやすい説明をしていただきました。
自分たちに本当に必要な保障や、求めている商品を押し売りされることなく、自分で選択することができました。
出典:保険ライフ
保険は難しいので、オンライン相談だと理解できるか不安でした。イチから丁寧にお話してくださり、とてもわかりやすかったです。
不安に思うことがないほど、十分な説明や提案が安心して相談できました。
第一印象や接客態度もとても良かったです。
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ほけんのぜんぶ|FP資格取得率100%
ほけんのぜんぶは、札幌、仙台、埼玉、東京、神奈川、金沢、名古屋、京都、大阪、兵庫、広島、愛媛、福岡、沖縄など26か所に拠点があり、全国どこでもFPの派遣が可能な保険代理店です。
- 全国どこでも足を運んでくれる(離島を除く)
- 41社の保険会社の商品を扱い、商品を一気に比較できる
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ほけんのぜんぶは比較的新しいサービスなので、口コミや実績は保険見直しラボには及びませんが、お金に関する相談には定評があります。
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ほけんのぜんぶ 利用者の口コミ
よく分からなかった保険のしくみや内容が納得のいくものに
皆入っているからと、何となく加入した保険でしたが、毎月結構な額を払っていることに気付き本当に必要なのか、また、自分の加入している保険のことがいまいちよく分からないと思っていました。
そんな時にネットでほけんのぜんぶのサイトを見つけて相談してみようと利用しました。
実際に相談した方は、物腰が柔らかく、FPの方も経験豊富な感じで、分からないことにも丁寧に説明していただき、やっと保険のことが理解した気持ちになりました。
結果、今後のことを考えて別の保険の方がいいかもと思い、紹介していただいたプランに加入しました。大満足です。
もっと早く知っていたら良かったと思います。
保険の専門家が厳選した無料の保険相談についてご紹介しました。
無料の保険相談について、より詳細に解説した記事もあるのでぜひ確認してみましょう。
老後資金シミュレーションのまとめ
老後資金に関しては、シミュレーションを行っておいた方が将来に必要な資金の目安が明確になるはずです。
しかし、シミュレーションだけを行ってもあまり意味はなく、目安がわかれば堅実に貯蓄を行っていくことも大切です。
ご自身のニーズに合った貯蓄・運用方法をしっかりと決めて、将来に必要となる資金を確保していきましょう。