不動産の売却をしたいと思っても、このような疑問を抱えている人が多いのではないでしょうか。
むしろ不動産売却の手順や流れを全て知っているという人のほうが少ないでしょう。
そこでこの記事では、不動産売却の手続きの流れ、手続きをするときのコツなどを解説します。
特に不動産売却をいかに有利に進めるかという点に重点を置きながら説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
不動産売却の手続きの8つの流れ
不動産売却の手続きの流れを8つのポイントから解説します。
これらを把握しておけば、売却までスムーズに運ぶことができるでしょう。
途中でトラブルなどが生じないようにするためにも、しっかりチェックしておいてください。
ただ、不動産売却は順調に行っても半年ほどの期間がかかるので、長いスパンで考えておく必要があります。
そのため、不動産売却の全体のおおよその流れを理解し、それから詳細を見ていくのがおすすめです。
事前にしっかりと準備して、売却をスムーズに進めましょう。
不動産売却の手続きの流れは以下の8ステップに分かれます。
ステップ①情報収集をして売却の相場を確認する
不動産を売却する場合に最も気になるのが、いくらで売れるかということではないでしょうか。
自分が所有している不動産の正確な価値を把握し、適正な価格で売りたいところですが、そのためには、売却の相場を知ることが重要になってきます。
ではどのように相場を知ればいいかというと、自分で情報収集してみましょう。
不動産の価格はエリアやアクセスの良さなどによっても変わるので、よく調べないと適正相場がわかりません。
まずは、近隣で売られている物件の価格を確認しておきましょう。
不動産会社の店舗に貼り出されている物件情報、新聞の折り込みチラシなどを見れば、近隣の不動産の相場を把握できるため、非常に参考になるはずです。
これらのサイトでは近隣不動産の売り出し価格ではなく、成約価格の確認ができるので、より正確な相場を見ることができます。
不動産売却の相場を知るメリットは以下のようなものです。
- 早めに資金計画が立てられる
- 相場より低い金額で取引しようとする悪徳業者を利用しなくて済むようになる
なお、住宅ローン残高がある人はその額も計算に入れたうえで、売却価格を考えないといけません。
住宅ローンが残っている場合は、買い手から売却代金を受け取って、貯金と合わせて完済してからの引き渡しとなります。
ステップ②不動産会社に行って売却相談をする
自分が所有している不動産の売却価格相場がわかったら、いよいよ不動産会社に行って売却相談をしていきましょう。
不動産会社では、買い手候補の募集や売却に関する細かい手続きをしてくれます。
不動産会社に相談に行く際は必要書類の準備をしっかりしておくことが大切です。
相談の段階では書類がなくても問題はありませんが、あったほうが便利で、不動産会社との話も進めやすくなります。
できれば以下のような書類を準備しておいてください。
- 不動産の物件概要書
- 登記事項証明書、固定資産税納税通知書
- 間取図
- 敷地測量図
不動産の物件概要書とは対象不動産の住所、価格、アクセス、面積、構造、土地用途など不動産に関する情報が記されている書類で、不動産取引をする場合に必須になります。
登記事項証明書は不動産の登記内容が記された書類のことで、簡単に言うと、不動産の履歴書のようなものを指します。
登記事項証明書に記されている内容は、以下の通りです。
表題部:物件そのものの現在の状態
権利部(甲区):所有権に関する情報
権利部(乙区):所有権以外の権利に関する情報
固定資産税納税通知書は納税義務者に対して不動産の評価額や納税すべき額、支払い期限などが記された書類のことをいいます。
間取り図は住宅の部屋の種類や広さ、配置、向きはもちろんのこと、ドアや窓の開閉方向や畳の配置なども記されている図です。
間取り図を見ることで、住宅内部の状況を予想することができます。
敷地測量図は正式には地積測量図といい、土地の測量結果を明確に示した書類です。
これらの書類は不動産会社に相談する段階ではなくてもいいのですが、あったほうが不動産会社側も状況が把握しやすくなるため、次のステップに進めやすくなります。
ステップ③不動産の査定を受ける
必要書類を準備して、不動産会社に売却相談をしたら、次は査定のステップです。
査定では対象の不動産がいくらで売れるのか、おおよその目安を立てます。
その結果、売却希望者も今後の資金計画が立てやすくなるはずです。
査定を依頼するときは、複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。
1社だけの査定では、それが適正な査定額なのかどうかわかりません。
複数社に依頼すれば比較もしやすくなり、より条件のいい価格での売却も可能になります。
とはいえ、複数の不動産会社1社1社にあたるのも大変です。
時間も手間もかかります。
それならば、インターネットから申し込みができる一括査定サービスの利用がおすすめです。
その後は、自宅で各社の査定や売却プランを比較・検討でき、一番条件のいい会社に依頼することも可能です。
次に、不動産の査定方法は2種類あることを覚えておいてください。
机上査定と訪問査定です。
それぞれどのような査定方法なのか、確認しておきましょう。
机上査定
不動産の机上査定では、各種データをもとに机の上で査定額を算出します。
不動産会社の担当者による現地訪問はありません。
机上査定で参考にするデータは不動産の物件情報と周辺の類似物件の取引事例、市場の動向などです。
そこで、住所、土地面積、建物面積、築年数、間取りなどの情報を用意しておくのがよいでしょう。
土地面積と建物面積についてはおおよその数字を入力しても査定はされますが、正確な金額はわかりにくいです。できれば自分で調査して、正しい数字を入力するようにしましょう。
調査方法としては、法務局で取得できる登記簿謄本(全部事項証明書)で確認ができます。
机上査定は不動産会社の担当者による現地訪問がないことから、日程調整の必要がなくいつでも好きなときに依頼ができるのがメリットです。
インターネットで机上査定を申し込むと、不動産会社と面会する必要もなく、強引な営業を受ける心配もありません。
査定結果も早く、当日から3日くらいで連絡が来ます。
ただ、現地訪問のないデータだけをもとにした査定なので、精度はどうしても落ちやすいです。
特に一戸建ての机上査定では、リフォームの具合、日当たり、近隣の生活環境などの把握が難しくなっています。
そのため、まずは気軽におおよその査定額が知りたいといった時に利用することになるでしょう。
もっと正確な査定を希望する場合は、次の訪問査定を選ぶ必要があります。
訪問査定
訪問査定では、不動産会社の担当者が直接現地訪問し、物件状態の確認、所有者へのヒアリング、隣地との境界の確認などが実施されます。
データや話だけでは把握できないことまで調査し、正確な査定額を算出するため、机上査定より詳しい査定といえるでしょう。
詳しい調査箇所は以下のような場所です。
- 敷地形状
- 接道幅員
- 近隣関係
- ライフライン
- 建物状況
敷地形状調査では、土地の形状、傾き、大きさなどがチェックされ、土地の形状は正方形のほうが査定額が上がります。
接道幅員の接道とは、土地が接している道路の幅を指し、幅員も道路の幅の広さのことです。
近隣関係では、周辺の建物状況、越境のあるなし、高圧線の存在などを確認し、ライフライン関係では、上下水道、ガス、電気、浄化槽などが調査されます。
建物状況についても机上査定ではつかめない部分である、どの程度きれいに維持されているか、日当たり、増改築やリフォーム状況、建物の傾きなどの調査が必要です。
これだけ詳しい調査となると、査定結果が出るまでに時間がかかるため、1週間から10日くらいの待ち時間になるかもしれません。
訪問査定で準備しておくべき書類も多くなっています。
以下に挙げてみましょう。
- 権利証または登記識別情報
- 登記簿謄本、公図、地積測量図、建物図面
- 境界(筆界)確認書
- 越境に関する覚書(隣地所有者との間で交わしている書類)
- 固定資産税納税通知書
- 売買契約書、確認通知書・検査済証、管理規約など
- リフォームや修繕の記録
訪問査定で算出された査定額は実際の売却価格に近いものになります。
そのため、本格的に不動産の売却を検討している人にはおすすめの査定方法です。
訪問査定は、基本的に不動産会社の担当者が直接現地訪問して行う方法ですが、最近はコロナの影響もあり、実施しにくい状況にもなっています。
そのせいか、オンライン訪問査定を行う会社も出てきました。
ビデオ通話などを利用して、現地訪問をせずに目視で訪問査定をするのですが、精度については少し劣るかもしれません。
また、すべての不動産会社がオンライン訪問査定を実施しているわけではないので、希望する場合は、確認の上申し込んでください。
机上査定を受ける場合も訪問査定を受ける場合も、複数社の査定を受け、査定額を比較・検討しましょう。
その結果、どの不動産会社を選べばいいかという問題が生じます。
そこで、次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 不動産売却までの流れはどこの不動産会社でも同じ
- 査定額が高すぎず適正
- 専門知識を有している
- 実績が豊富
- 宅地建物取引業の免許の更新回数
- 細かい要望を聞いてくれるか
不動産を売却するまでの流れはどの不動産会社に依頼しても同じです。
手続きの流れは決められているため、ほかのポイントで比較する必要があります。
まず、高い査定額を示してくれた不動産会社ならいいような気もしますが、相場より高すぎる査定額になっている時は要注意です。
このような業者と契約すると、長い間不動産が売れずに結局大幅な値引き交渉をしてくることがあり、大損をするかもしれません。
専門知識を有しているのは当たり前のことで、知識があやふやなところがある業者を選ばないことです。
また、過去の実績も大事で、不動産売買の仲介の実績が多い業者なら、ひとまず安心な会社だといえるでしょう。
宅地建物取引業の免許を取得している不動産会社であっても、免許の更新回数に違いがあり、更新回数も指標の1つです。
古い不動産会社なら必ずいいと決まっているわけではありませんが、業務歴も参考情報にはなるでしょう。
不動産を売却したいと思っている人には、それぞれ都合があります。
その都合に応じて要望も出すでしょうが、その要望をしっかり聞いてくれるかどうかも大事な点です。
売却理由、売却希望時期、売却希望価格帯などをヒアリングして、適切に対処してくれる業者を選ぶようにしましょう。
ステップ④選んだ不動産会社と媒介契約を結ぶ
様々な観点から比較をした不動産会社の中に納得できるところがあれば、媒介契約を結びます。
媒介とは、売主と買主との間を仲介して取引を成立させることで、契約を結んだ不動産会社が不動産の売却と購入の取り持ち役になるのです。
不動産の媒介契約には3つの種類があるので、それぞれの特徴をまとめてみましょう。
それぞれの違いを表にまとめましたので確認してみてください。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
レインズ*への登録義務 | 任意 | 契約締結の翌日から7日以内 | 契約締結の翌日から5日以内 |
契約の有効期限 | なし | 最長3か月 | 最長3か月 |
依頼主への報告義務 | 任意 | 2週間に1回 | 1週間に1回 |
他社への依頼 | 複数可 | 不可、一社のみ | 不可、一社のみ |
自分で買主を見つけて売買 | 可 | 可 | 可 |
表の右に行くほど、拘束力の強い媒介契約になります。
それぞれの内容を詳しく見てみましょう。
一般媒介契約とは
一般媒介契約の最大の特徴は、複数の不動産会社と契約してよいということです。
2、3社でも、必要ならば10社以上と契約しても問題ありません。
不動産会社を絞り込むのに苦労することは少なくなります。
そして、自分で買主を見つけて取引をしても構いません。
不動産会社に媒介を依頼しておきながら、自分で買主と取引をするのは気が引けるかもしれませんが、一般媒介契約ならば可能です。
そして、個人間取引が成立して不動産が売れた場合は、不動産会社に仲介手数料を支払う必要もありません。
売主側の制限が少ない契約であるといえます。
一般媒介契約では、レインズへの登録義務も必要なし。
登録すると、物件情報を広く発信できるメリットはありますが、売却していることが多くの人に知られてしまいます。
できるだけ内密に売却活動をしたい人には、登録しないで済むほうがありがたいはずです。
一方、一般媒介契約のデメリットとしては次のようなものがあります。
- 不動産会社が積極的な販売活動をしてくれない可能性がある
- 不動産会社が販売状況を報告しなくていいので、戦略が立てづらい
- 各社の独自サービスを受けられない
一般媒介契約のメリット・デメリットをよく比較し 他の媒介契約も参照しながらどの方法にするか選んでください。
専任媒介契約とは
専任媒介契約では一般媒介契約とは違い、1社としか契約を結べません。
個人間取引ができるのは同じです。
契約期間の上限は3か月間で、契約期間が終了すると、そのまま更新するか、他の不動産会社と契約しなおすかを選ぶことになります。
レインズへの登録は契約日から7日以内に行わなければなりません。
レインズに登録すれば、全国の不動産会社に物件情報が配信され、より多くの購入希望者を募れるのがメリットです。
専任媒介契約における不動産会社の営業報告義務は最低でも2週間に1回と定められており、次のような報告がされます。
- レインズの登録状況
- 営業活動内容
- 物件の応募状況
- 交渉経過
不動産会社による報告が定期的にあることで、現状が把握しやすくなり、今後の戦略も立てやすくなるのが一般媒介契約との大きな違いです。
専任媒介契約では1社との契約になるので、普通は1人の営業スタッフの担当になります。
そのため、そのスタッフの腕次第ではなかなか不動産が売れずに、売買までこぎつけるのに時間がかかることもあり、専任媒介契約のデメリットともいえるでしょう。
専属専任媒介契約とは
専属専任媒介契約は売主にとって最も拘束力が大きい契約方法です。
売主が1社とだけしか契約できないだけでなく、個人取引も禁止されているため、不動産会社が紹介した顧客とだけ取引ができます。
不動産会社としても、専属専任媒介契約を取り結ぶメリットは大きいです。
なぜなら成果を他の業者に横取りされる心配もなく、勝手に売主が個人取引をすることもないためです。
また、不動産会社の積極的な営業活動を見込めるため、売主にとってもメリットであるといえるでしょう。
不動産会社の営業報告義務も1週間に1回となっていますから、さらに状況把握もしやすく、より丁寧な営業活動が期待できます。
専属専任媒介契約のデメリットとしては、自分で買い手を見つけても、不動産会社に仲介手数料を支払わなければいけないことです。
どんな場合でも不動産会社抜きの取引はできません。
ステップ⑤価格を決めて不動産の売却を始める
不動産会社と媒介契約を結んだら、いよいよ販売価格を決めて、不動産の売却活動を始めます。
売却価格は適正価格から外れないようにするのがポイントです。
基本的に売却のための営業活動は不動産会社の役割になりますが、一般媒介契約や専任媒介契約では売主自体が動くこともあります。
ここでは、不動産の売却活動を始めてからするべきことを整理しておきましょう。
不動産の売却というと一戸建てかマンションかなどの違いがありますが、基本的に行うべきことは同じです。
不動産会社が広告を出したり、物件情報を拡散したり、レインズへの登録などを行い、その結果、興味を覚えた人が内覧を希望する場合があります。
内覧希望日は土日祝日になることが多いですが、居住者との打ち合わせで決まります。
内覧を主導で進めるのは不動産会社になりますが、所有者が立ち会っても構いません。
よい印象を持ってもらう必要があるので、次のようなことに注意してしっかりと準備をしておいてください。
- 全ての箇所をきれいに掃除する
- 水回りは丹念に掃除を
- 照明のほこりや汚れを落とす(電球が切れていれば交換)
- 窓ガラスは磨いて、網戸もきれいに
- 壁の汚れやほこりを落とす
- クローゼットや押し入れの中を整理する
- 玄関を掃除する
- ニオイの点検
- 傷んだ箇所は修復しておく
- ベランダや庭の掃除をする
- 不用品は処分する
いろいろと行わなければいけないことがありますが、対応しきれないと思ったら、ハウスクリーニングの利用もおすすめです。
ステップ⑥不動産の売買契約を締結する
内覧の結果、購入したいという希望者が現れたら条件交渉をします。
条件交渉が終わったら不動産の売買契約を締結しましょう。
売買契約では、不動産会社が売買契約書を作成します。
個人間取引の場合は作成しないこともよくありますが、後々のトラブルを避けるためにも売主が作成しておくのがおすすめです。
売買契約書の作成ではチェックすべき項目があります。
書式は指定されていませんが、次のような項目が必要です。
- 当事者の氏名・住所
- 不動産の所在地
- 取引金額・支払時期・支払方法
- 引き渡しの日にち
- 移転登記の申請期間
- 手付金の額と受領時期・受領目的
- 契約解除に関する取り決め
- 損害賠償額と違約金について
- 住宅ローンの斡旋内容と不成立の場合の措置
- 天災時の損害の負担について
- 瑕疵担保責任について
- 公租公課の負担における起算日
以上の12項目は必ず記載しなければなりません。
売買契約書が作成できたら、売主、買主、不動産会社立会いのもと、契約書の読み合わせ、重要事項の説明などが行われます。
間違えると、違約金が発生することもありますから、注意しながら進めてください。
続いて、売買契約を結ぶときに必要になる書類です。
以下のものを準備しておきましょう。
- 実印
- 本人確認資料(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 印鑑証明書(3か月以内)
売買契約を交わすことになったら、売主、買主、不動産業者の間で売買契約書に署名・捺印します。
売買契約書には印紙を貼るので、印紙代が必要です。
個人間取引でなければ、売買契約時に不動産会社に仲介手数料の半額を支払いましょう。
仲介手数料の上限額は以下のように規定されています。
売買代金200万円以下 | 代金の5% |
---|---|
売買代金200万円超400万円以下 | 代金の4%+2万円 |
売買代金400万円超 | 代金の3%+6万円 |
その後、買主から手付金を受領します。
手付金には以下の3つの意味が含まれており、重要な項目です。
証約手付‥契約が成立したことの証拠となる手付金
解約手付‥解約の代償になる手付金
違約手付‥売主か買主に債務不履行があった場合に違約金として没収される手付金
いずれの場合も手付金は非常に重要な役割を果たします。
手付金の額に法律による決まりはありませんが、売買代金の5~20%程度になるのが普通です。
不動産会社が売主になる場合は、手付金は売買代金の20%以内と法律で定められています。
ステップ⑦不動産の引き渡し・決済をする
不動産の売買契約を結んでから約2週間〜1か月後に、買主の住宅ローン審査の結果がわかり、共有することになります。
審査に通っていれば、引き渡し日を設定します。
引き渡しと決済は同じ日になるのが通例です。
引き渡し時に必要になる手続きを確認しておきます。
- 売買残代金(手付金を差し引いた金額)の受領
- 固定資産税等、管理費などの清算
- 所有権移転登記の申請
- 登記費用(抵当権抹消・住所変更登記等)などの支払い
- 仲介手数料の残金の支払い
不動産の引き渡し時には、契約時に支払われた手付金を差し引いた売買残代金を買主から受け取ります。
不動産会社に仲介手数料の残金を支払いましょう。
仲介手数料をどうして半分ずつに分けて支払うのかというと、最初に100%支払ってしまうと、不動産会社が残りの業務を熱心に行ってくれない恐れがあるからです。
半額を引き渡し時まで留保することで、不動産会社に最後まで責任を持って取り組んでもらうという狙いがあります。
あとは引き渡しの作業で、カギや書類を買主に渡します。
引き渡し日が決まったら、その日の前までに引っ越しを終わらせておくようにしましょう。
ステップ⑧不動産売却の翌年に確定申告を行う
不動産売却で収入が得られた場合は、翌年に確定申告を行います。
不動産の購入代金のほうが売却代金よりも上回り、収入が得られていない場合は、確定申告は不要です。
利益が上回った場合は、譲渡所得税を納めます。
納税までの詳しい流れを見ておきましょう。
それぞれの項目について解説します。
課税対象か確認する
不動産の売却益と購入代金+諸経費の比較で、課税対象になるかが決まります。
利益のほうが上回れば、課税対象です。
その場合、2つのパターンがあります。
不動産を売却した年の1月1日時点で確認しましょう。
所有期間が5年を超える場合:長期譲渡所得
所有期間が5年以下の場合:短期譲渡所得
【譲渡所得の計算方法】
長期譲渡所得と短期譲渡所得ごとの譲渡所得税の割合は以下のようになっています。
区分 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 5% |
短期譲渡所得 | 30% | 9% |
上記の割合と課税譲渡所得金額を掛けて、譲渡所得税を算出します。
取得費とは、不動産を買ったときに発生する購入代金や仲介手数料などの合計額です。
譲渡費用は、次のようなものを指します。
- 仲介手数料
- 測量費
- 貸家の売却に際して支払った立退料
- 建物の取り壊し費用
特別控除額は、収用などの場合最高5,000万円、自分の住んでいる不動産を売った時は最高3,000万円です。
確定申告書の作成
確定申告は1月1日から12月31日までに得られた所得に対して作成するもので、その年の翌年、2月中旬から3月中旬の間に提出し、その後、納税となります。
確定申告の用紙は、各税務署、市区町村の担当窓口などにも置いてあるほか、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。
取得した用紙に決められた通りに譲渡所得税関連の情報を記載してください。
必要な書類としては、確定申告書Bのほか、次のようなものです。
- 分離課税用の申告書
- 譲渡所得内訳書
- 不動産売買契約書
- 登記事項証明書
- 領収書
確定申告書を提出する
作成できた確定申告書はお住まいの地域を管轄する税務署に提出します。
提出方法は、持参、郵送、e-Taxのいずれかです。
ただ、確定申告の時期は、税務署が非常に混雑し持参だとかなり待つ時間が必要になるので、郵送やe-Taxのほうが提出しやすいでしょう。
他に支払う税金があれば納税する
不動産売却による利益がない場合は、確定申告を行わなくてもいいのですが、他にも納めるべき税金がないかチェックしておきましょう。
印紙税、登録免許税、仲介手数料の消費税などは、必ず納めることになる税金です。
不動産売却の手続きをするときのコツ3つ
不動産売却に関する手続きは複雑で理解しにくいものが多いです。
慣れない手続きも多く、戸惑うことがあるかもしれません。
そんな中で、いかに早くスムーズに不動産を売却できるようにすればいいかを考えておきたいところです。
ここでは、不動産売却の手続きをするときのコツを紹介していきます。
不動産売却で必要になる費用の見積りをしておく
不動産を売れば大きなお金が入ってきますが、売却から引き渡しに至るまでには様々な費用も生じます。
仲介手数料のほか、入ってきた利益に対する税金なども納めなければいけません。
その額は少なく見積もっても数十万円くらいです。
その準備ができていないと、スムーズに売却が進まないかもしれません。
そのため、これから不動産を売却する場合、どのくらいの費用がかかるのか見積もりをしておく必要があります。
あらかじめ見積もりをして必要なお金の準備ができていれば、不動産売却を進めやすくなるでしょう。
不動産の基礎知識を知っておく
不動産の売却手続きを不動産会社に丸投げすることもできます。
全て任せて、自分は最小限にしか関わらないというのも一つの方法ではありますが、不動産会社によっては自分たちの利益を優先し、顧客の利益を後回しにすることもあります。
悪徳不動産会社に縁ができてしまうこともあるかもしれません。
そのようなときに、全く不動産取引の知識がないと、被害にあったり損をしたりするものです。
基本的な知識だけでも身に付けておけば、「これはおかしいのでは」と気づくこともできます。
知識が全くない状態でも不動産売却が成功する場合もありますが、トラブルを避けるためにも基礎知識を勉強しておきましょう。
不明な点は不動産会社の担当者に確認しておく
自分でも不動産取引の基礎知識は学べますが、プロではないので学べることには限界もあります。
わからない点や疑問点も多々生じます。
その際は、遠慮なく不動産会社の担当者に確認してみましょう。
信用ができる不動産会社の担当者なら、どんなことでも親切に教えてくれます。
不動産売却に関するよくある質問
不動産売却に関していろいろな質問が寄せられているので、回答します。
不動産売却か賃貸はどちらがおすすめですか?
不動産を所有している人が、売却で利益を得るか、賃貸収入を得るかは大いに迷うところです。
それぞれメリット・デメリットもあり、一概にどちらがいいとは決められない部分もあります。
そこで、売却と賃貸のメリット・デメリットを比較しておきましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
売却 | ・売れれば、後はすることがない ・多額の利益が入る ・将来の建物の価格下落リスクを避けられる ・税制優遇がある |
・個人間取引でなければ、仲介手数料を支払わなければいけない ・いつ売れるかわからない ・内覧に対応しなければいけない |
賃貸 | ・家賃収入が得られる ・経費にできるものが多い ・将来、また住むことができる |
・初期費用がかかる ・空き家リスクがある ・ランニングコストがかかる ・管理業務が大変 ・トラブルが発生することがある ・資産価値は下がっていく |
売却か賃貸か、難しい問題ではありますが、メリット・デメリットをよく比較したうえで判断してください。
不動産が売れるまでどのくらいの期間が目安ですか?
不動産が売れるまでの期間は3ヶ月から半年くらいだといわれています。
これはおおよその目安なので、これ以上長いこともあれば短いこともあるでしょう。
少しでも早く不動産を売却しようと思った場合は、適正価格をつけて売りに出す・引っ越しシーズンを狙って売りに出すなどの対策が必要です。
売却後の売却価格の変更はできますか?
不動産の売却後に売却価格の変更をすることは法的には可能です。
法的には可能ですが、それ以外の難しい問題も含まれるので、売却後の価格の変更はやめておいたほうがよいでしょう。
不動産売却の流れ|まとめ
ここまで、不動産売却までの流れを解説してきました。
不動産を売却するまでにはやらなければいけない手続きがたくさんあります。
その手続きに従って、滞りなく売却を進めなければいけませんが、売主としては全体の流れをつかんでおきたいところです。
この記事を参考に手続きの流れからお金の流れ、引き渡しまでの流れなど、一通り把握したうえで、具体的な計画を策定してください。
それができれば、初めてでも失敗のない不動産売却ができるでしょう。
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