事業承継とは?初心者向けのわかりやすいM&Aの仕方とパターン、成功事例と失敗事例を徹底解説!

事業承継をしたいが、誰に頼めばいいのか検討しかねている…
事業承継する跡継ぎを早く見つけたいが、失敗したくない…

中堅中小企業の場合は、オーナー社長の経営手腕が会社の強みや存立基盤そのものになっていることが多く、「誰」を後継者にして事業を引き継ぐのかは重要な経営課題です。

早いうちから事業承継に関する対策を行い、準備しておきましょう。

監修者

記事監修・著者紹介
大久保 健人(仮名)
慶應義塾大学卒業後、メガバンクにて5年以上勤務する傍ら、ファイナンシャルプランナーとしてオーナー社長様の事業承継の相談を受ける。親族内承継、従業員承継、M&Aによる第三者承継成立の実績を持つ

資格:FP2級証券外務員1級生命保険募集人資格試験損害保険募集人資格試験

「事業承継」をざっくりいうと
  •  事業承継とは、会社の経営者が経営権を次の世代に引き継ぐこと
  • 事業承継のパターンは、主に「親族」「社内」「M&A」の3つ
  • 事業承継は、慎重に行わないと失敗する事例も
  • 事業承継は、会社を永続的に続かせるために重要な工程

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    事業承継とは

    事業承継とは

    事業承継とはどのような意味なのでしょうか。

    「そもそも事業承継とは?」について確認していましょう。

    事業承継の定義

    実は事業承継については明確な定義は存在しません。

    法律などで規定されているわけではく、事業承継を推進している中小企業庁も明確な定義を規定しているわけではないのです。

    しかし、実際に日本全国で実施されている事業承継の現状はどうでしょうか。

    現状を見ると「会社の経営者が会社や事業を次の世代に引き継ぐこと」であると言えます。

    会社の事業や会社をより細分化すると以下の3つに分類されます。

    事業承継:会社の再分化3つ
    1. 会社の経営権:これは経営権のみならず、会社で働く従業員なども含まれる
    2. 会社の資産:会社の株式や事業を進めるための必要な事業用資産などの引き継ぎ
    3. 経営理念などの知的資産:経営理念や技術、技能、特許、ブランドなど目に見えない知的資産

    これら3種類の資産を受け継ぐことは後継者にとって単に経営者としての肩書だけではなく、責任と覚悟が求められるということを意味します。

    事業承継の概要

    事業承継とは「現在の経営者が後継者に会社の経営権を引き継ぐこと」です。

    事業承継では事業だけでなく、株式や資産、役職など事業に関連するすべてのものを後継者に承継します。

    中小企業ではオーナー社長の経営手腕や個人的な信頼関係が会社の強みや存立基盤になっていることがあり、ただ相続権を持つ相続人に引き継げばいいという問題ではありません。

    事業を継続するために「誰」を選定して、後継者に任命するかは重要な経営課題です。

    事業承継の構成要素3選

    事業承継_構成要素

    事業承継の際に後継者に引き継ぐ要素は以下の3つです。

    事業承継の構成要素3つ

    経営の承継

    経営の承継とは具体的には何を指すのでしょうか。

    これは簡単に言えば経営者です。

    この経営の承継さらに以下の2つに大別されます。

    事業承継:経営の承継2選
    • 経営権
    • 後継者の選定

    経営権とは議決権割合による会社の支配権を言います。

    会社法では議決権のある株式の3分の2以上を保有すると会社の支配権を握ることができます。

    少なくとも議決権のある株式の過半数はほしいところです。

    後継者の選定とは「誰を後継者にするか」という問題と時間を掛けて後継者を育成することです。

    中小企業では創業者であるオーナーに会社の事業ノウハウや取引先との人脈が依存していることがあります。

    このような場合に経営者が交代しても関係性が変わらないことが重要です。

    また、経営者が代わるたびに会社の方針や変わるのは問題です。

    事業承継の前後で会社の経営理念・方針が変わらないようにしましょう。

    資産の承継

    「資産」とは大別すると以下の4つです。

    事業承継:資産の承継4選
    1. 財産権
    2. 株式
    3. 事業用資産
    4. 許認可

    これらの資産をスムーズに引き継ぎ、かつ税負担についても認識することが必要です。

    節税対策ができていないと多額の相続税が発生し、後継者の負担になってしまいます。

    財産権とは資金、債権、著作権、特許権などを指します。

    経営権が引き継がれた際に財産権も後継者に承継されます。

    株式の移転は資産の承継で最も重要な要素です。

    自社株式の3分の2以上を後継者に移転することが会社の経営権を握ることの条件となっています。

    経営方針を一貫性のあるものにし、意思決定をスピーディーにするためにも株式の移転は重要です。

    事業用資産とは会社の工場や設備、事務所や店舗などです。

    事業用資産は事業の継続のために不可欠のものです。

    許認可はある特定の事業を行う際に国や地方自治体から許認可を得る必要あり、これらも基本的には事業承継の際に移転します。

    知的資産の承継

    知的資産とは大別すると「経営者の理念」や「特許」「ノウハウ」「顧客情報」「人脈」などの財務諸表には記載されない会社の見えない資産のことです。

    知的資産は会社の将来性を大きく左右するものなので、円滑に承継する必要があります。

    経営者の理念とは会社の経営理念のことで、そのまま引き継ぐことになります。

    経営理念を引き継ぐことで経営の一貫性が保たれ、取引先や金融機関との関係性も安定します。

    特許も会社の経営を支える重要な要素です。会社の財産権でもあり、しっかり承継する必要があります。

    ノウハウや人脈が現経営者に依存している場合にはしっかり承継することが重要です。

    ノウハウや人脈は会社の業績に直結します。

    顧客情報も重要な要素です。顧客情報を引き継ぐことで安定した収益を上げることができます。

    大久保 健人

    事業承継の種類・パターン3選

    事業承継_種類_パターン

    事業承継の種類・パターンには主に以下の3つがあります。

    それぞれ誰に引き継ぐかが異なるので、しっかり理解しておきしょう。

    事業承継の種類・パターン3つ

    親族内事業承継

    親族内承継とは経営者(社長)の親族内の承継です。

    親族内に後継者となり得る方、例えば子供や兄弟がいればベストです。

    しかし、実際のところ親族内に後継者がいない場合がほとんどです。

    中小企業庁の調査によれば、20年前は親族内承継が85%を占めていましたが、最近では35%と大きく低下しています。

    また、後継候補者が親族内にいたとしても必ず社長になれるわけではありません。

    自社内に勤務していない場合や会社の経営を承継する意思がない場合、経営者としての気概や素質に欠ける場合には後継者には適しません。

    子供が後継者になることを願って、「いつかは子供が継いでくれるだろう」と思っていても実際には子供にはその意志がなかった、なんてこともよく起こります。

    社内事業承継

    親族内に後継者となり得る方がいない場合には後継者を選定しなければなりません。

    親族承継に変わって注目されているのが従業員承継です。

    会社での勤務経験が有り、会社の実情をよく分かっているので、最近では注目を集めており、20年前には15%の割合だったのが、最近では65%まで上昇しています。

    従業員に経営を任せられる方がいる場合には「経営者としてふさわしい力量があるか」、「組織内での他の従業員の合意が図れるのか」、「現在の従業員の社内での立場はどうなっているのか」、「利害関係者の理解が得られるのか」、「当の従業員の合意・理解が得られるのか」などの問題があります。

    M&Aによる事業承継

    親族内に後継者がおらず、従業員の中にも後継者に適した人材がいない場合にはM&Aという選択肢があります。

    M&Aとは「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の略語で、外部の企業に会社を買い取ってもらうことです。

    以前はM&Aといえば「大企業のもの」、「社員がリストラされる」なんて考えもありましたが、最近ではM&Aのメリットを評価し、活用する事例も増えています。

    しかし、M&Aの場合には買い手が見つからなければならず、簡単に見つからないケースがほとんどです。

    また、M&Aは圧倒的に買い手有利になることが多く、希望する価格で売却することも難しい場合があります。

    事業承継の近年の動向

    事業承継_近年の動向

    事業承継の最近の動向を見ていきましょう。

    中小企業庁の中小企業白書には中小企業の事業承継の動向が詳しく記載されています。

    親族内承継から親族外承継へとシフト

    中小企業庁の調査によれば、中小企業の事業承継において20年前は親族内承継が主流でした。

    親族内承継は全体の85%を占め、一方で従業員承継が15%を占めていました。

    しかし、2019年には親族内承継は35%、従業員承継が65%まで増加するなど親族内承継から親族外承継へシフトが進んでいます。

    事業承継を目的としたM&A動向

    M&Aと言えば以前は「大企業のもので自社は対象ではない」「社員がリストラされてかわいそうだ」という考えが主流でした。

    しかし現在では有効的なM&Aのメリットを評価し、積極的に活用するケースが増えています。

    事業承継が失敗する原因4選

    事業承継_失敗原因

    残念ながら事業承継が失敗するケースもあります。

    失敗する原因を確認することで、事業承継の失敗を未然に防ぎましょう。

    事業承継の失敗原因①:後継者の選定ミス

    適正な資質を持った後継者を見つけることは容易ではありません。

    会社の経営方針や取引先との関係性、ノウハウなど事業に関する幅広い知識や人脈が必要になります。

    基本的には兄弟や子供などの親族から後継者を選定し、それが難しい場合には従業員のなかから候補を見つけるのが一般的な流れですが、いずれの場合も素質のある後継者を見つけることは簡単ではありません。

    経営権を引き継ぐにふさわしい後継者がいない場合は事業承継が困難になります。

    また、事業承継を実施しても後継者の代で事業が停滞し、最悪の場合は廃業してしまいます。

    事業承継の失敗原因②:社内連絡の不徹底

    後継者が誰になるのかは従業員にとっても重要な問題です。

    親族内の承継の場合には従業員の理解が得やすい一方で、従業員のなかから後継者を選定する場合には他の従業員の反発を招く恐れがあります。

    したがって、従業員承継やM&Aの場合には事前に従業員に根回しを行ない、理解を得られる環境を作っておくことが必要です。

    これを怠ると親族争いや従業員の派閥争いなど社内の分裂を招き、事業承継が失敗する可能性があります。

    社内分裂が起こると従業員の大量離職につながり、会社のノウハウや人材が流出し、事業の継続が困難になります。

    事業承継の失敗原因③:不十分な後継者教育

    事業承継において後継者の育成には5~10年の期間が必要であると言われています。

    後継者の育成が不十分である場合や引き継ぎが円滑に進まない場合には事業承継が失敗してしまう可能性があります。

    中小企業の事業承継においては親族内承継や従業員承継が主流ですが、なんとなく「親族だから」「後継者になることを引き受けてくれたから」という理由で事業承継を行ってしまうのは軽率です。

    後継者として育成するにはまずは社内の従業員として勤務してもらい、その後重要ポストについて経営を学び、事業を理解する時間が必要です。

    一度も会社経営の経験がなく、会社の事業を理解していない人が後継者になると事業が円滑に回らなくなります。

    その結果、業績が悪化したり、退職者が続出するなどの問題が起こってしまいます。

    後継者の教育や引継ぎに関しては綿密な計画を行って、順序よく進めていく必要があります。

    事業承継の失敗原因④:遺族の相続争い

    事業承継は相続問題と密接に関わっています。

    事業承継の際には自社株を引き継ぎますが、自社株も相続財産に含まれているためです。

    相続人が一人で、相続人に事業を引き継ぐ場合には問題はありませんが、相続人が複数いる場合や相続人以外に事業を引き継ぐ場合には相続問題が発生する可能性があります。

    事前に相続財産の配分や自社株の承継方法について整理しておきましょう。

    事業承継の失敗事例8選

    事業承継_失敗事例

    事業承継が失敗してしまうケースも少なからずあります。

    ここからは事業承継の失敗事例として8つの事例をご紹介します。

    事業承継失敗事例①後継者の育成不足

    事業承継は従業員や取引先、取引のある金融機関に与える影響が大きいイベントですので、慎重に進める必要があります。

    しかし、経営者のなかにはいつまでも現役でいたいと思うあまり子供を後継者に指定するだけで後継者の育成を怠っているケースがあります。

    このような状況で経営者に病気などの万が一の事態が起こった場合はどうなるでしょうか。

    後継者に任命されていた子供が会社の経営を引き継ぐことになりますが、経営の経験がなく、事業への理解が少ない後継者では会社がまとまりません。

    結果として、社内に混乱が起きて、従業員の大量離職や業績の悪化につながってしまいます。

    事業承継失敗事例②自社株承継に問題が生じた

    事業承継の際には自社株を承継する必要があります。

    株式には議決権があり、最低でも自社株の半分は保有していないと経営を円滑に進めることができません。

    しかし、経営者に相続人が複数いる場合は自社株が複数の相続人に分散してしまいます。

    その結果、後継者が過半数の議決権の株式を保有することが難しくなり、経営に関係のない相続人が経営に介入してくることがあります。

    事業承継失敗事例③社内の派閥争い

    こちらも相続問題から生じる社内の派閥争いです。

    自社株が相続によって分散した場合に複数の相続人が株式を保有することになります。

    例えば、経営者の長男が後継者として内定していたにもかかわらず、次男と三男にも株式が分散した場合に次男と三男が結託すれば議決権の3分の2以上を確保し、後継者に内定している息子を追い出すことができます。

    実際にこのような社内の派閥争いは存在し、これを防ぐためにも自社株承継対策を進める必要があります。

    事業承継失敗事例④後継者不足

    後継者不足は多くの中小企業が直面している問題ですよね。

    基本的には息子や娘などの親族にアプローチすることになりますが、それでも前向きに検討してもらえない場合は従業員や役員など社内から選定することになります。

    しかし、それでも後継者が見つからない場合は廃業の可能性もあります。

    最近ではM&Aが事業承継の手段として注目されているので、外部人材を後継者にすることもできますが、多くの経営者はM&Aまで考えが至らないようです。

    事業承継失敗事例⑤前経営者が影響力を行使

    一般的には経営者は後継者を育成し、引退した後は後継者に経営を任せますが、会社に思い入れが強い経営者ほど引退した後も後継者の意思決定に口を出すケースがあります。

    このような場合は従業員や取引先、取引のある金融機関は「実質的な意思決定権限者は前経営者である」という認識を持つ可能性があります。

    その結果、現経営者は周囲からの信頼を失い、結果として従業員の大量離職につながるケースもあります。

    事業承継失敗事例⑥配当トラブル

    こちらも相続に端を発する問題です。

    相続が発生すると複数の相続人に自社株が分散することになります。

    後継者は議決権の過半数以上を保持していれば経営には問題はありませんが、自社株を相続した他の相続人も株主としての権利を行使することはできます。

    例えば、配当金です。配当金は株主として受け取る権利があります。

    しかし、会社の業績が悪化した場合に配当金を減らしたいと経営者が考えても、他の相続人が「配当は株主としての正当な報酬である」として要求し続けた場合は会社の資金を業績改善へ活用することができません。

    事業承継失敗事例⑦従業員からの反発

    後継者の選定に関して他の従業員から反発が出るケースがあります。

    親族内承継であれば従業員の合意が得やすいのですが、従業員承継の場合は他の従業員に配慮する必要があります。

    他の従業員からすればそれまで同僚であった従業員がいきなり社長になるわけですから、少なからず反発が予想されます。

    慎重に事業承継を進めないと後継者について賛成するグループと反対するグループで社内が分裂してしまう可能性もあります。

    このような問題は必ずしも起きるわけではありませんが、あまり心地よく思っていない人も中にはいるので注意しておきましょう。

    事業承継失敗事例⑧業績不振

    経営者が適正な資質を持った後継者を指名し、育成に時間をかけたとしても必ずしも後継者の経営がうまいくとも限りません。

    中小企業の場合は会社の人脈やノウハウ、取引先との関係が経営者に依存しているケースも珍しくなく、後継者が引き継いだ後に経営資源を適切に引き継げずに業績が悪化するケースがあります。

    このような場合は後継者の信用が地に落ちて、従業員の大量離職を招く恐れがあります。

    事業承継成功のための対策方法7選

    事業承継_成功_対策

    それでは事業承継を成功に導くための具体的な対策方法について見ていきましょう。

    会社の状況を把握

    現在の経営状態を確認することで誰を後継者にするべきなのか、事業承継においてどのような課題が発生するのかをイメージできるようになります。

    具体的には会社の資産や負債などの財務状況や取引先や金融機関との関係、法定相続人、経営者の資産などを把握しておきましょう。

    これらを把握し、早めに問題点を見つけ出し、解決策を模索しましょう。

    自社株対策

    資産の承継の中でも最も重要な問題が「自社株」対策です。

    これは後継候補者が経営者として会社の承継後に経営権を確保できるかの問題に関わってきます。

    なぜなら「会社は誰のものなのか」という問いに対する答えは「会社は株主のものである」になるからです。

    株式は資金調達の手段であると同時に会社の意思決定に議決権を行使する手段としての側面も持っています。

    例えば、持ち株比率が過半数(50%)以上の場合には株主総会の普通決議を単独で可決する権限を有します。

    この場合、取締役の選任、解任などをはじめとして会社の意思決定のほとんどを単独で行うことができます。

    また、3分の1(33.4%)以上を超える株主には特別決議を単独で否決する権限が与えられています。

    特別決議では「自己株主の取得に関数る事項の決定」「募集株式の募集事項の決定」「事業譲渡」「合併や会社分割といった組織変更の決定」を決議します。

    つまり、安定した承継のためには自己株式の3分の2以上を保有し、他の人に特別決議を否決する権限を与えないことが重要です。

    また、自己株式を承継する場合には株価を算定する必要があります。

    株価に株数を掛けたものが会社の時価総額であり、安定した経営のためには時価総額×3分の2以上を次の経営者が買い取らないといけません。

    さらに承継の場合には贈与や後継者による買取といった方法があり、それぞれ後継者への負担が納める税額が異なります。

    親族内で承継する場合には会社の株式以外に個人資産や相続と言った資産承継の問題も絡んできます。

    複数の相続人がいる場合には被相続人(経営者)の資産である現金・自社株・不動産などをどう分けるのかという問題もあります。

    大久保 健人

    業種・業態・立地などの再検証

    会社の業種や業態、立地などを再検証し、自社の業界における立ち位置を明確にしましょう。

    業界における位置づけが明確になることで、今後の経営戦略や経営方針を最適化することができます。

    これらの経営戦略や経営方針は後継者に引き継がれます。

    早めに引退予告をしておく

    忙しい経営者は事業承継のことを検討する余裕がありません。

    対策の必要性はわかっていてもつい後回しになってしまいがちです。

    経営者に万が一のことが起こって、後継者が混乱しないように早めに引退予告をしておきましょう。

    理想としては経営者が60代になる前に後継者が決まっているようにしましょう。

    そのうえで事業承継対策を進め、後継者に経営を引き継ぎます。

    そして、しばらく間は後継者と並走する期間を設け、従業員や取引先、金融機関への周知期間としましょう。

    事業承継計画の作成

    事業承継計画は事業承継の進め方や課題に対する対策を計画書に落とし込んだものです。

    事業承継対策、特に後継者の育成は数年程度かかる作業になるので計画書を作成し、早期に取り掛かる必要があります。

    具体的には自社株の承継、後継者の育成プラン、今後の経営方針について計画を作成し、腰を据えて臨みます。

    これらの計画を従業員や取引先と共有することで計画的な対策を行ない、スムーズに事業承継が実施できます。

    引退前に後継者に経営経験を積ませる

    事業承継は後継者を選定して終わりでは有りません。

    後継者の育成には最低でも5年から10年はかかると言われています。

    例えば、中小企業の場合、会社の信頼が社長の信用に依存していることも珍しくなく、経営者が変わると効力を失う恐れもあります。

    さらに会社の経営方針やビジョンを後継者に理解・掌握させること、優良な取引先や銀行等の金融機関、従業員との信頼関係を築くことは短期間でできる内容では有りません。

    後継者が親族であれ従業員であっても経営者としての意識を醸成するためには5~10年の期間が必要であると言われています。

    後継者を会社の役員や取締役などに任命し、経営経験を積ませ、その間に必要なスキルの習得や取引先との関係の構築を図ります。

    また、金融機関などが主催している経営者のセミナーなどに参加させて、経営者としての自覚を持たせることも必要です。

    後継者に経営革新計画を作成させる

    経営革新計画とは中小企業新事業活動促進法に基づいて、中小企業庁が支援して、新しい事業活動を通じて、経営指標を向上させる計画を中小企業が作成します。

    そして国や都道府県が計画を承認することで資金調達面で優遇されたり、補助金が受けられたり、海外販路を開拓できる仕組みです。

    経営革新計画を作成することで財務・非財務面の会社の状況を把握し、次の経営に活かすことができます。

    節税対策・相続税対策

    事業承継の際にトラブルになりがちなのが、自社株の承継です。

    自社株の評価額が大きいほど相続人が納める相続税が高くなり、大きな負担になってしまいます。

    したがって、早いうちから自社株の承継を始めるなど相続税対策をしておくことが必要です。

    その他にも生命保険や不動産などを活用して、相続税額を圧縮しましょう。

    事業承継の流れ

    事業承継_流れ

    それでは具体的な事業承継の流れについて確認しましょう。

    事業承継5STEP
    1.  ヒアリングと現状把握
    2. 承継方法・後継者の確定
    3. 事業承継計画書を作成
    4. 関係者へ説明
    5. 具体的な作業を行う

    ヒアリングと現状把握

    まずは従業員や後継者にヒアリングを実施し、会社の現状について把握しましょう。

    具体的には会社の資産や負債などの財務状況や取引先や金融機関との関係、法定相続人、経営者の資産などを把握しておきましょう。

    これらを把握し、早めに問題点を見つけ出し、解決策を模索しましょう。

    承継方法・後継者の確定

    会社の状況を財務面・非財務面より確認したら、後継者を指名します。

    中小企業の場合は親族内承継、従業員承継、M&Aから選択するのが一般的です。

    事業承継計画書を作成

    事業承継計画書は事業承継の進め方や課題に対する対策を計画書に記載したものです。

    事業承継対策、特に後継者の育成は数年程度かかる作業になるので計画書を作成し、早期に取り掛かる必要があります。

    具体的には自社株の承継、後継者の育成プラン、今後の経営方針について計画を作成し、腰を据えて臨みます。

    これらの計画を従業員や取引先と共有することで計画的な対策を行ない、スムーズに事業承継が実施できます。

    関係者へ説明

    事業承継の方向性が決まった段階で従業員や取引先、金融機関へ説明を行ないます。

    関係者へ事業承継の情報を共有することで事業承継後の経営がスムーズに進みます。

    事業承継は関係者へ与える影響が大きいので、説明をするまでは情報がもれないように注意しましょう。

    具体的な作業を行う

    事業承継計画書に基づいて具体的な作業を行ないます。

    M&Aアドバイザリーなどの専門家と相談しながら、計画通りに経営権・事業などを引き継ぎます。

    特に後継者の育成には長期間を要するので、念入りに行ないましょう。

     

    事業承継でよくある質問3選

    事業承継_よくある質問

    ここから事業承継に関して経営者の方が抱く疑問点について見ていきましょう。

    事業を引き継ぐタイミングはいつ頃がベスト?

    A.会社の業績が良いときに事業承継を検討しましょう。

    業績が不透明になると事業承継に時間をかけることが難しくなります。

    また、現経営者の健康状態や年齢も考慮する必要があります。

    スムーズな事業承継を目指す場合は「少し早いかな」といううちに事業承継を実施する必要があります。

    大久保 健人

    引退にはどれくらいの期間を要する?

    経営者や後継者の年齢にもよりますので、一概には言えませんが、後継者の育成を含めて5~10年程度の期間が必要であると言われています。

    早いうちから準備しておくことが重要です。

    後継者が中々見つからない時は?

    親族内や従業員に後継者となる人物がいない場合にはM&Aを検討しましょう。

    M&Aであれば、外部から広く人材を募ることができます。

    【事例】事業承継対策を怠るとどうなるのか?

    事業承継_対策_怠った事例

    事業承継を始めるタイミングは経営者の引退年齢や事業承継に必要な期間から逆算して考えますが、リスクマネジメントの観点から「できるだけ早く」対策すべきである、ということはすでに述べたとおりです。

    しかし、実際には事業承継をおろそかにしてしまう会社がたくさんあります。

    ここでは、事業承継に早期に着手しなかったために失敗してしまった事例をご紹介します。

    【I運輸会社の場合】

    I社の経営者は75歳の男性です。

    売上規模が3億円程度、従業員が20名程度の小さい運送会社を営んでおられ、社長が財務や総務を兼任されていますので、経営のことは社長しかわかりません。

    社長にはお子様が3名いらっしゃり、1人は教師(男性)、1人は郵便局員(男性)、1人は主婦(女性)をされています。

    郵便局員のご子息と主婦のご息女には会社を承継する意思がなく、教師の方は会社に入社して経営を承継される意思を示してましたが、「経営者としての素質に欠ける」として社長が後継者対象外にしていました。

    社長には弟様もいらっしゃり、会社の従業員として働いていますが、社長とは反りが合わず、社長としては後継者になってほしくないとのことでした。

    社長はすでに老齢ですので、事業承継対策の必要性については税理士や銀行等の金融機関から何度も説得をされていましたが、面倒なことが嫌いな性格で対策を後回しにされていました。

    この会社の特徴は一つの取引先に依存しているという点です。

    売上3億円のうち9割以上をその得意先に依存しており、事業承継にあたってはその取引先との関係を重視しておられました。

    会社の従業員には1名だけその取引先との窓口としての役割を果たし、覚えも良い方がいらっしゃいました。

    事業承継対策を怠ってきた社長でしたが、知り合いの社長が亡くなったことで急に焦りを覚え、社長はその従業員の方に後継者を打診しました。

    しかし、その従業員は「社内には社長のお兄様がいらっしゃいます。それにもかかわらず自分が社長になれば肩身が狭く、経営をしていく自信がありません」とのことで断られてしまいました。

    その後も何度も説得を試みましたが、従業員は首を縦に振ってくれません。

    結局、社長はその従業員への事業承継を諦めてしまいました。

    親族内承継・従業員承継が出来ないので、M&Aという選択肢も考えましたが、売上規模3億円の小さい会社は特別魅力的ではありませんので、買い手の募集が難しいとのことで断念。

    結局、今も老齢ながら会社の経営を続け、社長が引退された後の後継者は見つかっていないままです。

    事業承継に関する公的な支援制度3選

    事業承継_公的な支援制度

    事業承継に関しては、民間企業だけでなく、政府が公的に支援する制度がいくつかあります。

    今回は、公的な支援制度の中でも、税制度や補助金など今すぐ使えるものについて紹介していきます。

    事業承継の公的支援制度①:事業承継・引継ぎ補助金

    まずは、事業承継に関する補助金制度について紹介していきます。

    事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継を行うことをきっかけにして、新たな事業や取り組みなどをはじめる中小企業を援助したり、事業承継の際に経営資源を引き渡す中小企業を支援したりするための補助金です。

    買い手・売り手双方ともに受け取ることが可能です。

    事業承継・引継ぎ補助金を受けることができるのは、以下のような条件を満たしている会社です。

    事業承継・引継ぎ補助金を受け取る主な条件
    •  新商品や新役務の開発・生産・提供
    • 商品の販売や生産の新しい方法の導入
    • 新分野への進出

    また、事業承継の仕方が、経営者交代型かM&A型の場合、必ず以下の要件を満たす必要があります。

    • 新事業展開等要件・・・新分野への進出・新商品の開発・提供、従業員を1名以上増やすことなど
    • 生産性向上要件・・・「先端設備等導入計画」「経営革新計画」のいずれかの認定を受けていること

    これらが満たされているかどうかは、審査によって決定し、形式的なものだけだと判断された場合は補助の対象外となるおそれがあります。

    また、この他にも公序良俗に違反するような事業や、社会通念上不適切だと判断される事業、国や自治体からすでに助成金等をもらっている会社についてはあてはまりませんので、ご注意ください。

    事業承継の公的支援制度②:事業承継税制

    事業承継税制とは、会社や個人事業の後継者が取得している財産等について、贈与税や相続税といった納税を猶予・免除してもらえる税制度です。

    特に、法人の場合「中小企業における経営の承継円滑化に関する法律」に基づく認定などが必要となります。

    こちらの認定については、こちらからそれぞれの都道府県のページに飛ぶことができます。

    事業承継税制について詳しく知りたい方はこちら

    事業承継税制のメリットが凄い!?制度の内容や注意点など徹底解説!

    事業承継の公的支援制度③:事業承継・引継ぎ支援センター

    事業承継・引継ぎ支援センターでは、後継者が決まっていない中小企業や後継者のいない中小企業に向けたサービスです。

    それぞれの都道府県に設置されているセンターに在籍している「中小企業診断士」「公認会計士」などがアドバイスや成約のコーディネートなどを行ってくれます。

    事業承継について無料相談に乗ってもらうことができ、47都道府県に設置されているため、遠距離でのマッチングも可能です。

    【監修者コメント】事業承継のまとめ

    事業承継は後継者不足に悩む中小企業において急速にニーズが高まっている課題です。

    将来の会社を担う後継者に「誰を」任命するのかは重要な経営課題の一つです。

    事業承継対策は一朝一夕でできるものではありません。

    「まだまだ現役で働ける」という社長様であっても早め早めの対策が重要になります。

    会社の将来を見据えて、早いうちからM&Aアドバイザーなどの専門家に相談し、今から万全の対策を整えましょう。

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