なぜ多くの企業がこれまで大事に手がけてきた事業を譲渡するのですか?
事業譲渡にはどんなメリットがあるのか教えてほしいです。
事業譲渡には売却企業と買収企業の双方にメリットがあります。
ただし、手続きが複雑だったり、消費税がかかったり、実行前に知っておくべきポイントも盛りだくさんです。
今回は事業譲渡の定義やメリット、デメリット、フローチャートなどを解説していきます。
本記事を読めば、事業譲渡を適切に実行するためのポイントが必ずわかります。
これから事業譲渡を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
- 会社の事業を売って売却益を獲得する方法
- 全部譲渡したり一部だけ譲渡することも可能
- 法人や行政、従業員などの間でやり取りが発生
- 事業譲渡で事業の課題ごと切り離した事例がある
- 事業譲渡では法人税や消費税などが発生する
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事業売却とは?メリットや売却相場、会社売却との違い・手続きのステップまで徹底解説!
目次
事業譲渡とは?
会社を変革する手段の一つとして事業譲渡が知られています。
ただ、株式譲渡や会社分割などの方法もあります。
事業譲渡の定義をはじめ、株式譲渡や会社分割の意味についても確認していきましょう。
事業譲渡の定義
事業譲渡とは、会社が展開している事業を売り買いする方法です。
譲受される対象は事業だけではなく、事業に関わる資産まで含まれています。
事業譲渡が行われるときは、事業を譲渡する側と、事業を譲渡される側の間で、事業譲渡契約を締結するのが基本になっています。
譲渡する側が債務を切り離したいときに検討したり、譲渡される側が製品のシェアを拡大したいときに検討したりします。
事業譲渡と株式譲渡の違い
株式譲渡とは、会社の株式を売り買いすることで経営権を移転させる方法です。
中小企業のM&Aでは、ほとんどが株式譲渡によって行われているといわれています。
株式とは、株式会社が資金を援助してくれる人に発行する証券です。
議決権のある株式のうち半数超を持っているのは、経営権を保持しているのと同じとみなされています。
株式譲渡は、その仕組みをもとに会社の主導権を移転させるというわけです。
事業譲渡の場合は、経営権までは譲渡しません。
株式譲渡で売却される企業は、買収する企業の傘下で会社組織を存続する形になります。
そのため、企業文化が大きく異なるとシナジー効果が生じにくくなるリスクがあります。
事業譲渡では社員を引継ぐときに雇用契約の再締結が必要になることがありますが、株式譲渡の場合は社員の労働契約が自動的に引継がれます。
株式譲渡について詳しく気になる方は下記記事を参考にしてみてください。

事業譲渡と会社分割の違い
会社分割とは、企業が事業に関する権利義務のすべて(あるいは一部)を分割によって設立する企業やほかの企業に承継させる方法です。
なお、分割によって設立する企業に承継させる場合は新設分割と呼ばれます。
不採算事業を切り離せる一方で、人材が分断されて企業の活力が低下することもあります。
事業譲渡では、資産や負債、契約などを個別に移転することがある一方で、会社分割では包括承継によってまとめて移転できます。
包括承継とは、権利義務を一括で承継する行為をさし、会社分割だけでなく相続の場面でも用いられます。
ちなみに個別に承継する行為については特定承継と呼ばれます。
会社分割について詳しく知りたい方は下記記事を参考にしてみてください。

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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡と株式譲渡・会社分割の比較表
ここでは、事業譲渡と株式譲渡、会社分割について、内容の比較や、それぞれのメリット・デメリット等を一覧表で紹介していきます。
比較対象 | 意味 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
事業譲渡 | 会社が展開している事業のすべて(あるいは一部)を売り買いする方法 | ・譲渡側が債務を切り離せる ・譲受側が製品のシェアを拡大できる |
・社員を引き継ぐのに再契約が必要な場合がある |
株式譲渡 | 会社の株式を売り買いすることで経営権を移転させる方法 | ・社員を引き継ぐのに労働契約を再締結しなくて済む | ・シナジー効果が生じにくくなるリスクがある |
会社分割 | 企業が事業に関する権利義務のすべて(あるいは一部)を分割によって設立する企業やほかの企業に承継させる方法 | ・資産や負債、契約などをまとめて移転できる ・不採算事業を切り離せる |
・人材が分断されて企業の活力が低下することがある |
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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡と事業承継との違い
事業譲渡とは、事業の一部または全部を売却することを指しますが、事業承継は事業を後継者に引き継ぐことを指します。
経営者は、これまで行ってきた事業を譲渡するのか、後継者に任せるのかという選択を迫られるときもあるでしょう。
こちらでは、事業譲渡が良いケースと事業承継が良いケースを分けて解説をしていきます。
事業譲渡が良いケース
経営が順調だけれど後継者がいない場合や、一部の事業のみ採算が取れないと言うような場合は、事業譲渡を選ぶ方が良いでしょう。
後継者問題は深刻化していることもあり、事業自体は順調なのに廃業を迫られるというケースも多くなっています。
その様なことがあれば、取引先や従業員にも多大な不利益を与えかねません。
後継者が居ないのであれば、事業の全部を譲渡する決断をするのも経営者の勤めとも言えるでしょう。
また、一部の事業のみが採算が取れないと言う場合も、事業譲渡を考えるべきと言えるでしょう。
自社では採算が取れない事業でも、他者では大きな利益を生むこともあります。
事業内容や規模などによっては、その事業を買いたいと思う企業もあるでしょう。
採算が取れない事業は譲渡して、採算の取れる事業に力を入れるか新たな事業の展開を考えるのも経営者の大きな仕事となります。
後継者不在や採算が取れない場合は、事業譲渡を見当するのが無難と言える。
事業承継が良いケース
事業承継が良いケースは、後継者がいる場合のみです。
事業承継とは、後継者に事業を譲ることであり、売却をする譲渡とは性質が異なります。
後継者には子供や親族を選ぶ場合が多いため、取引先や従業員からしても安心と言えるでしょう。
また、子供や親族ではなくても、従業員の中から後継者を選んだ場合でも、全く知らない人が事業を継承するのではなく、勝手も知っている人であれば、スムーズな事業承継が可能と言えるでしょう。
後継者がいる場合のみ事業承継を考えられると言える。
事業譲渡と事業承継の大きな違いは?
事業譲渡と事業承継の大きな違いは、事業を行う者が身内なのか赤の他人になるかの違いと言えるでしょう。
事業譲渡の場合は、事業の一部または全部を売却してしまうことから、事業の運営権が変わってしまいます。
そうなると、それまで運営していた人ではなく、赤の他人が事業運営を行うので、勝手も変わる可能性もあります。
事業承継の場合は、子供や親族または社内から後継者を出すことが多いので、それまでの事業の進め方など大きな変更をしない可能性が高くなります。
事業譲渡と事業承継では、大きな違いがありますので、経営者の方はしっかりと判断をするようにしましょう。
事業譲渡と事業承継では性質が異なる事から、結果が自ずと変わってくる。
ここまでで事業承継の方が良い選択と思われた方は、下記記事をぜひご覧ください。
事業承継を本格的に進める前に知らないと、損をしてしまう内容を解説しているので必見です。

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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡の種類・方法
事業譲渡には全部譲渡と一部譲渡という種類があります。
全部譲渡と一部譲渡の意味を解説していきます。
全部譲渡
全部譲渡とは、会社が展開している事業をすべて譲渡する方法です。
たとえば、揮発油販売業者が事業の全部を譲渡するとしましょう。
この場合移転される具体的な対象の例は下記の通りです。
- 土地
- 建物
- 買掛債務
- 売掛金
- ガソリン調達契約
- 品質管理者の雇用契約
- 特約店契約
- 賃貸借契約
全部譲渡では、事業に関係するさまざまな資産や負債、契約などを承継することがわかります。
なお、地位まで承継されるので、承継届出を提出しなければなりません。
一部譲渡
一部譲渡とは、会社が譲渡したい事業だけを譲渡する方法です。
たとえば、特定の事業やエリアに該当する店舗を譲渡するケースがよい例でしょう。
さきほどと同様に揮発油販売業者が事業の一部を譲渡するとしましょう。
事業のすべてを譲渡するわけではありませんが、運営者を交代するために変更登録を申請しなければなりません。
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事業譲渡を行う理由は、売却側と買取側で少し異なります。
こちらでは、事業譲渡を行う理由を売却側と買取側に分けて解説をしていきます。
売却側が事業譲渡を選ぶ理由は
売却側が事業譲渡を選ぶ理由は主に以下のような理由があります。
- 後継者がいない
- 不採算事業を整理したい
それぞれの理由を少しずつ解説をしていきましょう。
後継者がいない
事業譲渡を行う理由の一つには、後継者不足が挙げられます。
いくら事業が順調に推移していても、後継者がいかねれば事業継続は不可能となります。
そのため、事業譲渡によって事業の継続を図るのです。
後継者不足による事業譲渡の場合は、売却後の将来性も見込めるため、買い手に困ることはないでしょう。
不採算事業の整理
もう一つの事業譲渡の理由は、不採算事業となっている場合です。
採算の取れない事業を継続していると、経営を悪化させかねない事態となる場合もあります。
企業の中核事業でも無い場合には、不採算事業を切り離して譲渡してしまうと言う事も珍しい事ではありません。
その企業では不採算事業だったかもしれないですが、他の企業からすると採算の取れる魅力的な事業と言う場合もあります。
不採算事業を整理する目的でも事業譲渡は大いに活用をされています。
売却側は、後継者不在や不採算事業の整理を目的として、事業譲渡を行う場合が多いと言える。
買取側が事業譲渡を選ぶ理由
買取側にも事業譲渡を選ぶ理由はいくつかあります。
- 新規事業参入への初期コストの削減
- ノウハウと従業員の確保
買取側が事業譲渡を選ぶ主な理由には、上記の2つがあります
新規事業参入への初期コストの削減
買取側が事業譲渡を選ぶ理由には、新規事業参入への初期コストの削減が挙げられます。
新規事業への参入を考えている企業からすると、一から準備をすると多大なコストが発生します。
しかし、参入予定の事業を買うことが出来れば、初期費用に掛かるコストを削減することが出来るのです。
その事から、新規事業を立ち上げる際には、事業譲渡によって新規事業のコスト削減を目論む買い手も多くいるのです。
ノウハウと従業員の確保
先ほどのコスト削減にも通ずるところが有りますが、事業譲渡を行うことで、ノウハウと従業員を一気に手に入れることも可能となります。
ノウハウや従業員を確保することが出来れば、一から事業を始めるよりも効率的に新規事業への参入が出来ると言えるでしょう。
また、出店・進出予定だったエリアの企業の事業を買収できれば、ノウハウだけではなく、エリアの情報なども併せて手に入れることが出来るとも言えるでしょう。
事業譲渡を選ぶ目的は、売り手にも買い手にも、しっかりとあるという事です。
買い取る側からすると、新規事業の展開を行う上で、コスト削減だけではなくノウハウ・従業員の確保から、進出エリアの開拓などの時間の削減なども可能となるので、事業譲渡を活用するメリットは大きくなる。
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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡のメリットについて(売り手)
ここでは、売り手側からみた事業譲渡のメリットを紹介していきます。
売りたい事業だけを譲渡できる|事業譲渡のメリット
M&Aと聞くと、会社全体を売り買いするイメージを持つ方もいるでしょう。
しかし、事業譲渡の場合は一部の事業だけを譲渡できます。
経営者が、経営の負担が少ない事業だけを確保し、事業を売却した金額で引退後の生活資金を用意するのにも役立ちます。
従業員の雇用を確保できる|事業譲渡のメリット
事業譲渡では、従業員の雇用を複数のパターンで確保できます。
パターン1.売手企業と買手企業が労働契約の承継に同意
労働者本人まで同意した場合、労働契約が承継されて買手企業で働くことになります。
労働者が同意しなかった場合、労働契約の内容を変更して買手企業で再雇用してもらうか、売手企業に残ることになります。
パターン2.売手企業と買手企業が労働契約の承継に同意しない
労働者だけが同意している場合、労働契約の内容を変更して買手企業から再雇用してもらうか、労働者が売手企業に残ることになります。
労働者が同意しなかった場合も同様です。
売手企業は従業員を解雇できない
譲渡される社員が仮に買手企業に移動することを拒否したとしても、売手企業は従業員を解雇できません。
ただ、労働契約が承継されなかった場合、勤務時間や勤務地が変更になるケースがあり、譲渡される社員に不満を抱かせてしまうリスクがあります。
新規事業や既存事業のための資産を確保できる|事業譲渡のメリット
事業売却によって獲得した資産を、次の事業を始めるための資金として確保しておくことが可能です。
また、業績に行き詰ったときに不採算事業を売却し、新たに獲得した資金を成長分野に投資することもできます。
強化した事業の将来性が見込まれて企業の株価が上がるケースも少なくありません。
ちなみにコロナ禍では、企業の経営環境が急速に変化したことから、成長分野に集中するために事業売却が活発に行われている傾向です。
特に中小企業はメリットが大きい|事業譲渡のメリット
中小企業では、経営者の高齢化が進んでいます。
東京商工リサーチの「全国社長の年齢調査」によると、2018年における全国の社長の年齢分布は下記の通りです。
- 70代以上:28.1%
- 60代:30.3%
- 50代:23.3%
- 40代:15.3%
- 30代以下:3.0%
すべての社長のうち、60代以上の社長が約6割を占めていることがわかります。
もし後継者がいない場合は事業を承継できず、廃業せざるを得ないケースもあります。
しかし、事業譲渡をすれば経営を継続させ、取引先や従業員に迷惑をかけなくて済みます。
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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡のメリットについて(買い手)
事業譲渡のメリットは買手と売手の立場によって異なります。
買手側の事業譲渡のメリットをさらに深堀してみましょう。
買収する事業を指定できる|事業譲渡のメリット
自社にとって利益を生み出さない事業を譲渡してもお荷物になってしまうでしょう。
その点、事業譲渡では買収する事業を指定できます。
自社に不足している資産や人材を交渉して承継できます。
負債・債務を引き継ぐ必要がない|事業譲渡のメリット
事業譲渡では、契約の範囲を限定することで、負債や債務の承継を回避できます。
たとえば、簿外債務や偶発債務です。
簿外債務とは、会計帳簿に計上されていない債務です。
偶発債務とは、現実では発生していないけれど、将来的に発生するリスクがある債務です。
自社の弱い事業を強化できる|事業譲渡のメリット
会社には伸び悩んでいる事業も少なからず存在しているケースがあります。
人間で考えると、苦手分野を克服するのは容易ではありません。
会社も同様であり、自社だけで弱点を補強するには、新規事業をスタートするように時間やコストが掛かってしまいがちです。
その点、事業譲渡で自社で不足するリソースを獲得すれば、弱点を素早く補強できるでしょう。
節税ができる|事業譲渡のメリット
事業譲渡では、買手企業は営業権(のれん代)に相当する金額について5年間で均等に分割して償却し、法人税の算定において損金に参入できます。
ここでいう営業権とは、無形の財産価値を独占して保有・使用する権利です。
無形の財産価値は、具体的には下記の通りです。
- 伝統
- 社会的信用
- 立地条件
- 特許技術
- 取引先関係
いずれも形がない財産であることが、おわかりいただけるのではないでしょうか。
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事業譲渡のメリット・デメリットを大公開!株式譲渡との違いや注意点も徹底解説
事業譲渡のデメリットについて(売り手)
事業譲渡をした場合にもデメリットがあるのでしょうか?
事業譲渡では手続きが難しかったり、課税が発生したりするデメリットがあります。
それぞれのデメリットを確認してみましょう。
事業譲渡の手続きには株主総会が必要|事業譲渡のデメリット
事業譲渡を行うには株主総会で決議が必要です。
””株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
一 事業の全部の譲渡
二 事業の重要な一部の譲渡””
基本的に事業の全部を譲渡する場合でも、事業の一部を譲渡する場合でも、決議の必要性は変わりありません。
完了までには複雑な手続きが必要|事業譲渡のデメリット
事業譲渡等の手続きは大きく5つに分かれています。
- 法人間で行う調整業務
- 行政等と調整を行う法令手続き
- 資産や負債などを移管する手続き
- 職員や利用者を含む関係者調整
- 事業譲渡等の後に行われる手続き
法人や行政、職員や利用者などさまざまな立場の関係者との間で、調整業務や手続きを実施しなければなりません。
事業譲渡を完了するまでには多大な労力がかかることがわかるでしょう。
事業譲渡による譲渡益に課税される|事業譲渡のデメリット
事業譲渡では、事業を売却する際に譲渡益を獲得できます。
ちなみに、譲渡益は、事業譲渡で獲得した金額から簿価の総額を差し引いたときにプラスになった差額です。
簿価の例としては、棚卸資産や土地、建物、装置などが挙げられます。
一般的に収入が発生すると個人でも税金がかかるように、事業譲渡で譲渡益が発生したときも法人税が課税されます。
ただし、事業譲渡が発生した年度の損益を通算した利益に課税が行われます。
つまり、赤字や繰越欠損金が譲渡益を超える場合は、法人税を支払う必要はありません。
ちなみに、個人事業主が事業譲渡したときの課税は所得税です。
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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡のデメリットについて(買い手)
買手側にも税金がかかります。
そのほかのデメリットと合わせて詳細を解説していきます。
譲渡代金の支払いに消費税がかかる|事業譲渡のデメリット
譲渡代金の支払いには消費税がかかります。
たとえば営業の譲渡は、営業に関する資産や負債をすべて含む譲渡です。
資産について課税資産と非課税資産をまとめて譲渡することになり、課税対象には消費税が課せられます。
たとえば、営業権は課税対象となり、土地は原則として非課税になります。
ちなみに土地が非課税なのは、商品やサービスと違い、消費されるわけではないからです。
大企業による事業譲渡はコストが高い|事業譲渡のデメリット
事業譲渡では、買手企業が事業を譲受する時に対価を支払わなければなりません。
大きな家具を購入するときにお金がたくさんかかってしまうように、譲渡される事業が大規模であれば費用が高額になります。
したがって買い手側からすると、大企業による事業譲渡はコストの観点からはデメリットが大きいといえるでしょう。
契約を承継するための対応が必要|事業譲渡のデメリット
買収企業の場合、承継した資産や負債の名義変更や、従業や取引先との再契約、許認可の再取得などの対応が発生します。
このように、売却企業と買収企業で手続きの負担が違うということは、最低限知っておきたいところです。
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事業譲渡に対するイメージを湧かせるために、実際に行われた事例をご紹介していきます。
事例1.株式会社ミチから丸井織物株式会社への事業譲渡
2019年7月に、ネイルチップを販売するミチは、ネイルチップ販売サイト「ミチネイル」を合繊織物メーカーである丸井織物に事業譲渡しました。
丸井織物は、コストを視覚化・削減したところ、2ヶ月後に利益率が15%から40%に改善したとのことです。
今後はネイルチップ以外の商品にも注力し、豊富なネイルサービスを展開していくようです。
事例2.株式会社LIGから埼玉県のIT企業への事業譲渡
2019年7月に、Webサイト制作やコンテンツ制作を手がける株式会社LIGが観光商品等を売買する個人間取引サービスを埼玉県のIT企業に事業譲渡しました。
LIGが事業譲渡した理由は、事業に注力できる担当者が不在だったことです。
今後は選択と集中を意識した経営を進めていく方針を定めています。
このように事業譲渡は、事業の課題を切り離しという形で解決できる手段であることがわかります。
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売却額の無料見積もりはこちら!事業譲渡の手順・流れ7STEP(売り手)
事業譲渡が完了するまでにはさまざまな準備や手続きが必要になります。
手順と流れを7ステップで解説していきます。
M&Aアドバイザーとの契約
M&Aアドバイザーと契約を検討します。
M&Aアドバイザーは、M&Aを契約成立までサポートしてくれる専門家です。
たとえば、候補企業の発掘、必用資料の作成、条件交渉などを行ってくれます。
利用にあたって着手金や成功報酬の支払いが必要です。
買い手企業探し・意向表明・基本合意
事業の買収を検討する企業を探し、見つかったときに経営者同士で意見を好感します。
買収企業の意思が固まれば意向表明書で条件を明示してもらいます。条件に同意すれば基本合意書を締結する流れです。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、英語でDue Diligenceと表記され、事業の価値やリスクを判断するプロセスです。
売却側は、税理士や公認会計士、弁護士などによって、税務や法務などの観点から買収側から調査されます。
事業譲渡契約の締結臨時報告書の提出
デューデリジェンスの結果にもとづいて買収側に条件を提案してもらい、交渉を進めていきます。
売却額や債務の有無などの条件を共有し、お互いに合意すれば事業譲渡契約を締結します。
契約書の記載事項は譲渡実行日、譲渡対価、支払方法、従業員の引き継ぎに関する項目などです。
有価証券報告書の提出義務がある企業であれば、契約の規模が大きい場合は内閣総理大臣に臨時報告書の提出が求められます。
また、買収側と売却側の国内売上合計額が一定金額を超えると、公正取引委員会に「事業等の譲受けに関する計画届出書」を提出・受理されなければなりません。
株主への通知・公告と株主総会の特別決議
事業譲渡の全部または一部を譲渡するときは、株主総会を開催して特別決議を採決しなければなりません。
議決条件は、議決権の過半数を持つ株主の出席と、2/3以上の賛成です。
ただ、譲渡資産の金額が少ないケースでは特別決議は不要となります。
開催にともない、電子公告や官報広告、郵送などで事業譲渡契約の締結を株主に周知する必要があります。
ちなみに株式会社の株主への通知期限は、事業譲渡の効力発生日の20日前までです。
監督官庁による許認可
監督官庁の行政指導を受ける業種の事業譲渡では、大臣の許可が必要です。
たとえば、銀行業やガス事業、道路運送業などが挙げられます。
このプロセスは売却側でなく、事業を買収する企業が許認可を取得しなければなりません。
名義変更の手続き
買収企業に財産や債務、権利などを継承していきます。
ちなみに名義変更の手続きは買収側が行っていきます。
たとえば、不動産については法務局で所有権移転登記手続きをします。
登記変更をしないと第三者が所有権を主張したときに、買収側は譲受したことを証明できないからです。
売却企業は、手続きにあたって必要な情報をすべて提供していきます。
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事業譲渡で必ず確認したほうがよいのは、契約書や税金、会計処理などです。
詳細を解説していきます。
契約書の作成
契約書の作成では、譲渡範囲、従業員の転籍、免責登記に着目します。
譲渡範囲
譲渡する対象はさまざまです。
製造部品やパソコン、ロッカーなど多岐にわたります。
譲渡する範囲を明確にしておけばトラブルを回避できるでしょう。
また、事業に関するほとんどの財産を引継ぐ場合は、譲渡しない財産の範囲を念入りに明確にします。
簿外債務を引き受けないことをしっかり共有しておけば、譲受側は余計な債務を引き受けるリスクが減るでしょう。
従業員の転籍
事業に不可欠な従業員が転籍を受け入れないケースも少なくありません。
仮に従業員の影響力が高ければ、事業の価値が低下してしまうかもしれません。
したがって契約書の作成では、従業員が転籍したときの事業価格の減額まで考慮されているか見落とさないようにしましょう。
免責登記
基本的には事業を譲受した場合、売却会社の商号を継続して使うのであれば、買収会社は売却会社の事業に関する債務を引継ぎます。
しかし、債務の弁済責任を負わない旨を登記すれば債務を引継がなくて済みます。
事業を譲受けたら遅滞なく免責登記を行いましょう。
事業譲渡にあたって、免責の登記における添付書類は、譲渡会社の承諾書、登記簿謄本、印鑑証明書などです。
仲介会社に支払った金額の税務上の取り扱い
仲介会社を利用して事業譲渡したときの費用は損金に算入できます。
売却企業の場合、着手金と仲介手数料の両方を損金に算入可能です。
一方で買収企業のケースでも着手金は損金に算入できます。
仲介手数料は承継資産の時価の比で按分する決まりです。
事業譲渡をした際の会計処理
譲渡会社の場合、移転直前の帳簿価額による株主資本相当額と譲渡対価の差額を移転損益とします。
事業譲渡にかかった支出金額は発生時の事業年度の費用として会計処理するルールです。
仕訳では譲渡資産の帳簿価額は貸方に位置します。
譲受会社の場合、買収した事業の取得原価は、取引金額に取引にかかった付随費用を加えて計算します。
取得原価については、買収した資産と負債の譲受時点における時価をベースに、該当資産と負債に対して配分する決まりです。
仕訳では譲受資産の時価は借方に位置します。
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事業譲渡とは、会社が展開している事業のすべて(あるいは一部)を売り買いする方法です。
譲渡する側は不採算事業を切り離して、ほかの事業に注力できるメリットがある一方、譲渡される側は製品やサービスのシェアを拡大できるメリットが期待できました。
ただ、法人間で行う調整業務や、行政等と調整を行う法令手続きなども発生するので、手続きが複雑でした。
また、法人税や消費税が発生する点も見落としてはならないポイントです。
納得のいく結果を得られるように、事業譲渡の要点をしっかり押さえてから実行しましょう。
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