のれんの仕訳方法をわかりやすく解説!償却方法や注意点まで併せて解説します!

「のれん」とは、M&Aを行う際に売り手の純資産額を上回った差額の事を言います。

少し簡単に言うと、買収した企業の過去の実績や将来性を評価した、目に見えない価格の事となります。

「のれん」を高く評価するかどうかは、買い手次第とも言えます。

M&Aに置いて、「のれん」は非常に大きなウエイトを占めることとなり、なるべく正確に評価をしなければいけません。

「のれん」の評価方法も知りたいですが、「のれん」の会計上の処理方法も知りたいです。
買収がスムーズに行っても、買収方法によって仕訳方法も変わると聞いたのですが。

M&Aを行う上で、なるべく正確に売り手の「のれん」を評価して、買収後の「のれん」に関しては会計上の処理をしなければいけません

また、どのような方法で買収したかによっても仕訳方法は異なってきます

この記事では「のれん」の、仕訳方法必要性注意点のれんの会計処理の事例等について解説します。

「のれん」の仕訳をザックリ言うと
  • 「のれん」は、目に見えない無形資産である。
  • 「のれん」の会計処理は通常と同じ!?
  • 「のれん」の仕訳方は意外と簡単にできる!!
  • 「のれん」の償却期間は20年以内の任意の期間!!
  • 「のれん」はしっかり仕訳しなければいけない。

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のれんとは?

のれんとは?

M&Aによって、他社の買収を考えているのですが、「のれん」と言う言葉を聞きました。
「のれん」とは一体どう言う物なのでしょうか。

こちらでは「のれん」の基本事項「のれん」の会計基準の違いについて解説しましょう。

のれんは見えない力

「のれん」とは、買い手の買収価格が売り手の純資産を上回る差額のことであり、M&Aを行う際に発生することが多いです。

「のれん」は、売り手企業のブランド力・信用力等を表す意味があります

そのため、売り手の目印(暖簾)となり、このような名称で呼ばれるようになりました。

のれんに関する資産価値は、主に次のようなものが該当します。

のれんに該当する物
  • ブランド力
  • 信用力
  • 技術力
  • 人的資源
  • 顧客ネットワーク
  • 地理的条件 等

上記のように、会社の建物や工場、設備機器、社用車等と異なり、見えない資産価値を表します。

「のれん」は、M&Aの際に用いられる勘定科目の一つで、以前は「営業権」と呼称されていました

「のれん」の金額がそんなに大きくなければ、「全額費用計上」でも構いませんが、「のれん」は無形固定資産として数千万・数億、中には数百億と評価されるケースもあります。

その様な場合には、減価償却を行うことが通常です。

パソコンや機械、工場等と同じように高額な『買い物』として、期間を分けて減価償却することになります。

MEMO

「のれん」とは、目に見えない無形資産であり、企業評価の一つである。

「のれん」の価格は、場合によっては非常に高くなることから、減価償却を行うのが一般的である。

日本の会計基準と国際的な会計基準

日本の会計基準の場合「のれん」は、貸借対照表で無形固定資産として経理処理します。

「のれん」は、20年以内の期間で均等に償却するよう設定します。

20年以内であれば、何年で設定しても構いませんが、途中で期間を変更する事は出来ないので、各企業の状況判断で適切と思われる期間の設定をするようにしましょう。

設定期間によって買い手の営業利益を圧迫するケースも想定されますが、会計処理は難しくなく処理しやすい点が便利なので、専門知識の無い方々でも仕訳に迷うことはまずないでしょう。

一方、国際財務報告基準(IFRS)の場合は、基本的にのれん償却は行いません

「のれん」の価値が著しく低下したという事態になれば、減損処理をすることになっていますが、IFRSでも会計処理を見直し、のれん償却の義務付けるかどうか検討中です。

MEMO

日本の会計基準では、20年以内の任意の期間で均等償却が出来るが、途中で償却期間を変更できないので注意が必要となる。

国際財務報告基準では、のれん償却は行わないが、のれん償却の義務付けをするかの検討はしている。

M&Aでののれんの扱いについて詳しく知りたい方はこちら

M&Aでの「のれん」とは?取り扱い方法から注意点までを徹底解説!

のれんが計上される流れとは?

のれんが計上される流れとは?

「のれん」は、無形固定資産ですか。
実際に価格が決まっている訳でもないですが、いい加減な評価でもいけないのですね。
それでは、「のれん」が計上される流れを教えてください。

こちらでは「のれん」が計上されるのはどんな場合かのれんを高く評価してもらうための売り手の心掛けについて解説します。

のれんが計上される流れとは?

買い手が売り手を評価する場合、例えば売り手の純資産額が3億円と算定されたのに4億円で買収する事例があります

この差額の1億円が増えた理由、他からみれば確かに疑問が残ることでしょう。

差額1億円は、貸借対照表の資産で明確に計上された金額と異なります。

純資産は3億円ですが、買い手は売り手に何らかの価値(のれん代として認められる価値)を発見し、「この売り手なら、間違いなく将来1億円の収益を生み出すことだろう!」と評価することがあります。

その確信があれば、4億円で買収しても構いません。

買い手は、M&Aが成功したら会計の際に「のれん」を計上することになります。

この計上する際の仕訳については後述します。

他に複数の買い手候補がいて、他の買い手候補と競って売り手の買収を企てるなら、のれん代を高くすることもあるはずです。

「のれん」は、昔からの業績や市場でのシェアを持つ老舗の売り手の買収だけでなく、起業したての会社を買収する場合にも計上される場合が多いです。

現時点で目覚ましい利益が出ていないベンチャー企業の場合も、「わが社としてはこの売り手を是非とも傘下に収めたい。実績が無くても売り手の将来性は期待できる」と評価され、高額な「のれん」の加わった買収価格が提示されることもあるのです。

一方、売り手側なら買い手まかせにするのではなく自社の「のれんの価値」を、いかに買い手へ効果的なアピールするかを良く検討しましょう。

そうすれば、より高く買ってもらうことにつながるのです。

MEMO

「のれん」は、売り手企業の実績や将来性の評価であり、明確な規程はないが買収時に競合する場合には高価になる事もある。

のれんを高く評価してもらうために

「のれん」の評価を高くして、出来るだけ高く企業を買収してもらうためには、M&Aを円滑に進めることも大切ですが、売り手が実績や将来性をどれだけアピール出来るかが重要となります。

売り手経営者の話術も大切ですが、根拠となるデータを交渉の過程で明らかにして納得してもらうことが重要です。

こちらでは「のれん」を高く評価してもらうための方法を2つ紹介します。

財務管理の徹底

「のれん」の評価は、売り手の将来性や独自性を主な判断基準とします

それに加え、売り手の財務管理の健全性も重要となります。

売り手が無理のない経営を行い、多額の債務をひた隠しにしていないかどうかも関心事と言えます。

売り手としては、都合の悪い事実を隠しておきたいと思うかもしれませんが、買い手の「デューデリジェンス」において発覚する場合も多いです。

デューデリジェンスとは、売り手の財務の健全性・法令の遵守など多角的に調査をする作業です。

デューデリジェンスで多額の債務が発覚すれば、契約不成立となるおそれもあります。

このような事態にならないため、日ごろから売り手には財務の徹底が求められます。

ただし、常日頃から堅実な経営を行っても、債務が発生することはあります。

その場合は、M&Aの交渉当初に、債務に関する事実を買い手へ伝えた方が無難です。

債務があるからと言って、必ず買い手候補が現れないわけではありません。

売り手の債務、売り手の期待される将来性・独自性とを比較考量し、将来性・独自性の方が大きいと判断されたら、買い手は交渉に応じてくれことでしょう。

MEMO

売り手の財務状況をしっかりと管理しておくことで、債務の有無や経営状態をしっかりと伝えることで、買い手との信頼度も上がるため評価が高くなる可能性がある。

収益性・将来性をわかりやすくアピール

売り手は、自社の収益性・将来性をわかりやすくアピールする事が重要になります。

いわゆる何十年も会社を守り続け「老舗」と呼ばれる売り手なら、過去の実績・市場におけるシェア等を効果的に買い手へ伝えることが大切です。

市場におけるある程度のシェアを誇る商品、サービスをアピールすれば、買い手の注目度は一気に高まります。

なぜなら、買い手自身も提供している会社は意識しなかったが、市場に出回っている売り手の商品・サービスは認知しているというケースもあります。

一方、起業したばかりの会社ならば、過去の輝かしい実績も、市場における大きなシェアも無いはずです。

そこで、起業したばかりの企業は、将来性のある点を買い手へアピールすることが大切です。

自社の収益性にしても将来性にしても、効果的なアピールを行うには、どの様な「企業概要書」を作成するかが重要です。

この企業概要書には、会社名の基本的な情報はもちろん将来の目的、主力商品等、詳細な情報が明記します。

MEMO

老舗企業は実績や商品・サービスの市場シェアを、企業仕立てのベンチャー企業などは将来性をしっかりとアピールすることが重要となる。

企業をアピールする「企業概要書」をしっかりと作成することが、アピールへの第一歩となる。

のれんの仕訳方法と勘定項目

のれんの仕訳方法と勘定項目

買い手も「のれん」について良く考察する必要はありますが、売り手にもそれ相応の努力は必要ですね。
買収した際の「のれん」の仕訳方法と勘定項目について教えて下さい。

こちらでは「のれん」の仕訳方法と勘定項目を解説しましょう。

のれんが関係しても普通の会計処理と同じ

「のれん」に関係する仕訳方法は、通常の会計処理と同様に行っていきます。

勘定項目は次の通りです。

資産

将来的に自社の収益となる見込みがある経済的価値のことを指します。

下記の項目が該当します。

  • 現金や預金
  • 売上債権
  • 棚卸資産
  • 無形固定資産(のれん)

など

負債

将来的に返済する義務のある現金や物のことを指します。

下記の項目が該当します。

  • 買掛金
  • 支払手形
  • 前受金

など

純資産

会社の資産から負債総額が差し引かれた金額のことを指します。

下記の項目が該当します。

  • 資本金
  • 資本剰余金
  • 資本準備金
  • 自己株式

など

収益

事業による売上や商品やサービスの販売で得た収入のことを指します。

下記の項目が該当します。

  • 営業収益:売上・雑収入等
  • 営業外収益
  • 特別利益:固定資産売却益・負ののれん発生益

など

費用

生産や取引等の事業を行うために支払う金銭のことです。

下記の項目が該当します。

  • 売上原価:仕入れ
  • 販売費および一般管理費:広告宣伝費
  • 営業外費用:支払利息
  • 特別損失:投資有価証券売却損・のれん償却

など

買収した場合の仕訳は?

売り手の保有していた資金や建物・土地そしてのれん等は「借方」、売り手の負債や買い手の支払ったお金は「貸方」に記載します。

下表を参考にしてください。

借方 貸方
現金

売掛金

建物

土地

備品

のれん

買掛金

借入金

当座預金

のれんの会計処理

のれんの会計処理

「のれん」の会計処理は、なかなか難しそうですが、自社の従業員でも可能でしょうか。
会計処理の仕訳について具体例を解説して欲しいです。

こちらでは「のれん」の会計処理を、株式取得・事業譲渡・合併・負ののれんに分けて解説をします。

のれんの会計処理方法
  • 株式取得の場合の会計処理
  • 事業譲渡の場合の会計処理
  • 合併の場合の会計処理
  • 負ののれんが発生した場合の会計処理

株式取得の場合の会計処理

こちらでは、売り手の株式を取得して傘下に収めた(子会社化)事例を取り上げます。

まず、有価証券の子会社株式を取得したというケースは次の通りです。

例1:買収価格5億円の場合

借方 貸方
子会社株式 500,000,000 当座預金 500,000,000

なお、買い手企業の連結会計上は子会社が増加することになります

子会社である売り手企業の財務諸表を合算した上で連結決算を行います

資本関係では、子会社株式と子会社の資本金を相殺する仕訳が計上されます。

例2:買い手企業で連結決算を行う場合の資本消去仕訳

売り手側企業の内訳
  • 資本金:2億円
  • 利益剰余金:2億円
借方 貸方
資本金   200,000,000 子会社株式 500,000,000
利益剰余金 200,000,000
のれん   100,000,000

売り手側企業の「資本金+利益剰余金」は4億円ですが、事例では5億円で買収しています。

つまり差額が発生しています。

そこで、「買収価格5億円-(資本金2億円+利益剰余金2億円)=のれん1億円」となります。

「のれん1億円」は、20年の範囲内で買い手が設定した任意の期間で償却することになります。

事業譲渡の場合の会計処理

事業譲渡は、売り手が自社の事業の一部または全部を買い手へ売却する手法です。

買い手としてみれば、売り手を子会社化したわけではありません。

売り手の事業に関連する資産・負債を購入した記録を個別に会計上で処理します。

例:売り手から事業の一部を4億円で譲り受けた場合

売り手側企業の事業の内訳
  • 資産:3億円
  • 負債:1億円
借方 貸方
資産    300,000,000 負債    100,000,000
のれん   200,000,000 当座預金  400,000,000

売り手側企業を買収した際「負債+当座預金」は5億円ですが、事例では資産3億円となっています。

つまり差額が発生しています。

そこで、「買収価格4億円+負債1億円-資産3億円=のれん2億円」となります。

「のれん2億円」は、20年の範囲内で買い手が設定した任意の期間で償却することになります。

合併の場合の会計処理

合併は、買い手が売り手の全てを購入する取引です。

売り手は、子会社化する訳でなく消滅します。

買い手は売り手を時価で評価して購入したという会計処理が行われます。

例:売りを7億円で買収し合併した場合

売り手側企業の事業の内訳
  • 資産:4億円
  • 負債:2億円
借方 貸方
資産    400,000,000 負債    200,000,000
のれん   500,000,000 当座預金  700,000,000

売り手側企業と合併した際「負債+当座預金」は9億円ですが、事例では資産4億円となっています。

つまり差額が発生しています。

そこで、「買収価格7億円+負債2億円-資産4億円=のれん5億円」となります。

「のれん5億円」は、20年の範囲内で買い手が設定した任意の期間で償却することになります。

負ののれんが発生した場合の会計処理

売り手の純資産の時価よりも買収価格がマイナスになる、かなりイレギュラーな「のれん」です。

確かに買い手としては、売り手の純資産よりも安い買収価格でM&Aが成立できるのでお得ではあります。

次のような会計処理が行われます。

例2:売り手

  • 現金:2,200万円
  • 貸付金:800万円
  • 買掛金:400万円

売り手を買い手が2,400万円で買収し、負ののれんが200万円の場合、次の仕分けとなります。

借方 貸方
現金  22,000,000円 買掛金      4,000,000円
貸付金  8,000,000円 当座預金     24,000,000円
負ののれん発生益  2,000,000円

表のように「負ののれん」が発生し、貸方へ「負ののれん発生益」として計上します。

この事例では、損益計算書に「特別利益」として計上しましょう。

一見、買い手に有利なM&Aのような印象は受けるものの、純資産「現金+貸付金」より低い価額で取引されるケースは、売り手に何かしらの重大な問題(多額の負債等)があるとみて間違いないでしょう。

買い手としては、「負ののれん」のある売り手を買収してしまったことで、後々大赤字になるような事の無いよう、冷静な交渉を行っていくべきです。

負ののれんについてより詳しく気になる方はこちら

負ののれんを分かりやすく解説!発生原因から注意点・会計上の処理方法はどうなる?

のれんの償却方法

のれんの償却方法

やはり買収方法によって、どのように仕訳するか異なりますね。
のれんの償却方法について教えてください。

こちらでは、のれんの償却する仕訳方法について解説します。

そもそも減価償却とは?

減価償却とは、自社が高額な資産を購入した時、支払った代金を分割・複数年で費用計上する方法です。

例えば、ご自身の会社が新しく工場を建設する目的で、建設会社へ10億円払ったケースを考えてみましょう。

支払った10億円は、その会計年度へ一括して計上することができません

通常ならば、工場の建設や建物の購入も価格は相当高額となります。

また、設置した工場や建物は長期間使用するのを前提で購入しているはずです。

それにもかかわらず、購入したとき一括で費用処理すると、その後の事業年度で売上へ貢献しているにもかかわらず、対応する費用が0円となってしまいます

そのため、高額な価格で購入した減価償却資産は、購入時だけの費用とするのではなく、耐用年数にわたり少しずつ費用処理することになるのです。

MEMO

高額な設備投資などをした際に、設備投資費用を一括ではなく、耐久年数に応じて複数年で費用計上を行うこと。

のれんも同様に償却

「のれん」も減価償却をすることになります。

「のれん」の会計処理は20年以内となっています。

20年の範囲内であれば、買い手は償却期間を自由に決めることができますが、一度期間を設定すると変更はできません

5年で回収できると見込んだならば、償却期間は5年として構いません。

とはいえ、数億円ともなる「のれん」の場合は、長期間で分割して処理していった方が無難と言えます。

「のれん」の償却は、償却全期間にわたり同額を償却していく定額法のみで処理します。

償却の計算は非常に簡単です。

例えば、のれん2,000万円を5年で償却するなら「2,000万円÷5年=400万円」です。

毎年同額になるよう償却するので400万円となります。

借方 貸方
のれん償却 4,000,000円 のれん 4,000,000円

この償却額は、損益計算書の「特別損失」へ計上します。

MEMO

「のれん」も、設備投資などと同様に減価償却が可能である。

償却期間は20年以内で任意の期間を設定出来て、償却価格は均等にしなければいけない。

のれんの仕訳が必要な理由

のれんの仕訳が必要な理由

「のれん」の仕訳方法はよくわかりました。そう難しくはないので安心しました。
しかし、なぜ「のれん」の仕訳が必要なのでしょうか。

こちらでは「のれん」の仕訳が必要な理由について解説します。

無形資産も仕訳けないとダメ

「のれん」の仕訳とは、前述したようにM&Aで買収された売り手のブランド力・企業価値を資産価値として計上する仕訳です。

時価よりも価値が高いと評価されれば計上しなければいけません

企業のブランド力は目に見えないものの、今後の買い手の事業へ貢献するであろう期待が高まる資産です。

売り手自体のブランド力はもちろん、製品なども「のれん」に該当します。

MEMO

目に見えない資産ではあるが、買収後の事業への貢献度が高いため、仕訳をする必要がある。

無形資産が企業資産の大半を占めることも

いずれも大きな影響力を有しています。

更に企業の無形資産は、人材・取引先・特許権等も該当します。

業種によっては、企業資産の大半が無形資産で占められるケースもあります。

基本的に事業活動を行っているような企業であれば、無形資産が存在するものです。

そのため、いくら形が無いとはいえ、仕訳をしないと正確な会計処理が行えなくなります。

M&Aを行う際、「のれん」の会計処理は、それほど大きな影響を及ぼすのです。

MEMO

事業を行う上で、人材・取引先・特許などは大きな資産であり、正確に会計処理を行わなければいけない。

のれんの仕訳での注意点

のれんの仕訳での注意点

「のれん」の仕訳は簡単ですが、やはり慎重に対応しないといけませんね。
そこで「のれん」の仕訳の際に気を付けるべき点について教えて欲しいです。

こちらでは、「のれん」の仕訳の際に注意する点を2つ紹介します。

本当に正確な価額が算出できる?

のれんは、売り手の信用やブランド力等、見えない価値を数値化します。

評価法は多種多様

企業の評価法はいろいろあり、次のような計算方法があります。

コストアプローチ

純資産を基準に評価する方法です。

貸借対照表を前提とし客観性に優れた評価方法と言えます。

老舗の算定方法として有利となる計算方法です。

簿価純資産法時価純資産法の2種類があります。

マーケットアプローチ

市場価格を基準に評価する方法です。

上場企業の中から類似する業種・規模の企業を調べ、その企業を比較対象として価値を計算します。

ただし、類似企業を必ず探し出せるとは限らない点に注意しましょう。

類似企業比較法市場株価法類似取引比較法類似業務比較法の4種類があります。

インカムアプローチ

収益価値・キャッシュフローを基準に評価する方法です。

将来的に予測される収益を現在価値へ換算して企業価値を計算します。

段階では利益が少なくても、今後の成長が期待できそうな企業(ベンチャー企業等)の評価に適しています

DCF法収益還元法配当還元法の3種類があります。

評価法を駆使しても

前述した評価法は、どんな売り手の要素を基準とするかで、評価額が大幅に差の出る場合もあります。

正確な価額の算出を試みても一筋縄ではいきません。

価値のある売り手のブランドを高く評価しても、のれん代を上乗せし、買収後に巨額の負債を抱えては、投資に対して回収がかなり困難となります。

したがって算出する際には、売り手側の価値のみならず、経営の健全性・存続可能性も考慮しましょう

多額の減損処理で信用失う?

「のれん」の価値を大きく見誤ると、多額の「減損処理」の対象となる可能性があります。

減損処理とは、投資に見合った金額の回収が見込めない場合、その資産の価値を切り下げる会計処理が行われることです。

減損損失は特別損失

減損損失は、減損会計で計上された損失を示す勘定科目です。

財務諸表では、原則として損益計算書の「特別損失」として表示されます。

とりわけ国際会計基準を用いている場合、資産規模に比較して多くの「のれん」を抱えているならば、致命的な損失を計上するリスクもあります

そのため、買い手の経営が急激に悪化すると、投資家・金融機関からの評価が一気に下がる事態となります。

減損損失の事例

こちらでは2つの減損損失の事例を取り上げます。

事例1:DeNAがngmoco社を買収した事例

DeNAは、2010年にアメリカのゲーム会社「ngmoco社」の将来性を見込んで、多額ののれん代をつけて買収しました。

しかし、この会社は事業がうまくいかず2016年に解散となりました。

その結果、DeNAは米国事業から事実上の撤退となります。

2020年に、DeNAは508億円の「のれん代」の減損が発生し、約442億円の赤字となりました

DeNAでは、前述した国際財務報告基準(IFRS)を採用しています。

この基準では減損の判定がされるまで、「のれん」は1円も償却されず、永遠に貸借対照表に残り続けます。

どんなに経営が順調で、積極的に事業拡大を行う企業であっても、のれんを見誤ると一気に巨額の赤字を抱える典型例と言えます。

注意

将来性が感じられても、事業が上手くいかずに大きな赤字を計上しなければ行けなくなることもある。

事例2:ソニーがコロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメントを買収した事例

1989年ソニーは公開買い付けで、コロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメント(現ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント)を約5000億円で取得しました。

しかし、最近は映画のヒット作に恵まれず2016年10-12月期は、プロダクション・アンド・ディストリビューション(映画、テレビ制作事業)に割り当てられた1121億円の全額を減損処理ネットワーク・メディアに割り当てられた1145億円はそのまま計上を続けるという決断がなされました。

映画産業はヒット作に恵まれれば、驚異的なシナジー効果が得られるものの、不発に終わり厳しい状況へ陥った事例と言えます。

注意

来たい通りのシナジー効果がなければ、大きな赤字を計上する異なる。

のれんの仕訳によくある質問

のれんの仕訳によくある質問

のれんの仕訳について説明を受けているうち、いろいろ疑問点が出てきました。
いくつか質問よろしいでしょうか。

こちらでは「のれん」の仕訳を行う際の、よくある3つの質問を取り上げます。

「のれん」の仕訳によくある質問
  1. 減損処理の仕訳はどうなる?
  2. 税務上の科目も「のれん」?
  3. 減損処理はやっぱり怖い

減損処理の仕訳はどうなる?

減損損失はなるべく避けたい事態ですが、やはり減損損失となってしまった以上、しっかりと仕訳ける必要があります

こちらでは事例をあげ、仕訳例を取り上げます。

具体例

M&Aを行い当期首で4,000万円の「のれん」を計上したが、その後に社名変更・組織変革等の影響で、一部商品の売上が大きく減少して企業価値が半分程度にまで減少してしまった。

借方 貸方
減損損失(特別損失or営業外費用でもOK) 2,000万円 のれん 2,000万円

この仕訳で、実際の「のれん」の評価に沿った金額を決算書にも計上できるようになります

税務上の科目も「のれん」?

税務上は、会計上の「のれん」ではなく「資産調整勘定」という科目が使用されます

さらに、資産調整勘定は償却も「のれん」と異なり、5年間の定額償却となります。

税務申告をする場合、5年定額償却が必須です。

会計上を20年で償却、税務上は5年償却となり、これでは混乱してしまうと考えたら、会計上でも5年償却を行い、税務と合わせてしまうのが良い方法です。

MEMO

「のれん」の償却は、会計上と税務上で償却期間が異なるので、会計上の償却期間を税務上の償却期間の5年に合わせると管理がしやすくなる。

減損処理はやっぱり怖い

M&Aで売り手の「のれん」を高く評価し買収すれば、買い手候補が複数いても非常に有利な売り手との交渉を行えます。

しかし、M&A成立後、減損処理を行う羽目になり巨額の赤字が計上されては、いろいろな方々から買い手は信用を失ってしまいます

そんなことの無いように、M&A専門家の助力を得ておいた方が無難です。

M&A仲介会社へ相談だ!

M&A未経験の買い手企業は何でも自社で対応しようと思わず、M&A仲介会社に交渉を依頼しましょう。

M&A仲介会社は、売り手のマッチング・サービスの他、企業評価、いろいろな契約書の相談も可能です。

売り手の「のれん」を含め、正確な企業評価を行いたいなら、M&A仲介会社のアドバイザーに計算してもらうことも可能です。

M&A仲介会社を利用する際の注意点

ただし、M&A仲介会社にもいろいろあり、アドバイザリー契約を結べば事前の相談・企業評価~クロージングまでサポートしてくれる業者もあれば、基本的に売り手とのマッチングだけを行い、後は直接当事者同士の話し合いで進めるスタイルもあります。

そのため、M&A仲介会社を売り手との交渉の際にたてたいならば、サポート・サービスが受けられるかどうか事前に窓口で確認しておきましょう

のれん 仕訳|まとめ

のれん 仕訳|まとめ

「のれん」は、土地・建物と異なり『無形資産』です。

その場合でも、会計処理は必要となり、その価値を見誤ると買い手にとって大きな負債となってしまいます

「のれん」を考慮する際は、自社だけで無理に決めてかからずに、アドバイスを受けつつ最適な価格について判断しましょう。

こちらに関しては会計士の助力も心強いですが、M&A仲介会社のような専門アドバイザーのサポートを得ながら冷静に対応した方が無難です。

M&Aについて不安の方は、ぜひ相談無料のM&Aアドバイザーにご相談ください。