「開業直後でも作りやすい法人口座は?」「何度も審査に落ちるときはどうすればいい?」こんな疑問を抱いている事業主の方は少なくないでしょう。
ネット銀行は比較的作成しやすい傾向にあります。比較する際は、申込条件や必要書類などをチェックしたうえで、通りやすそうな口座を選びましょう。
この記事では、作りやすいネット銀行の法人口座や選び方、審査に通りやすくなる方法まで解説します。顧客や取引先とのやりとりが楽になるため、ぜひご覧ください。
- 比較するときは振込手数料やローンサービス、口座開設までの日数を確認する
- 口座開設の審査では事業内容や書類、所在地などを見られる
- 審査の際は書類の不備をなくし、事業内容をきちんと説明できるよう準備する
目次
作りやすいネット銀行の法人口座4選
銀行名 | GMOあおぞらネット銀行![]() | 楽天銀行![]() | PayPay銀行![]() | 住信SBIネット銀行![]() |
振込手数料 | 145円 月最大20回まで無料 | 150円〜 月最大7回まで無料 | 160円 | 145円 |
ATM手数料 | 110円 月5回まで無料 | 220円〜 | 165円〜 3万円以上の場合は無料 | 110円 |
Pay-easy | ◯ | ◯ | ◯ | × |
口座開設日数 | 最短即日 | 2週間ほど | 最短即日 | 2週間ほど |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
1. GMOあおぞらネット銀行

振込手数料 | 145円 月最大20回まで無料 |
ATM手数料 | 110円 月5回まで無料 |
Pay-easy | ◯ |
口座開設日数 | 最短即日 |
開業直後でも作りやすい法人口座を探しているなら、GMOあおぞらネット銀行がおすすめです。
- 振込手数料が月10回まで無料
- スタートアップ企業を応援している
- 最短当日中に口座開設できる
GMOあおぞらネット銀行は振込手数料が145円(税込)と安い上に、月に10回までなら無料になります。
さらに、開業1年未満なら「スタートアップ企業さまの応援施策」として、月20回まで無料です。期間は口座開設から1年間続きます。
また、最短当日に口座開設できるのも嬉しいポイントです。印鑑や郵送物のやりとりも必要ないため、気軽に開設できるでしょう。
2. 楽天銀行

振込手数料 | 150円〜 月最大7回まで無料 |
ATM手数料 | 220円〜 |
Pay-easy | ◯ |
口座開設日数 | 2週間ほど |
安心感で選びたい方、または楽天系のサービスを利用している方には楽天銀行もおすすめです。
- 口座開設数が1,300万と多い
- ATM手数料が月に7回まで無料
- 楽天証券と連携で預金金利が0.1%
楽天銀行はネット銀行の中でも利用者が多く、2023年6月12日現在で1,300万口座を誇ります。多くの事業主が利用しているため、安心感は抜群です。
ATM手数料は月3回まで無料です。さらに、無料で「ハッピープログラム」にエントリーすれば、最大で月7回まで無料になるため、まず不便は感じないでしょう。
また、楽天証券と連携すれば預金金利が0.1%にアップします。配当金なども自動で受け取れるため、資産運用を実践している人には便利です。
3. PayPay銀行

振込手数料 | 160円 |
ATM手数料 | 165円〜 3万円以上の場合は無料 |
Pay-easy | ◯ |
口座開設日数 | 最短即日 |
急ぎで口座開設したい場合は、PayPay銀行を選びましょう。
- 最短当日中に口座開設できる
- 最大3,000件の振込を一括で行える
- 複数人で口座を管理できる
PayPay銀行は、ネットから申し込みすれば最短当日中に口座開設ができます。口座開設の際は、開業届などの事業実態確認書類が必須です。
「WEB総振」では、振込内容をCSVデータで作成してアップロードすれば、最大3,000件の振込を一括で行えます。定期的な支払いなどの手間を省けるでしょう。
また、口座の複数人管理も可能です。振替が楽になる上に、資産を均等にする「バランス振替」もできるため、資金移動を効率化できます。
4. 住信SBIネット銀行

振込手数料 | 145円 |
ATM手数料 | 110円 |
Pay-easy | × |
口座開設日数 | 2週間ほど |
補助金や融資の活用を考えている、または活用する可能性がある方には住信SBIネット銀行が最適です。
- 最大3,000万円の融資を受けられる
- 助成金・補助金の診断ができる
- アプリから残高や明細の確認ができる
住信SBIネット銀行の口座開設者は、事業性融資「dayta」で最大3,000万円の借入ができます。決算書等は必要なく、無担保・無保証で借入可能です。
また、事業内容や従業員数などを入力すれば、受給できる助成金・補助金の種類や金額を無料で調べられます。コンサルティングも割引で受けられます。
また、専用アプリから残高や明細の確認ができる点も便利です。アプリならATMからの出金も行えるため、キャッシュカードを持ち歩く必要はありません。
ネット銀行法人口座を選ぶ5つのポイント
ネット銀行を選ぶ際は、次のポイントを意識しましょう。
- 他行振込手数料
- Pay-easyへの対応
- 口座振替の有無
- ローンサービス
- 口座開設までの日数
1. 他行振込手数料
まずは振込手数料をチェックしましょう。取引先などに振込を行う際、手数料が高いと長期的にかなりの負担になってしまいます。
振込手数料は銀行によって大きく異なります。また、口座によっては一定回数まで無料になるケースもあるため要チェックです。
ネット銀行なら、比較的手数料は安い傾向にありますが、きちんと比較しておきましょう。
ネット銀行 | 振込手数料 |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 145円 月最大20回まで無料 |
楽天銀行 | 150円〜 月最大7回まで無料 |
PayPay銀行 | 160円 |
住信SBIネット銀行 | 145円 |
特に、GMOあおぞらネット銀行なら振込手数料が月最大20回まで無料になるのでおすすめです。
2. Pay-easyへの対応
Pay-easyとは、収納機関と金融機関をネットワークで結ぶサービスです。
Pay-easyがあれば、社会保険料や労働保険料などを口座振替できます。その他、地方税などの税金もネットから振込できるので便利です。
ネット銀行であれば、多くの口座がPay-easyに対応しています。
ネット銀行 | Pay-easyの利用 |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | ◯ |
楽天銀行 | ◯ |
PayPay銀行 | ◯ |
住信SBIネット銀行 | × |
3. 口座振替の有無
口座振替が利用できるかどうかもチェックしましょう。
口座振替に対応していれば、各種保険料や税金などが自動的に口座から引き落とされます。コンビニなどに収納代行に行く手間がかからないため、大変便利です。
ネット銀行 | 口座振替 |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | ◯ |
楽天銀行 | ◯ |
PayPay銀行 | ◯ |
住信SBIネット銀行 | ◯ |
なお、口座振替が可能な取引先は銀行によって異なるため、あらかじめ公式サイトで確認しておきましょう。
4. ローンサービス
融資を検討しているなら、ローンサービスの内容も重要です。
法人口座があれば、ビジネスローンで融資を受けられます。限度額や金利は口座によって変わるため、口座開設前にサービスの内容を理解しておきましょう。
ネット銀行 | 限度額 | 金利 |
---|---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 500万円 | 0.9〜12.0% |
楽天銀行 ※1 | – | – |
PayPay銀行 | 1,000万円 | 1.8〜13.8% |
住信SBIネット銀行 | 3,000万円 | 条件により変動 |
※1 無担保ビジネスローンの取り扱いはなし
特に、住信SBIネット銀行なら最大3,000万円の融資を受けられるため、融資を受けたい方にはおすすめです。
5. 口座開設までの日数
早く事業に使いたい場合は、口座開設までの日数を考慮しましょう。
口座開設にかかる時間は、法人口座によって大きく異なります。場合によっては1ヶ月以上かかるケースもあるので、早急に口座が必要なケースでは要注意です。
ネット銀行なら、早ければ最短即日で口座開設が完了します。
ネット銀行 | 口座開設日数 |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 最短即日 |
楽天銀行 | 2週間ほど |
PayPay銀行 | 最短即日 |
住信SBIネット銀行 | 2週間ほど |
特に、PayPay銀行の法人口座なら最短当日中に開設できるので、急ぎの方はぜひ開設してみましょう。
ネット銀行法人口座の3つの審査基準
法人口座の審査においては、ご自身の事業を信頼してもらうことが大切です。具体的に重視される項目について見ていきましょう。
- 事業内容
- 事業所の場所
- ホームページなどの有無
1. 事業内容
審査では、まず事業内容をチェックされます。
理由として、事業内容があいまいだったり不明瞭だったりする会社だと、口座を不正利用されるリスクがあるためです。
法人口座は、個人の口座よりも人物を特定されにくい傾向にあります。したがって、テロ組織などの資金調達に使われるケースが後を絶ちません。
書類や申込内容でどんな事業を行っているのかきちんと説明できないと、審査落ちの原因になるでしょう。
2. 事業所の場所
事業所の住所も大切です。
バーチャルオフィスはきちんと登記が行われていないため、不信感を抱かれる原因になります。申し込み内容と住所の書類が違う場合も要注意です。
また、引っ越しばかりでまだ家賃を支払っていない場合も、信頼されにくいでしょう。
きちんと事業所があり、賃貸借契約が結ばれていれば、審査に通る可能性は高くなります。
3. ホームページなどの有無
審査では、事業実態がきちんと伝わるかどうかが重要です。
例えば、ホームページがあればきちんと運営されている会社だとわかるので、信頼性が高まります。ホームページがあるなら、積極的にアピールしましょう。
また、固定電話の有無も審査のポイントです。
最近ではスマホで連絡を済ませる人も多いですが、金融機関によっては固定回線の有無が口座開設条件になっているケースもあるため注意してください。
ネット銀行法人口座を作りやすくなる3つのポイント
法人口座の審査に落ちるのが心配な場合は、次のような対策を立てておきましょう。どれも簡単に実践できます。
- 書類の不備をなくす
- 事業内容を明確に説明する
- 固定電話を設置する
1. 書類の不備をなくす
必要な書類はきちんと用意しましょう。
金融機関によって必要書類が異なります。ネット銀行なら多くは本人確認書類のみで作成できますが、一方、メガバンク等では次のような書類が必要です。
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 事業実態確認資料
書類に不備があると、きちんと審査が行われません。さらに、事業主としての信用を失ってしまうため、書類はしっかりチェックしましょう。
2. 事業内容を明確に説明する
事業内容をしっかり説明できるよう準備しておきましょう。
口座開設にあたっては、正当に事業が運営されているのか知った上で審査を行われます。資料を用意してわかりやすく説明できれば、信頼性が高まるでしょう。
ホームページや名刺、事業計画書など、事業内容を裏付けられる資料があれば、用意しておくと有効です。
3. 固定電話を設置する
審査においては、固定電話の有無が重要です。
固定電話が設置されていれば、ある程度信頼性のある企業だと判断されやすくなります。普段連絡をスマホで済ませている方も、固定電話を設置しましょう。
なお、ホームページもあるとベストですが、制作には数十万〜数百万円ほどかかるため非現実的です。固定電話なら、毎月1,500〜2,500円ほどで設置できます。
作りやすいネット銀行法人口座に関するQ&A
- 法人口座をネット銀行で作るメリットは?
- いつでも取引できるのがメリットです。
ネット銀行の多くは24時間365日営業しているため、深夜や早朝であっても入出金などの手続きを行えます。
また、オンラインで申し込みが完結するため、口座開設が楽なのも嬉しいポイントです。
- 法人口座をネット銀行で作るデメリットは?
- 対面での相談ができないのがデメリットです。
ネット銀行は、実店舗を設置しないことにより格安の手数料を実現しています。したがって、店舗に行って担当者に事業に関する悩みを相談することはできません。
銀行と長く深く付き合っていきたいという方は、あえてネット銀行を選ばないのもひとつの手です。
- 法人口座におすすめなメガバンクは?
- 最もおすすめなのはゆうちょ銀行です。
ゆうちょ銀行は振込手数料が165円(税込)で、他社より安く設定されています。参考までに、三井住友銀行は330円、みずほ銀行は660円です。
また、ペイジーにも対応しているため、不便を感じることは少ないでしょう。
- 法人口座におすすめな地方銀行は?
- 地方銀行の場合、特定のおすすめはありません。
なぜなら、地方銀行はあくまで特定の地域に寄り添ったサービスだからです。サービス内容に魅力を感じても、対象地域外の方は利用できません。
一方、対象地域に住んでいれば、全国対応のネット銀行やメガバンクよりも口座開設がしやすくなる可能性もあります。
- 法人口座におすすめな信用金庫は?
- 信用金庫にも特定のおすすめはありません。
信用金庫は地域社会反映のために経営されており、地方銀行と同じく特定地域に寄り添ったサービスです。
サービスによって対象地域が異なるため、まずは地域内のサービスを比較検討することが重要になります。
まとめ
ネット銀行を選ぶときは、口座開設条件や書類などをチェックしておくことが重要です。特に、開業したての方は、条件の易しい口座を選びましょう。
ネット銀行なら、手続きはオンラインで完結する上に、数日で口座開設できます。審査が不安な方も、気軽に申し込みを検討してください。
- 比較するときは振込手数料やローンサービス、口座開設までの日数を確認する
- 口座開設の審査では事業内容や書類、所在地などを見られる
- 審査の際は書類の不備をなくし、事業内容をきちんと説明できるよう準備する