株式投資をしている方の中には上記のように悩んでいる方もいるでしょう。
基本的に株式投資を行う場合には税金が発生します。
株式投資をしたことない方は「どのような税金がどのくらいかかるのか」、既に株式投資をしている方は「節税方法はないのか」と考えているのではないでしょうか。
この記事では、株式投資に確定申告は必要なのか、株式投資にかかる税金、準備するべき書類と注意点などを解説します。
また、株式投資の節税対策も合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 利益が出た場合、確定申告が必要
- 損失が出た場合、基本的に確定申告は不要
- 株取引には、株の売却と配当にかかる税金がある
- 確定申告した場合、控除が受けられなかったり保険料が上がったりする可能性がある
- 株取引で損失が出た場合に確定申告すると節税に繋がる可能性がある
もくじ
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そもそも確定申告とは?
そもそも確定申告とは、どのようなものなのでしょうか。
ここでは、確定申告の特徴や確定申告をしなければならない人の特徴を紹介します。
確定申告とは
確定申告とは、収入に対してかかる税金(所得税)を自分で計算して精算する手続きのことです。
私たちが生活していくためには、仕事をして収入を得る必要があります。
会社を経営する、アルバイトやパート・株式投資の配当金で生活するなど、収入を得る方法は人それぞれです。
この収入から必要経費を引いたものを税法では所得と呼び、その種類に応じて分けれます。
- 利子所得
- 配当所得
- 事業所得
- 事業所得
- 不動産所得
- 給与所得
- 退職所得
- 譲渡所得
- 山林所得
- 一時所得
- 雑所得
税法では、この所得が出たら税金を支払わなくてはならず、1年間の所得を集計して税金を計算して自ら申告・納税を行います。
これを確定申告を呼ぶのです。
確定申告しなければならない人とは
確定申告をしなければならない人は、個人事業主やフリーランスの方や、副業を行っているサラリーマンの方などです。
サラリーマンの場合は、以下の項目にどれか一つでも該当すれば確定申告が必要となります。
- 主たる給与収入が2,000万円以上
- 主たる給与収入で年末調整ができなかった
- 主たる給与収入において年末調整をして、従たる給与の収入合計が20万円以上と、2ヶ所以上からの給与がある※主たる給与とは給与所得者の扶養控除等申請書を提出している方
- 副業による事業所得・土地やアパートを賃貸して得た所得(不動産所得)・不動産などを売却して得た所得(譲渡所得)などの所得合計が20万円以上
- 同族会社の役員が給与の他に会社からの貸付利息・地代家賃などを受け取っている場合※所得金額が20万円以下でも申告が必要
サラリーマン以外の場合、以下の項目に該当すれば確定申告が必要となります。
- 個人事業主やフリーランスの方が得た所得(事業所得)・土地やアパートを賃貸して得た所得(不動産所得)などの合計から所得控除を引いてもなお残額がある
- 公的年金等受給者で、公的年金などに掛かる雑所得から所得控除を引いてもなお残額がある
株式投資で確定申告が必要な場合と不要な場合
株式投資では、どのような場合に確定申告をする必要があり、どのような場合には確定申告しなくても良いのでしょうか。
ここで詳しく紹介します。
株式投資で確定申告しなければならない場合
株式投資で確定申告しなければならないのは、原則的に給与所得以外の利益が20万円以上の場合です。
たとえ株式投資であっても利益が出れば税金が課されるため確定申告が必要となります。
ただし、株取引を行うためには「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」「特定口座(源泉徴収あり)」と、3つの方法があります。
理由は後述しますが、上記3つの方法のうち「特定口座(源泉徴収あり)」は、確定申告する必要はありません。
そのため、株式投資で確定申告しなければならないのは、「一般口座」「特定口座(源泉徴収なし)」で株取引を行い利益が出ている場合のみです。
- 給与所得以外に20万円以上の利益がある場合
- 一般口座・特定口座(源泉徴収なし)で取引をして利益が出ている場合
株式投資で確定申告しなくてもよい場合
株式投資で確定申告しなくてもよい場合は、原則的に損失が出ている場合です。
損失が出ている際には税金を納税する必要がないため、確定申告は必要ありません。
また、利益が出ている場合でも「特定口座(源泉徴収あり)」で株取引をした場合は、確定申告する必要ありません。
なぜなら証券会社が予め所得税などを源泉徴収して納税しているからです。
そして、NISA口座を利用して株取引を行い、譲渡益が出た場合も確定申告が不要になる場合もあります。
NISAに関しては、年間120万円までの投資額に関する譲渡益・配当に関しては5年間非課税となる制度であるため、非課税枠の譲渡益・配当に関しては確定申告をする必要はありません。
- 株式投資において損失が出ている場合
- 特定口座(源泉徴収あり)で取引をしている場合
- NISA口座を利用して非課税枠での投資をしている場合
株の確定申告をする際に注意すべきこと
株の確定申告をする際には注意すべきことがいくつかあります。
- 一般口座を利用する場合、年間取引報告書の作成が必要
- 配偶者控除・扶養控除が受けられなくなる可能性がある
- 国民健康保険料・介護保険料が上がる可能性がある
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
一般口座を利用する場合は年間取引報告書の作成が必要
一般口座を利用する場合には、年間取引報告書を作成する必要があります。
1月1日から12月31日までの売買損益を計算して年間取引報告書を作成して確定申告を行うと言う流れになるため、手間が掛かってしまいます。
利用しているのが特定口座の場合には、証券会社が年間取引報告書を作成してくれるため手間はかかりません。
納税も証券会社に任せることができるので便利ではありますが、源泉徴収ありで課税対象の所得が20万円以下であっても納税されてしまうため注意が必要です。
配偶者控除・扶養控除が受けられなくなる可能性がある
確定申告すると、配偶者控除・扶養控除の適用可否の判定に株式投資の利益も含まれてしまいます。
そのため、家族が配偶者控除・扶養控除を適用できなくなり、税負担が増える可能性がありますので注意してください。
所得税を計算する場合に配偶者控除・扶養控除が適用できると、所得金額から所得の控除額を引いた上で税率をかけられるので税負担を抑えられます。
これらの控除を適用するためには、いくつかの要件を満たす必要があり、その中の一つに配偶者や扶養家族の所得金額が一定以下である必要があります。
配偶者控除
例えば、配偶者控除の場合、年間合計所得金額が48万円以下の配偶者がいる人が対象で、1年間に配偶者が得た所得と合計して48万円以上となるかで適用の可否が決定します。
このときポイントとなるのが配偶者が株式投資で得た利益です。
配偶者が確定申告を行っていると株で得た利益が48万円の対象に含まれますが、確定申告を行っていないと対象外となっていまいます。
扶養控除
扶養控除についても、配偶者控除と考え方は同じです。
本人が確定申告を行うと株の利益が控除の適用可否の対象となった場合、家族が扶養控除を適用できなくなります。
その結果、税負担が増えてしまうため注意が必要です。
また、特定口座(源泉徴収あり)で株取引を行い、利益が出た場合には前年から繰り越している損失と相殺するためには確定申告をしなければなりません。
確定申告すれば、当年の利益と前年の損失を相殺できて節税に繋がります。
しかし、配偶者控除・扶養控除の対象外になれば、世帯としての税負担が増えてしまうため注意してください。
国民健康保険料・介護保険料が上がる可能性がある
確定申告すると、国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料の保険料計算に株式投資の利益が含まれてしまい、その結果、保険料が上がってしまう可能性があります。
国民健康保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料は、本人の所得金額などをもとに算出します。
本人が確定申告をしている場合、株式投資で出た利益は保険料計算に含まれますが、確定申告をしていない場合には保険料計算に含まれません。
例えば、特定口座(源泉徴収あり)で取引を行って利益が出て繰越済みの過去損失と相殺します。
そのため、確定申告する場合には国民健康保険料などが上がる可能性があることを頭に入れておきましょう。
なお、住民税については申告不要制度を使用することで、株で得た利益が保険料査定基礎に含まれずに済んで保険料の上昇を回避することが可能です。
この申告不要制度を使用するためには、自治体に申告書を提出しなければならないため、申告書の用紙を入手する方法などをお住まいの自治体に問い合わせてください。
株式投資に掛かる税金とは
もちろん株式投資を行って利益が出た場合には税金がかかります。
その税額は給与所得・不動産所得・事業所得など、総合課税の対象(対象となる全所得の合計金額が課税対象)となる所得とは分離して課税される分離課税方式で計算されます。
所得税は、所得が多くなれば多くなるほど税率が高くなる累進課税が原則ですが、株式投資の場合は分離課税(所得の種類ごとに個別で課税)となります。
そのため、どれだけ多くの利益を出したとしても、累進課税が適用されることはありません。
売買の結果で得た利益にかかる譲渡益課税
売買の結果で得た利益に対しては、所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の合計で20.315%の税金が掛かります。
株取引で損失が出てしまった場合には税金がかからず、その年の他の取引で生じた売却益やその年に受け取った配当と相殺することが可能です。
これを、損益通算と呼びます。
株取引で利益が出た場合、原則として確定申告が必要ですが、以下のような場合には確定申告は不要です。
- 証券会社の口座が特定口座(源泉徴収あり)の場合
- サラリーマンで売却益が20万円以下の場合
譲渡で得た所得に対して以下の税率分を申告・納税する必要があります。
譲渡で得た所得 × 20.315%(所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%)
上場株式だけではなく、一般株式(非上場)の場合も上記の方法で算出することができます。
配当金を受け取ったときに天引きされる配当課税
株の利子や配当金にも課税されます。
上場株式の配当に対する税率は、2013年12月31日までは原則10.417%でしたが、2014年以降20.315%になっていることから、一気に2倍に増税されたということが分かります。
- 上場株式の場合:株式の利子・配当金等の所得 × 20.315%
- 一般株式(非上場)の場合:配当等の所得 × 20.42%(所得税及び復興特別所得税20.42%・住民税なし)
ネット証券会社おすすめ5選
この章では、メイン口座にぴったりのおすすめネット証券会社を紹介してきます。
- SBI証券
- LINE証券
- 松井証券
- SBIネオトレード証券
- DMM株(DMM.com証券)
おすすめ証券会社 第1位:SBI証券
- 初心者から上級者まですべての人におすすめ
- ネット証券口座開設者数No. 1
- IPO取扱銘柄No. 1
- iDeCo加入者数、ネット証券No. 1
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おすすめ証券会社の第1位はSBI証券です。
SBI証券の魅力は、手数料の安さや豊富な株式銘柄、そしてNISAやiDeCoの取扱など、証券会社に求めるほぼすべてのものを網羅しているところです。
プロ証券トレーダーは、SBI証券をメイン口座として開設して、その他の証券会社を目的に応じてサブ口座として開設している方が多いです。
手数料は、現物・信用取引ともにそれぞれ1日100万円まで手数料0円と、とても安いです。
また、スマホアプリやPCツールの機能性も高く、マーケット情報も充実しており、まさに総合力No. 1。
グループで700万以上の口座数を誇るネット証券業界トップのSBI証券は、おすすめ第1位の証券会社です。
おすすめ証券会社 第2位:LINE証券
- LINEアプリから簡単に利用できる
- 有名企業の株が1株単位で買える
- LINE Payから入金・出勤できる
- LINEポイントで投資できる
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おすすめ証券会社の第2位は、LINE証券です。
LINE証券は、普段利用しているLINEアプリから簡単に利用できることが魅力です。
注文から売却まで全てLINEアプリ内で完結することができるので、手軽に始めたい方におすすめです。
LINE証券には、「いちかぶ」という、有名企業に1株数百円から投資できるシステムがあり、初期投資をぐんと減らすことができます。
取引手数料は、現物取引〜5万円:55円・〜10万円:99円で、信用取引は無料です。
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おすすめの証券会社 第3位:松井証券
- 100年以上の歴史がある
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株式の取引は確定申告をする方がお得になる?
株の確定申告で節税はできるのでしょうか。
結論からいうと、以下のように株の確定申告であっても節税することは可能です。
- 株式投資で損をした場合にできる節税とは?
- NISAの口座なら非課税
- 利益が38万円以下の場合還付がある
- 株の損失を3年間繰り越すこともできる
それでは見ていきましょう。
株式投資で損をした場合に出来る節税とは?
株式投資で損失が出た場合には、損をした年の翌年に確定申告を行って損益通算をすることで、税負担を軽減できて節税に繋がる可能性があります。
損益通算とは、確定申告をして損失と利益を相殺することで、利益額から損失額を引いた金額に税率を掛けて税金を算出することができます。
例えば、2021年の年間損益が「譲渡損失300万円」「利子・配当所得20万円」の場合、年間を通したら270万円の損失となります。
譲渡損失:−300万円
利子・配当所得:+20万円
計算方法:「-300万円」 + 「+30万円」 = −270万円
まずは、利子・配当所得20万円の利益があるため、この20万円に税率20.315%を掛けた40,630円が源泉徴収されます。
とはいえ、年間を通して270万円の損失となっているため、20万円の利益が相殺されて源泉徴収された40,630円が還付されます。
このように、損益通算をしないで利益額そのものに税率を掛けて税額を求めたときよりも税金が安くなります。
この損益通算は、複数の証券会社の口座を運用している場合でも適用可能です。
特定口座(源泉徴収あり)で株取引している場合、確定申告を行う義務はありません。
しかし、異なる証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で生じた損失と利益を通算するためには確定申告が必要です。
異なる証券会社の間で顧客の損益に関する情報を交換し、自動的に損益通算を行ってくれるわけではないということを覚えておきましょう。
NISAの口座なら非課税
NISAとは、投資の税金が非課税となる優遇税制のことで、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAと、さまざまな種類があります。
1年間で決まった金額の投資を行うことが出来て、一定期間は利益に税金はかかりません。
つまり、NISA口座を利用しての株取引は非課税となるため、確定申告は必要ありません。
しかし、利益が38万円以下で他に収入のない場合には確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。
利益が38万円以下の場合還付がある
株取引で利益が出た場合、利益が38万円以下なら確定申告を行うことで還付を受けられる可能性があります。
例えば、他に収入のない専業主婦の場合は、基礎控除(所得税・住民税の計算をする際に一律で差し引かれる控除)である38万円を譲渡所得から差し引くことが可能です。
つまり、税率が課される課税所得は0円となり、確定申告を行えば税金が戻ってくるということです。
株の損失を3年間繰り返すこともできる
損失が出た年の翌年に確定申告を行って、その後も継続して確定申告することで翌年以降最長3年間繰り越すことができます。
翌年以降に利益が出た際に繰越済みの過去の損失と、その年の利益を通算してから税金を計算することが可能です。
利益額に税率を掛けるのではなく、利益額から過去の損失額を引いた上で税率を掛けられるため、税負担を軽減できます。
このように損益通算をしても損失が残る場合は、確定申告で損失繰越を行っておくと節税に繋がります。
株の確定申告で準備するべき書類
株の確定申告で準備するべき書類は以下の通りです。
- 確定申告書B(第一表・第二表)
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 株式等に係る譲渡所得者の金額の計算明細書
- 所得税の確定申告書付表
それでは詳しく見ていきましょう。
確定申告書B(第一表・第二表)
確定申告書にはAとBの2種類ありますが、株式投資の場合には下の様な確定申告書Bを使います。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r03/02.pdf
確定申告書B(第一表)では、収入金額・所得金額・所得から差し引かれる金額を記載して税金の計算を行います。
一方、確定申告書B(第二表)で記入するのは、所得の内訳・所得から差し引かれる医療費控除・社会保険料控除といった各所得控除の内容・住民税・事業税に関する事項です。
確定申告書第三表(分離課税用)
確定申告書第三表(分離課税用)は、その名称の通り分離課税の所得がある場合に使用する用紙です。
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r03/03.pdf
先ほど紹介したように、株式投資による利益は譲渡益であり分離課税(他の所得とは別で計算する税金)となるため、確定申告書第三表(分離課税用)が必要なのです。
この確定申告書第三表(分離課税用)には、取引した株式投資の内容を記入します。
株式等に係る譲渡所得者の金額の計算明細書
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/pdf/X/X19.pdf
確定申告書第三表(分離課税用)を提出する際、原則として株式等に係る譲渡所得者の金額の計算明細書を添付しなければなりません。
この株式等に係る譲渡所得者の金額の計算明細書には、取引した株式投資の損得の内訳を計算して記します。
所得税の確定申告書付表
出典:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2020/pdf/X/X1.pdf
所得税の確定申告書付表は、取引した株式投資で損失が出てしまい、譲渡損失の繰越控除を利用したい場合に使用する用紙です。
この所得税の確定申告書付表には、繰越控除を受ける1年間の損失を記します。
株の確定申告でよくある質問
最後に株の確定申告でよくある質問をいくつか紹介します。
- 確定申告をしなかったらどうなる?
- 株の収入が20万円以上でなければ納税の義務はない?
- 外国株式の配当金や譲渡損益はどのように課税されるの?
- 上場株式等の譲渡損失の繰越手続きを忘れた場合は?
ここで疑問を解決しておきましょう。
確定申告をしなかったらどうなる?
株取引で確定申告をする必要があるのにもかかわらず行わなかった場合には、ペナルティが発生します。
通常は「無申告加算税」という懲罰が課されます。
無申告加算税とは、法で定められた申告期限(所得税の場合は翌年の3月15日)までに必要な確定申告を行わなかった場合に納税者に課される国税のことです。
納税額に対して50万円までは15%・50万円を超える場合には20%の無申告加算税が発生します。
また、遅れて納税する場合にも延滞税が発生し、納期限の翌日以降は7.3%・2ヵ月以上経過した場合には14.6%と延滞税の負担が大きくなります。
株の収入が20万円以上でなければ納税の義務はない?
株の収入が年間20万円以下であれば申告は不要ですが、あくまでも所得税に限ってのことです。
市区町村に支払う住民税については、20万円以下というような特別措置はなく、別途申告する必要があります。
確定申告は所得税額を算出して申告するもので、この確定申告の情報がそのまま市区町村に送られます。
住民税は所得に応じて加算されるので確定申告の情報をもとに決まります。
しかし、20万円ルールに基づいて確定申告を行わなければ自治体に必要な情報が届かないため、収めなくてはならない住民税を収め忘れる可能性があります。
外国株式の配当金や譲渡損益はどのような課税されるの?
外国株式の配当金を受け取った場合でも、基本的に国内株式の配当金を取り扱う際と同様です。
とはいえ、配当金に外国勢が課されている場合には外国税控除後の金額に対して国内での源泉徴収となります。
国内での源泉徴収税率は、上場株式等の配当金の場合には税率20.315%となり、外貨受け取りをした場合でも邦貨換算を行ってから税金を算出します。
一方、譲渡損益の取り扱いはどのようになっているのでしょうか。
外国株式を売却した際に外貨で受け取ったとしても、約定日の為替レートによって邦貨換算を行います。
その後、譲渡損益を計算して国内株式と同様に申告分離課税の対象となり、邦貨換算にあたり生じるため替差損益は株式の譲渡損益に含まれます。
上場株式等の譲渡損失の繰越手続きを忘れた場合は?
損失の繰越手続きを確定申告期限後に行うことができるかどうかは、損失が生じた口座の区分・その年の確定申告をしているかによって異なります。
当年分よりも前に生じた上場株式等の譲渡損失について繰越控除適用のために申告していない場合の取り扱いはケースによって異なります。
- その年の確定申告をしていない場合:期限が過ぎていても申告できる可能性がある
- 特定口座(源泉徴収なし)の損失分または一般口座の損失分を除いて確定申告をした場合:確定申告のやり直しができる可能性がある
- 特定口座(源泉徴収あり)の損失分を除いて確定申告をした場合:損失の繰越はできないとされる
このように、特定口座(源泉徴収あり)で生じた損失分を除いて確定申告をした場合には、申告期限後に確定申告のやり直しをすることはできません。
また、譲渡損失を住民税の納税通知書送達後に申告した場合、住民税では3年間の繰越控除の適用が受けられませんので注意してください。
株の確定申告まとめ
- 利益が出た場合、確定申告が必要
- 損失が出た場合、基本的に確定申告は不要
- 株取引には、株の売却と配当にかかる税金がある
- 確定申告した場合、控除が受けられなかったり保険料が上がったりする可能性がある
- 株取引で損失が出た場合に確定申告すると節税に繋がる可能性がある
今回は、株の確定申告について詳しく解説してきました。
- 株の確定申告は利益が20万円以上の場合に必要
- 損失が出た場合は基本的に不要だが、確定申告することで節税に繋がる
- 株式投資にかかる税金は、譲渡益課税と配当課税
- 株の確定申告では、確定申告書Bと確定申告書第三表などが必要
- 株取引で確定申告しなかった場合、ペナルティが課されるため注意が必要
株式投資では、使用する口座によって確定申告するべきかどうかが変わり、確定申告が不要な場合でもあえて確定申告することで節税に繋がることもあります。
少しでも節税したい方は、損益通算・繰越控除・NISA口座を活用すると良いでしょう。
今回紹介したことを参考に、株式投資に関する確定申告をしてみてください。