高度障害状態とは非常に重い障害となり、その後の生活へ重大な支障を及ぼすことになる状態をいいます。
生命保険(死亡保険)は被保険者が死亡しないと、保険金は下りないと思う方々もいらっしゃることでしょう。
しかし高度障害は非常に深刻な状態であるため、被保険者が高度障害になった場合には、死亡保険金と同額のお金が下りることになります。
この下りるお金を「高度障害保険金」と言います。
高度障害保険金を活用する場合、保険契約で設定した金額によってまとまったお金が下りることになります。
ただし保険金が下りる条件は非常に厳しく、請求したくてもその手続きに戸惑われる場合があるでしょう。
そこで今回は、高度障害保険金を受け取れる条件について詳しく解説します。
この記事を読めば、高度障害とはどんな状態をさすのか、高度障害保険金の請求方法やその注意点についてよくお分かりになることでしょう。
記事監修者紹介
松葉 直隆 / 保険のプロ
大学卒業後、損保ジャパン日本興亜代理店の保険会社にて5年以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。 その後、2016年6月より保険のドリルをはじめとする保険媒体を経て、現在はマネーグロースにて記事監修を務める。
目次
1.高度障害状態について
高度障害、生命保険のパンフレットにはよく目にする障害なのだが、いまいちどんな状態をさすのかよくわからない。
身体の各部位によって、高度障害とされる条件はあるのだろうか?
実は、高度障害状態と認められるために細かい条件が設定されています。
こちらでは、高度障害状態とは何か、身体の各部位における高度障害状態の認定基準について解説します。
1-1.高度障害状態とは
高度障害状態とは、自分では通常の日常生活を営むことが極めて困難となった、非常に重い障害状態を指します。
高度障害と認められるためには、次のような状態のいずれかに該当することが条件となります。
- 両眼の視力を全く永久に失った
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要する
- 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った
- 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失った
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失った
次項では、この7つの状態が具体的にどんな場合を指すのかを解説します。
1-2.目や言語等の障害状態
眼と言語等の高度障害については次の状態が該当します。
- 両眼の視力を全く永久に失った
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った
〇眼の障害
両眼とも障害状態と認められることが条件です。
ただし、完全に失明している状態というわけではありません。
つまり、①視力回復を目的とした手術の予定はなく、②メガネ・コンタクトレンズ等を装着しても両眼の視力が0.02以下、③回復の見込みが無い障害状態であることです。
〇言語等の障害
①回復の見込みが無く、②流動食以外に摂取できない状態で、③次のいずれかに該当し、言葉で自分の意思を伝えることが不可能な状態を指します。下表を参考にしてください。
言語障害(3つの内いずれかに該当する場合) |
(1)語音構成機能障害 |
・口唇音:ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ
・歯舌音:な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ ・口蓋音:か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん ・咽頭音:は行 この4種類のうち3種類以上の発音が不可能 |
(2)中枢性失語症 |
自分の頭の中で言葉を理解し、それに返答する言葉を作り出す働きの障害 |
(3)声帯(喉頭)全部摘出 |
声帯を摘出したことにより声が出せない状態 |
1-3.終身常時介護障害状態
寝たきりに近い状態を指します。
- 中枢神経系・精神または胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要する
常に他人の介護を必要する状態であり、次の状態のすべてに該当する場合は高度障害と認められます。
介護状態 |
(1)食物を摂取できない |
自らの力で箸やスプーン・フォーク等の食器を使用し、食物を口まで運ぶことが不可能な状態 |
(2)排便・排尿ができない |
洋式トイレを基準として、大便・小便の排出が自分では不可能な状態 |
(3)排便・排尿の後始末ができない |
大便・小便を排出した後に、汚物の身体への付着をトイレットペーパー等で拭うことが不可能な状態 |
(4)衣服着脱ができない |
Tシャツやトレーナー等を脱ぎ着することができない状態 |
(5)起居ができない |
横になった状態から、自分の力で起き上がり座位を保つことが不可能な状態。 |
(6)歩行ができない |
他人の介助がないと、自分の力で歩けない状態。ただし、杖・手すり等を使えば歩行できるなら高度障害に該当しない。 |
(7)入浴ができない |
他人の介助がないと、自力で浴槽に入ったり出たりすることが不可能な状態。ただし、手すり等を使って行えるなら高度障害に該当しない。 |
1-4.手や足の障害状態
必ずしも両腕または両足の障害の回復の見込みがない場合だけではないものの、日常生活を送る際に深刻な支障が出る状態といえます。
- 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った
- 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったか、またはその用を全く永久に失った
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失った
〇両上肢(両腕)の障害
両腕の切断や麻痺、関節の硬直で回復の見込みはない場合が該当します。次のいずれかに該当することで高度障害と認められます。
両腕の障害 |
(1)切断 |
両上肢(腕)を手首以上で切断した状態 |
(2)麻痺 |
両上肢(腕)の完全運動麻痺状態 |
(3)関節の硬直 |
①肩、肘、手首の各関節すべてが完全に硬直し、自分では形態を変えることが不可能な状態で、②回復の見込みがない状態 |
〇両下肢(両足)の障害
両足の切断や麻痺、関節の硬直で回復の見込みはない場合が該当します。次のいずれかに該当することで高度障害と認められます。
両足の障害 |
(1)切断 |
両下肢(足)を足首以上で切断した状態 |
(2)麻痺 |
両下肢(足)の完全運動麻痺状態 |
(3)関節の硬直 |
①股、膝、足首の各関節すべてが完全に硬直し、自分では形態を変えることが不可能な状態で、②回復の見込みがない状態 |
〇1上肢(腕)と1下肢(足)の障害
片腕片足の切断や麻痺、関節の硬直で回復の見込みはない場合が該当します。次のいずれかに該当することで高度障害と認められます。
片腕片足の障害 |
(1)切断 |
1上肢(腕)を手首以上で切断し、1下肢(足)を足首以上で切断した状態 |
(2)片腕切断・片足の麻痺または硬直 |
①1上肢(腕)を手首以上で切断し、②1下肢(足)の完全運動麻痺、または③股、膝、足首の各関節すべてが完全に硬直し、自分では形態を変えることが不可能な状態で、④回復の見込みがない状態 |
(2)片足切断・片腕の麻痺または硬直 |
①1下肢(足)を足首以上で切断し、②1上肢(腕)の完全運動麻痺、または③肩、肘、手首の各関節すべてが完全に硬直し、自分では形態を変えることが不可能な状態で、④回復の見込みがない状態 |
2.高度障害状態に関する公的制度について
第1章で取り上げた各部位の障害状態を見ると、どれも深刻な障害ばかりだ。
障害を負っている方々のために、公的な保障制度はあるのだろうか?
実は、いろいろと公的な保障制度があります。
こちらでは、障害を負っている方々の助けとなる公的介護保険と障害年金等について説明します。
2-1.公的介護保険が活用できる
申請により要介護認定を受ければ、公的介護保険を受けることができます。
厚生労働省によれば、受給者1人当たりの介護サービスを受ける費用の平均は192万2,000円となります(厚生労働省「介護給付費等実態調査月報(平成30年1月審査分)」)。
もちろん、介護保険が適用されるなら自己負担は1割~3割となります。
ただし、介護保険の受給資格は40歳からとなります。また、40〜65歳の方々(第2号被保険者と呼びます。)の介護保険の保障範囲は限定的で、十分な給付が受けられない場合があります。
高度障害状態になった方々すべてが、介護給付対象になるという制度ではありません。
2-2.障害基礎年金とは
障害を負っている方々のために公的年金が給付される制度もあります。
それが、「障害基礎年金」です。国民年金(基礎年金)加入者が対象となります。こちらは40歳未満であっても年金が受けられます。
年金額は次のようになります(平成30年4月分から適用)。
- 障害等級(1級):779,300円×1.25+子の加算
- 障害等級(2級):779,300円+子の加算
子(※)の加算
- 第1子・第2子:各224,300円
- 第3子以降:各74,800円
(※)子とは、①18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、②20歳未満で障害等級1級または2級の子が該当します。
原則として国民年金保険料が未納の場合等は、受給が認められないケースもあります。
2-3.障害厚生年金とは
給与所得者に該当する場合には、 「障害厚生年金」を利用することができます。
年金額は次のようになります(平成30年4月分から適用)。
- 障害等級(1級):(報酬比例の年金額)×1.25+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
- 障害等級(2級):(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
- 障害等級(3級):最低保障額584,500円
障害厚生年金の支給額は、厚生年金加入者の報酬や配偶者(65歳未満ならば加算)の存在でも大きく違ってきます。
2-4.その他の公的制度
給与所得者(サラリーマン等)が業務中に負った障害の場合には、更に労災保険の「障害補償給付」も受給できます。
この障害補償給付とは、業務上の傷病が治った後、障害が残った(固定化)した時に支給される給付です。
支給される給付の内容は次の通りです。
- 障害補償年金:第1級~第7級の重い障害に対して支給される年金です。
- 障害補償一時金:第8級~第14級の比較的軽い障害に対して支給される一時金です。
ただし、このような手厚い補償が約束されているのは、厚生年金の加入者が対象であり、残念ながら国民年金(基礎年金)加入者には補償されません。
3.生命保険の高度障害保険金について
障害を負った方々に対して公的な保障制度があることはありがたい。しかし、条件によっては対象にならないケースもある。
公的な保障制度ばかりをあてにするのではなく、やはり自分で民間の保険に加入することを検討するべきだろう。
では、.高度障害になった場合の保険金の詳細について知りたい・・・。
こちらでは、高度障害保険金とは何か、この保険を受け取る条件について解説します。
3-1.高度障害保険金とは
高度障害に該当した場合、生命保険会社から死亡保険金と同額の保険金を受け取ることができます。これが「高度障害保険金」です。
例えば、生命保険(死亡保険)で、死亡保険金を1,500万円と保険契約で設定していた場合、高度障害に該当し保険金を生命保険会社へ請求すれば、死亡保険金と同額の1,500万円が受取人に下りるわけです。
また、下りた高度障害保険金は非課税となるので、まとまったお金を受けっても税金はかかりません。
ただし、加入している生命保険が高度障害保険金を保障対象としていないならば、この保険金はそもそも受け取れません。
次項では、高度障害保険金が受け取れる条件について説明します。
3-2.高度障害保険金が受け取れる条件
高度障害保険金が受け取れる条件は次のようになります。
[1]高度障害の原因が、「責任開始日」以後に発生した約款所定の不慮の事故が原因の障害または発病した病気であること。
責任開始日とは、生命保険会社が受取人へ保険金の支払いを開始しなければならない、契約上の責任が発生した時期を言います。
この責任開始日は単に保険加入の申込書が提出された時ではなく、①申込み、②告知・診査(告知書や健康診断書等)、③初回保険料の払込みの全てが完了した時となります。
保険金が受け取れるのは責任開始日以後に負った高度障害状態となります。
[2]生命保険会社の約款に定める高度障害状態に該当すること。
生命保険会社の所定の高度障害状態にあてはまることが必要です。しかし、内容としては第1章で説明した障害状態に該当すれば問題ありません。
生命保険会社が障害状態を更に厳しく設定し直していることはありません。
[3]症状の回復がもはや見込めないこと。
治療や手術で回復することが見込めない状態を指します。なお、これ以上の悪化を防ぐリハビリ等を行う場合には、問題なく高度障害保険金が下ります。
3-3.災害と高度障害保険金
最近、わが国では大規模な自然災害が頻発しています。保険に現在加入中の人や、加入を検討している人は、災害に遭いそれが原因で高度障害状態になった場合、保険金が下りるか気になる方々もいらっしゃることでしょう。
生命保険には、特約として付けることができる「災害割増特約」というオプションがあります。
こちらの特約を付加していると、交通事故や土砂崩れ等、突発的な事故や災害(不慮の事故)で高度障害になれば、保険金を受け取ることができます。
しかし、残念ながら、原則として地震、津波等の大規模災害では生命保険は支払われないことが多いです。保険金が下りない「免責条項」として、保険契約の約款・しおり等に明記されていることがほとんどです。
ただし、2011年3月11日に発生した大規模地震災害である「東日本大震災」に関しては、各生命保険会社は被災者に保険金・給付金の全額を支払うことにしました。
なぜなら、東日本大震災の被害があまりに甚大だったために、免責条項を不適用とし、保険金の支払いに踏み切る例外的措置をとったのです。
保険各社の対応は英断といえますが、大規模災害が起きたからといって、今後も確実に保険会社が同様の措置をとるとは言えませんので、注意が必要です。
4.高度障害保険金の請求について
高度障害になれば、やはり高額な保険金を一度に受け取ることが期待される生命保険を頼りにすることだろう。
では、高度障害保険金の請求方法について詳細を知りたい・・・。
こちらでは、高度障害保険金請求の流れと必要書類等を解説します。
4-1.高度障害保険金請求の流れ
高度障害保険金は被保険者が高度障害状態になった場合、原則として受取人(高度障害状態になった本人)が請求することになります。
高度障害保険金請求は次のような流れになります。
- 高度障害保険金を受け取る事態が発生
- 保険契約者または受取人が生命保険会社へ連絡
- 生命保険会社から指示や、申請書類の送付が行われる
- 申請書に必要事項を記載し、添付書類を収集する
- 申請書等の必要書類を生命保険会社へ提出
- 生命保険会社が受理し保険金支払いの可否を判断する
- 受取人が高度障害保険金を受け取る
被保険者が高度障害状態になった場合、本人も家族も気が動転して、冷静な判断ができなくなることもあります。
生命保険会社へ電話連絡する場合は、できるだけ被保険者の状態、障害の原因等を記載したメモ書を読みあげて電話担当者に報告し、今後どのような請求手続きを行えば良いか、しっかりと聞いてから行動しましょう。
4-2.高度障害保険金請求の必要書類
受取人が請求の際に必要な書類は次の通りです。各生命保険会社によっては追加の書類を要求する場合があります。
- 保険金請求書:生命保険会社から取得します。生命保険会社のホームぺージから取得できる場合があります。
- 同意書
- 保険証券:ご自宅で保管している保険契約締結の際に受け取った書面です。
- 受取人の印鑑証明書:保険金額が500万円を超える場合に必要となることがあります。また、保険証券を紛失した場合にこの書類で代用できることもあります。
- 障害診断書:医師から作成してもらう書類です。
書類を作成・収集次第、速やかに生命保険会社へ提出しましょう。
4-3.高度障害保険金が下りた場合の使い道
高度障害保険金が無事下りて本人やご家族はひと安心かもしれませんが、遊興費に使ってはせっかく下りた保険金の意味がありません。
高度障害状態の人を介護しやすい環境に整えるため、そしてこれ以上症状が悪化しないため措置に、保険金を有効に活用するべきでしょう。
保険金の使い道としては次のようなことが考えられます。
〇自宅のバリアフリー化
高度障害状態になるとその本人や家族にも、日常生活へ重大な支障が出ることになります。
健常者には何ともない段差が、障害を持つ人にとっては歩行や移動への支障になったり、家族も高度障害者の人をスムーズに介護するためにはそれなりの設備が必要となったりします。
分譲マンションまたは一軒家がご自宅なら、バリアフリー化して充実した介護環境を整えることが大切になります。
一方、賃貸住宅やアパートに住んでいる家族なら、むやみに改修するわけにもいかないので、障害を負った本人や家族に配慮した住宅を新たに契約する必要があります。
このように、高度障害保険金はバリアフリー化の改修費、バリアフリー住宅の購入費として活用することが期待されます。
〇リハビリ費用
高度障害状態は前述した「終身常時介護障害状態」の場合だけではなく、ある程度自力で歩行や移動が可能な方々もいらっしゃいます。
また、これ以上障害状態を悪化させないためにも、継続的なリハビリは必要となります。
介護サービスは公的な介護保険なしでも、お金さえ出せば手厚いサービスが利用可能です。
公的給付が活用できない場合は高額になりますが、下りた高度障害保険金をリハビリ費用として、障害を負った人の自活や障害状態の悪化を防ぐために利用できます。
5.高度障害保険金の注意点
高度障害保険金は、高度障害状態に対応したサービスへ利用できる頼もしい存在だ。
では、この保険金を生命保険会社に請求する際、何か注意するべき点はあるのだろうか?
書類の不備に気を付けることはもちろんですが、ケースによっては保険契約を一方的に保険会社から解除されてしまう事態もあります。
こちらでは、高度障害保険金に関する注意点を解説します。
5-1.高度障害状態に該当すれば必ず保険金が受け取れるわけではない
第1章で取り上げた障害に該当するからといって、確実に加入している生命保険から高度障害保険金が下りるわけではありません。
とはいっても、通常の保険契約の規約にのっとり契約を締結し、責任開始日以後やむを得ない不運な事態に遭遇したり、病気となったりした結果、高度障害状態になった場合には、問題なく保険金が下ります。
次項では、気になる高度障害保険金が受け取れないケースについて解説します。
5-2.高度障害保険金が受け取れない場合とは
主に高度障害保険金が受け取れないケースは次の通りです。
[1]告知義務違反
保険契約の際には告知書の質問項目に、ご自分の持病や傷病歴を正直に記載する必要があります。これを「告知義務」と言います。
記載して書類提出した時点で生命保険会社から調査されることは必ずしもありませんが、後日、保険金請求の際などに調査を受けることもあります。
その時、黙っていたり嘘の記載をしていたりしたことが発覚すれば、最悪の場合は保険会社から契約を解除されることにつながります。
このような事態になると、いざという時に高度障害保険金が下りなくなり非常に金銭的に厳しい状況になることは明白です。
そのため、保険契約の際には正確かつ正直に、告知書へ記載することが大切です。
[2]契約が失効してしまった
保険料を滞納してしまった場合があげられます。何らかの事情でたまたま月払保険料が支払えなくとも、いきなり契約が失効することはありません。
しかし、どうしても今の保険料で契約を継続することが難しい時には、できるだけ早く生命保険会社のカスタマーセンター等へ連絡し相談してみましょう。
[3]責任開始日前に障害状態となった
やむを得ない事態と言えますが、残念ながら①申込み、②告知・診査(告知書や健康診断書等)、③初回保険料の払込みの全てが完了しない限り保険金は下りません。
保険に加入すると決めたならば、速やかに各手続きを済ませることが重要です。
[4]わざと高度障害状態になった
被保険者自身が、自傷・自殺行為等を行い故意(わざと)に約款に定める高度障害状態になったことが該当します。
このような事態は、保険金が下りないことに加えて犯罪行為に該当します。絶対にやめましょう。
5-3.高度障害保険金を受け取ると死亡保険金は受け取れない
高度障害保険金を受け取った後も、注意は必要な場合があります。
それは、高度障害保険金を受け取ったら、当該保険契約は解消されることになるからです。
つまり、高度障害保険金を再び受けられなくなることはもちろん、死亡保険金も下りなくなります。
高度障害状態になった人で、公的介護保険や障害年金等が利用でき、介護資金にある程度余裕もある場合、いきなり高度障害保険金を利用することは避けた方が無難です。
6.高度障害のためのおすすめの生命保険について
高度障害保険金が設定されている生命保険へ、これから入りたい方々もいることだろう。
その際に、高度障害保険金に対してどんな手厚い措置を設定している生命保険が理想的なのだろうか?
実は、生命保険に加入する場合、単に高度障害保険金を高く設定しておけば良いというわけではありません。
こちらでは、高度障害保険金に関しておすすめ保障が設定されている生命保険とは何かを解説します。
6-1.高度障害保険金を高く設定しておくだけでは不十分
高度障害保険金は、保険契約の際に下りる保険金額を1,500万円や2,000万円と高く設定していれば、支払う保険料が高くなるものの、いざという時には多額の保険金を受け取れることになります。
この場合、各生命保険会社とも高度障害保険金の請求人・受取人となるのが、原則として高度障害状態になった(被保険者)本人ということになります。
その時に、障害を負った本人が家族と相談して保険金の受け取りを待ちたい場合もあれば、本人が寝たきり等の状態になると、自分で請求することが難しく、指定口座にお金を振り込まれても自分で対応できない場合も想定されます。
次項では、これらのケースで役に立てたい生命保険のサービスについて解説します。
6-2.保険料払込免除措置とは
この措置は重い障害状態になった場合、以後の保険料の支払いを免除する措置です。
仮に高度障害状態になっても、介護保険の他いろいろな公的制度を利用できる場合があります。
それに加え潤沢な貯蓄があれば、高度障害状態になってもすぐに保険金請求を行わないというケースもあるのです。
そこで生命保険会社は、高度障害保険金を請求しないならば、この保険契約を継続する間、以後の保険料は免除し、できるだけ本人や家族の金銭的負担を減らすことに配慮する措置をとる場合があります。
この免除措置は保険の主契約に設定されている場合もあれば、特約という形で設定する保険商品もあります。
このような免除措置が設定されている生命保険は保険料の負担を減らす上でもおすすめです。
6-3.指定代理請求人制度とは
前述した通り、保険金は原則として高度障害状態になった(被保険者)本人が請求し、その本人の口座へ下りることになります。
両眼や両足が高度障害状態となったり、常時介護状態になったりした人の場合、保険金請求を行うことや、指定口座に保険金が振り込まれても引き出しはかなり困難となり、家族が本人を代行しなければならないこともあります。
特に常時介護状態になった人の場合、本人が請求することは事実上不可能であり、仮にその人の契約している指定口座にお金が振り込まれても、ATMを利用する場合には家族が本人から暗証番号を聞き出すことに手間取ることや、金融機関の窓口で事情を説明しても引き出す手続きがスムーズにいかないことでしょう。
そんな時に便利なのが「指定代理請求人制度」です。高度障害状態になった本人が、保険金を請求できない特別な事情があるとき、あらかじめ契約時に指定しておいた人が保険金を請求できます。保険契約した後でもこの制度が利用できる場合なら、契約期間中に請求人を指定することも可能です。
ただし、生命保険会社によって指定代理請求人になれる人の範囲は異なる場合があるので、保険内容をしっかり確認する必要があります。
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7.まとめ
高度障害状態になった場合は、公的制度だけ、民間保険だけに偏らず、双方のサービスをうまく活用し、金銭的負担の軽減につなげることが大切です。