生命保険の「変換権(コンバージョン)」は経営者の数十年かけたストーリー
生命保険営業の現場経験の長い人も、お客さんから「この保険にはコンバージョンはついてるの?」と聞かれることはごく稀です。
しかしながら、変換権という機能は覚えておいて絶対に損はありません。
そこでこの記事では「変換権とは何か」「活用の流れ」「注意点」などについてご紹介します。
変換権について理解を深めましょう。
記事監修者紹介
松葉 直隆 / 保険のプロ
大学卒業後、損保ジャパン日本興亜代理店の保険会社にて5年以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。 その後、2016年6月より保険のドリルをはじめとする保険媒体を経て、現在はマネーグロースにて記事監修を務める。
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保険会社は、いつどの保険にいくらの金額に変換した方がよいとは言ってはくれないから。
変換権とは
保険加入後に「健康状態の追加告知なし」で、現在加入中の保険を終身保険や養老保険などに変更できる制度です。
経営者が保険加入後に謝絶体になってしまったとしても、このコンバージョンを行うことで保障を継続できます。
※謝絶体とは:健康状態を理由に保険加入できない体況のこと
変換前契約は収入保障保険や定期保険であることが多く、変換後契約は終身保険や養老保険であることが多いです。
契約時の経営者が40歳、死亡保険金1億円の場合
たとえば、保険契約する期間を全部で30年間としましょう。
40歳で起業し、事業保障目的で掛け捨ての定期保険(死亡保険金1億円)に法人契約で加入した場合を考えてみます。
28年間会社経営は色々あったものの順調で、後継者も見つかり、ご自身の退職日を迎えることができました。
68歳の社長は、退職金を多額に受け取ることもあり、相続対策として個人で1億円の死亡保障を持ちたいと考えています。
しかし、さすがに年齢が年齢なので、保険に新規加入できない健康状態になってしまっていました。。。
こんなときに役に立つのが、変換権なのです。
変換権の活用の流れ
まず、法人契約の定期保険を個人に名義変更します。
保険契約の買取価格は買取時の解約返戻金額で決まりますから、掛け捨てで解約返戻金のない定期保険は0円で買い取ることができます。
この定期保険を個人契約に切り替えたら、そこですぐ終身保険にコンバージョンです。
変換ですから、健康状態の診査はありません。
68歳年齢での保険料で計算されますので、保険料は割高ですが、謝絶体でも終身保険に新規加入できます。
28年前に法人で加入した定期保険を、個人の相続対策に使い回すことができるのです。
いかがでしょう、なかなか素晴らしい制度ではないでしょうか?
制度上の注意点
・そもそも変換制度のない保険会社がある
商品として掛け捨て商品しか持っていない保険会社に多いです。
・保険会社ごとに条件がある
「変更可能期間は、現在の保険の契約満了2年前まで、被保険者年齢が75歳まで」など。
・変換できる保険金額は変換時の保険金額が上限
「変換時死亡保険金と変換時解約返戻金を相殺した金額」が上限となる保険会社もあります。
・変換できなくなる保険会社が多い
最初の保険加入時に体況診査で引っかかって特別条件がついてしまう場合などです。
しかし、中には特別条件がついても変換できる保険会社も実は存在します。
・変換後契約に保険料の安い定期保険や収入保障保険を選択できる保険会社もある
ごく僅かですが存在します。変換後の保険料負担を抑えたいときに有効です。
さらにもう1ステップの変換権の活用術
相続対策が目的の場合です。
変換時に証券分割できる保険会社があります。
この保険会社を活用すれば、ご家族の相続人ごとに、死亡保険金を自由自在に割り当てられるのです。
相続時の生命保険の死亡保険金は、法定相続人ごとに500万円の非課税枠がありますから、非課税枠分だけ保険契約を複数に分割するという技も行えるのです。
起業した時の法人契約の生命保険が、最後は経営者の相続人のお役に立つという、数十年かけたストーリーの完成です。
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