現在のM&Aは、友好的買収が主流となり、売り手の場合は後継者問題や事業資金不足を解消する手段として、買い手の場合は新規事業の開拓や事業の拡大・強化における戦略の一つとして活用されています。
とはいえ、M&Aなど行ったことのない企業は多いはずです。
M&A未経験の企業でも、より確実にM&Aを成功させるためにはM&A仲介会社を利用するべきでしょう。
M&A仲介会社を利用する場合に気になるのは、やはり料金体系ではないでしょうか?
M&A仲介会社によって、料金体系は大きく異なる場合もあります。
この記事では、M&A仲介会社を利用する際の手数料について、手数料の種類・手数料の相場、おすすめM&A仲介会社の手数料等を解説していきます。
- M&Aに掛かる費用は6種類もある!?
- M&Aに掛かる費用は無料から数百万円まで
- M&Aの手数料は算出基準によって変わる?
- M&Aを行う際はM&A仲介会社を頼るのが無難!?
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目次
M&Aに掛かる手数料の種類
こちらでは、M&A仲介会社に依頼した場合に考えられる諸手数料について解説します。
- 相談料
- 着手金
- 企業調査手数料(デューデリジェンス費用)
- 中間金
- 成功報酬
- 月額報酬(リテイナーフィー)
相談料
相談料とは、M&Aを行う際にM&A仲介会社の担当者と、どの様なM&Aスキーム(手法)をしたいのか、希望価格やスケジュール、どの様な相手方を望むか等について相談する際の料金です。
相談は不要と思うなら、M&A仲介会社のマッチング・サイトへだけ登録して(登録も無料の場合が多い)、相手方からのアプローチを待っていてもOKな場合があります。
ただし、M&A仲介会社によっては、まず相談した後に、各サービスが利用できるケースが多いです。
相談料は基本的に無料のM&A仲介会社がほとんどです。
たとえ有料であったとしても、1回数千円~1万円するかしないかという料金設定のはずです。
M&A仲介会社に、M&Aに関する詳細を相談する際に掛かる手数料となりますが、相談無料のM&A仲介会社も多い。
着手金
着手金とは、M&A仲介会社へ正式な依頼をした際に支払う費用となり、M&Aが失敗しても戻ってこないお金です。
着手金は、会社の規模等に応じて異なりますが、100万円~数百万円程度と設定しているM&A仲介会社があります。
また、着手金自体を無料にしている仲介会社がとても多いです。
M&Aに関する資金へ余裕がない企業は、着手金無しの仲介会社を検討してみましょう。
ただし、100万円以上もの着手金を支払い登録している企業ならば、その分、本気でM&Aを考えている企業とみて良いでしょう。
この様な本気度の高いM&A当事者を選べる点は、着手金あり仲介会社の強みと言えます。
M&Aへ着手する際に掛かる費用となり、数百万円の費用が掛かることから、M&Aに対する本気度も解りやすくなる。
企業調査手数料(デューデリジェンス費用)
デューデリジェンスとは、「売り手の財務状況が大丈夫か」・「法令に触れる様な悪いことをしていないか」等について、買い手が調査を行う作業のことです。
デューデリジェンスの費用は、仲介会社へ支払う手数料ではなく、買い手が、公認会計士、税理士、弁護士といった専門家へ依頼する際の報酬です。
デューデリジェンス費用も法定されている訳ではなく、依頼した専門家の各事務所によって料金が設定されています。
企業調査手数料の目安としては200万円前後とみておきましょう。
M&Aの相手の財務状況や法令遵守などを買い手が調べる為の費用であり、専門家への依頼費用となる。
中間金
中間金とは、一般的にM&A当事者が大筋で内容へ合意して、基本合意書を締結するタイミングで支払われます。
そのため、中間金はある程度話し合いが進んだ場合に発生する手数料と言えます。
各仲介会社によって中間金は無料・100万円程度の固定報酬の発生・成功報酬の1割~2割程度などという形で設定されています。
基本合意書の締結まで漕ぎつければ、一見当事者共に安心してしまうかもしれませんが、基本合意書に法的拘束力はないのが特徴です。
仮に基本合意書の締結後、中間金を支払ったとしても、その後のデューデリジェンスで売り手にとんでもない債務や法令違反等が発覚すれば、M&A不成立となることもあります。
たとえM&Aが成立しない場合でも、着手金と同じく中間金は返金されないので注意しましょう。
M&Aの大筋の内容が決まり、基本合意書を締結するタイミングで支払う手数料となり、M&Aが不成立でも戻ってこない費用となる。
成功報酬
成功報酬とは、M&A交渉が成立した場合に、M&A仲介会社は支払うことになる手数料です。
M&Aの売買価格によって手数料率が変化する場合が多く、当然ながらM&A不成立の場合は発生しない手数料です。
成功報酬の算定方法は「レーマン方式」で算定されます。
こちらの計算方法については後述します。
なお、最近のM&A仲介会社では他の手数料をとらず、成功報酬だけ受け取る「完全成功報酬制」をアピールするところもあります。
しかし、前述した企業調査手数料のように、M&A当事者が弁護士等の専門家をたてれば別途料金はかかってしまいます。
M&Aが成立した後に発生する手数料となり、M&Aの価格によって金額が異なる場合が多い。
また、多くの仲介会社では完全成功報酬を謳っている。
手数料の計算方法は「レーマン方式」での算出となっている。
月額報酬(リテイナーフィー)
月額報酬とは、M&A仲介会社との契約後に毎月支払う定額手数料のことです。
こちらも無料となる仲介会社、有料の仲介会社に分かれます。
月額50万円程度が目安と言えます。
ただし、マッチング・サイトの利用だけで、後はM&A交渉を直接当事者が進める場合、毎月数千円~数万円程度で利用できるM&A仲介会社があります。
なお、リテイナーフィーを設定しているM&A仲介会社なら、成功報酬をとらないところも存在します。
この料金体系なら、早めにM&Aを成立させた方がお得となります。
月額報酬制になるので、掛かる費用の計算がしやすくなる。
早めにM&Aを成立させることが出来る場合は、非常にお得な報酬形態となる。
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M&Aに掛かる手数料の相場
こちらでは、M&Aで支払う手数料の相場について解説します。
手数料の相場一覧
M&A仲介会社で差異はあるものの、目安は次の通りです。
手数料 | 金額・料率 |
---|---|
相談料 | 無料~1万円 |
着手金 | 無料~300万円程度 |
中間金 | 無料~100万円または成功報酬の1割・2割 |
企業調査手数料 | 200万円程度
※自社の従業員で調査チームを組めば無料 |
成功報酬 | 5億円以下:取引価格等×5% |
リテイナーフィー | 無料~50万円程度 |
成功報酬は高くなるほど料率変動
成功報酬に関してはいかなる場合でも、取引価格等の5%で料率が固定されているわけではありません。
取引価格が一定の割合で高くなれば、それに合わせて料率も変化します。
成功報酬に関しては次章で事例をあげ、シミュレーションしてみます。
成功報酬は、M&Aにおける取引価格が高ければ、手数料も高くなる。
M&Aの手数料の計算方法
こちらでは、事例をあげてレーマン方式で金額についてシミュレーションしてみましょう。
そもそもレーマン方式とは?
レーマン方式とは、売買金額等に対して一定の手数料率で算出する方式となります。
必ずレーマン方式にしなければいけないルールはないですが、一般的な算定方法として主流となっています。
料率は下表をご覧ください。
売買金額等 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
さらに5億円以下の部分も、M&A仲介会社ごとに細かく料金設定されています。
多くの場合で、成功報酬は「最低金額〇〇万円」と料金設定されている場合が多いです。
成功報酬をシミュレーション
こちらでは事例をあげて、どれくらいの手数料を支払うのか見てみましょう。
- 5億円以下の部分:5億円×5%=2,500万円
- 5億円超~10億円以下の部分:5億円×4%=2,000万円
→2,500万円+2,000万円=4,500万円
こちらへ更に消費税が掛かることとなります。
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おすすめのM&A仲介会社と手数料
こちらでは、おすすめのM&A仲介会社と手数料を紹介します。
- BATONZ
- TRANBI
- ストライク
- M&A総合研究所
- M&Aキャピタルパートナーズ
- 日本M&Aセンター
BATONZ
BATONZは、「株式会社バトンズ」が事業展開するM&A仲介サービスです。
株式会社バトンズは2018年設立なのでとても新しい会社です。
しかしながら扱う案件数が非常に多く、売り手・買い手からの大きな信用を既に得ている仲介会社です。
BATONZでは、全国約900の士業事務所と約90の金融機関等と協働しつつM&Aをサポートしていきます。
扱う案件数
BATONZがサイトで扱う売り手の公開案件は4,845件(2021年8月現在)に上り、非公開案件も取り揃えています。
非公開案件については、BATONZへお尋ね願います。
もちろん、公開案件・非公開案件いずれの場合も全国対応です。
一方、買い手候補は31,870件と売り手の倍以上で、売り手側からすれば非常に売却しやすい有利な状況となっています。
項目 | 案件数 |
---|---|
売り手案件数(公開案件) | 4,845件
※非公開案件あり |
買い手候補 | 31,870件 |
手数料
気になる手数料ですが、基本的に売り手の場合は利用料金が無料です。
買い手の方も一定のサービスは無料です。
(1)売り手・買い手共通
登録料・マッチング料→無料
(2)買い手のみ
成約した場合→価額の2%(最低報酬25万円)
買い手側のトータルコストの例は次の通りです。
- 売り手の会社:年商8,000万円
- 成約:2,000万円
なお、BATONZではM&A専門家に支援してもらえるかどうかを選択できます。
専門家の支援 | 手数料 |
---|---|
× | 手数料:40万円(成約価格の2%) |
〇 |
・手数料:40万円(成約価格の2%) ・支援専門家手数料:200万円(※) →合計240万円 |
(※)M&A支援専門家に支払う手数料の場合、すべて同じ料金ではなく料金体系がそれぞれ異なります。
自社のニーズに合う各支援専門家を見つけたら、どの位の金額になるか相談してみましょう。
TRANBI
TRANBIは、「株式会社トランビ」が提供するM&A仲介サービスです。
TRANBIは、低コストと長期運営実績で事業承継・M&Aを支援し、会社買収(売却)の有益なマッチングを図るのが特徴となります。
また、他社と異なる珍しい料金システムを採用しています。
扱う案件数
TRANBIがサイトで扱う売り手の公開案件は2,200件(2021年8月現在)に上り、本人確認済み法人が閲覧できる案件もあります。
まずはサイトへ登録の方を行ってみましょう。
一方、買い手候補は17,621件と売り手の倍以上です。
項目 | 案件数 |
---|---|
売り手案件数(公開案件) | 2,200件 |
買い手候補 | 17,621件 |
手数料
気になる手数料ですが、一定の条件等により次の2種類の料金体系となっています。
料金が気になる方々は、まずTRANBIの窓口に相談してみましょう。
(1)基本的な料金体系
無料プラン・有料プランに分かれています。
①無料プラン
売り手は基本的に無料です。
買い手は登録等なら無料ですが、売り手から返信後に有料プランへ移行します。
無料プラン | サービス内容 |
---|---|
売り手 |
・サイトへ掲載 ・買い手と交渉・成約 ・成約時手数料無し |
買い手 |
・サイトへ掲載 ・売り手への交渉申込 ・買い手のニーズ登録 |
②有料プラン(プレミアムプラン)
買い手が対象のプレミアムプランです。
各プランの成約手数料は0円、契約期間は6ヶ月です。
プレミアムプラン | ベーシック | ビジネス | エンタープライズ |
---|---|---|---|
月額(税込) | 4,378円 | 10,780円 | 21,780円 |
売却希望対象案件 | ~500万円 | ~3,000万円 | 無制限 |
付帯サービス | ・NDA情報漏洩保険 |
・NDA情報漏洩保険 ・コネクトで人材採用可能 |
・NDA情報漏洩保険 ・コネクトで人材採用可能 ・専門家等代理買交渉可能 |
ベーシックの場合は、月額料金が格安で中小企業のM&Aに最適です。
ただし、基本的な交渉は当事者が行うので、M&A専門家を立てるには別途料金が必要です。
一方、エンタープライズは選べる案件が無制限、M&A専門家等の代理買交渉も付帯サービスです。
充実したサービスですが月額20,000円台とリーズナブルです。
(2)以前の料金体系
従来の料金は次の通りです。
- 成約手数料が成約価額に3%を乗じた額
- 最低報酬30万円
ただし、次に該当する方々は以前の料金体系が適用されます。
- 2021年1月20日以前に開始された交渉(月額プランへ加入・未加入とも)
- キャンペーン等で、成約手数料対象となる交渉
- 「しんきんトランビプラスユーザー」による交渉
ストライク
ストライクは、「株式会社ストライク」が提供するM&A仲介サービスです。
「SMART(Strike M&A Rapid Trading system)」という、買収(売却)相手の探索するサービスを、日本で初めてインターネット上で掲載しました。
ストライクでは、提供しているSMARTで当事者同士がアプローチしても、M&A成約まで交渉のサポートを行ってくれます。
扱う案件数
売り手の公開案件は113件(2021年8月)ですが、非公開案件も扱っています。
非公開案件についてはストライクへお尋ね願います。
項目 | 案件数 |
---|---|
売り手案件数(公開案件) | 113件
※非公開案件あり |
買い手候補 | – |
手数料
着手金無料はもちろん、無料相談~契約締結まで全て無料です。
交渉が進めば、売り手に基本合意報酬・成約報酬も発生します。
(1)基本合意報酬
基本合意時(買い手への独占交渉権付与も含)に売り手が支払います。(消費税別)
資産総額 | 料金 |
---|---|
10億円以下 | 100万円 |
10億円超~50億円以下 | 200万円 |
50億円超~ | 300万円 |
基本合意報酬は資産総額で料金が決定されます。
買収価格で算定されないので注意が必要です。
(2)成約報酬
株式・資産等の譲渡金額を基に、次の報酬料率で算定されます。(消費税別)
株式価値 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
M&A総合研究所
M&A総合研究所は、「株式会社M&A総合研究所」が提供するM&A仲介サービスです。
M&A総合研究所は、インターネット上で売り手・買い手をつなぐマッチングプラットフォーム、M&A情報発信メディア「M&A総合研究所ポータル」・「M&A総合研究所マガジン」も運営しています。
扱う案件数
M&A総合研究所の公開案件は45件(2021年8月)です。
買い手候補は700件以上と非常に多く、売り手に有利な状況といえます。
項目 | 案件数 |
---|---|
売り手案件数(公開案件) | 113件 |
買い手候補 | 716件 |
手数料
売り手側は着手金はもちろん中間金、月額報酬全て無料です。
M&A制約の場合のみ報酬が発生します。
売り手側の報酬支払については次の通りです。
取引価格等 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
なお、買い手側の料金は非公開です。
M&Aキャピタルパートナーズ
M&Aキャピタルパートナーズは、2005年10月に設立された「M&Aキャピタルパートナーズ株式会社」が提供するM&A仲介サービスです。
M&A仲介会社の中で規模が大きく上場を果たしています。
M&Aの検討初期→成約まで、 専任の担当コンサルタントが一貫した支援を行います。
扱う案件数
M&A総合研究所の公開案件は146件(2021年8月)です。
非公開案件も用意されています。
非公開案件についてはM&Aキャピタルパートナーズへお尋ね願います。
もちろん、公開案件・非公開案件いずれの場合も全国対応です。
項目 | 案件数 |
---|---|
売り手案件数(公開案件) | 146件
※非公開案件あり |
買い手候補 | 8,000件以上 |
手数料
売り手の着手金・月額報酬は無料です。
基本合意に達すれば中間報酬(成功報酬10%)、M&A成立で成功費用(残りの90%)を支払います。
取引価格等 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
なお、買い手側の料金は非公開です。
日本M&Aセンター
出典:https://www.nihon-ma.co.jp/
日本M&Aセンターは、「株式会社日本M&Aセンター」が提供するM&A仲介サービスです。
全国の公認会計士および税理士による共同出資で創設された珍しい仲介会社です。
地方銀行9割、信用金庫8割、973の会計事務所と提携、 国内最大級のM&A情報ネットワークを構築しています。
創設自体が士業専門家の手によるものなので、M&Aに経験豊かな士業資格者が非常に多く在籍しています。
扱う案件数
日本M&AセンターのWeb公開案件は123件(2021年8月現在)ですが、非公開案件も扱っています。
気になる方々は日本M&Aセンターへ問い合わせてみましょう。
項目 | データ |
---|---|
Web公開案件 | 123件
※非公開案件あり |
買い手候補 | 1,259件 |
手数料
着手金・相談料等は無料、M&A契約が成立すれば成功報酬を受領する仕組みです。(売り手側の場合)
譲渡企業の時価総資産額 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
なお、買い手側の料金は非公開です。
M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。
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M&A仲介会社を使うメリット・デメリット
こちらでは、M&A仲介会社のメリット・デメリットについて解説します。
M&A仲介会社のメリット
M&A仲介会社はM&Aを行う場合、必ず依頼しなければならない業者ではありません。
M&A当事者だけで話し合いを進められるならば、無理に依頼しなくても良いのです。
しかし、M&A仲介会社に依頼すれば次のようなメリットがあります。
- 未経験でも有利に交渉を進められる
- 交渉をスムーズに進められる
- 交渉トラブルを回避できる
未経験でも有利に交渉を進められる
ご自身の会社がこれまでM&A交渉の経験は無く、一方の相手方がM&Aに豊富な経験・ノウハウを持っていた場合、自社は非常に不利な立場となることでしょう。
当事者だけで交渉する場合、相手方はご自身の会社の都合も十分考え、価格や条件等を提示してくれるとは限りません。
M&A交渉の経験の差は如何ともしがたく、対等に交渉を進めたいなら、M&A仲介会社にサポートを依頼しましょう。
M&A仲介会社は、M&Aの豊富な知識・経験から、未経験の自社に有益な助言をしてくれます。
担当者が自社の代理交渉を行ってくれる支援サービスもあり、M&A仲介会社の担当者とよく相談しながら交渉を進められます。
ただし、M&A仲介会社にも特徴があり、売り手・買い手に偏ることなく中立で利害調整するスタイル、依頼者の側に立ち主張を代弁してくれるスタイルなどサービスの性格が異なる場合もあります。
自社の都合にあったサポート・サービスが利用できるのか、まずは事前相談の際しっかり確認しておきましょう。
M&Aの経験が少ない場合に、アドバイスをくれたり交渉事などを代わりにしてくれる。
仲介会社によってサービス内容が異なる事に注意が必要。
交渉をスムーズに進められる
M&A仲介会社にサポートを頼んだら、M&A交渉が最短で10日で成立したというケースもあります。
ただし、どんなケースでも、このようにスピーディな成約とはいきません。
M&Aの計画~クロージングまで、通常3ヶ月~半年という長い期間が必要です。
経営者が、これを自力で進めようとすれば、事業のほとんどをM&Aに費やすこととなるかもしれません。
M&A仲介会社に依頼するなら、M&Aに関する業務の大部分を委託可能です。
その分、経営者は通常の経営へ集中することが可能となります。
M&A仲介会社に依頼すれば、M&Aの計画策定・交渉手続きを効率的に進めることができるはずです。
結果、M&Aにかかる全体の工数も大きく軽減でき、M&Aの成功確率も高められることでしょう。
M&Aに関する業務を委託できることから、効率的なM&Aが行える。
交渉トラブルを回避できる
M&Aを当事者だけで実施していくと、万一トラブルが発生したなら、当事者同士だけで容易に解決できない事態も想定されます。
例えば、一方が悪意ではないにしても、秘匿すべき情報を漏洩させた場合などが該当します。
最悪の場合には裁判まで発展し、当事者が時間・費用だけを浪費した挙句、契約不成立と結果となるかもしれません。
M&A仲介会社が対応しているなら、このようなトラブルのリスクを未然に抑えることができ、もしもの場合には仲裁へ入ってもらえることが期待されます。
M&Aにおけるトラブルの回避が期待できる。
M&A仲介会社のデメリット
M&A仲介会社に依頼をすれば、的確なアドバイスや想定され得るリスクを未然に回避できます。
しかし、M&A仲介会社に依頼することで、デメリットになることもあります。
ここからは、M&A仲介会社へ依頼する際のデメリットを解説します。
- 交渉が難航し契約不成立も
- M&A仲介会社から情報漏洩?
交渉が難航し契約不成立も
M&A仲介会社のサポートのスタイルとしては、双方の利害を調整する中立型のサポート、買い手または売り手の意向を代弁するFA型のサポートがあります。
しかし、いずれを利用したとしても、互いの希望価格や条件に大きな隔たりがあれば、M&A契約は不成立となる場合が多いです。
M&A仲介会社の担当者はM&Aへ深い知識・経験を有していますが、さすがに当事者も交渉成立のため歩み寄る努力は必要となります。
M&A仲介会社に依頼をしたからと言って必ずM&Aが成立する訳ではない。
M&A仲介会社から情報漏洩?
M&A仲介会社へサポートを依頼する場合は、交渉の相手方のみならず仲介会社へも自社の情報を開示しなければいけません。
つまり、情報漏洩のリスクはその分大きくなります。
このような事態にならないため、交渉相手方はもちろんM&A仲介会社とも「秘密保持契約」の締結が欠かせません。
秘密保持契約を締結すれば、秘匿すべき事柄の範囲・期間やペナルティが文書化され漏洩の抑止力となります。
M&A仲介会社では、秘密保持契約を締結してからサポートに入ることがほとんどのようです。
M&A仲介会社にも会社の情報を開示することから、情報漏洩のリスクは高くなる。
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M&Aの手数料に関するよくある質問
こちらでは、M&Aの手数料に関する良くある2つの質問を紹介します。
レーマン方式の算出基準はみんな同じ?
成功報酬は、前述の通り主に「レーマン方式」での料率算定になります。
成功報酬しか支払わなくて済むなら依頼する側も安心です。
しかし、何を算定基準として計算するかにより、支払う金額は大幅に異なってきます。
算出基準は次の3つに分かれます。
- 株価:株式譲渡対価へ一定の料率を乗ずる
- 移動総資産:「株価+負債総額」に一定の料率を乗ずる
- 企業価値:「株価+ネット有利子負債」に一定の料率を乗ずる
レーマン方式で何を算出基準とするかは、厳密に法定されていません。
仲介会社は自由に算出基準を選べるわけです。
なお、「1」の場合のように、株価のみが算出基準ならば最も手数料は安く済みます。
たとえ完全成功報酬制を謳う仲介業者でも、算出基準の設定をしっかり確認後、依頼した方が良いです。
成功報酬と言っても、算出基準によって手数料は大きく異なる事には注意が必要となる。
支払った手数料でどこまでサポートされる?
基本的にM&A仲介会社がサポートしてくれるのは、各社または各プランによって差異はあるものの、事前相談~クロージングまでです。
しかし、契約が成立すれば万事うまくいくとは限りません。
正念場は契約成立後?
M&Aが成立したら、買い手はいよいよ売り手との経営統合に進みます。
その時に、買い手の一方的な要求で物事を進めては、売り手から反発を招く場合もあります。
買い手の強引なやり方で、売り手の従業員が不満を募らせ、辞職してしまうことも考えられます。
優秀な人材確保のために、買い手がM&Aを行ってきたなら、非常に大きな痛手と言えるでしょう。
また、買い手の対応に反感を持つのは、売り手の顧客や取引先も同じことです。
条件やサービス内容が以前より狭められれば、今後の契約は打ち切られる事態もあります。
M&A成立後に、企業統合をする際には、買収された側の従業員への待遇などに気をつけなければいけない。
成約後もサポートしてもらいたいなら
買い手としてM&A成立後のトラブルで、シナジー効果どころではなくなるかもしれません。
M&A成立後でもM&A仲介会社からサポートは受けたいものです。
この場合は、全てのM&A仲介会社が行っているわけではないものの、M&A成立後の経営統合のプロセスもサポートしてくれるサービスがあります。
ただし、経営統合のサポートはM&Aの成功報酬には含まれておらず、オプション・サービスとして用意されているはずです。
買い手としては円滑な経営統合のため、追加費用はかかるものの、このようなオプション・サービスも検討した方が良いでしょう。
M&Aが成約に近づいてからでも、M&A仲介会社の担当者へ相談してはいかがでしょうか?
オプションとなる場合が多いが、M&A成立後の企業統合もサポートしてくれる場合もある。
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M&A 手数料|まとめ
これまで見てきたように、各M&A仲介会社によって料金体系は大きく異なります。
また、売り手は基本的に無料と設定している仲介会社もあれば、売り手・買い手双方から手数料を受け取る仲介会社もあります。
また、買い手の料金設定を自社のホームページで開示していないケースもあります。
サポート内容のチェックは大切ですが、料金体系もしっかりチェックしましょう。
M&Aを行う場合に、どの位の負担となるのかM&A仲介会社へ問い合わせ、よく検討してからM&Aのための登録および依頼を行いましょう。
M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。
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