印刷業界は紙が長年主流となって安定していた状況から、大きな変革を迎えています。
インターネットの普及でメディアが多様化して、紙媒体への需要が減少しています。
そのため、印刷会社は積極的に海外進出や、印刷領域以外の新規事業展開へと舵を切り、それに伴うM&Aが加速しています。
この記事では、印刷業界のM&Aの特徴と動向、成功事例やM&Aのメリット・デメリット、おすすめの仲介会社などについて解説をします。
- 印刷業界は需要が確実に減少している
- 印刷業界は中小企業が多い
- 印刷業界のM&Aは同業者だけでは無く海外企業とも盛んに行われている!?
- 印刷業界のM&Aによる売買相場は数千万円から数十億円!?
- 印刷業界のM&Aのメリットは資金確保だけではない!?
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目次
印刷業界の現状は?
こちらでは、印刷業界の現状について解説します。
インターネット普及に押される業界
インターネットの普及により、紙媒体の需要は確実に減少していると言われています。
経済産業省では、2007年~2017年で7兆1417億円→5兆2378億円(2017年)まで減少したと報告しています。
更に最近の新型コロナウイルス感染拡大の影響が影を落とし、外出制限によるインターネットの需要は大幅な増加、逆に販促需要は打撃を受けています。
特に商業印刷は大きな影響を受けていると推察されます。
インターネットの普及やコロナ禍による商業印刷などの分野では大きな影響が出てきている。
印刷業界は小規模事業者で持つ
印刷事業者は、売上高1兆円を超える大手もありますが、従業員300人未満の中小・小規模事業者がほとんどです。
印刷業界の場合は印刷会社大手または出版社・新聞社から受注し、印刷業務の一部を下請け発注するケースが多いです。
そのため、大手の不振は中小・小規模事業者に大きく影響します。
印刷業は中小規模の事業者が圧倒的に多く、出版社・新聞社から仕事を受注するのがメインとなる。
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印刷業界のM&Aの動向
こちらでは、印刷業界のM&Aがどの様な目的で行われているのかを解説します。
既存事業の強化
印刷業界のM&Aは、売り手・買い手の顧客・販路等の経営資源を共有して競争力を高める目的で行われています。
現在の苦境では、既存の事業強化が自社のみで難しい一面もあります。
そこで、M&Aで経営を統合して、事業の充実・人材や技術の確保を図るのです。
典型的なM&Aの手法としては株式取得が多用されます。
株式取得をすれば売り手を子会社化し、今まで通り事業展開を任せることができます。
株式買収を行うことで、売り手を子会社化して経営統合を行い、事業の充実・人材や技術の確保をしながら事業強化を図る。
新たな事業展開
国内のみならず海外市場に打って出るため、海外の現地企業とM&Aを行うケースも目立っています。
こうすれば、海外市場の足掛かりとして事業拡大が容易となります。
また、紙媒体以外を情報源とするWEB・タブレット等のペーパーレス事業へ、舵をとる戦略としてM&Aが利用されています。
IT企業のような異業種を買収することで、デジタルの事業分野を一からはじめるのではなく、そのノウハウをもった企業の買収で効率的な事業展開が可能となります。
海外進出や紙媒体以外の活路を見いだすために、他業種の買収を積極的に行う企業も多くなっている。
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印刷業界のM&Aの相場
こちらでは、印刷業界M&Aの価格の目安について解説します。
小規模でも数千万円?
印刷業界のM&Aは、印刷大手同士なら数億・数十億単位、中小規模なら数千万程度の買収価格になるケースが多いです。
しかし、M&Aの目的・規模はもちろん売上高・従業員等の要素で、正確な費用や相場の把握はなかなか難しい一面があります。
大手なら数億~数十億円となり、中小規模でも数千万円程度がM&Aの売買相場となる。
企業価値・企業評価は様々
買収(売却)価格は自由に設定可能です。
ただし、説得力のある価格を提示しなければM&Aの契約成立に至らないことでしょう。
M&Aでは、企業価値・企業評価で算出した金額で交渉することが一般的です。
企業価値・企業評価は、時価純資産法やDCF法等の種類があり、適切な方法を選択して行います。
評価方法の算出が良くわからないなら、後述するM&A仲介会社に算定を依頼しても良いでしょう。
適切なM&Aによる売買価格を算出するには、企業価値・企業評価をしっかりとする必要がある。
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印刷業界のM&A事例
こちらでは、同業者とのM&A事例・海外企業とのM&A事例・新規事業も含めたM&A事例を、それぞれ3つのずつ紹介します。
- 同業者とのM&A事例
- 海外企業とのM&A事例
- 新規事業も含めたM&A事例
同業者とのM&A事例
同業者同士ならM&A交渉は他業種よりスムーズに進む傾向があります。
こちらでは同業者とのM&A事例を3つ紹介します。
- 大王製紙株式会社と三浦印刷株式会社のM&A
- 共立印刷株式会社と株式会社西川印刷のM&A
- 光村印刷株式会社と新村印刷株式会社のM&A
大王製紙株式会社と三浦印刷株式会社のM&A
買い手が事業強化を目指して、異なる顧客網を持つ同業者とのM&A事例です。
- 売り手:三浦印刷→目的:安定的な資金確保
- 買い手:大王製紙→目的:事業強化
①M&A目的・背景
買い手である大王製紙は、洋紙・板紙、段ボール、ティッシュペーパー等の紙類の製造・販売を行う総合製紙メーカーです。
大王製紙はチラシ、タブロイド、シール、ビジネスフォーム等に強みがあります。
主な顧客はスーパーや通販会社、同業印刷会社等です。
大王製紙は事業強化のため、異なる顧客層を持つ同業他社の買収について検討していました。
一方、売り手である三浦印刷は、パンフレットやカタログ、ポスターなどの商業印刷の分野に強みを持つ印刷業者です。
主な顧客は上場企業や百貨店、金融機関、メーカー、広告代理店等です。
三浦印刷は安定的な資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致した事で交渉を開始します。
交渉が成立し、2017年4月大王製紙は三浦印刷を株式公開買付けで取得・子会社化しました。
売り手の、三浦印刷は大王製紙の子会社となり安定的な経営基盤を確保しました。
買い手の大王製紙は、子会社となった三浦印刷と顧客網が異なるため、大きなシナジー効果が見込めると期待しています。
共立印刷株式会社と株式会社西川印刷のM&A
買い手が事業強化を目指して、異なる営業活動・物流生産体制を持つ同業者とのM&A事例です。
- 売り手:西川印刷→目的:安定的な資金確保
- 買い手:共立印刷→目的:事業強化
①M&A目的・背景
買い手である共立印刷は、オフセット輪転印刷による商業印刷物、出版印刷物の製造を中心に行っている会社です。
共立印刷は企画やデザイン、撮影等といった制作全般、印刷・製本、加工等に強みがあります。
共立印刷は営業活動の競合が少なく、事業拡大の期待できる同業者とのM&Aを検討していました。
一方、売り手である西川印刷は九州を拠点とした印刷会社です。
チラシ、カタログ、パンフレットといった商業用の印刷物を取り扱います。
西川印刷は安定的な経営基盤強化を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉が成立し、2015年7月共立印刷は西川印刷を株式を取得・子会社化しました。
売り手の西川印刷は、共立印刷の傘下となり安定的な資金確保に成功しました。
買い手の共立印刷は、子会社との競合の心配も無く、物流を考慮した生産体制、地理的な面、所有する設備においてシナジー効果が期待できるとしています。
光村印刷株式会社と新村印刷株式会社のM&A
買い手が事業強化を目指して、これまで事業分野になかった強みを持つ同業者とM&Aを行った事例です。
- 売り手:新村印刷→目的:資金確保
- 買い手:光村印刷→目的:事業強化
①M&A目的・背景
買い手である光村印刷は、小学校の教科書等を発行している光村図書もあり、印刷事業を中核とした会社です。
光村印刷では、これまで自社の事業分野になかった強みを持つ同業者とM&Aを行うことについて検討していました。
一方、売り手である新村印刷は、商業印刷や包装、パッケージ、証券印刷、地図の出版といった印刷事業を主として行っている会社です。
新村印刷は安定的な資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
光村印刷は自社に無いパッケージ分野で強みがある新村印刷を高く評価しました。
交渉が成立し、光村印刷は新村印刷の全株式を取得し完全子会社化しました。
売り手の新村印刷は、光村印刷の完全子会社となり安定的な経営基盤を確保しました。
買い手の光村印刷は、子会社となった新村印刷の持つパッケージ印刷技術を得て、大きなシナジー効果が見込めると期待しています。
海外企業とのM&A事例
国内のみならず海外市場に目を向けたM&Aも活発に展開されています。
こちらでは海外企業とのM&A事例3つ紹介します。
- 凸版印刷株式会社とDECOTEC PRINTING, S.A.U.のM&A
- 共同印刷株式会社とPT ARISU GRAPHIC PRIMAのM&A
- 朝日印刷株式会社とHarleigh及びShin-Nippon Industries Sdn.Bhd.のM&A
凸版印刷株式会社とDECOTEC PRINTING, S.A.U.のM&A
買い手が海外事業の強化を目指して、欧州の同業者とM&Aを行った事例です。
- 売り手:DECOTEC PRINTING, S.A.U.→目的:資金確保
- 買い手:凸版印刷→目的:海外展開
①M&A目的・背景
買い手である凸版印刷は国内のみならず、海外にも拠点を持ちアジアや欧州、北米、中東、南米、オセアニアとグローバルに事業を展開しているメーカーです。
凸版印刷は、海外事業強化のため、現地の印刷業者の買収を検討していました。
一方、売り手であるDECOTEC PRINTING, S.A.U.は、スペインのカタルーニャ州にある建装材メーカーです。
売り手は安定的な資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉が成立し、2017年9月凸版印刷株式会社の現地法人DECOTEC PRINTING, S.A.Uの株式を過半数取得して子会化しました。
売り手のDECOTEC PRINTING, S.A.Uは、凸版印刷の子会社となり潤沢な資金確保に成功しました。
買い手の凸版印刷は、欧州における初の製造拠点を手に入れて、更なる海外展開の足掛かりを得ました。
共同印刷株式会社とPT ARISU GRAPHIC PRIMAのM&A
買い手が東南アジア市場への事業強化を目指して、東南アジアの同業者とM&Aを行った事例です。
- 売り手:PT ARISU GRAPHIC PRIMA→目的:安定的な資金確保
- 買い手:共同印刷→目的:海外展開
①M&A目的・背景
買い手である共同印刷は、雑誌・書籍等の出版印刷やカタログ、カレンダーなどの商業印刷を製造、営業を中心に行っている会社です。
共同印刷は、東南アジア市場での積極的な市場拡大を目指し、最適な現地の印刷業者の買収を検討していました。
一方、売り手であるPT ARISU GRAPHIC PRIMAは、インドネシアでフレキソ印刷を行っている業者です。
歯磨き粉や食品、薬品などの容器として使われる「ラミネートチューブ」の製造を手掛けています。
PT ARISU GRAPHIC PRIMAは、安定的な資金確保を模索していました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
共同印刷は、化粧品向けラミネートチューブ事業の拡大に取り組んでいたので、売り手の技術を高く評価しました。
交渉が成立し、2017年4月共同印刷はPT ARISU GRAPHIC PRIMAの株式を取得・子会社化しました。
売り手のPT ARISU GRAPHIC PRIMAは、共同印刷の傘下となり安定的な資金確保に成功しました。
買い手の共同印刷は、インドネシア等の東南アジア市場で、積極的な市場拡大の足掛かりを得ました。
朝日印刷株式会社とHarleigh及びShin-Nippon Industries Sdn.Bhd.のM&A
買い手がASEANでの事業強化を目指して、マレーシアの同業2社とM&Aを行った事例です。
- 売り手1:Harleigh Sdn.Bhd.(HL社)→目的:資金確保
- 売り手2:Shin-Nippon Industries Sdn.Bhd.(SN社)→目的:資金確保
- 買い手:朝日印刷→目的:海外展開・人財育成
①M&A目的・背景
買い手である朝日印刷は、医薬品・化粧品の包材であるパッケージや添付文書、ラベル等の製造、販売といった印刷包材事業および包装システムの販売事業です。
朝日印刷では、ASEANを中心とした販売・製造拠点の確立を目指し、最適な現地企業の買収を目指していました。
一方、売り手であるHL社・SN社はマレーシアに製造拠点を持つ会社で、同国の医薬品市場でパイオニア的な業者です。
HL社・SN社は安定的な資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉が成立し、2019年8月朝日印刷はHL社・SN社の各々の株式65.0%取得し子会社化しました。
売り手のHL社・SN社は、朝日印刷の子会社となり安定的な経営基盤を確保しました。
買い手の朝日印刷は、ASEANを中心とした販売・製造拠点の確立、人材交流等による人財育成へ期待を寄せています。
新規事業も含めたM&A事例
紙への印刷だけではない、新領域の技術・事業獲得のためのM&Aも活発です。
こちらでは新規事業獲得も含めたM&A事例3つ紹介します。
- 株式会社日本創発グループと日経印刷株式会社のM&A
- 図書印刷株式会社と株式会社シー・ティー・エスのM&A
- 竹田印刷株式会社と東京プロセスサービス株式会社のM&A
株式会社日本創発グループと日経印刷株式会社のM&A
買い手が新領域の技術・事業獲得を目指して、専門業者を持つ同業者とM&Aが行われた事例です。
- 売り手:日経印刷→目的:資金確保
- 買い手:日本創発グループ→目的:新領域の技術・事業獲得
①M&A目的・背景
買い手である日本創発グループは、印刷・製造事業の他、デジタルコンテンツ、マーケティング、セールスプロモーション、文具・おもちゃ等の幅広い事業展開を行う企業です。
日本創発グループは、新領域の技術・事業獲得を目指して、市場への対応力が一段と強化できる買収先を検討していました。
一方、売り手である日経印刷は、印刷データの電子化を進め、印刷物をWebや電子書籍化やAR技術を応用し印刷物の付加価値向上に取り組んできた企業です。
日経印刷は、更なる事業拡大のため潤沢な資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉が成立し、2018年1月に日本創発グループは日経印刷を完全子会社化しました。
売り手の日経印刷は、日本創発グループの傘下で安定的な資金を確保しました。
買い手の日本創発グループは、デジタルコンテンツの強化につながり、企業価値の更なる向上が期待されます。
図書印刷株式会社と株式会社シー・ティー・エスのM&A
買い手がが新領域の技術・事業獲得を目指して、異なる事業のノウハウを持つ業者とのM&Aに臨んだ事例です。
- 売り手:シー・ティー・エス→目的:安定的な資金確保
- 買い手:図書印刷→目的:新領域の技術・事業獲得
①M&A目的・背景
買い手である図書印刷は、製版や印刷・製本、マーケティング、教育と幅広い事業を行っていて、特に教科書出版事業は有名です。
図書印刷は、新たなサービスラインナップを模索して、新領域の技術・事業獲得の期待できる企業とのM&Aを検討していました。
一方、売り手であるシー・ティー・エスは、主に企業や官公庁向けの語学研修サービスを提供している企業です。
ビジネス英会話・Eメールライティング研修、グローバル人材育成研修等、多くの企業への導入実績を誇っています。
シー・ティー・エスは、更なる事業拡大による資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉が成立し、2018年11月図書印刷はシー・ティー・エスを株式取得で孫会社化しました。
売り手のシー・ティー・エスは、図書印刷の傘下となり潤沢な資金確保に成功しました。
買い手の図書印刷は、語学研修サービスを新たな事業に加え、グループ全体の企業価値向上・事業拡大に寄与する効果を得ました。
竹田印刷株式会社と東京プロセスサービス株式会社のM&A
買い手が新領域の技術・事業獲得を目指して、半導体マスク製造に強みを持つ異業種とM&Aを行った事例です。
- 売り手:東京プロセスサービス→目的:資金確保
- 買い手:竹田印刷→目的:新領域事業強化
①M&A目的・背景
買い手である竹田印刷は、中部地方を拠点に商業印刷事業・通販やBPO、半導体マスク事業等を展開しています。
竹田印刷では、印刷事業と異なる半導体マスク事業の強化を図り、その事業のノウハウを持つ企業の買収について検討していました。
一方、売り手である東京プロセスサービスは、スクリーンマスク・フォトマスク、メタルマスクの製造や販売を行っている会社です。
東京プロセスサービスは、安定的な資金確保を望んでいました。
②スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉を開始します。
交渉が成立し、2016年8月竹田印刷は東京プロセスサービスの株式を取得・子会社化しました。
売り手の東京プロセスサービスは、安定的な資金の確保に成功しました。
買い手の竹田印刷は、半導体マスク事業の強化を実現、互いのマスク製造における設備・ノウハウの共有が可能となりました。
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印刷業界M&Aのメリット・デメリット
こちらでは、印刷業界M&Aのメリット・デメリットを解説します。
印刷業界M&Aのメリット
売り手の場合、買い手に自社を買収してもらうことで事業を継続が可能です。
潤沢な資金確保はもとより、後継者不足の解消や廃業で従業員が路頭に迷うことも回避できます。
一方、買い手としては、売り手を傘下に収めることで事業を短時間で拡大する事が可能となります。
また、買い手にない印刷技術のノウハウを得ることが出来て、有益な情報共有も期待できます。
その他、売り手の経営資源や顧客・取引先も取得する事が出来るため、大きなシナジー効果が期待できます。
売り手は、資金確保だけでは無く、後継者問題の解決・廃業リスクの回避が可能となる。
買い手は、技術のノウハウや顧客・取引先などを手に入れられる。
印刷業界M&Aのデメリット
やはりデメリットとしては、M&Aをしたからといって、必ずしもM&A契約成立できるわけでは無い点があげられます。
交渉中に双方の溝が埋まらず不成立となるケースも当然あり得るのです。
また、双方がM&A未経験者なら、どんな課題から手を付けて良いかわからず、円滑に話し合いが進まないことも懸念されます。
仮にM&A経験がどちらかにあっても、今度はそのノウハウを利用し、著しく相手方より有利な条件で交渉を進める企業があるかもしれません。
このようなリスクに対応するため、M&A仲介会社に交渉・調整を依頼しましょう。
売り手・買い手双方がウィンウィンの関係を目指す仲介会社は数多いです。
このようなM&A専門家をたてて進めると成約の可能性は大幅にUPします。
M&Aが成立しないこともある。
M&Aを行う際は、専門家の助けを借りるのが無難と言える。
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印刷業界M&Aの注意点とポイント
こちらでは、印刷業界M&Aの注意点とポイントについて解説します。
印刷業界M&Aの注意点
M&Aを行う場合、特に売り手は独自の印刷技術を持っている場合、買い手にその情報を開示する必要が出てきます。
もちろん、開示した買い手と必ずM&Aが成立する保証はありません。
複数の買い手候補がいて、それぞれと交渉する場合は、その都度、独自の印刷技術等を開示しなければいけません。
そのため、売り手が秘匿したい情報が漏洩する危険が出てきます。
万一、情報漏洩が起これば、売り手企業に不測の損害が発生するおそれもあるのです。
独自の技術がある場合など、交渉相手に情報を開示しなければならず、情報漏洩のリスクがある。
成功のポイントは秘密保持契約!!
売り手企業が情報漏洩を防ぎ、独自の技術を武器にM&A成約へ結び付けたいなら、M&A交渉前に必ず「秘密保持契約」の締結を行いましょう。
秘密保持契約書という形で文書化して漏洩してはならない旨を明記します。
もちろん、漏洩の事実が発覚した場合、当事者と契約解除はもちろん損害賠償請求も規定します。
この様にM&A当事者が契約書を作成・取り交わせば、情報漏洩のリスクを回避することができます。
情報漏洩のリスクを防ぐために、秘密保持契約を締結する必要がある。
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印刷業界のM&Aにおすすめの仲介会社
こちらでは、おすすめの仲介会社を2つ紹介します。
- BATONZ
- 日本M&Aセンター
印刷業界のM&Aにおすすめ仲介会社「BATONZ」
出典:https://batonz.jp/
「株式会社バトンズ」が運営するM&A仲介会社です。
手厚い支援専門家のサポートが期待できます。
印刷業関連案件数の公開案件数は135件となっています。
公開案件数
公開案件数は2021年8月時点で次の通りです。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:印刷業関連案件数 | 135件 |
買い手:印刷業関連候補一覧 | 4,216件 |
売却を希望する印刷業関連案件数は135件、一方で買い手候補は4,216件もあります。
売り手にとってかなり有利な状況と言えます。
料金について
売り手側は基本的に無料でサービスを利用する事ができます。
一方、買い手側は登録料・マッチング料が無料です。
ただし、売り手がM&A交渉のサポートに専門家をたてると、別途料金はかかってしまいます。
項目 | 売り手 | 買い手 |
---|---|---|
登録料 | 無料 | 無料 |
マッチング料 | 無料 | 無料 |
成約 | 無料 | 成約価額の2%
※最低報酬25万円 |
印刷業界のM&Aにおすすめ仲介会社「日本M&Aセンター」
出典:https://www.nihon-ma.co.jp/
「株式会社日本M&Aセンター」が運営するM&A仲介会社です。
中堅・中小企業の支援で多くの実績があります。
印刷業関連案件数の公開案件数は6件となっています。
公開案件数
2021年8月時点の案件数を見てみましょう。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:印刷業関連案件数 | 6件 |
買い手:印刷業関連候補一覧 | 23件 |
売却を希望する印刷業関連案件数は6件ですが、印刷業関連の買い手候補は23件です。
更に、非公開案件も多く取り揃えているので、気になる方々は日本M&Aセンターに相談してみましょう。
料金について
着手金・月額報酬無料ですが、基本合意で中間報酬(成功報酬:1割)、契約成立時は成功報酬(残り:9割)と分けて支払います。
報酬料率は次の通りです。
株式価値 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
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印刷業界M&Aのよくある質問
こちらでは、印刷業界M&Aに関してよくある3つの質問を取り上げます。
- 他に頼れるM&A専門家はいる?
- M&A仲介会社の報酬の仕組みとは?
- 確実に売り手と交渉を進める方法はある?
他に頼れるM&A専門家はいる?
M&A専門のサービスと言えば、前述したM&A仲介会社ですが、自社と同じ地域の企業とM&Aを行いたいなら、地方銀行・商工会議所を頼っても構いません。
むしろ地域に密着した企業とM&A交渉を行いたいなら、地方銀行・商工会議所が最適な相手を引き合わせてくれる可能性も高いです。
ただし、M&Aの範囲を日本全国に広げたいなら、やはりマッチング・サイトを運営し全国の売り手・買い手の登録、マッチングを手掛けるM&A仲介会社が最適です。
全国など広範囲でM&Aの相手を見つけるなら、マッチング・サイトの活用が向いているが、同地域など狭い範囲でM&Aの相手を見つけたいなら、地方銀行や商工会議所なども頼りになる。
M&A仲介会社の報酬の仕組みとは?
M&A仲介会社に支払う報酬は、「〇〇規模のM&Aなら〇〇〇〇万円」と法律で決められているわけではありません。
M&A仲介会社ごとに、自由に報酬設定が可能です。
そのため、M&Aが成約しなければお金を受け取らない「完全報酬制」のM&A仲介会社もあれば、着手金・月額報酬をとるM&A仲介会社もあります。
また、売り手・買い手双方から報酬を受け取るスタイル、売り手または買い手どちらか一方からしか報酬を受け取らないスタイルのM&A仲介会社もあります。
大概、事前相談は無料のM&A仲介会社が多いので、まずは担当者へ相談する際、報酬について良く聞いておきましょう。
M&A仲介会社の報酬体系は、それぞれ異なるため、仲介を依頼する前の報酬形態は重要になる。
確実に売り手と交渉を進める方法はある?
実のところ、M&A仲介会社に登録している「印刷業関連案件数」は前述したように、売り手より買い手候補の方が圧倒的に多いです。
そのため、売り手とすれば複数の買い手候補と交渉を進め、一番条件の良い買い手とM&Aを成約させることになるでしょう。
M&A成約に漕ぎつけた買い手は大満足かもしれませんが、他の買い手候補は徒労に終わる結果となります。
そんなことにならないよう、交渉の際は「独占交渉権」を売り手に認めてもらいましょう。
この独占交渉権はM&Aの話し合いの前に、売り手へ提出する「意向表明書」へ明記します。
そうすれば、売り手は他の買い手候補と交渉できなくなるので、買い手としては安心して交渉が進められます。
売り手が有利な業種のため、買い手とな事業者は独占交渉権などを認めて貰うのも重要になる。
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印刷業界の動向まとめ
印刷業界はインターネットの普及に翻弄されながらも、新しい領域への事業拡大、海外市場へ踏み出す傾向が顕著になっていくはずです。
そのための手段としてM&Aは、より一層重要性を増していくことでしょう。
ご自身の印刷会社が苦しいなら、大手の傘下へ入り事業の継続を行うなど柔軟な姿勢が大切となります。
そして確実なM&A成約のためには、M&A仲介会社の助力を得ることについて検討するべきです。
そのサポートがあれば、現在の苦境をM&Aで解決していけることでしょう。
また、印刷業界のM&Aには成約まで徹底サポート、完全成功報酬制のM&Aアドバイザーがおすすめです。
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