上記のように考えている方のために、この記事では、「タイムカードを押し忘れたら何が起こるのか」「押し忘れたらどうしたらいいか」「どんな対策があるか」の3つをご紹介します。
- タイムカードを押し忘れても、欠勤扱いにはならない
- タイムカードを押し忘れた場合、減給になる可能性はある
- タイムカードを押し忘れたら、まずは上長に報告
- タイムカードを押し忘れた従業員には、減給処分or始末書
- タイムカードを押し忘れないために、4つの対策をとる
目次
タイムカードを押し忘れたら何が起こるの?
タイムカードを押し忘れてしまい、給料や勤務時間がどうなるのか、気になる方が多いでしょう。
押し忘れによって欠勤扱いにはならないこと、減給処分額は決まっていることなどを解説していきます。
タイムカードを押し忘れた=欠勤となるのは違法
タイムカードを押し忘れた際に、企業側が賃金をまったく払わないと、労働基準法違反として扱われてしまいます。
そのため打刻漏れがあっても、欠勤となることはありません。
労働基準法第24条においては、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を、毎月1回以上、一定期日を定めて支払わなければならないとされています。既に働いた分の賃金は、当然に支払われなければなりません(以下略)。
タイムカードの押し忘れによって、社員を欠勤扱いする権限は、企業にはありません。
また労働基準法第16条には、賠償予定の禁止が定められています。
出典:賠償予定の禁止(第16条)解雇(第8条の2)解雇制限(第19条)、解雇の予告(第20条)、退職時の証明(第22条)
第16条には、「労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはいけません」との記載があります。
打刻漏れに対し予め罰金を科すことも、法に抵触することになります。
罰金が、不履行に対する違約金、損害賠償金だとみなされる場合があるためです。
ただし罰金ではなく、懲戒処分として減給処分を科すことは可能になります。
あらかじめ打刻漏れに対してのペナルティが明示されており、社員に注意喚起が徹底されている環境であれば、減給処分が行われる場合があります。
減給になるかについては、企業の規則によるといえます。
タイムカードを押し忘れたときの減給処分額は決まっている
先述のとおり、タイムカードを押し忘れたからといって、タダ働きになることはまずありません。
しかし企業の規則によっては、減給処分が科される場合があります。
労働基準法第91条によると、就業規則に明示されている場合、1回の打刻漏れで減給できる額は、1日の平均賃金における半額未満です。
また複数回打刻漏れをした場合、一賃金支払い期賃金総額の10分の1の金額未満で減給することができます。
就業規則に反した回数によって、減給できる額の基準が異なることがわかります。
したがって減給になるのは予め就業規則に明示されている場合で、その額は打刻漏れをした回数と給与額によって異なるといえます。
タイムカードを改ざんすると、罪に問われる可能性がある
タイムカードを改ざんした場合、以下の3つの罪に問われる可能性があります。
1つ目は、詐欺罪です。
出勤時間や退勤時間をわざとずらし、残業代を多く受け取っていた場合、この罪に問われます。
有罪になった際には、10年以下の懲役が言い渡されます(詐欺罪には罰金刑なし)(刑法246条)。
2つ目は、私文書偽造罪です。
こちらは、紙のタイムカードを偽造した際に問われる罪です。
有罪の場合、1年以下の懲役または10年以下の罰金が科されます(刑法159条3項)。
3つ目は、電磁的記録不正作出罪です。
この罪は、Web上やパソコン内のデータを編集した際に問われる可能性があります。
有罪になった場合、5年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます(刑法161条)。
余分に残業代を受け取るという目的がなくても、タイムカードを改ざんすることで、罪に問われる可能性ができてしまいます。
タイムカードを押し忘れたときはどうしたらいいの?
では実際、タイムカードを押し忘れたときにはどうしたらよいか、今すぐ知りたい方もいるでしょう。
真っ先に上長に報告すること、修正は必ず自分で行うことなどを、注意点として解説しています。
また従業員が打刻漏れをした際に、どう対応すべきかについても述べています。
まずは上長に報告!
打刻漏れに気づいたらすぐに、上長に報告しましょう。
結果的にタイムカードを自分で修正することになるとしても、無断で手を加えるのはNG。
修正が不正でないことを周りに把握してもらったうえで、対応するのがベストです。
手書きでもOK
また修正の手段として、タイムカードへ手書きするのは、問題にはなりません。
過去の事例を参照すると、手書きの記載が事実だと確認できる場合には、修正した分も実際の労働時間として認めるとわかります。
手書きで修正することは問題ありませんが、その際上長に報告することが大切です。
報告は、気づいてからなるべく早いうちに行いましょう。
直接言うのが望ましいですが、すでに退勤している場合は、電話で報告するのがおすすめです。
会社が忙しい等の理由でメールを使用することもあるかもしれませんが、見落とされてしまう可能性もあります。
電話やメールを利用したとしても、次の日に報告を直接行うのがよいでしょう。
他人に修正してもらうのはNG
タイムカードに手書きする際には、必ず自分で行いましょう。
厚生労働省によると、本人が労働時間を正確に把握し、記録することが必要とされています。
ガイドラインには「使用者が、自ら現認することによって確認し、記録すること」が定められています。
後にトラブルを起こさないためにも、記入は必ず自分で行ってください。
- まずは上長に報告
- なるべく直接伝える
- 必ず自分で記入する
タイムカードを押し忘れた従業員への正しい対応(欠勤・無給はNG)
ここでは上司の立場で、打刻を忘れた従業員への対処法を解説します。
打刻漏れが多い従業員に対しては、何らかの措置を取るべきだと考えられることもあるでしょう。
対応策としては、減給処分と始末書作成の2つが挙げられます。
減給処分
先述したとおり、減給を行えるのは、予め就業規則に記載している場合です。
金額にも制限があり、1回の打刻漏れで減給できる額は、1日の平均賃金における半額未満となっています。
また複数回打刻漏れをした場合、一賃金支払い期賃金総額の10分の1の金額未満で減給することが可能です。
始末書作成
始末書とは、問題を起こした際に提出する書類のことです。
反省や謝罪の意などを示す、公式文書の扱いになっています。
要素としては、「事実・背景・反省の意・今後の対策・謝罪」の5つが含まれることが重要になります。
始末書も減給と同様に、意識改善に繋がることが期待できます。
タイムカードを押し忘れないようにする対策4選
ここまでを読み、タイムカードを押し忘れると面倒なことになると感じられた方が多いのではないでしょうか。
上司の立場にいても、手続きが増えるのは大変なことです。
そこで、これから押し忘れをしないように注意するための方法を、4つ紹介します。
ここからは押し忘れに悩む従業員も、従業員の打刻漏れに悩む管理者も、どちらも取り入れられる対策です。
押し忘れ対策①:打刻機が視界に入りづらい場所にある→打刻機を見えやすい場所に移す
最も効果的なのは、打刻してから就業場所にたどり着く仕組みを、強制的につくることです。
例えば通路や出入口など、仕事場までの動線上に機器を設置することが挙げられます。
そうすることで、必ず打刻機が目に入るため、押し忘れの頻度をかなり減らすことが可能です。
押し忘れ対策②:打刻機がトイレや休憩所の近くにある→トイレや休憩所に、注意喚起のポスターを貼る
ショッピングモールのトイレのドアに、「忘れ物にご注意」という張り紙を見かけたことはありませんか。
ポスター等により、忘れていたことを思い出すことは多くあります。
トイレや休憩所、更衣室など、始業前に立ち寄ることが多い場所に張り紙を貼ることも効果的です。
ただし、ポスターは認識されなければ意味がありませんので、常に真新しく見せる工夫が必要となるでしょう。
定期的に位置を変えたり、内容をアレンジしたりすると、より持続的な効果が期待できます。
押し忘れ対策③:仕事のことで頭がいっぱいになっている→携帯のリマインダー機能を利用する
始業前から仕事モードに完全に切り替わっており、機械が目に入っても、打刻を忘れる人がいるかもしれません。
そんな人は、自身の携帯で「リマインダー」や「アラーム」などの機能を利用することが効果的です。
身につけるものに通知が入ると、ふと打刻を思い出すことができるかもしれません。
携帯以外だと、メールが自動的にパソコンに送られてくるように設定することも効果的です。
押し忘れ対策④:呼びかけやチェックを行う人を決める
本人の意識だけでどうにもならない場合、呼びかけやチェックを行う人を決めることも、一つの解決策です。
職場やチームの中で担当者を選び、タイムカードを押したか確認する習慣を身につけるという手段です。
その人の負担が増えてしまうことがネックですが、確実な改善につながることでしょう。
タイムカードのデメリットと勤怠管理システムのメリット
タイムカードを押し忘れたらどうなるか、またどうすべきかについて解説してきました。
しかしできることなら、このような悩みは抱えたくありませんね。
タイムカードが引き起こす課題を解決するには、どうしたらよいでしょうか。
タイムカードを利用することのデメリット
タイムカードを利用することには「押し忘れが生じる」という大きなデメリットがあります。
その他にも、以下の3つのようなデメリットが見られます。
- 不正打刻の可能性がある
- 集計作業に時間がかかる
- 出勤時の混雑が見受けられる
これらのデメリットを解消するために生まれたのが、勤怠管理システムです。
勤怠管理システム導入のメリット
勤怠管理システムには、以下の4つのようなメリットがあります。
- ログイン機能等により、不正打刻を防止できる
- 集計作業が必要ない
- 各自のスマートフォンやタブレットから打刻できるものもある
- 打刻漏れ装置を取り入れることができる
勤怠管理システムにも様々な種類があり、無料の製品ももちろんあります。
まずは手の届きそうな範囲から、導入を検討してみてもよいかもしれません。
タイムカードアプリの導入(おすすめ勤怠管理システム)
筆者が選ぶおすすめ勤怠管理システムを、5つご紹介します。
いずれも高機能な製品ですが、企業によって使いやすい商品は異なるもの。
自社に合った製品を比較し選んでみてください。
freee人事労働
まずおすすめしたいのが、freee人事労働です。
アラート機能を用いて業務の漏れを防ぎ、労務における人為的なミスをなくすことを目指します。
また勤怠から給与明細まですべてをペーパーレス化できるのも特徴です。
最大の特徴は、転記作業をゼロにし、業務を一気通貫化していること。
業務の効率化、正確性を重視した、機能に信頼のおける製品です。
ジョブカン
次におすすめしたいのは、ジョブカンです。
「導入実績15万社」、「ITトレンド年間ランキング2021でNo.1(勤怠管理・就業管理システム)」等、輝かしい記録を誇っています。
出勤管理だけでなく、シフト管理や休暇・申請管理等、いくつかの機能を組み合わせることが可能です。
出勤管理という目的ひとつにしても、アラートメール機能やリアルタイム機能等、多くの機能を利用することができます。
初期費用、サポート費用が0円で、月額料金が安いのも嬉しいポイントです。
ジンジャー勤怠
3つ目におすすめするのは、ジンジャー勤怠です。
「もっとも使いたいバックオフィスクラウドNo.1」であるのも納得の、高機能の最新勤怠管理システムです。
ジンジャー勤怠では、様々な項目をリアルタイムで把握できるほか、法改正に自動で対応してくれます。
またデータベースをひとつにすることで、業務のムダを約64.3%削減できたというデータもあります。
業務をラクに、シンプルにするなら、一押しの商品です。
Touch On Time
4つ目におすすめしたいのは、Touch On Time(株式会社デジジャパン)です。
勤怠管理システムの中でも、人気ランキング上位にランクインする商品です。
月額300円/人の従量課金制で導入しやすく、初期費用は0円、無料トライアルが30日間とたくさんのメリットがあります。
245万人の利用者を誇っており、支持率が高いことがわかります。
打刻漏れや不正打刻を防げる独自の機器「タッチオンタイムレコーダー」を搭載しているのが最大の強み。
タイムカードの押し忘れに悩む企業に、ぜひ導入を検討していただきたいです。
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こちらも月額300円/人、初期費用0円、無料トライアルが30日間と好条件です。
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またチャットや電話、動画やオンラインヘルプなどのサポートが充実しており、初めての導入でも安心です。
まとめ
ここでは、「タイムカードを押し忘れたら何が起こるか」「押し忘れたらどうするか」「どんな対策があるか」の3つについて解説しました。
企業として取るべき対策や、おすすめの勤怠管理システムについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。