クリニックのm&a相場は?成功のポイントや事例、注意点・メリットを解説

近年、さまざまなクリニックでm&aを検討している傾向が見られています。

m&aは一般企業で実施されているイメージがあるかもしれません。

しかし、医療法人でも社会ニーズに対応する目的などでm&aが採用されています。

m&aを進める前に、m&aの注意点や相場、クリニックでのm&aの最新動向などを理解しておきましょう。

本記事では、クリニックのm&aを検討している企業に向けて、m&aを実施する理由やメリット・デメリット、過去の事例などについて解説します。

あわせて、クリニックのm&aの手続きの一連の流れもチェックしてください。

目次

クリニックや病院のm&a最新動向

クリニックのm&aを成功させるためには、社会のニーズに対応することが重要です。

社会のニーズに対応するために、クリニックのm&aの最新動向を押さえておきましょう。

クリニックのm&a最新動向として主に以下の5項目をチェックしてください。

  • 市場規模
  • 高齢化問題と後継者の不在
  • 人材不足の深刻化
  • 休廃業業者の増加
  • 医療制度の見直し・改革による影響

市場規模

日本の総人口の減少とは反して、国民医療費が増加している動向が見られています。

国民医療の総費用は1990年で約20兆円、2005年で約35兆円、2020年で約45兆円です(※1)。

医学が進歩していくたびに、医療費が増加してしまうため、国民医療費が増加してしまうのは仕方がありません。

患者1人当たりの医療費の内訳についても確認しておきましょう。

2022年度の患者1人当たりの医療費を以下の表にまとめました。

年代 75歳以上 75歳未満(未就学者以外) 未就学者
1人当たりの医療費 1.8% 4.0% 10.9%
1人当たりの受診延長日数 -0.5% 2.3% 8.7%
1日当たりの医療費 2.4% 1.6% 2.0%

75歳以上の方は後期高齢者医療制度などが受けられ、1人当たりの医療負担は最小限に抑えられます。

一方で、未就学者は1人当たりの医療負担が高い傾向にあり、子供の医療負担の軽減がクリニックにおける大きな課題です(※2)。

※1″厚生労働省“参照

※2″厚生労働省“参照

高齢化問題と後継者の不在

クリニックだけに限りませんが、経営者の高齢化問題・後継者不在問題が経営問題の課題です。

2022年の医師・歯科医師・薬剤師の年齢の割合を以下の表にまとめました。

年齢層 2022年の医師・歯科医師・薬剤師の年齢の割合
30歳~39歳 約7%
40歳~49歳 約17%
50歳~59歳 約23%
60歳~69歳 約29%
70歳以上 約23%

50歳以上の企業経営者が多くの割合を占めており、特に60歳から69歳の年齢層の企業経営者が多々見られています。

後継者に適した人物が見つからないと事業が継続できません。

少子高齢化などが影響して後継者不在問題を抱えるクリニックが増加しており、全業種の中でも3番目の後継者不在率の高さを記録しています。(※)。

※”厚生労働省“参照

人材不足の深刻化

人口減少の深刻化がクリニックにおける人材不足の深刻化にもつながっています。

クリニックでの経営を持続させるためには、1人の看護師で何人の患者を対応するか考えることが重要です。

しかし、無理に看護師を雇いすぎてしまうとクリニックの財務状況の悪化が原因で経営が持続できません。

近年では、人材不足の深刻化に対応するために「7:1看護」の考え方が必要となっています。

「7:1看護」は1人の看護師で7人の患者を対応する考え方です。

ただ、人材不足の深刻化を根本的に解決する方法ではない点に注意してください。

休廃業業者の増加

クリニックでは休廃業業者が増加傾向にあります。

クリニックの休廃業業者の数の推移を以下の表にまとめました。

医療機関 診療所 歯科医院 病院
2003年 約70件 約10件 約10件
2013年 約230件 約50件 約20件
2023年 約580件 約110件 約20件

2006年から医療機関の休廃業・解散件数が右肩上がりに上昇しています(※)。

2023年には1年間で医療機関が700件ほど休廃業・解散に追い込まれており、休廃業・解散件数の抑制が必要です。

※”株式会社帝国データバンク“参照

医療制度の見直し・改革による影響

少子高齢化による医療費の圧迫を防ぐために、国が実施した医療制度の見直し・改革がクリニックの経営に悪影響を与えている部分もあります。

医療制度の見直し・改革が実施されたことで、経営基盤の安定したクリニックでは少子高齢化にある程度対応しやすくなりました。

一方で、経営基盤が不安定なクリニックなどでは、医療制度の見直し・改革によってかえって経営が持続できなくなってしまったケースも見られています。

経営基盤の安定したクリニックが優遇される制度に変わりつつあるため、m&aによるクリニック事業の譲渡を選ぶ経営者が多いのが現状です。

医療法人向け事業承継税制の実施によるm&aの活発化

医療法人向け事業承継税制の実施によるm&aの活発化がクリニックのm&aを加速させています。

医療法人向けの事業承継税制が国から打ち出され、税制優遇によってクリニックのm&aが実施しやすくなりました。

医療法人向けの事業承継税制は医療法人の事業承継によって発生する贈与税・相続税の負担を軽減する制度です。

適用要件を満たし続けることで、贈与税・相続税のほとんどを優遇し続けられます。

贈与税は贈与によって財産が譲渡される場合に発生する税金、相続税は相続によって財産が譲渡される場合に発生する税金です。

医療法人向けの事業承継税制は、認定医療法人として認められたクリニックのみ適用できます。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/

売却額の無料見積もりはこちら!

クリニックや病院のm&a・事業承継の方法

クリニックのm&a・事業承継を実施する際には、主に以下の3つの方法からそれぞれに合った方法を選択します。

  • 親族事業承継
  • 親族外事業承継
  • M&Aを活用した事業承継

1.親族事業承継

親族事業承継はクリニック経営者の親族を後継者とする方法です。

親族事業承継には後継者育成に時間を確保しやすいメリットがあります。

後継者育成に時間が確保しやすいと、後継者にクリニック経営を任せやすいです。

かつては親族事業承継を選ぶことが一般的でしたが、働き方の多様化・少子高齢化などの点で親族事業承継が選ばれにくくなっています。

親族事業承継を実施する前に、適任者がいるかよく考えた上で手続きを進めましょう。

2.親族外事業承継

親族外事業承継はクリニック内の医師免許を取得している従業員を後継者とする方法です。

クリニック内の従業員は自院の方針・文化などを理解しており、後継者育成にさほど時間をかける必要がありません。

また、親族外事業承継にはクリニック内のほかの従業員からの納得も得やすいメリットもあります。

しかし、親族外事業承継でも社内体制はさほど大きくは変化しません。

クリニックとして成長できるかどうかは後継者の経営者としての裁量に大きくかかっていることを理解しておきましょう。

3.M&Aを活用した事業承継

m&aを活用した事業承継は買収・合併によってほかのクリニックの経営者に後継者となってもらう方法です。

近年では、親族内・親族外事業承継だと適任者が見つからない場合があります。

しかし、m&aであればすべてのクリニックを後継者のターゲットにできるため、親族内・親族外事業承継より後継者が見つけやすいです。

また、m&aをすると買収側のクリニックが持つ経営資源を活用した成長が期待できるクリニック運営が実現できます。

単に事業運営が継続できるだけでなく、効率よくクリニックとして成長させやすいために、m&aが選ばれやすいです。

ただ、m&aはクリニック同士の売買取引となるため、多額の資金が必要となります。

クリニックや病院のm&a・事業承継のメリット

クリニックでのm&a・事業承継を進める前に、どのようなメリットがあるか理解しておきましょう。

m&a・事業承継のメリットを踏まえ、m&a・事業承継を進める目的を定めて手続きを進めてください。

買収側のメリット

m&a・事業承継の買収側のメリットは主に以下の3点です。

  • 病床規制、地域参入障壁を回避してビジネスを拡大しやすい
  • 優秀な人材を確保できる
  • 節税につながる

病床規制、地域参入障壁を回避してビジネスを拡大しやすい

m&a・事業承継をすると、病床規制・地域参入障壁を回避してビジネスを拡大しやすくなります。

医療の圧迫を防ぐために病床数を増やそうとしても、行政の病床規制対策に阻まれやすいです。

m&a・事業承継でグループ化されると、同じグループのクリニックの開設地域の範囲であれば、病床数が確保できます。

クリニックとしての成長だけでなく、病床数増加を目的としたm&a・事業承継も視野に入れてみてください。

優秀な人材を確保できる

m&a・事業承継によって優秀な人材の確保も可能です。

m&a・事業承継を進めると売却側のクリニックの雇用関係は買収側のクリニックに引き継がれます。

売却側のクリニックの従業員が突然解雇されるわけではありません。

売却側のクリニックに高い専門知識や実務経験を有している人材がいると、買収側のクリニックの成長につながりやすいです。

買収側のクリニックが専門性を持たない領域の知識・経験が豊富な人材が多い場合、診療療育も拡大できます。

節税につながる

節税につながるためにm&a・事業承継を選択するクリニックも多々見られています。

m&a・事業承継では事業承継税制や第三者割当増資などを活用することで節税効果が受けやすいです。

事業承継税制を受けると、要件を満たし続けている間は贈与税・相続税が免除できます。

第三者割当増資は対象の第三者に有償で新株を発行して資金調達する仕組みです。

第三者割当増資は新株を対価とするために税金をかけずに経営権を譲渡できます。

税負担を減らすと、経営基盤が不安定なクリニックでもm&a・事業承継の選択が可能です。

売却側のメリット

一方で、m&a・事業承継の売却側のメリットは主に以下の4点です。

  • 後継者問題が解決できる
  • 売却益を得られる
  • 経営の安定化につながる
  • 地域医療を存続できる

後継者問題が解決できる

売却側はm&a・事業承継を実施した場合に後継者問題が解決できます。

後継者問題の解決は容易ではありません。

しかし、m&a・事業承継を進めると事業の経営権が譲渡でき、連動して後継者問題も解消されます。

効率よく後継者問題を解決するのであれば、m&a・事業承継を選択しましょう。

売却益を得られる

m&aを選択した場合に限りますが、事業譲渡の対価として売却益が獲得可能です。

売買取引によってクリニックを譲渡することになり、現金や株式などが支払われます。

受け取った対価は元経営者の老後資金や離職する従業員のサポート、新事業を立ち上げる場合は事業資金として活用されることが一般的です。

獲得した売却益を無駄に使うことがないように、あらかじめ用途を定めておくことをおすすめします。

経営の安定化につながる

売却側の事業はm&aをすると、買収側の安定感のある経営基盤で事業運営ができます。

経営基盤が不安定な中で事業運営は継続できません。

しかし、m&aに応じる買収側は経営基盤がある程度安定している傾向にあります。

事業を継続させるために、経営基盤の安定化を求めてm&aを選択することも視野に入れてみてください。

地域医療を存続できる

売却側のクリニックがm&aを進めて経営基盤が安定した場合、地域医療が存続できます。

飲食事業などが失われた場合に食生活が制限されてしまいますが、ほかの飲食店まで失われるわけではありません。

しかし、医療機関の数には限りがあり、特に地方では医療機関が失われると健康維持がままならなくなってしまう方も出てきます。

地域医療を存続させることの重要性が大きい医療機関は、手遅れにならないうちにm&aを進めましょう。

クリニックや病院のm&a・事業承継における注意点

クリニックのm&a・事業承継の前に、m&a・事業承継の注意点を押さえて失敗がないように手続きを進めましょう。

クリニックのm&a・事業承継における注意点は主に以下の4つです。

  • 医療業界特有の資産を明確に把握する
  • 買い手が少ないので手続きに時間がかかる可能性がある
  • 経営権に関する問題を抑えておく
  • 医療法人の種類で手続きが異なる

医療業界特有の資産を明確に把握する

クリニックのm&a・事業承継前に、医療業界特有の資産を明確に把握しておきましょう。

医療業界特有の資産もm&a・事業承継時の取引価格に影響を与えやすいです。

医療業界特有の資産として主に以下の資産があげられます。

  • 医療分野
  • 患者・カルテの数
  • スタッフ

医療分野によってニーズの大小が異なり、ニーズの高い医療分野のクリニックは取引価格が高くなります。

また、患者・カルテの数がクリニックとしての実績・将来の経済性につながり、スタッフの質が高いと幅広い医療の提供も可能です。

医療業界特有の資産を正しく認識しておくと、買収側から提示される価格に正当性があるか判断できます。

買い手が少ないので手続きに時間がかかる可能性がある

クリニックのm&a・事業承継は買収先が少ないため、手続きに時間がかかる可能性があります。

クリニック全体の数が毎日の生活に欠かせない事業より少ないため、m&aの買収先の数も多くはありません。

クリニックのm&a・事業承継では、売却側が買収先を見つけられず、取引相手探しだけで手間暇がかかってしまう場合があります。

前もってm&a・事業承継の準備を進めて買収先を見つけておくと、m&a・事業承継の適切なタイミングを逃すことはありません。

経営権に関する問題を抑えておく

クリニック分野において、m&a・事業承継時の経営権について考える必要があります。

医療法人では株式会社化が認められていません。

通常の株式ではなく、出資持株を用いて経営権を獲得する点がほかの業界・業種と異なります。

また、直接経営か間接経営か選択する際に、間接経営の場合は対象の医療法人の出資持分を握る法人の株式を取得する点も特徴的です。

直接出資持株を取得するか間接的に出資持株を取得するかあらかじめ決めておきましょう。

医療法人の種類で手続きが異なる

医療法人の種類で手続きがやや異なる点にも注意が必要です。

医療法人には財団と社団の2つの形態があり、財団は出資と社員が同じ立場になることがあります。

一方で、社団は出資と社員が別々の存在になり、売却側の社員の立場からでないと手続きが進められません。

どの形態の医療法人でのm&a・事業承継なのか整理して計画を立てることをおすすめします。

クリニックや病院のm&a・事業承継を成功させるポイント

成功に近づくためのポイントを押さえてクリニックのm&a・事業承継を進めないと失敗してしまいます。

クリニックのm&a・事業承継を成功させるポイントは主に以下の6点です。

  • 許認可の引き継ぎ要件を確認する
  • 人材流出を防ぐための対策を立てる
  • 行政との連携をしっかり行う
  • クリニック開設の各種手続きを行う
  • M&Aスキームの選定を慎重に行う
  • M&A・事業承継の専門家に相談する

1.許認可の引き継ぎ要件を確認する

クリニックの場合は、m&a・事業承継前に許認可の引き継ぎ要件を確認しましょう。

医療機関の事業承継を実施する場合、所定の行政手続きが求められます。

医療機関の事業承継ごとの行政手続きの内容は以下の表の通りです。

事業形態 申請手続き
個人事業主 ・厚生局:保険医療機関廃止届(前院長)、保険医療機関指定申請書(新院長)
・保健所:廃止届・レントゲン廃止届(前院長)、開設届・レントゲン設置届(新院長)
医療法人 ・厚生局:保険医療機関届出事項変更届
・法務局:医療法人変更登記申請書
・都道府県:登記事項変更完了届・役員変更届

それぞれの事業形態・立場に合わせて申請手続きを進めてください。

ちなみに、法人化すると医療機関でも登記手続きが求められます。

登記手続きは財産の権利などについて法務局の情報に記録するための手続きです。

2.人材流出を防ぐための対策を立てる

m&a・事業承継では人材流出を防ぐための対策を立てることが重要です。

m&a・事業承継で人材が流出してしまうと、m&a・事業承継で本来発揮できるはずの成長効果が期待できなくなってしまいます。

人材流出を防ぐために、事前に話せる範囲でm&a・事業承継の内容を伝えて納得してもらうことが大切です。

納得してもらえない場合には、そのまま会社を辞めるスタッフも出てきます。

無理に引き留めようとせず、スタッフの意思を尊重することを意識してみてください。

3.行政との連携をしっかり行う

クリニックのm&a・事業承継では行政との連携が求められます。

クリニックではさまざまな手続きが必要となり、ほかの業界・業種より手間暇がかかりやすいです。

行政に提出する申請をすぐに届けられるように、日常的に行政との関係を構築しておくことをおすすめします。

4.クリニック開設の各種手続きを行う

m&a・事業承継を皮切りにクリニックの開設が必要になった場合は、各種手続きを行ってください。

各市町村で以下の書類の提出が求められます。

  • 病院開設許可申請書
  • 開設者の免許証の写し
  • 開設者の履歴書
  • 管理者の履歴書
  • 施設・敷地の平面図
  • 定款・条例などの写し

細かい要件や手数料などに地域差があるため、クリニック開設前に確認しておきましょう。

5.M&Aスキームの選定を慎重に行う

m&aスキームの選定を慎重に進めると、m&a・事業承継での失敗が避けられます。

m&aにはいくつかのスキームがあり、それぞれの状況に合ったスキームを選択することが重要です。

株式譲渡を選択すると包括承継でスムーズに経営権を譲渡できますが、買収側が売却側の不要な負債まで抱えることとなります。

一方で、事業譲渡を選択すると個別承継で譲渡対象を柔軟に選べますが、譲渡対象1つ1つに対して手続きが求められる点に注意が必要です。

6.M&A・事業承継の専門家に相談する

m&a・事業承継の際には専門家に相談しましょう。

m&a・事業承継は手続きに手間がかかるだけでなく、法律・会計・財務などの分野の知識も求められます。

クリニックの院長がm&a・事業承継に関する多くの専門知識を身に付けるのは容易ではありません。

コストを支払い、専門家に相談して直接介入してもらうと、m&a・事業承継で失敗するリスクが減らせます。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/

売却額の無料見積もりはこちら!

クリニックや病院のm&a・事業承継の流れ

クリニックのm&a・事業承継の手続きの流れを押さえておき、正しい流れで手続きを進めてください。

買収側の流れは以下の通りです。

  1. 専門家に相談
  2. ノンネームをチェックし、m&a候補のクリニックの選定
  3. 秘密保持契約・アドバイザリー契約の締結
  4. トップ面談・基本合意
  5. デューデリジェンス
  6. 最終合意

一方で、売却側の流れは以下の通りです。

  1. 専門家に相談
  2. 秘密保持契約・アドバイザリー契約の締結
  3. m&aに必要な資料の提出
  4. クリニック価値評価・概要書作成
  5. ノンネーム登録
  6. トップ面談・基本合意
  7. デューデリジェンス
  8. 最終合意

クリニックや病院のm&aの相場を調べる方法

クリニックのm&aの取引価格は相場からは判断できません。

過去のm&aの対象もクリニックごとで経営資源にバラつきがあり、それぞれ取引価格を計算する必要があります。

取引価格を計算する際には、企業価値を評価して算出した数値を双方のトップで交渉して最終的な価格を決定する方法が一般的です。

企業価値を評価する際に用いられるスキームとして以下の種類があげられます。

  • 修正純資産法
  • 類似会社比較法
  • DCF法(Discounted Cash Flow)

修正純資産法

修正純資産法はコストアプローチのスキームで、帳簿の数値を時価に修正した上で純資産を計算し、株式価値とする方法です。

コストアプローチは純資産額を企業価値とするスキームで、他のスキームより計算しやすい特徴があります。

帳簿に記録されている数値は取引したタイミングの資産の価値です。

m&a時には資産の価値が変動している場合があるため、時価評価することで現在の企業価値が算定しやすくなります。

類似会社比較法

類似会社比較法はマーケットアプローチのスキームで、自社と類似した企業の価値を企業価値とする方法です。

マーケットアプローチは市場価格を参考にして企業価値を評価するスキームで、客観的な価値が算定しやすい特徴があります。

類似会社比較法は直感的に数値を設定しやすい傾向にありますが、類似した企業を見つけるまでに時間がかかりやすいです。

m&aのマーケットの規模が小さいクリニック業界ではあまりおすすめできません。

DCF(Discounted Cash Flow)法

DCF法はインカムアプローチのスキームで、将来のキャッシュフローを現在価値に換算して企業価値とする方法です。

インカムアプローチは将来の収益性から事業価値を算出し、非事業価値を加算して企業価値を評価するスキームで、将来性を加味した計算ができます。

DCF法は将来性を意識した企業価値は算出できる反面、客観的な企業価値は算出できません。

将来性を重視する場合にDCF法を検討してみてください。

具体的な譲渡価額の算定はM&A仲介会社に相談する

具体的な譲渡価額の算定はm&a仲介会社などの専門家に任せましょう。

専門的知識がないと、どのスキームによる企業価値評価が適しているか正確には判断できません。

m&a仲介会社などの専門家に相談すると、m&aの手続き以外に企業価値評価までサポートしてもらえます。

m&aに必要となるプロセスはまとめて専門家に相談して支援してもらってください。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/

売却額の無料見積もりはこちら!

クリニックや病院のm&a成功事例

クリニックのm&aの際に、過去のm&aの成功事例を参考にすると、m&a成功に向けた戦略が立てやすくなります。

以下の5種類の事例がクリニックのm&aの成功事例です。

  • 徳洲会によるベテル泌尿器科クリニックの事業譲受
  • ユニゾン・キャピタルによる熊谷総合病院の買収
  • 豊栄会によるきゅう眼科医院の事業承継
  • 真生会による田中内科クリニックの事業承継
  • 廣仁会が昭和皮膚科クリニックを現院長個人に承継

1.徳洲会によるベテル泌尿器科クリニックの事業譲受

クリニックのm&aの成功事例として、徳洲会とベテル泌尿器科クリニックの事例があります。

院長が診療する形は残し、ベテル泌尿器科クリニックは徳洲会に事業譲渡しました。

医療法人徳洲会は民間医療法人グループで、ベテル泌尿器科クリニックは大きなグループの経営基盤での事業運営が可能となるメリットがあります。

大きな人員体制の変更もないため、患者側にとっても不都合は少ないと考えてm&aが進められました。

m&aのスキーム 事業譲渡
買収側 医療法人徳洲会
売却側 ベテル泌尿器科クリニック
m&aの目的 大きなグループの経営基盤での事業運営

出典:http://www.bethel-uc.jp/news/index.php?id=99

2.ユニゾン・キャピタルによる熊谷総合病院の買収

クリニックのm&aの成功事例として、ユニゾン・キャピタル株式会社と熊谷総合病院の事例があります。

ユニゾン・キャピタル株式会社は株式会社地域ヘルスケア経営基盤をグループ会社とする企業です。

社会医療法人北斗とも協力し、3社間でノウハウを共有しながら地域医療の発展を目的としてm&aが実施されました。

m&aのスキーム 非公開
買収側 ユニゾン・キャピタル株式会社
売却側 熊谷総合病院
m&aの目的 ノウハウ共有による地域医療の発展

出典:https://www.unisoncap.com/jp/news/36.html

3.豊栄会によるきゅう眼科医院の事業承継

クリニックのm&aの成功事例として、医療法人社団豊栄会ときゅう眼科医院の事例があります。

医療法人社団豊栄会は福岡市西区で医療を展開する社団で、質の高い地域医療を実現しているクリニックです。

きゅう眼科医院は社団に加入することで、医療の質の向上が期待できると考えて事業承継を進めました。

m&aのスキーム 事業承継
買収側 医療法人社団豊栄会
売却側 きゅう眼科医院
m&aの目的 医療の質の向上

出典:https://www.kyuganka.jp/staff_blog/20200101/#more-863

4.真生会による田中内科クリニックの事業承継

クリニックのm&aの成功事例として、医療法人真生会と田中内科クリニックの事例があります。

医療法人真生会は入院・外来だけでなく在宅まで幅広く手を広げる医療法人です。

田中内科クリニックは富山県高岡市早川にあるクリニックで、継続的な事業運営の難しさなどから事業承継を進めています。

m&aのスキーム 事業承継
買収側 医療法人真生会
売却側 田中内科クリニック
m&aの目的 継続的な事業運営

出典:https://www.shinseikai.jp/info/detail0782.html

5.廣仁会が昭和皮膚科クリニックを現院長個人に承継

クリニックのm&aの成功事例として、医療法人社団廣仁会の昭和皮膚科クリニックの事業承継の事例があります。

医療法人社団廣仁会は皮膚科・内科を専門とする医療法人社団です。

2003年から18年間続けていた経営体制に変化を加え、2021年5月に立石八寿貴先生に経営権を譲渡し、新院長となりました。

m&aのスキーム 事業承継
買収側 立石八寿貴先生
売却側 医療法人社団廣仁会昭和皮膚科クリニック前院長
m&aの目的 経営体制の変更・事業の継続

出典:http://www.kojinkai.org/news/detail.php?eid=00034

【まとめ】クリニックや病院のm&a・事業承継は専門家に相談しよう!

クリニックでm&a・事業承継が積極的に進められています。

少子高齢化や休廃業業者の増加などの背景から事業運営が厳しくなっているのが現状です。

しかし、クリニックが失われてしまうと健康維持ができなくなってしまう人もいます。

地域の健康維持のために、小規模のクリニックも事業の継続が必要です。

m&a・事業承継をすると経営基盤が安定している買収側の傘下で事業が継続させられます。

m&a・事業承継の際には専門的知識が求められるため、m&a仲介会社などの専門家に相談して手続きを進めましょう。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/

売却額の無料見積もりはこちら!