そのように感じたことはないでしょうか?
金融に関わる税金となれば、複雑でなおかつ高い税金を支払うイメージもあるかと思います。
一時は岸田総裁による、「株式譲渡や配当金などの金融所得の課税引き上げ」を検討すると発言したことでいわゆる「岸田ショック」が発生。日経平均株価は12年ぶりとなる8日営業日連続で下落しました。
後に岸田総裁は「成長なくして分配はない」とし、当面この件に関して触れることはないと明らかにしました。
しかし、このように国がテコ入れを検討したことで、株式譲渡や配当に対する課税に対し注目度が増したことに間違いありません。
今回の記事では、キャピタルゲインについての概要とキャピタルゲインに課せられる税金について紹介します。
- キャピタルゲインを簡単に解説
- キャピタルゲインに課せられる税金がわかる
- キャピタルゲインにかかる税金を減らす方法を紹介
- 創業者利益をより多く出す方法を紹介
- キャピタルゲインをする前に知っておきたい3つの注意点とは
本記事を最後まで読んでいただけると、資産を売却した際に発生する税金について詳しくなりますよ。
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目次
キャピタルゲインの特徴とは
キャピタルゲインとは、ご自身が保有する資産を売却する際に得られる利益をさします。
主に資産とは土地であれば売却益、株式であれば譲渡益をキャピタルゲインと呼びます。
たとえば、20万円で買った株式を25万円で売れた場合、利益となる5万円がキャピタルゲインとなるのです。
その他キャピタルゲインと呼ばれる種類は以下の通りです。
- 株式
- 投資信託
- 仮想通貨
- 土地やマンション不動産
- FX
資産を安く買って高く売る。高く売って安く買う。資産の価格上昇に伴う利益を、キャピタルゲインと呼びます。
よく聞くインカムゲインとは
キャピタルゲインと一緒に聞くことが多いインカムゲイン。
キャピタルゲインは資産を売却することで得られる利益に対し、インカムゲインは資産を保有することで継続的に得られる利益をさします。
出典:大和証券HP
具体的には株式配当や銀行預金利息などがインカムゲインにあたります。
その他インカムゲインと呼ばれる種類は以下の通りです。
- 投資信託分配金
- 株式配当金
- 銀行預金利息
- 不動産からの賃貸収益
- FX取引によるスワップポイント
キャピタルゲインとインカムゲインの違いとは
キャピタルゲインとインカムゲインの大きな違いは3つあります。
- 資産の保有期間
- リスクの大きさ
- 損失の大きさ
まず資産の保有期間の違いで言えば、キャピタルゲインは資産を売却してはじめて利益が得られるため、保有期間は限定的です。
一方、インカムゲインは、資産を保有することで利益が得られるため長期保有が一般的。
リスクについてもキャピタルゲインは短期間で大きな利益を得られるため、ハイリスク・ハイリターンに対し、インカムゲインはローリスク・ローリターンの位置付けになります。
また、キャピタルゲインにおける損失の大きさについては、資産の目減りや投資の損切りをするキャピタルロスがあります。
一方、インカムゲインは配当による利益配分のため、キャピタルロスは発生しません。
資産の保有期間 | リスクの大きさ | 損失の大きさ | |
---|---|---|---|
キャピタルゲイン | 短期間 | ハイリスク・ハイリターン | キャピタルロスがある |
インカムゲイン | 長期間 | ローリスク・ローリターン | キャピタルロスは存在しない |
以上3つがキャピタルゲインとインカムゲインの大きな違いになります。
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キャピタルゲインにかかる税金と計算方法を解説
株式や不動産などで発生したキャピタルゲインは、金額に応じて課税されます。
現在キャピタルゲインにかかる税率は20,315%とされており、その内訳は以下の通りです。
所得税(15%)+復興特別所得税(0,315)+住民税(5%)=20,315%
※2037年まで復興特別所得税として所得税15%に2,1%が加算されます(15%×2,1%=0,315%)
一般的に、キャピタルゲインで得た利益やM&Aなど創業者利益も譲渡所得になります。また、土地や建物などの不動産売却も同様に、譲渡所得として扱われます。
しかし、不動産譲渡に関しては税率が変わってきます。
それらを踏まえ、株式譲渡や不動産譲渡にかかる課税について深堀りしていきましょう。
株式譲渡における税金
株式譲渡にかかる申告分離課税は20,315%です。
また、株式譲渡にかかる「申告分離課税」と事業収益や不動産所得による「総合課税」では双方に違いがあります。
申告分離課税は一律20,315%ですが、事業収益などの総合課税は、累進課税が適用されているため最大55%になります。
ですが、申告分課税と総合課税は別々に計算されるため、株式で得た利益に対しては一律20,315%のまま計算されます。
余談ですが、株式譲渡にかかる税率は上場株式と一般株式ともに一律20,315%になります。
ちなみに諸外国でかかる株式譲渡益課税は以下の通りです。
出典:財務省HP
不動産譲渡における税金
不動産譲渡にかかる税率は株式譲渡とは少し違ってきます。
不動産譲渡にかかる税率は不動産の保有期間で決まるのです。
たとえば、不動産保有期間が5年以上であれば「長期譲渡所得」が適用され、不動産保有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」が適用されます。
保有期間 | 発生する税率 | |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 保有期間5年以上 | 『20,315%』 所得税15%・復興特別所得税0,315%・住民税5% |
短期譲渡所得 | 保有期間5年以下 | 『39,63%』 所得税30%・復興特別所得税0,63%・住民税5% |
ご覧の通り保有期間が5年以下の不動産を売却すると、税率が約40%まで跳ね上がるため、節税を意識するのであれば5年以上の不動産売却が好ましいでしょう。
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キャピタルゲインにかかる税金を減らす方法
キャピタルゲインで利益を獲得しても、税金で持っていかれると少し残念な気持ちになりますよね?
ここでは少しでも利益を増やすために、適切な納税を前提として、キャピタルゲインにかかる税金の減らし方を紹介します。
どの方法も比較的簡単に取り組めるのでぜひ参考にしてください。
NISAの口座で運用する
まずはNISA(少額投資非課税制度)で運用する方法になります。
NISAで運用できる資産であれば、キャピタルゲインの株式売却益や、インカムゲインにかかる配当金に対しての税金は発生しません。
たとえば、50万円以上のキャピタルゲインは、通常であれば10万円以上の税金がかかります。しかし、NISAで運用していれば10万円以上かかる税金はゼロ。
となると、かなり節税効果になりますよね。
売却で損をしても確定申告する
株式売却で損をしてしまった場合、他の口座で利益が出ていても、互いの口座で相殺すると支払う税金も減らせます。
たとえば、損失が600万円の口座と利益が100万円の2つの口座があった場合、通常ならば100万円の利益に課税されます。
しかし、600万円の損失から利益分100万円を引いて、残った損失500万円を損失通算として確定申告すれば、100万円の利益に課税されません。
さらに、500万円の損失は翌年以降に持ち越しが可能になり、翌年以降は新たな利益が出ても損失分と相殺されるので、その分の税金が減らせるのです。
この翌年以降に繰越できることを繰越控除と呼び、売却で損をしてしまうことをキャピタルロスと言います。
上記で説明した損失通算と繰越控除を適用するには、キャピタルロスが発生した時点で確定申告する必要があります。
利益確定しない
税金を税金を減らす対策最後の方法は、利益を確定させない方法です。
含み益を確定させてしまうとその時点で課税対象になりますが、含み益を確定しなければ税金は払わずに資産運用が可能です。
そのため、運用する元本が税金によって減らないメリットがあります。
これは仮想通貨運用によく用いられる方法でもあり、通貨は売らず、安い時にひたすらコツコツ買い足す方法として定着しています。
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創業者利益をより多く得るには
前項ではキャピタルゲインにおける、税金を減らす方法をお伝えしました。
ここでは創業者利益で得られる利益をより高くする方法を紹介します。
これからM&Aを検討している経営者の方にとっても参考になる内容です。
IPOを実施する
まず1つ目はIPO(株式上場)を狙うことです。
IPOを達成すると株式公開され企業価値が一気に高まります。
具体的に、IPOを達成すると会社の信頼度が上がることで株価も上がり、同時に資金も集まりやすくなるので、事業拡大しやすく自然に企業価値も上がります。
しかしここで気をつけたいのが、株式を一気に売ってしまうことです。
企業価値が高まるまで株式を持ち続け、そこで一気に売ってしまうと、投資家からは企業存続を疑われたりします。
売却の数を間違えると持株比率が減少し、経営権まで影響を及ぼすため5%〜10%に抑えるのが一般的です。
IPOを実施するには年数がかかるため、企業スタイルを維持し続けるなどハードルも高いです。
企業価値を高める
創業者利益を高める方法2つ目は企業価値を高めることです。
さきほどのIPOに関わることですが、業績上向きを維持することで会社の株式にも注目が集まります。
株式上昇があれば投資家からも注目され後々はIPOにもつながっていくでしょう。
ベンチャー企業であっても企業や人材に専門性に特化した育成ができれば、将来性を見込まれ、ベンチャーキャピタルも行える可能性が出てきます。
となれば、企業価値は一気に高まるでしょう。
長期的に企業価値を高める方法もありますが、どちらに関しても言えることは「会社を育てる」ことが企業価値を高める方法になります。
M&Aで株式売却する
創業者利益を高める方法3つ目はM&Aで株式売却する方法です。
M&Aの利点は、早ければ数か月でM&Aは完了し多くの利益獲得ができます。
しかし、経営権や事業を引き渡すことになりますが、その分より多くの創業者利益が獲得できます。
M&Aを行う際のタイミングは、経営状況や参入市場の動向によって利益も変わります。
そのため迷った時は、M&A仲介業者に相談するとその時の適切な売却先を探してくれます。さらに双方納得がいく仲介も行ってくれるので、早く利益を出したい方にオススメです。
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キャピタルゲインにおけるメリット・デメリット
ここまでキャピタルゲインの税率に関してのことや、利益をより多く受け取る方法を紹介しました。
ですが、キャピタルゲインはすべてがメリットだけではありません。
キャピタルゲインにもデメリットも存在します。
ここでは事前に知っておきたいキャピタルゲインのメリット・デメリットを紹介します。
事前に知っておくと、リスクヘッジにもつながるのでぜひ参考にしてください。
- メリット:短期間で多額の利益が出せる
- メリット:インカムゲインより元手が少なくても運用できる
- デメリット:多額の損失が出る可能性がある
- デメリット:売却タイミングの見極めが必要
メリット:短期間で多額の利益を出せる
キャピタルゲインの大きな特徴でもあるメリットは短期間で利益を出せることです。
適切なタイミングで株式や不動産を売ることで、短期間で大きな利益獲得につながったり、FXなどのデイトレードであればその日のうちに利益を出すことも可能になります。
配当などのインカムゲインより、短期間でより大きな利益を獲得したい方はキャピタルゲインが有効です。
メリット:インカムゲインより元手が少なくても運用できる
キャピタルゲインは売却益で利益を出します。一方インカムゲインは配当で利益を獲得するので、保有する資産が多くなければ利益も多く獲得できません。
そのため、インカムゲインは元手が必要なのに対し、キャピタルゲインは元手が少なくても元手以上の利益を出せればそれで良いため、インカムゲインにはないメリットと言えるでしょう。
デメリット:多額の損失が出る可能性がある
比較的安定収益とされるインカムゲインに対し、収益性が高いのはキャピタルゲインです。
しかし、安く買って高く売ることが基本のキャピタルゲイン。
当然のことながら、自然災害や突然の経営不振など予測不可能な事態による元本割れのリスクもあり、安全性や安定性などは期待できません。
そのため、多額のキャピタルロスといった損害を出しやすい部分も、キャピタルゲインのデメリットになります。
デメリット:売却タイミングの見極めが必要
キャピタルゲインの利益につながる重要なポイント。それは資産売却のタイミングです。
いつ売却するかによって利益に大きな差が生まれます。ですので、市場の動向や株式市場などをキャッチして適切なタイミングを見極めないといけません。
株式の値動きの読み方やそれぞれの知識も必要になるので、タイミングの見極めには注意が必要です。
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知っておきたいキャピタルゲインの3つの注意点
キャピタルゲインで少しでも損をしないために、事前に知っておけば役に立つ注意点を共有します。
キャピタルゲインする際、売却する前に注意する方が多いですが、売却時もしくは売却後にも注意するべき点はいくつかあるのです。
ここでは事前に知っておきたいキャピタルゲインの注意点を3つ紹介します。
利益に対して最大55%の税金がかかる
キャピタルゲインで気をつけたいのが税率です。
「一律20,315%ではないの?」と思った方もいるでしょう。
たしかにさきほど不動産投資は除き、株式投資や投資信託、FXは一律20,315%とお伝えしました。
しかし、その中でも仮想通貨には注意が必要です。
仮想通貨の税金は、総合課税が適用されるので最高税率55%が適用されます。
仮想通貨で大きく儲けた方が、結果的に「総合課税が払えない」といった事例は多く関心を集めました。
そのため、仮想通貨による多額の利確には注意が必要です。
売却しなければ利益は得られない
キャピタルゲインは利確、いわゆる売却しなければ利益にはなりません。
そのため、売却せずコツコツ買い足す方法もありますが、あくまでも時価評価としての利益が出ているだけなので、手元にお金はきません。
キャピタルゲインは売却することではじめて利益が生まれます。
キャピタルロスや塩漬けになる可能性も
キャピタルゲインは短期間で大きな利益を出すことが可能と紹介しましたが、逆にコロナショックなど経済ショックが起きると、株価などは凄まじい勢いで下落します。
すると短期間で大きな損失、いわゆるキャピタルロスも簡単に起こってしまうのです。
となれば、低迷し続ける株式を売るにも売れない、株式を持ち続ける塩漬け状態の場面も出てくるでしょう。
それらを防ぐには、世の中の情勢や情報をいち早くキャッチするなどの見極めが重要です。
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キャピタルゲインにおける税金のまとめ
今回はキャピタルゲインの税金に関する内容や、キャピタルゲインのメリットや注意点を紹介しました。
キャピタルゲインの税率は、一律20,315%でありますが仮想通貨に関しては最大55%のケースがあったり、不動産保有期間が5年以下であれば39.63%の税金がかかります。
さらにキャピタルゲインは短期間で利益を得られる可能性があります。が、しかしその分リスクが伴います。
一方インカムゲインは、長期間の株式や投資信託を保有しなければ利益にはなりませんが、利益配分のため安定的に収益につながると紹介しました。
本記事をまとめると以下のようになります。
- キャピタルゲインとは資産を売却する際に得る利益のこと
- キャピタルゲインの税率は一律20,315%
- インカムゲインは株式配当による利益
- キャピタルゲインはハイリスク・ハイリターン
- M&Aで得られるキャピタルゲインは比較的短期間で高収益になりやすい
- 仮想通貨は最大55%の税率が課せられる
- キャピタルゲインは売却しないと利益にならない
キャピタルゲインは短期間で高収益が望めます。ですが予期せぬ情勢の悪化などから、簡単に損失が出ることにも気をつけなければなりません。
そのため、先々を読む力や見極める力も必要です。
もし、見極めがむずかしいと思うのであれば、M&A仲介業者に相談してM&Aを検討するのもひとつの方法になります。
ぜひ、ご自身にあったキャピタルゲインを見極めてください。
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