ベンチャー企業がm&aを行う理由やメリット、成功事例を解説

近年、大手企業だけでなく、ベンチャー企業もm&aを検討するケースも珍しくありません。

ベンチャー企業がm&aを実施すると、メガベンチャーに成長して事業目標達成の実現に近づく可能性があります。

m&aを実施する前に、m&aにどのような効果があり、どのような手続きを進めるか正しく把握しておきましょう。

本記事では、m&aを検討しているベンチャー企業に向けて、m&aを実施する理由やメリット、過去のベンチャー企業のm&aにおける成功事例などについて解説します。

あわせて、ベンチャー企業がm&aを実施するデメリットも確認してください。

目次

ベンチャー企業がm&aを積極的に行う理由

ベンチャー企業がm&aを積極的に行う理由は主に以下の2点です。

  • 投資回収の方法としてm&aをするようになったため
  • m&aをきっかけに新たな事業展開や企業に挑戦できるため

投資回収の方法としてm&aをするようになった

投資会社がベンチャー企業を買収し、短期間で投資額を回収する目的でm&aを実施するようになりました。

ベンチャー企業は独自の技術・アイデアで事業を運営している企業です。

独自の技術・アイデアと柔軟な経営ができる点で短期間での企業成長が期待されています。

ベンチャー企業が短期間で企業成長して事業規模が大きくなるメガベンチャー企業になると、さほど時間をかけずに投資回収が可能です。

2023年のベンチャー企業のm&aのうち、11.3%は投資会社が譲受側企業となっています(※)。

※”レコフ公式サイト“参照

m&aをきっかけに新たな事業展開や企業に挑戦できるから

m&aをきっかけに新たな事業展開・企業に挑戦するために、対象をベンチャー企業とするケースも見られています。

ベンチャー企業が持つ経営資源と譲受側企業の経営資源を掛け合わせることでシナジー効果が発揮可能です。

シナジー効果が適切な形で発揮されると、新商品・新サービスが開発できます。

新商品・新サービスをきっかけとして新しい顧客をファン化できると、企業・事業成長に繋がりやすいです。

ベンチャー企業のm&a最新動向

ベンチャー企業のm&aにおいて近年では以下の2点の動向が見られています。

  • IPO以上にバイアウトによるm&aが増加
  • 取引金額の高いm&aが増加

バイアウト件数がIPOを超えて増加中

IPO以上にバイアウトによるベンチャー企業のm&aが増加しています。

IPOとは株式を公開して自由に取引できる状態にすることです。

ベンチャー企業のIPO件数は100件前後で微増にとどまっています(※1)。

一方で、M&Aの件数は2009年から年々増加しているのが現状です(※2)。

主に大企業がベンチャーを買収するケースやベンチャーがベンチャーを買収するケースなどがあり、M&Aを目指す起業家やベンチャー企業が増えつつあります。

※1″PRTIMES公式サイト“参照

※2″中小企業庁公式サイト“参照

取引金額の高騰

近年ではベンチャー企業のm&aでも取引金額が高騰しています。

実際、100億円(税込)を超えるベンチャー企業を対象としたm&aも実施されるようになりました。

2023年7月から12月の半年だけでも50件以上のm&aの取引金額が100億円(税込)を超えています。

2023年下期のm&a金額上位10件は以下の表の通りです。

譲受企業 買収金額(億円)
NIPPON STEEL NORTH AMERICA,INC. 20,053.2
大正製薬ホールディングス株式会社経営陣 7,086.0
JICキャピタル株式会社、大日本印刷株式会社、三井化学株式会社 6,848.8
TG Natural Resources LLC 4,050.0
日本生命保険相互会社 2,100.0
インフロニア・ホールディングス株式会社
2,031.0
住友生命保険相互会社 1,700.0
7-Eleven International LLC 1,672.3
エムスリー株式会社 1,399.9
三菱UFJ信託銀行株式会社 1,085.5

事業として利益が見込める場合、取引金額が高騰してしまってもm&aを進める企業が増加しています。(※)

※”日経テレコン公式サイト“参照

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/


売却額の無料見積もりはこちら!

ベンチャー企業がm&aを行うメリット

ベンチャー企業がm&aをするメリットを知っておくと、どのような利益があってm&aを実施するか目的が設定しやすくなります。

ベンチャー企業がm&aをするメリットは、買収側と売却側で異なる点を押さえておきましょう。

買収側のメリット

ベンチャー企業がm&aをする買収側のメリットは主に以下の3点です。

  • 既存事業とのシナジーを得られる
  • 新規事業参入がスムーズになる
  • 優秀な人材が確保できる

既存事業とのシナジーを得られる

ベンチャー企業のm&aの買収側には既存事業とのシナジーが得られるメリットがあります。

同じ事業領域同士のm&aであれば既存事業で事業拡大が見込め、業界におけるシェア率の拡大に繋がりやすいです。

業界シェアトップ企業同士のm&aのように、短期的には双方の顧客は囲い込めません。

しかし、ベンチャー企業の持つ技術・アイデアを効果的に活用できると、さほど時間をかけずにシェア率拡大が実現しやすくなります。

新規事業参入がスムーズになる

ベンチャー企業のm&aを活用すると、買収側にとっては新規事業参入もスムーズになります。

異業種とのm&aを実施するケースもあり、m&aをきっかけに買収側とは異なる売却側が運営する事業への参入も期待しやすいです。

ただ、買収側の事業と売却側の事業に関連性があることが前提条件となります。

異なる事業を掛け合わせて商品・サービスが生み出せない場合、m&aはおすすめできません。

優秀な人材が確保できる

m&aによってベンチャー企業の優秀な人材を獲得するきっかけが作りやすいです。

大企業に就職せず、自身の成し遂げたいことを可能な限り早く達成する目的で優れた人材がベンチャー企業に就職するケースも見られています。

成長前の段階で企業価値が少ないために取引価格が低くなりやすく、かつ優れた人材が確保しやすいです。

少ないコストで優れた人材を確保できると、仮にm&aでの企業成長が実現できなかったとしても損失を最低限に抑えられます。

売却側のメリット

ベンチャー企業がm&aをする売却側のメリットは主に以下の4点です。

  • 売却資金を得られる
  • IPOよりも迅速に投資回収できる
  • 他の企業の傘下に入れば安定した経営ができる
  • 倒産・廃業を避けられる

売却資金を得られる

m&aをすると売却側には売却資金を得られるメリットがあります。

m&aの売却側は株式あるいは事業を取引対象として引き渡し、対価として買収側から売却資金が獲得可能です。

ベンチャー企業であれば、新規事業への挑戦や投資家への転身などの目的でm&aが実施されています。

売却側は取引価格を高く見積もってもらうために、買収側に自社の魅力を伝えることが大切です。

IPOよりも迅速に投資回収できる

m&aは単に売却資金が得られるだけでなく、IPOよりも迅速に投資回収できるメリットもあります。

IPOは上場前にIPO監査が必要で、準備期間だけで2年以上の時間がかかるため、すぐには資金が回収できません。

一方で、m&aは企業間の売買取引であり、1年以内で取引対価・経営資源の譲渡まで済ませられます。

投資回収まで時間がかかり、次の投資に遅れが出て企業成長の機会を逃すことがないようにm&aを検討してみてください。

他の企業の傘下に入れば安定した経営ができる

ベンチャー企業がm&aを進めると、買収側の傘下に入って安定した経営が実現しやすいです。

m&aは売却側以上に買収側の経営基盤が安定しており、事業規模が大きいパターンが多く見られています。

ベンチャー企業はm&aによってより経営基盤が安定している買収側の傘下で事業運営が可能です。

安定した経営基盤の中で、ベンチャー企業らしい挑戦的な経営が進められます。

倒産・廃業を避けられる

安定した経営基盤の内容に繋がりますが、m&aによって倒産・廃業を避けやすくなります。

売却側のベンチャー企業で、挑戦的な経営を進めたものの事業成長に繋がらず倒産・廃業に追い込まれるケースも珍しくありません。

安定した経営基盤の中で事業運営ができないとしても、m&aによって倒産・廃業の状況の打開は可能です。

事業が運営できない限り何も生み出せないため、倒産・廃業に追い込まれているベンチャー企業はm&aによる課題解消を視野に入れてみてください。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/


売却額の無料見積もりはこちら!

ベンチャー企業がm&aを行うデメリット

ベンチャー企業とのm&aを検討している企業は、メリットだけでなくデメリットも理解しておく必要があります。

デメリットを踏まえてm&aを用いた企業成長・経営課題の解消を選んでよいか判断しましょう。

ベンチャー企業がm&aをするデメリットは主に以下の3点です。

  • 取引先や従業員に影響が出る可能性がある
  • 経営権がなくなる
  • 譲渡先を見つけるのが難しい

取引先や従業員に影響が出る可能性がある

m&aをすると取引先・従業員に悪影響が出る可能性があります。

m&a後に、企業風土の違いや従業員の関係値などの点で従業員間での衝突が起こる可能性に注意が必要です。

また、m&aによって取引先に変化が生じると、過去の取引先との関係が解消される場合もあります。

早い段階でm&aによって変わる点を対象の取引先・従業員に伝えると、ステークホルダーに与える影響が最小限に抑えやすいです。

経営権がなくなる

m&aによって売却側のベンチャー企業の経営権は買収側に譲渡されます。

m&aにはいくつかのスキームがありますが、事業譲渡は対象の事業の経営権、株式譲渡だと企業全体の経営権は保持できません。

買収側に譲渡した企業・事業の経営がコントロールされます。

売却側と買収側との間で経営ビジョンにズレがあると双方の関係悪化に繋がるため、慎重に交渉を進めて取引相手を決めることが重要です。

譲渡先を見つけるのが難しい

ベンチャー企業のm&aには譲渡先を見つけるのが難しいデメリットもあります。

ベンチャー企業は優れた技術・アイデアを持った人材が多くても、経営基盤が不安定だとリスクの高さから敬遠されやすいです。

リスクの大きさは避けようがないベンチャー企業もあります。

その分相手企業にm&aするメリットを具体的に提示して交渉を有利に進めましょう。

m&aで成功するベンチャー企業の特徴

m&aで成功するベンチャー企業の特徴を理解しておくと、m&aに向けた対策が取りやすくなります。

m&aで成功するベンチャー企業の特徴は主に以下の3点です。

  • 将来性がある
  • サービスの利用者が多い
  • 優秀な人材が多数いる

将来性がある

将来性があるベンチャー企業はm&aで成功しやすいです。

ベンチャー企業の場合、m&a前の段階で経営基盤が不安定であっても問題ありません。

経営基盤の安定性以上に将来性のある事業を運営しているかどうかが重要視されます。

市場の動向を分析し、将来性があるか根拠にもとづいて判断できるとm&aでの企業成長が実現可能です。

サービスの利用者が多い

ベンチャー企業の中でも根強いユーザーが付いているケースもあり、m&aの際に有利に働きやすいです。

m&a前から根強いユーザーが多いと、m&aで大きな効果を生み出す可能性があります。

ベンチャー企業でも希望する価格で取引を進めることも可能です。

また、m&aの場面においてはユーザーからの期待値が高いと、多額の資金調達にも成功しやすくなります。

優秀な人材が多数いる

ベンチャー企業の中に優秀な人材が多数いると、企業としての価値が高まり、取引価格を引き上げてもらえるようになります。

将来性を考え、2,000年頃からベンチャー企業で自身のスキルアップに務めようとする人材が増加しました。

特にITに関連する分野ではベンチャー企業に就職する動向が顕著に見られています。

意欲を持ってベンチャー企業に参入した人材は、単に高い技術力を持っているだけでなく、積極性の高さも評価されやすいです。

ベンチャー企業のm&aを成功させるポイント

ベンチャー企業のm&aを成功させる場合、以下の6つのポイントを押さえてm&aを進めましょう。

  • 成長傾向にあるタイミングでm&aを行う
  • 業界が変化している時期にm&aを行う
  • シナジーがある企業を選ぶ
  • 知的資産があることをアピールする
  • m&a後のPMIを計画しておく
  • m&a仲介サービスを利用する

成長傾向にあるタイミングでm&aを行う

成長傾向にあるタイミングでm&aをすると、高い確率で企業成長に繋がります。

ベンチャー企業とのm&aは将来的な成長性に期待して実施されやすいです。

m&a前の段階で成長する兆しが見えていると、ハイリスクな要素を限りなく排除してm&aの判断が下せます。

適切なタイミングでのm&aを逃さないためにも、市場の動向をチェックしてください。

業界が変化している時期にm&aを行う

業界が変化している時期にm&aをすると、業界の中で優位な位置に立てる可能性があります。

市場のトレンドは常に変化しており、業界で生き残り続けるためにはトレンドに沿った戦略を取ることが重要です。

それぞれの業界で業界全体が大きく変化するタイミングがあります。

業界の変化の内容に合わせた商品・サービスが提供できるように、早い段階でm&aの戦略を立てましょう。

シナジーがある企業を選ぶ

m&aの成功においてシナジー効果の発揮は欠かせません。

シナジー効果を発揮させると、買収側企業と売却側企業が個別に事業を運営するより得られる企業成長の効果が大きくなります。

シナジー効果の発揮についても、市場の動向を掴んだ戦略を取ることが大切です。

m&aで成功するために、市場の動向を理解し、企業成長が期待できるシナジー効果の中身と取引相手のイメージを具体的に形成してください。

知的資産があることをアピールする

売却側となるベンチャー企業は、豊富な知的資産があることをアピールするとm&aで成功できます。

知的資産は人材・組織力、技術、特許やノウハウ、ブランド力などの目に見えない形の資産です。

知的資産は容易に数値化できるものではありませんが、目に見えない形の資産にも価値はあります。

他のベンチャー企業よりも知的資産があることを買収側の視点に立ってアピールできると、m&aで成功しやすいです。

m&a後のPMIを計画しておく

m&a後のPMIまで計画を立てておくと、m&a後のトラブルも防止しやすくなります。

PMIは企業の経営統合作業のことです。

事前にPMIを綿密に計画しておくと、m&a後の人材配置でのミスマッチによる従業員の離職が防げます。

人材配置は業務効率化などにも影響するため、無計画な経営統合作業にならないように注意しましょう。

m&a仲介サービスを利用する

m&a仲介サービスを利用すると、専門的知識を頼りにm&aが進められます。

専門的知識だけでなく、m&a支援実績が豊富な専門家だと、過去の経験にもとづく的確なアドバイスが受けやすいです。

また、m&a仲介サービスではマッチングサポートを受けられる場合もあります。

ベンチャー企業で取引相手探しから苦戦している際には、マッチングサポートの活用がおすすめです。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/


売却額の無料見積もりはこちら!

m&aで失敗するベンチャー企業の特徴

m&aで成功するベンチャー企業の特徴だけでなく、m&aで失敗するベンチャー企業の特徴も理解しておきましょう。

m&aで失敗するベンチャー企業の特徴は主に以下の3点です。

  • 経営陣の相性が悪い
  • 社員がm&a後に流出する
  • 手続きに時間がかかる

経営陣の相性が悪い

経営陣の相性が悪いと、ベンチャー企業のm&aの交渉がうまく進みません。

それぞれの経営陣の考える経営ビジョンに大きな差があると、経営権を譲渡する売却側としては不安が残ってしまいます。

経営ビジョンの乖離が少ない企業だと、企業・事業の将来を託しやすいです。

経営陣の相性を判断するために、丁寧に交渉を進めて相手を選ぶことをおすすめします。

社員がm&a後に流出する

m&a後に社員が流出してしまうと、m&a後の企業成長の効果が減少してしまいます。

m&aの内容に納得できなかったために優れた技術を持つ社員が流出してしまい、機会損失が発生してしまう可能性がある点には注意が必要です。

m&a後に得られる予定だった企業成長の効果が落ち込むと、費用対効果が釣り合わないm&aになってしまうこともあります。

社員に前もってm&aについて伝えると従業員の離脱を防ぎやすいですが、社員の離脱をゼロにできるケースは稀です。

手続きに時間がかかる

手続きに時間がかかってm&aに失敗することもよくあります。

m&aの効果は業界の動向に左右されやすいため、タイミングを逃すと効果が半減しやすいです。

m&aにはいくつもの複雑な手続きがあり、手続きに時間をかけていると適切な取引タイミングを見逃してしまいます。

複雑な手続きに迅速に対応するために、m&aの専門家に相談しましょう。

ベンチャー企業のm&a成功事例10選

ベンチャー企業のm&aの成功事例を参考にすることがm&a成功の近道です。

ベンチャー企業のm&aの成功事例として主に以下の事例があげられます。

  1. 日立製作所によるKYOTO ROBOTICSの子会社化
  2. シードによるユニバーサルビューの子会社化
  3. ヤフーによるホテル予約サイトの一休のm&a
  4. じげんによるマッチングッド買収
  5. お金のデザインによるSMBC日興証券への会社分割
  6. 大阪ガスによるパレットクラウドの子会社化
  7. DMMによるBANKの買収
  8. FacebookによるInstagramの買収
  9. パナソニックによるCerevoの子会社化と買収
  10. ランサーズによるパラフトの買収

1.日立製作所によるKYOTO ROBOTICSの子会社化

株式会社日立製作所はKYOTO ROBOTICS株式会社の株式を取得して子会社化しました。

株式会社日立製作所は以下の5つの事業分野を運営している企業です。

  • モビリティ事業
  • ライフ事業
  • インダストリー事業
  • エネルギー事業
  • IT事業

一方で、KYOTO ROBOTICS株式会社は世界最高水準の3次元画像処理技術を用いたロボット開発などに強みを持つ企業です。

株式会社日立製作所はロジスティクスとFA分野におけるロボットSIの付加価値向上を目的としてKYOTO ROBOTICS株式会社を買収しました。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 株式会社日立製作所
譲渡企業 KYOTO ROBOTICS株式会社
m&aの目的 ロジスティクスとFA分野におけるロボットSIの付加価値向上

出典:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/04/0408.pdf

2.シードによるユニバーサルビューの子会社化

株式会社シードは株式会社ユニバーサルビューの株式を取得して子会社化しました。

株式会社シードはコンタクトレンズを扱う企業として知られています。

一方で、株式会社ユニバーサルビューは近視矯正の効果が期待できる「ブレスオーコレクト(R)」といったレンズを製造する企業です。

株式会社シードは「ブレスオーコレクト(R)」を用いた業界内での地位獲得と対象製品の販売体制の強化を目的として株式会社ユニバーサルビューを買収しました。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 株式会社シード
譲渡企業 株式会社ユニバーサルビュー
m&aの目的 コンタクトレンズ業界での地位獲得・「ブレスオーコレクト(R)」の販売強化

出典:https://www2.jpx.co.jp/disc/77430/140120211213451320.pdf

3.ヤフーによるホテル予約サイトの一休のm&a

ヤフー株式会社は株式会社一休の株式をTOBによって取得しました。

ヤフー株式会社は多種多様なインターネットサービスを提供する企業です。

一方で、株式会社一休はホテル・旅館の予約サイトを運営している企業で、特に高級ホテルの案件を多々取り扱っています。

ヤフー株式会社は競争が激化しているホテル・飲食店予約サービスの事業成長を狙うことを目的として株式会社一休を買収しました。

m&aの手法 株式譲渡(TOB)
譲受企業 ヤフー株式会社
譲渡企業 株式会社一休
m&aの目的 ホテル・飲食店予約サービスの事業成長を拡大させること

出典:https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2015/12/15b/

4.じげんによるマッチングッド買収

株式会社じげんはマッチングッド株式会社の株式を100%取得して連結子会社化しました。

株式会社じげんはライフイベント領域全般に対応する企業です。

一方で、マッチングッド株式会社は人事の採用担当者向けサービス『matchingood(マッチングッド)』を提供しています。

株式会社じげんは『matchingood(マッチングッド)』を活用した求職者の集客から就業管理まで一本化したサービス基盤の構築を目的としてマッチングッド株式会社とのm&aを進めました。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 株式会社じげん
譲渡企業 マッチングッド株式会社
m&aの目的 『matchingood(マッチングッド)』を活用した求職者の集客から就業管理まで一本化したサービス基盤の構築

出典:https://zigexn.co.jp/4377/

5.お金のデザインによるSMBC日興証券への会社分割

SMBC日興証券株式会社は株式会社お金のデザインの第一種金融商品取引業を会社分割で受け継ぎました。

SMBC日興証券株式会社は100年以上さまざまな株式・投資信託などを扱う歴史ある企業です。

一方で、株式会社お金のデザインは資産運用に関わる商品をコストをかけずに提供しており、SMBC日興証券株式会社と類似業界に該当します。

株式会社お金のデザインはかえって自社完結型の仕組みから脱却し、相互補完による新規サービスの拡大を目的として会社分割による事業譲渡を進めました。

m&aの手法 会社分割
譲受企業 SMBC日興証券株式会社
譲渡企業 株式会社お金のデザイン
m&aの目的 相互補完による新規サービスの拡大

出典:https://www.money-design.com/news/detail.php?id=239

6.大阪ガスによるパレットクラウドの子会社化

大阪ガス株式会社はパレットクラウド株式会社の株式を取得して子会社化しました。

大阪ガス株式会社は関西エリアでガス・電気などのインフラを提供する企業です。

一方で、パレットクラウド株式会社はクラウド型の入居者管理システムの企画・開発などを行う企業として知られています。

双方の事業は若干分野が異なるものの、連携させることで新しい価値を顧客に提供できると考えてm&aを進めました。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 大阪ガス株式会社
譲渡企業 パレットクラウド株式会社
m&aの目的 入居者の生活に新しい価値を提供すること

出典:https://www.osakagas.co.jp/sp/company/press/pr_2020/1289830_43667.html

7.DMMによるBANKの買収

株式会社DMM.comは株式会社バンクの全株式を取得して子会社化しました。

株式会社DMM.comはインターネット上でのあらゆるサービスを提供するグループ企業です。

一方で、株式会社バンクはキャッシュレス化の推進を目指している企業で、現金化アプリ『CASH(キャッシュ)』を運営しています。

『CASH(キャッシュ)』はメルカリよりも少ない手続きで所有物が出品できる点で話題となりました。

話題性を活かし、成長性が期待できるサービスへの参入を考えて株式会社バンクを買収しています。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 株式会社DMM.com
譲渡企業 株式会社バンク
m&aの目的 成長性が期待できる『CASH(キャッシュ)』の事業提供

出典:https://dmm-corp.com/press/corporate/596/

8.FacebookによるInstagramの買収

Facebook,Inc.はInstagramを10億ドルで買収しました。

Facebook,Inc.は世界最大級の利用者数を誇るSNSサービスの『Facebook(フェイスブック)』を運営する企業です。

『Instagram(インスタグラム)』は元々独立して運営されていました。

しかし、Facebook,Inc.は『Instagram(インスタグラム)』からユーザーに魅力を感じてもらう体験のヒントが得られると判断して買収を進めています。

m&aの手法 非公開
譲受企業 Facebook,Inc.
譲渡企業
m&aの目的 ユーザーに魅力を感じてもらえる新しい体験の創出

出典:https://about.fb.com/ja/news/2012/04/acquire-instagram/

9.パナソニックによるCerevoの子会社化と買収

パナソニック株式会社は株式会社Shiftallの全株式を取得して子会社化しました。

パナソニック株式会社は家電製品などを提供する大手企業で、近年ではIoT活用が注目されています。

一方で、株式会社Shiftallは株式会社Cerevoの子会社で、IoT製品の開発などに強みを持っている企業です。

パナソニックはIoT活用の商品開発のノウハウの獲得を目的として株式会社Shiftallを買収しました。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 パナソニック株式会社
譲渡企業 株式会社Shiftall
m&aの目的 IoT活用の商品開発のノウハウの獲得

出典:https://news.panasonic.com/jp/press/jn180402-2

10.ランサーズによるパラフトの買収

ランサーズ株式会社はパラフト株式会社の全株式を取得して子会社化しました。

ランサーズ株式会社は大手のフリーランス向けプラットフォームとして有名な企業です。

一方で、パラフト株式会社はIT系フリーランスを支援する企業として知られています。

ランサーズ株式会社はフリーランス人口の増加・IT人材不足の状況を受け、IT人材を補える環境を構築する目的としてパラフト株式会社とm&aを進めました。

m&aの手法 株式譲渡
譲受企業 ランサーズ株式会社
譲渡企業 パラフト株式会社
m&aの目的 IT人材不足に向けた対応

出典:https://www.lancers.co.jp/news/pr/13913/

ベンチャー企業がm&aを行う際の注意点

ベンチャー企業のm&aの注意点を理解しておくと、慎重にm&aが進められます。

ベンチャー企業がm&aを行う際の注意点は主に以下の4点です。

  • 希望通りの売却ができない場合がある
  • 手続きに時間がかかる
  • 財務状況によっては売却価格が下がる
  • 社員のモチベーションが低下する場合もある

1.希望通りの売却ができない場合もある

希望通りの価格でm&aが進められない場合があります。

m&aにおける買収額は、いくつかのスキームを選択して計算して算出した企業価値をもとに双方で交渉して決定する方法が一般的です。

計算しやすい点から時価純資産法が採用されやすく、以下の表にもとづいて計算されます。

資産 負債
純資産(=企業価値)

資産の合計額は負債と純資産の合計額を合算した金額と同じ金額です。

時価純資産法であれば、資産から含み損を差し引くなどして時価換算した上で、資産から負債を差し引いて純資産を計算します。

2.手続きには時間がかかる

m&aの手続きには時間がかかってしまいます。

秘密保持契約書や基本合意書の締結、デューデリジェンス後の最終契約書の締結などの複数のプロセスを辿って手続きを進めるプロセスが一般的です。

いくつもの手間をかけて慎重に企業・事業が取引されるため、手続きに時間がかかってしまうことは仕方がありません。

手続きに時間がかかることを踏まえ、早い段階から準備を進めておくことをおすすめします。

3.財務状況によっては売却価格が下がる

財務状況が不安定だとリスクのある企業とみなされるため、売却価格が下がる可能性があります。

売却側の視点で見たとき、m&aを実施すると安定した経営基盤の中で事業運営ができると判断されやすいです。

一方で、買収側の視点で見たとき、m&aを実施したことで不要な財務を抱えることになってしまうと捉えられてしまうことがあります。

財務状況を改善するために、現金が大きく目減りしない範囲であらかじめ債務返済しておきましょう。

4.社員のモチベーションが低下する場合もある

m&aによって社員のモチベーションがかえって低下する場合もあります。

新しい経営体制での事業運営を求められるため、慣れない間は社員のモチベーションが低下しやすいです。

環境が変わっても社員が働きやすいようにサポートしていく姿勢を忘れないでください。

ベンチャー企業がM&Aを行う際の流れ

ベンチャー企業がm&aを行う際には以下の流れに沿って手続きを進めます。

  1. m&a仲介サービスなどへの相談
  2. 秘密保持契約・アドバイザリー契約締結
  3. 企業価値評価・トップ面談
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンス
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング

先に専門家に相談し、m&aの方針・交渉相手などを決めてください。

その後、秘密保持契約を結んでから企業情報を提供し、m&aの意思のすり合わせや企業価値評価を進めます。

内部情報を調査してリスクの少ない企業だと判断できたら、最終契約書を締結しましょう。

1つ1つの手続きが複雑な仕組みになっているため、まずは専門家に無料見積もり診断を受けることをおすすめします。

ベンチャー企業のM&Aは信頼できる仲介会社に依頼しよう

投資回収が期待しやすく、新たな事業展開に挑戦できるため、ベンチャー企業でのm&aが増加傾向にあります。

ベンチャー企業でのm&aを進める際に、無計画で手続きを進めると失敗しやすいです。

ベンチャー企業でのm&aのメリット・デメリットを踏まえた上で、綿密な戦略を立てる必要があります。

また、m&aは複雑な仕組みになっているため、専門知識・支援経験を持つ専門家に相談した上でm&aの準備を進めましょう。

M&A売却額の無料見積もりサービスの『ビジトラ』では、無料見積もりだけでなくあなたの会社に合った主要M&A会社やアドバイザリーを紹介してもらうこともできます。
会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。

\今なら無料で見積もり診断!/


売却額の無料見積もりはこちら!