近年の我が国の高齢社会の進展・要介護の人口の増大をニュースで見ることも多いかと思いますが、介護事業の需要はますます増えています。
しかし、介護業界は人手不足や介護用機材・設備、訪問介護等の費用負担で、特に中小事業者は頭を抱えていることでしょう。
このような介護業界の苦境を解消するための手段としてもM&Aは活用されています。
この記事では、介護業界のM&Aの動向、介護業界のM&Aのメリット・デメリット、M&Aの実例やおすすめの仲介会社等について解説します。
- 介護業界にも様々な介護事業がある。
- 介護事業は規制産業であり簡単に進出ができない。
- 介護業界のM&A事例は海外展開も含め増えている
- 介護業界は人材不足が慢性化している。
- 介護業界のM&A動向としては同業種だけではなく異業種とも盛んにM&Aが行われている。
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目次
介護業界の概要
介護業界と聞くと「実際に業界の将来性はどうなの?」「今後も仕事はあるの?」といった点で不安に思う方もいるのではないでしょうか。
まずは、介護業界の種類や取り巻く環境について解説をしていきましょう。
介護業界を取り巻く環境
これから約20年の間に、65歳以上の高齢者はますます増えていくとされています。
具体的には、現在の時点で3,580万人を超えており、2042年ごろには3,935万人ほどに到達すると言われています。
介護保険制度施行前は、介護サービスを提供できるのは社会福祉法人や医療法人など特定の法人に限定されていました。
その上、財源も税金だけで賄われていたため、十分なサービス提供ができていませんでした。
介護保険制度が施行された後は、民間参入が認められ、財源も保険料から捻出できるようになったため、民間企業の参入が増加しました。
それにより現在は、介護サービスの拡充や多様化につながっています。
介護業界の種類
介護業界は、日常生活に関して支援が必要な高齢者および障害者へ、介護サービスを提供する事業者の業界です。
介護業界の種類は次の通りです。
施設サービス
- 特別養護老人ホーム:社会福祉法人や地方自治体が運営している介護施設。入居条件は「要介護3以上」。
- 介護老人保健施設:長期入院をしていた人が、退院して家庭に戻るまでの間に利用されることの多い施設。介護・看護、医師のサポートを受けられる。
- 訪問介護事業:介護士が訪問して介護ケアを行うサービス。
- 認知症老人グループホーム:認知症の高齢者を対象とした施設。
- 有料老人ホーム:高齢者が暮らしやすいように配慮された住まいで介護サービスを受ける。
居宅サービス
- 有料老人ホーム:介護福祉士や訪問介護員が利用者の自宅を訪問して日常生活に必要な入浴や排せつ、食事などの支援を行う。
- 通所・短期入所介護事業:通所または短期入所で介護サービスが受けられるサービス。
- 居宅療養管理指導:病院や薬局で医師や薬剤師による指導を受ける
「施設サービス」とは、以下の3種類の介護保険施設入居者に提供される介護サービスに分けられます。
- 要介護高齢者のための生活施設である「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」
- 在宅復帰を目指す要介護者のための「介護老人保健施設(老健)」
- 医療的ケアが必要な要介護高齢者のための長期療養施設である「介護療養型医療施設」
一方で居宅サービスは、主に利用者が自宅にいながら受けることができるサービスのことを指します。
グループホームや有料老人ホームなどの特定施設入居者に介護サービスを提供する場合も、介護保険上の分類は居宅サービスに位置付けられています。
介護サービスは誰でも開業できる訳では無い
いろいろな介護サービスがあるものの、誰でも介護サービス事業を開始できる訳ではありません。
いわゆる介護業界は「規制産業」であり、都道府県などへの届出や指定基準を満たす必要があります。
また、施設・設備の内容は都道府県で定められた基準を満たすことが要求されます。
そのため、設備投資には多額の借入金を要し、更に安定した収益を上げるため、施設の規模をある程度大きくする必要があるのです。
そのため、誰でも気軽に介護事業へ参入できるわけではありません。
介護業界は各都道府県への届け出や指定基準を満たさなければならない。
安定収益を上げるためには、規模も重要となってくる。
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介護業界の現状
介護業界では人手不足によるサービス低下や労働環境の悪化による離職率の上昇、経営状態の悪化が危惧されています。
介護業界は需要が高いにもかかわらず、その市場環境は厳しさを増しているのです。
介護業界の環境が厳しい原因は一体何なのでしょうか。
ここでは、介護業界で起きている人材難の原因や現状について詳しく解説していきます。
介護業界の特徴
介護サービスは多岐にわたりますが、入所条件・利用条件等はそれぞれ異なっています。
前述した特別養護老人ホームは要介護3以上が対象です。
有料老人ホームは細かく分けて下記の3種類があります。
- 介護付き有料老人ホーム→地方自治体から特定施設入居者生活介護に指定されている
- 住宅型有料老人ホーム→地方自治体から特定施設入居者生活介護に指定されていない
- 健康型有料老人ホーム→要介護認定を受けた人は入居不可
上記の様に入居条件はそれぞれ異なります。
事業者は、どのような介護サービスを行うかで、開業するための申請の手続き内容の他、利用者の募集条件等も良くチェックして事業を展開していく必要があります。
有料老人ホームは3つの種類に分かれて、それぞれに利用条件が異なるため、開業の際などには申請内容などのチェックが不可欠になる。
介護業界の市場環境
65歳以上の高齢者は、ピークとなる2042年まで増加していくと見込まれています。
したがって、この増加するニーズに応えるため、引き続き介護施設等の設置が急務となります。
老人福祉施設は着実に増加しており、2018年は5,251施設、2019年は5,262施設となっています。(出典:厚生労働省「令和元年社会福祉施設等調査の概況」)
老人福祉施設全体の定員数は約16万人ですが、在所数は14万5,000人を突破し、在所率は約92%に達しています。
介護業界の需要は高く、一見すればその市場は有望なように思われます。
今後も65歳以上の高齢者は増えるため、介護業界のニーズは今後も高まっていく。
介護業界の問題点
介護業界の需要は高く、一見すれば活況を呈することも不思議ではないのですが、慢性的な人材不足に悩まされています。
介護職員の数は増加傾向にあるものの、離職率は高く人材がなかなか定着しないと言われています。
離職率の高さの理由としては、自由な価格設定の難しさがあげられます。
「訪問介護で〇〇〇のサービスを実施したら〇万円」や「要介護〇の方が老人ホームを利用すれば1日〇〇〇〇円」と、報酬単価は決まっています。
ということは、介護サービス事業所の売上を伸ばし、他の施設よりも介護職員の給与を高くしようという施策が難しくなるのです。
更に、3年に1度介護サービスへ支払われる料金の報酬改定が行われ、マイナス改定ともなれば、介護の報酬もなかなか上げられなくなるのが難点と言えます。
介護報酬の単価が決まっているため、介護職員の給与の増額などが難しい。
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介護業界のM&Aの動向
こちらでは、介護業界のM&A件数について詳しく解説します。
介護業界のM&A|介護業界のM&A件数は急増
2000年にはわずか20件程度だった介護業界のM&Aですが、2006年には約40件、2017年には70件、2018年には約90件と非常に増加しています。(出典:大和総研「M&A 動向に見る介護ビジネスの将来性」)
多くの介護事業者からM&Aという手法が認知されれば、今後もM&Aの件数は増していくでしょう。
2006年以降、介護業界のM&A件数は増加傾向にあり、業界にM&Aが根付けば更に件数が増える。
介護業界のM&A|M&Aのほとんどが友好的買収
1980年代のバブル期に流行った敵対的買収は、現在においてほとんど行われなくなっています。
買い手は、売り手の意見をよく聞き、同意の上で買収を進めるのが通例となっています。
いわゆる「乗っ取り」という負のイメージは払拭されつつあり、売り手側もあまり抵抗を感じずに交渉へ応じています。
現在のM&Aは、売り手と買い手がWin-Winの関係になるように最大限の努力がなされます。
近年のM&Aは、敵対的買収ではなく、売り手・買い手の双方がWin-Winになるための手法として活用されている。
介護業界のM&Aのメリット・デメリット
こちらでは、M&Aを行うメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
介護業界のM&A|メリット
売り手・買い手それぞれに、次のようなメリットが考えられます。
売り手のメリット
誰も事業を継ぐ人がいないという「後継者問題」の解決が図れます。
買い手に事業を引き継いでもらうので、廃業するのは避けられます。
また、中小の介護事業者が介護事業の大手グループに会社・事業を売却すれば、買い手グループの傘下に入ります。
そこで大手の経営資源を活用する事が出来る事から、資金確保も容易になりますので、介護施設の設備も充実・刷新できる等、介護職員の負担を減らす事も可能となります。
後継者問題の解消や資金確保が出来る事が最大のメリットとなる。
買い手のメリット
介護事業を新規開拓したい場合にM&Aは非常に効率的です。
一から介護施設・機器等の設置、介護職員の雇用等の手間が省けます。
また、介護事業の拡大を目指すときもM&Aへ成功すれば、売り手の介護事業者のノウハウはもちろん介護従業員、顧客・取引先をまとめてGETできます。
人材不足の解消の他、収益の増加が期待できます。
新規参入を考えている場合は、参入コストの削減やノウハウの取得が出来る。
事業拡大の場合は、人材確保や設備投資のコスト削減などのメリットがある。
介護業界のM&A|デメリット
売り手・買い手ともに、必ずM&A交渉が成立するわけではないことに注意するべきです。
お互いの溝が埋まらず、結局契約不成立となるケースも珍しくありません。
お互いがM&A未経験なら、交渉の進め方も良くわからないはずです。
そのような場合は、M&A専門家を立てて、アドバイスを受けつつ交渉に臨みましょう。
なお、売り手の場合は希望売却価格が100%認められるわけでなく、交渉の過程で調整が必要となる場合もあります。
希望売却価格の最低ラインの目安を事前に決め、柔軟な対応が求められます。
一方、買い手の場合は多額の簿外債務を負うリスクに注意しましょう。
売り手の多額の債務を見過ごし、事業統合後にその事実が発覚したら一大事です。
売り手の財務状況が健全かどうか良く確かめるため、後述する「デューデリジェンス」の徹底が必要です。
売り手は、希望価格が通らないこともあるため、最低限の売却価格を設定しておく必要がある。
買い手は、売り手の財務状況・経営状況の調査をしっかりしなければいけない。
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介護業界のM&A相場
こちらでは、介護業界のM&A相場について解説します。
介護業界のM&A|売却(買収)価格の算定は自由
介護業界のM&Aで希望価格を交渉の相手方に提示する際、「この介護事業者なら、〇億円で設定しなければいけない」という明確な決まりはありません。
当事者で自由に価格設定は可能です。
しかし、売り手が実体に合わない高額な希望価格を提示したら、買い手候補が全くつかないことになるでしょう。
一方、買い手も著しく低くすぎる価格を売り手へ提示した場合、早々に売り手から交渉を打ち切られるおそれもあります。
いずれの価格提示も、相手方が納得するような評価・算定が求められます。
M&Aにおける価格設定は自由だが、適正な価格を設定することが重要となる。
介護業界のM&A|相場の目安
デイサービスや訪問介護等の業態を問わず、売却(買収)価額は対象となる介護事業の規模・利益などの経営状況に大きく左右されます。
概ね営業利益の3年前後が売却(買収)価額の目安となります。
ただし、売り手側の人材や設備の充実度や、複数の買い手候補に差を付けるため、買い手側はより高い価格の提示が必要となる場合もあります。
また、立地の良さが大きな収益につながるケースは多く、この立地のため価格へ上乗せしてM&Aを行う可能性も高いです。
正確な評価・価格の設定は、売り手も買い手も無理に自社で行わず、M&A専門家に価格の算定を依頼した方が無難です。
価格の目安は営業利益の3年分が目安となるが、その他の要因(立地や設備環境など)も考慮して価格を決めなければいけない。
企業価格の算出には、M&Aの専門家に依頼するのも無難な方法の一つである。
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介護業界のM&Aの事例
こちらでは、介護業界のM&A事例を4つ紹介しましょう。
介護業界のM&A|介護業界同士の株式譲渡によるM&A
介護事業へのさらなる進出を図るため、同業者を完全子会社化した事例です。
- 売り手:ゆうあいホールディングス→目的:経営の充実
- 買い手:ソニー・ライフケア株式会社→目的:事業強化
M&A目的・背景
買い手であるソニーファイナンシャルホールディングスは、介護事業を自社の損保・生保・銀行事業に次ぐ第4の柱として、事業の拡大を図っています。
そこで、東京・神奈川で有料老人ホーム等を展開する介護事業者ゆうあいホールディングスに目を付けました。
また、ゆうあいホールディングスも、激化する同業者の競争や人材確保を目指し売却先について検討していました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉が開始します。
交渉成立で、買い手であるソニーファイナンシャルホールディングスは、既に買収したライフケアデザイン株式会社とも連動した介護事業の拡大へ期待を寄せています。
一方、売り手であるゆうあいホールディングスは、介護事業大手の傘下に入り資金・人材の確保を得ることが出来たことで、安定した経営が約束されました。
介護業界のM&A|介護業界同士の事業譲渡によるM&A
事業の選択と集中のため、同業者へ老人ホーム事業を売却した事例です。
- 売り手A:老人ホーム事業・在宅介護事業→目的:不採算部門の売却
- 買い手B:老人ホーム事業等→目的:事業強化
M&A目的・背景
売り手Aは、在宅介護事業と老人ホーム事業を営んでいましたが、老人ホーム事業の経営が負担となっていました。
そのため、在宅介護事業のみへ注力することを目的に、埼玉県にある老人ホーム事業の売却先を探していました。
買い手Bは、老人ホーム事業等を運営していましたが、首都圏への事業進出を目指し買収先について検討していました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉が開始します。
交渉成立で売り手Aは、事業の集中が出来て在宅介護事業の資金も獲得、在宅介護事業の強化に成功しました。
買い手Bは、埼玉県にある老人ホーム事業を買収し、首都圏へ事業進出の足がかりができました。
介護業界のM&A|異業種との株式譲渡によるM&A
新規事業開拓のため、異業種が介護業者を子会社化した事例です。
- 売り手:株式会社メッセージ→目的:経営の充実
- 買い手:損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社→目的:新規事業開拓
M&A目的・背景
買い手である損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社は、新規事業開拓のため介護業界に本格的な参入を目指していました。
そのため、実績のある売り手を探していました。
一方、高齢者向け住宅事業を展開する株式会社メッセージは、潤沢な資金の確保・最新機器の充実を目指して買収先を検討していました。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害が一致したことで交渉が開始します。
交渉成立で、買い手の損保ジャパン日本興亜ホールディングス株式会社は、介護事業の新規事業開拓に成功しました。
売り手である株式会社メッセージは、潤沢な資金や買い手の保有するリスク管理システムやICT技術を活用することで、事業の充実に成功しています。
介護業界のM&A|異業種との合弁会社設立によるM&A
シニア向けビジネスを展開するため、異業種が業務提携し合弁会社を設立した事例です。
- 売り手:インターネットインフィニティー→目的:事業拡大
- 買い手:名古屋鉄道→目的:シニア向けビジネスの展開
M&A目的・背景
愛知・岐阜の私鉄である名古屋鉄道は「総合生活サービス事業の展開」を掲げ、その一環として東海地方のシニア向けビジネスの立ち上げを検討していました。
そして、リハビリ型デイサービス事業を営むインターネットインフィニティーに目をつけます。
インターネットインフィニティーは、名古屋鉄道の新たなシニア向けビジネスに賛同、交渉を開始します。
スキーム・成果
売り手・買い手のお互いの利害は一致していて業務提携が成立しました。
出資比率は名古屋鉄道が90%、インターネットインフィニティーが10%です。
この出資でシニア向けビジネスを行う「名鉄ライフサポート」が誕生しました。
シニア向けビジネスの創出や拡大が期待されます。
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介護業界の海外に展開するためのM&A事例
国内の介護業界M&Aの事例の次に、M&Aによって、海外へ進出した事例も確認しておきましょう。
特に人口抑制のための政策等を行っていた中国などでは介護分野を強化していくことが求められており、これからますます日本の介護業界の進出が進んでいくのではないかと予想されています。
実際に、海外進出のM&Aを行った事例について紹介していきます。
株式会社ニチイ学館と中国の介護会社とのM&A
国内で介護事業をはじめ、医療関連や保育サービス、家事代行サービスなど暮らしに関わるさまざまな事業を展開している株式会社ニチイ学館が、中国の介護サービス会社「大連九鼎互聯科技発展有限公司」を子会社化しました。
もともとその地域に密着したサービス展開を得意とする株式会社ニチイ学館は、培ってきたノウハウを活かして大連九鼎互聯科技発展有限公司のある大連市などでの事業強化を図っています。
また、中国や香港の他の企業も子会社化を進めており、海外進出を続々と進めている会社の1つです。
株式会社学研ホールディングスがメディカル・ケア・サービス株式会社を子会社に
学研と聞くと教育系の事業を思い浮かべる方も多いと思いますが、子会社の株式会社学研ココファンでは、介護サービスや配食サービス、認知症予防などを行っています。
基本的には、比較的健康な高齢者向けのサービスを展開しています。
対して、メディカル・ケア・サービス株式会社は認知症介護に着目し、グループホームなどを展開しています。
そこで学研ホールディングスは、株式会社学研ココファンで、手を広げ切れていなかった認知症のケアなどについて拡大するべく、メディカル・ケア・サービス株式会社の子会社化しました。
これにより、認知症のケアや予防といったところまで一気通貫して行えるようなサービスを協力して作り上げることが可能となり、海外進出(主に中国)も進めようと考えているようです。
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介護業界のM&Aの流れ
こちらでは、介護業界のM&Aプロセスについて解説します。
介護事業を売却したい売り手、介護事業を買収したい買い手が、それぞれM&Aの相手事業者をリサーチします。
同じ地域の介護事業者とM&Aの交渉を図りたい場合は、身近な商工会議所や地方銀行等へ相談した方が良いでしょう。
しかし、もしも全国規模で交渉相手を探したいなら、M&A仲介会社の「マッチングサイト」で検索するのが最適です。
マッチングサイトの登録料は無料となるケースが多いです。
マッチングサイトに売り手・買い手が登録、希望買収(売却)価格・条件に近い相手を探すこととなります。
また、希望すればM&A仲介会社の担当者から、直に交渉相手を紹介してもらうことができます。
同地域の事業者とのM&Aを考えているなら、地方銀行や商工会議所に相談するのが最適な場合もある。
全国規模でM&Aを考えているなら、M&A仲介会社などが運営する、マッチングサイトの活用が最適である。
交渉相手が決まったら、お互い都合の良い日時からM&Aの交渉を開始します。
基本的に介護事業所のトップ同士が交渉内容・価格・条件等を調整していきます。
まず、買い手企業が「意向表明書」を作成、希望する内容(交渉スケジュール、価格、M&A手法をどうするか、介護職員について等)を売り手へ提示します。
なお、意向表明書に法的拘束力はなく、交渉内容が変更される場合も多いです。
ただし、秘密保持義務等を明記すれば事実上の拘束力が発生することになります。
M&A相手が決まれば、トップ同士で条件の調整を行う。
買い手は意向表明書を作成する。
意向表明書には法的拘束力はないが、秘密保持義務を明記すれば事実上の拘束力を持つ
M&A当事者同士で基本的な価格・条件等へ合意に達したなら、契約内容を書面化するため「基本合意書」を作成・取り交わします。
基本合意書も法的な拘束力はありません。
ただし、売り手・買い手が合意の上で取り交わす書類です。
基本合意書の契約内容は以後プロセスを円滑化に進める指針となります。
もちろん、基本合意書に損害賠償や契約解除、秘密保持義務等を明記すれば事実上の拘束力が発生することになります。
価格や条件面で合意をすれば、契約内容を明記する基本合意書を作成する。
基本合意に達した後、買い手は売り手の価値やリスク等を正確にチェックするため「デューデリジェンス」を行います。
このデューデリジェンスにより、売り手の財務状況、介護職員等の労働環境、法律違反の有無について調査を受けます。
売り手はこの調査へ全面的に協力しなければいけません。
なお、売り手がM&A交渉の進行すら危うくするような、重大な事実を隠していて、この調査で発覚した場合、契約不成立はもちろん買い手からの損害賠償請求すら受ける可能性もあります。
しかし、デューデリジェンスが支障なく終了すれば、最終譲渡契約を締結する最終ステップに進めます。
買い手が売り手の財務状況や法令違反などを調べる。
売り手は、調査に協力しなければならない。
いよいよ「最終譲渡契約」を締結するステップに進みます。
最終譲渡契約書には法的拘束力があります。
一度こちらを取り交わせば、売り手・買い手は契約内容に拘束されます。
最終譲渡契約書の内容は細心の注意を払ってチェックしましょう。
価格は調整した通りの金額か、交渉して決めた介護職員の雇用や業務内容等、後々トラブルとならないよう、合意した内容が漏れていないか文言を確かめます。
最終譲渡契約書を取り交わしM&Aは成立、クロージングとなります。
最終譲渡契約書は法的拘束力があるため、記載内容をしっかりと確認する必要がある。
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介護業界のM&Aにおすすめの仲介会社4選
こちらでは、介護業界のM&Aにおすすめの仲介会社4社を紹介します。
介護M&A支援センター
出典:https://kaigo-ma.com/
「ブティックス株式会社 」が運営する介護専門M&A仲介会社です。
介護に特化したM&Aサービスなので、経験豊かな介護M&A担当者が支援してくれます。
公開案件数
公開案件数は2021年7月時点で次の通りです。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:介護関連案件数 | 非公表 |
買い手:介護関連候補一覧 | 10件 |
売り手の介護関連案件数は非公表ですが、2020年5月時点でも買い手候補は約4600社の登録があります。
公表されていない案件が気になる方々は、介護M&A支援センターの担当者にお尋ねください。
料金について
相談料は無料です。
原則としてM&A制約の際に成功報酬を支払います。
売買価格 | 手数料 |
---|---|
成約基本料 | 100万円 |
0円超~2,000万円以下の部分 | 10% |
2,000万円超~4,000万円以下の部分 | 9% |
4,000万円超~6,000万円以下の部分 | 8% |
6,000万円超~8,000万円以下の部分 | 7% |
8,000万円超~1億円以下の部分 | 6% |
1億円超~5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超 | 1% |
PosiMA(ポジーマ)
出典:https://posima.jp/
「株式会社エルユーエス 」が運営する介護専門M&A仲介会社です。
こちらも介護に特化したM&Aサービスです。
約5000社の事業所と提携しています。
公開案件数
公開案件数は2021年7月時点で次の通りです。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:介護関連案件数 | 非公表 |
買い手:介護関連候補一覧 | 非公表 |
売り手の介護関連案件数、買い手の介護関連候補一覧は非公表です。
非公開案件が気になる方々は、PosiMA(ポジーマ)の担当者にお尋ねください。
料金について
非公開となっています。
相談の際、お見積もりをもらいましょう。
BATONZ(バトンズ)
出典:https://batonz.jp/
「株式会社(バトンズ)」が運営するM&A仲介会社です。
手厚い支援専門家のサポート・サービスを利用できます。
介護関連案件数の公開案件数は199件となっています。
公開案件数
公開案件数は2021年7月時点で次の通りです。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:介護関連案件数 | 199件 |
買い手:介護関連候補一覧 | 5319件 |
売却を希望する介護関連案件数は199件と多いです。
一方で介護関連の買い手候補は5319件もあります。
売り手にとってかなり有利な状況と言えます。
料金について
買い手側は登録料・マッチング料無料です。
一方、売り手側は基本的に無料ですが、売り手側もM&A交渉の専門家をたてると、やはり料金はかかってしまいます。
項目 | 売り手 | 買い手 |
---|---|---|
登録料 | 無料 | 無料 |
マッチング料 | 無料 | 無料 |
成約 | 無料 | 成約価額の2%
※最低報酬25万円 |
日本M&Aセンター
出典:https://www.nihon-ma.co.jp/
「株式会社日本M&Aセンター」が運営するM&A仲介会社です。
主に中小企業の友好的M&Aサポートで実績を残してきた仲介会社です。
介護関連案件数の公開案件数は2件となっています。
公開案件数
2021年7月時点の案件数を見てみましょう。
公開案件 | 案件数 |
---|---|
売り手:介護関連案件数 | 2件 |
買い手:介護関連候補一覧 | 26件 |
売却を希望する介護関連案件数は2件ですが、介護関連の買い手候補は26件もあります。
売り手はとても有利な状況と言えます。
料金について
基本合意の際に中間報酬(成功報酬の1割)、契約成立時に成功報酬(残り9割)と分けて支払います。
なお、着手金・月額報酬無料です。
報酬料率は次の通りです。
株式価値 | 報酬料率 |
---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超~10億円以下の部分 | 4% |
10億円超~50億円以下の部分 | 3% |
50億円超~100億円以下の部分 | 2% |
100億円超の部分 | 1% |
日本M&Aセンターのリアルな評判・口コミが気になる方はこちら
日本M&Aセンターの実際の評判は? 口コミから分かる強み・弱みから特徴までまるっと解説!
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介護業界のM&Aによくある質問
こちらでは、介護業界のM&Aでよくある2つの質問を取り上げます。
M&A仲介会社は成功報酬の支払いだけ?
M&A当事者に配慮し、M&Aが成約となった場合にのみ、報酬を支払うスタイルのM&A仲介会社が多いのは事実です。
ただし、M&A仲介会社への報酬は法定されているわけでは無く、各社で自由に設定が可能です。
完全成功報酬制をとる業者もあれば、着手金や月額報酬が必要ではあるものの成功報酬を受け取らないという業者もあります。
また、M&A仲介会社の中には、M&Aマッチングだけを行い後は直接当事者同士が話し合うシステムとなっていることもあります。
その場合は、売り手・買い手それぞれM&Aの交渉に実績のある弁護士等を立てて、話し合いを行う必要も出てきます。
もちろん、これらの専門家への報酬も発生するので注意が必要です。
各社によって料金体系・サービス内容はかなり異なるので、事前相談の際に担当者からしっかり料金体系・見積もり、どこまで支援をうけられるのか等を明示してもらいましょう。
M&A仲介会社の成功報酬は、会社によって異なるため依頼をする前に確認をするのが最適である。
サービス内容も会社によって異なるため、サービス内容とニーズが合致しているかを確認する必要がある。
円満な事業統合をするにはどうすれば良い?
M&Aが無事成立し事業を統合する場合、円満に進むかどうかは買い手次第となります。
売り手側への配慮を!
売り手を傘下に収めたとしても、売り手側の介護事業に関してあまり余計な口出しをしない方が無難です。
施設を利用する高齢者の中には、慣れ親しんだ介護スタッフがいなくなると、不安を覚える方々も多いことでしょう。
そのような場合は、売り手の施設はなるべく以前と同じように、売り手側の介護スタッフが職務を行えるように配慮し、無理にスタッフを変えないことが求められます。
また、売り手の施設の設備が老朽化している場合なら、その設備のメンテナンスや最新介護機器を導入する費用も検討する必要があります。
お金はかかりますが、介護スタッフの介護負担を軽減させ、離職率を下げる効果が期待できます。
買収後の職場環境や労働環境は、細心の気をつける方が良い。
M&Aの支援も遠慮なく受ける
買い手側が事業統合に不安を感じたら、M&A仲介会社に引き続いて助力を依頼するのが良い方法です。
全てのM&A仲介会社が、M&Aクロージング後のサポートも行っているわけではないものの、オプションとして統合後の支援サポートを用意している場合があります。
その分、料金はかかってしまいますが、事業統合のプロセスでトラブルが起きないよう利用を検討するべきサービスと言えます。
M&A後の事業統合などもM&A仲介会社の助けを借りる方が良い場合もある。
M&A仲介会社が、買収後のサポートもしてくれるのか確認が必要となる。
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会社売却でも事業売却でも、検討しはじめたら最初に使うようにしてください。
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介護業界 M&A|まとめ
介護業界は高齢化の進展、要介護者の増加でその需要は更に増すことでしょう。
しかし、特に中小事業者は人材確保・経費負担が大きな課題となり、打開策としてM&Aの活用は検討されるべきです。
M&Aは以前のように悪名高い「乗っ取り行為」と異なり、最近では事業所が生き残るための方法の一つとして多用されています。
今後も介護業界でのM&A件数は増加していくことでしょう。
しかし、介護事業者の方々のほとんどはM&A未経験者のはずです。
確実で円滑なM&A成約のためには、M&A仲介会社の助力を得ることが良い方法です。
事前相談は大概無料なので、まずは担当者へ質問等を行ってみましょう。
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